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2018年6月21日 (木)

映画を進化させる職人たち

  先日発売された映画秘宝の別冊「映画を進化させる職人たち」は、日本映画のアクション監督、昔で言うと殺陣師に当たるのでしょうか、彼らの最近の活躍をまとめたものです。
513eep1beal_sx326_bo1204203200__2  正直、最近の邦画のアクションは、ハリウッドに引けをとらない迫力があります。
 その始まりは、確かに本書で指摘するように、実は、私も以前のブログでも書いたのですが、SF映画「ガンツ」であり、特に続編の電車内での黒服星人との日本刀を使った戦いが忘れられません。なにしろ、あの日本刀を自在に振り回した女子高生の動きが強烈でした。やっと、ハリウッドの水準になったと思った記憶があります。
 本書によれば、その時の殺陣に使った日本刀が従来の竹光ではなく、ラバー製の模造刀だったそうです。ここにも技術の進歩があるようです。
 そして、その流れがスピード感あふれる驚愕の殺陣となった「るろうに剣心」の3部作につながったようです。
 大げさに言えば、黒澤明以来の時代劇の殺陣の革命でした。ワイヤー技術とラバー刀を駆使したものですが、やはり、それまでになかった殺陣を創造したアクション監督の力だったと改めて知らされました。
 また、こうした新たなアクション監督の出現が、時代劇だけでなく、SF映画「亜人」でも、銃をつかった格闘シーンにつながっているそうです。
 もちろん、若く運動能力の高い佐藤健をはじめ敵役の綾野剛(ガンツ2の黒服星人のボス役)達の努力と熱意もあるようですが、観客を驚愕させるアクションシーンを創り出せるアクション監督が何人も出現したことが、邦画界にとって大変意義のあったことだと思います。
 本書では、こうした邦画界のアクション界の動きを、それぞれのキーマンごとに詳しく紹介していますが、実は、これらのアクション監督は、みなさん、ハリウッドに渡って経験を積んできた人たちということでした。
  やっぱり、本場の技術が凄いのでしょう(例えばDVDの「ボーン」シリーズのメイキングなど見ると、撮影用の車の改造やアクション・プランの創意工夫には驚かされます。)が、それ以上に、そうした現場を体験し身に付けきた彼らの熱意と根性に敬意を称したいと思います。
 世界は確実に狭くなっていますので、この分野に限らず、VFX分野でもそうですが、最近は単身渡米し、本場で活躍する若者が増えてきています。うれしいことです。もはや国内だけの狭い料簡ではだめでしょうねえ。やっぱり世界を相手にした様々な分野で若い人に頑張ってほしいものです。
 本当は、政治の世界が一番そうなってほしいものですが、まあ、銀幕の夢にもならないでしょうねえ(笑)。
 

2018年2月12日 (月)

動物の箱舟

  欧米の図鑑のすばらしさをもう一冊ご紹介します。ロボットとは全く正反対の動物の図鑑です。自然界の創造物の多様さと美しさを見事に切り取っている「動物の箱舟」という書籍です。
61e0xndn0tl_sy498_bo1204203200_  実は、この本は、絶滅に直面している貴重な動物たちを精密な画像に記録していこうという、壮大なプロジェクトの成果の一部なのです。
 昆虫から魚類、爬虫類、哺乳類まで、様々な絶滅危惧種が極めて精密な写真で紹介されています。図鑑というよりはむしろ写真集です。ユニークな動物界のアイドルがたくさん掲載されています。
 
 1ページに1匹、そして極小の昆虫や魚類と大型哺乳類を両隣にレイアウトしたセンスは、自然の多様性を生み出した無限のエネルギーを感じさせます。この箱舟に選ばれし動物たちの姿を眺めるだけで癒されます。
 
 その一方で、ページの片隅に記している現在の生存個体数を目にすると、いやおうなく人間の罪深さを感じます。この辺り、動物を絶滅から救おうというキャンペーンとしては、実に見事です。
 
 また、今回、何より驚いたのは、真っ白、あるいは真っ黒い背景の中で、体毛の一本一本までピントのあった大型哺乳類の生き生きした一瞬の表情を切り取っていることです。しかも、その体には埃やゴミなども一切付いておらず、まさしく絵に描いたように美しいのです。
 
 小さな昆虫や魚類ならわかりますが、大型動物については、本当に、どうやってこんな写真を撮ったのか、不思議になります。実写というより人工的にコンピュータグラフィックで作ったかのようです。
 
 種明かしを見ると、実に単純な方法でした。
 いずれの被写体も動物園で飼育されている動物であり、その飼育されている檻などに白や黒の背景の幕をはじめ、照明器具などを持ち込んで、動物たちが負担にならない形で撮影するのだそうです。
 さらに、体に付いたゴミなどは、それこそCG処理で1個1個取り除くのだそうです。
 
 納得です。もっとも、現実には、身体の大きな動物が撮影中じっとしていてくれるのは大変なことだそうでは、中には背景を破ってしまう動物もいるようです。いやはや、ご苦労様です。
 
 しかも、このプロジェクトは、道半ばであり、これからもまだまだ続くそうです。みんなで応援をしましょう。その資金援助として、是非、この本を買ってあげてください。お願いします。

ロボットの歴史を作ったロボット100

 欧米の書物は、やっぱりビジュアルが素晴らしい。「ロボットの歴史を作ったロボット100」という本が翻訳されました。
51rpryrlvnl_sx497_bo1204203200_  内容は、ロボット愛に満ち溢れた著者が、歴史上有名になったロボットを、古今東西の小説、雑誌、映画、テレビに登場した架空のものから最近の本物まで、ほぼ1頁に1体の割合で、絵や写真を載せて、解説を掲げています。いわば、ロボットの図鑑というものです。
 
 ロボットについては、もともと好きなアイテムですし、このブログでも映画関連での私的なベストテンを作成していましたから、私の好みのど真ん中の企画ですし、この本の著者(しかも女性で)の熱意には、脱帽しました。
 なにしろ、映画のロボットでも、知らないやつが結構あります。これから見なくては、と決意を新たにしています(笑)。
 
 まあ、主な名前だけ挙げても、マリア、アッシュ、ロビー、ビショップ、ベイマックス、ハル、ガンスリンガー(※名前があるとは知らなかった。)、センチネル、ゴート、T-800、T-1000、鉄腕アトム、ロボコップ、アンドリュー、ウォーリー、イヴ、エイヴァ(最近の映画)、草薙素子などなど、有名どころはしっかり入っています。
 特に、タロス レプリカント、ドクター・オクトパスが入っていたのはうれしい限りです。
 一方、ボクシングロボのアトム、ロボコップの名脇役が選に漏れていたのは残念な限りです。 
 
 さらに、やっぱりというか、著者が欧米人であるせいか、ロボット王国の日本については、鉄腕アトムと草薙素子しかなく、鉄人28号(復興祈念のシンボルの写真のみ)やゲッターロボの名は全くありません。ロボコップの元ネタである8マン※も忘れ去られています。(※日本でも忘れられているのでしかたありませんか・・) 
 そのうえ、現実のロボット開発の状況も、日本製はソニー(アイボ)やホンダ(アシモ)にとどまっており、世界の様々な技術の成果にはかなり遅れを取っているような感じです。
 
 どうも、こんなことからも、我が国の技術力、科学力の凋落を感じます。国際社会では、政治はもちろん、経済もダメ、これに技術力もだめなら、本当に我が国の未来はないような(大げさな)気がします。お金儲けだけじゃなく、基礎研究の学問に力を入れましょう。
 「ニッポンはスゴイ!!」なんていう自己満足のテレビ番組(最近、やけにこの手の番組が多い)を喜んでいては将来が心配になります。どうも政治にお追従するテレビ界も困りますねえ。
 
  ・・・おっと、年寄り臭い、辛気臭い話になりました(笑)。とにかく、ロボットには夢がありますし、童心に帰って、こういう本を楽しみましょう(笑)。

2018年2月11日 (日)

世界のカルト監督列伝

 お馴染みの映画秘宝から別冊「世界のカルト監督列伝」という雑誌が発売されました。不況と言われる出版業界の中で、洋泉社は、なかなか元気で、最近、特撮やらホラーなど様々なカルト映画特集雑誌を立て続けに出版しています。いまや、そうしたジャンルにそれだけの需要があるということでしょうかねえ。
 
51gdalmphrl_sx352_bo1204203200_  例えば、何故か、市川崑の「悪魔の手毬唄」や、直近では、本多猪四郎監督の「フランケンシュタインの怪獣・2編」の大型本、それと並行して、アクション、SF/ホラー物の、昔風に言ったら、”色物”というか、B級映画の別冊を盛んに出版してるのです。一方、普通の映画関係は、あまり出版物を目にしないので、世の中がカルト系にシフトしてきている感じすらもします。なにしろ、ゾンビもいまや、すっかりA級ですから、本当に変わったものです。61scffpqtjl_sy414_bo1204203200_
 
 さて、前置きが長くなりましたが、この「世界のカルト映画監督列伝」は、カルトと冠してはいますが、一部のマニアだけに熱狂的に愛される映画の監督を集めた、というより、血みどろ、アクション、ホラーなどの”映画秘宝”的ジャンル映画の監督特集ですねえ。いまやメジャー監督もいますし、・・・。
 
610i57u61ml_sx349_bo1204203200_  例を挙げると、クエンティン・タランテーノ、サム・ライミ、ジョン・カーペンター、ブライアン・デパルマ、ポール・ヴァーホーヴァン、ギレルモ・デル・トロ、サム・ペキンパー、ジョー・ダンテ、ジョン・ランデス、テリー・ギリアム、トビー・フーパー、マリオ・バーヴァ、デビット・フィンチャー、ジョージ・ミラー、ダリオ・アルジェント、ピーター・ジャクソンなどなど盛りだくさんです。
 逆にいうと、現在活躍中の、普通のジャンルの監督をあまり知らないことがわかりました(笑)。
 
 この特集の一番の読みどころは、こうした監督たちの現状を取材しているところです。一世を風靡しても、いまや厳しい事態に追い込まれている状況も見られ、やっぱり、ハリウッド、いや、映画の製作現場というのは、大変過酷で非情な世界ということを改めて知らされます。
 
 スティーブン・スピルバーグやリドリー・スコットなどのホンの一部の天才たちだけが常に第一線に存在することができるのでしょうかねえ。
 
 多分、我が国の映画界も規模は違っても、同じ状況でしょうねえ。いや、予算が少ない分、もっと過酷な地獄かもしれません。あの巨匠小林正樹監督の晩年は涙します。
それだけに、改めて、本当に、映画監督という職業には、あこがれと敬意を表したいと思います。
 
 そして、やっぱり悲しいのが、「今夜は、ロマンス劇場」ではないですが、忘れ去られる監督たちです。
51ff88qhal_sx383_bo1204203200_  私の若い頃は、「ウィリアム・ワイラー」とか「ビリー・ワイルダー」が一流監督、名監督、名匠と奉られていたのですが、いまや、ほとんど顧みられません。
 
 左のあちらで編集された映画監督501人には、選ばれていないのです。まあ、我が国のひどい監督が載っているので、あくまで一編集者の偏りと思いたいのですが、実際、アチラの評価はどうなんでしょうかねえ。・・・私はあくまでその生み出した作品群は傑作ばかりと思っています。
 
 まあ、芸術の評価は、時代ともに移り変わります。生前は持てはやされた宮廷画家の絵が時の流れに葬られ、まったく無名のゴッホなどが後世では高く評価されていることは、有名なお話で、ある意味当然なのですが、それとは少し違うような気がします。
 
 やっぱり、映画の評価はなんか変だなあ。映画評論家と称する輩が勝手に捻じ曲げているような気さえします。
まあ、結局、誰がなんと言おうとも、劇場の出会いの中で、「好きな映画は好き」でいいのだ!(笑)。
 
 

2018年1月19日 (金)

黒澤明DVDコレクション

 先日、黒澤明監督の全30作品をDVDとマガジンで、隔週に発売するという「黒澤明DVDコレクション」が朝日新聞出版から刊行されました。なにを今さら、とも思いますが、逆にゴジラや石原裕次郎も出ているのに、今まで発売されていなかったのが不思議な気もします。
 もちろん、黒澤明を尊敬する私としては、購入するしかありません。DVDは全巻所有していますが、やむ得ません、今回併せて専用バインダーまで購入しました。
 
51d6jzfxeql_sx372_bo1204203200_  それにしても、今回発売の創刊号が「用心棒」、第2号が「七人の侍」、第3号が「赤ひげ」、第4号が「椿三十郎」、第5号が「天国と地獄」、そして「羅生門」というラインナップです。以下の続刊の順番は未定のようですが、この6巻までで、一番大うけする大娯楽活劇作品を全部見せてしまうことになります。その後は、賛否両論のある作品もあり、後半が売れるのか?と心配になります。まあ、一気呵成に黒澤ファンを創り出そうという作戦なのかもしれません。
 
 と、おもったら、お楽しみの復刻パンフレットは全巻購入しないと入手できない仕組みにしています。創刊号の980円以降は、隔週ごとに1790円になります。少しあざとい気がします(笑)が、しかたありません。
 なお、私ごとですが、復刻パンフレットは、いまは廃れたLD全集の付録で持っていますので、ご安心ください(笑)。
 
さて、最近の日本人は、我が国の世界に誇る黒澤明をまったく知りません。スピルバーグやルーカスが師と仰ぐ偉大な映画作家です。是非、この機会に見てほしいものです。
 特に若い人はモノクロだとか言ってパスするようですが、とにかく一度見てください。間違いなく、一発で虜になりますから。  
 私がそうでした。洋画に目覚め、邦画を軽く見ていた生意気盛りの高校生の時、学校で16mmの「七人の侍」を偶然観てぶっ飛んだ衝撃が忘れられません。
 
 当時は、特に地方都市では黒澤明の過去の作品を観ることなど不可能でした。とにかく文献を探し、数コマの写真などを見つけては、まだ見ぬ黒澤映画に憧れたものです。
 その後、東京の名画座などを巡って映画を観た時の感動も忘れられません。「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」という黒澤明の好きな言葉が私の座右の銘にもなりました(笑)。 
 
 ところで、このマガジンを実際購入してみると、少し残念な点もあります。
 まず、マガジンの記事の内容がおざなりです。あまりに初歩的でファンには有名な逸話ばかりです。それに、DVDの画質が大したことはありませんし、チャプターがないのも不便です。つまるところ、初心者仕様なのかな。
 いや、ともかく、ここは、黒澤明のコレクションの刊行をお祝いしましょう。遅まきながら、おめでとうございます。
 

2018年1月 7日 (日)

ハヤカワ ポケットミステリ

 昨年末の当ブログ(H29.12.31参照)に記述しているように、映画「オリエント急行殺人事件」を観て、「ハヤカワ ポケット・ミステリ」を思い出しました。この新書版の、通称「ポケミス」は、出版自体は細々続いているようですが、最近、近くの書店ではとんと見かけることがなくなりました。
 
 私がポケミス版でアガサ・クリスティを読みだしたのが、1970年代前半のクリスティ女史の最晩年のころです。当時は、もちろん、インターネットもなく、古書の通販システムもありませんので、過去の作品の情報を探すのも、入手するのも大変な苦労でした。
 ただ、幸い、クリスティの場合は、当時は存命中であり、「クリスマスにはクリスティを」という有名なキャッチフレーズで新刊のPRも行われていましたし、ポケミスでの再版もありましたので、長編物の大半の作品は揃っていました。
 
 しかし、絶版となっていた作品も多く、その中には傑作、名作と高く評価されている作品もありました。有名どころでは、「白昼の悪魔」や「予告殺人」、そして「ABC殺人事件」が再版・販売されず、幻の作品となっていました。若い読者は、全く読むことができないのです。
 
 私も、東京神田の古本屋を結構探し回りましたが、なかなか見つかりません。それでも、やっと「予告殺人」をゲットし、「白昼の悪魔」は、洋書版を購入しました。もちろん、語学力が足りず、結局途中で断念です(笑)。ただ、幸いなことに、丁度、この原作が「地中海殺人事件」のタイトルで映画化されたせいか、単行本で発売され、読むことができたのですが、噂にたがわず、いや、聞きしに勝る、クリスティ中期の傑作でした。
 しかし、残念ながら「ABC殺人事件」のポケミス版を入手することができませんでした。
 
 そうこうしているうちに、クリスティ女史がお亡くなりになり、その前後に「カーテン」、「スリーピング・マーダー」が単行本で発売された後は、早川書房では、文庫版の出版に力を入れ始め、アガサ・クリスティの作品は、短編も含め、絶版だった「開いたトランプ」、「ホロー館の殺人」、「牧師館の殺人」など、ほぼすべての作品が文庫版で揃いました。勿論、その時は文庫で読み漁ったものです。
 
 早川書房が、何故、ポケミスで再販しなかったのか謎ですが、今の状況を思えば文庫版の発売が正解だったのでしょう。
 
 一方、私自身、当時の熱病に浮かされていたような推理小説症候群(なにしろ、古今東西の名作を読破しようと頑張っていました(笑)。)も徐々に小康状態に落ち着き、いつの間にか、ポケミスのことなどすっかり忘れ去っていました。
 あの頃の熱中した思いと書店に設置されていたポケミスコーナーが本当に懐かしく思い返されます。
 
_0002_new  そして、いまや、ネットの時代です。
 今更ながらですが、心残り(忘れていましたが・・)だったポケミス版「ABC殺人事件」を検索すると、アマゾンで1件、日本の古書屋で1件、ヒットしました。大体1千円から3千円程度の価格です。
 早速、ゲットしましたが、何しろ、昭和32年発行ですから、1冊目は予想以上に表紙の状態が悪かったので、2冊目を追加注文し、ビニールカバーは無いものの、なんとかコレクションに加えることができました。 
 ついでに、単行本の「白昼の悪魔」や文庫で持っている「ひらいたトランプ」なども合わせてポケミス版をゲットです。
 
_0003_new  しかし、本当に便利な時代になりました。
 かつて「赤い靴」という洋書の世界ネットワークがありましたが、いまや、アマゾンまでが古書販売をしていますし、アメリカのアマゾンを活用すれば、かなりの洋書類がカバーできます。
 
 このネットワーク時代の便利さを改めて実感します。本が自由に検索でき、世界中から手軽に買える、誠に平和な良い社会です。
 今後とも、この幸せな時代がこれからも続くことを皆でお祈りいたしましょう。_0004_new
_0001_new_new
  
 
 

2017年11月 7日 (火)

ブレードランナー究極読本

 映画「ブレードランナー 2049」の公開に合わせて、映画秘宝の別冊として、ブレードランナー特集本が発売されています。

61zej4zgr1l_sx349_bo1204203200_  実は、この本をアマゾンで予約注文していたのですが、「一時的に在庫切れ、入荷時期未定」という扱いとなってしまい、ほとんど入手を断念していました。
 ところが、地元の某レンタル大型書店には、多数平積みされていました。・・・こんなこともあるのですねえ、最近は、アマゾンと再販流通サイドが対立しているとの噂もありますが。そんなことが関係しているのでしょうかねえ。驚きです。     

 まあ、それはともかく、本を手に取って、その内容にも驚愕です。元々マニア向けとは思っていましたが、ここまでのオタクぶりには脱帽します。

 なにしろ、冒頭の特集から意表をつきます。
 なんと、ブラスター(ブレードランナーの所持する大型銃)のモデルガンの種類とその歴史が20ページにわたり掲載されているのです。留之助商店のモデルらしいですが、見ていると楽しくなりますが、値段を見て絶句です(笑)。高けえ。

 次は、当然、スピナー(空飛ぶ車)の解説です。撮影に使われた後の使い回しの行方まで記載されています。
 そのほか、ポスター、サントラ、年表などは当たり前。予想した通り、映画版のバージョン違いのレポートまであります。極めつけは、好きな編集ができるようなカット一覧表まであります。お好きなように順番を変えてはどうか、というお薦めコーナーだそうです。何を考えているのだ(笑)。

 最後は、トリビアとして、誠に超マニアックな記事を網羅しています。例えば、レイチェル役のショーン・ヤングは、一時期お騒がせ女優と言われたものですが、今では穏やかに暮らしているという報告には、涙、涙です。

 私も、オリジナルには愛着がありますが、こういう記事の作者達を知ると、世の中には、とんでもないレベルの人種が多数存在していることに驚きます。
 つまるところ、自分の中途半端さを思い知らされますし、正直、もう腹一杯になって、もはや記事を読む気も失せてしまいました(笑)。

 それにしても、こうしたオタクたちを生み出した映画「ブレードランナー」の偉大さを改めて思い知らされました。ブレラン、万歳。

2017年10月 9日 (月)

あなたの知らない「レトロ特撮」の素晴らしき世界

  映画の素晴らしい世界をマニアックに紹介する雑誌社「洋泉社」から、「あなたの知らない『レトロ特撮』の素晴らしき世界」という単行本が出版されました。
 この本は、今までありそうでなかった、ハリウッド映画のCG以前の特殊撮影が有名な作品を極めて主観的に紹介したものです。
 日本の場合、特撮の神様である円谷英二が非常に有名ですが、アチラの映画と言えば、モデルアニメーターの神様レイ・ハリーハウゼンや特殊メイクアップの巨匠ジャック・P・ピアース以外は、ほとんど知りません。
 
51cfollsoll_sx340_bo1204203200_  言われてみれば、十戒、ベンハーなどの歴史大作をはじめ、ヒッチコックの意表をつくショット、爆発や破壊の戦争映画など、ハリウッド映画全般にわたって数々のミニチュアや合成を使った名場面がありました。
 
 もっとも、特殊撮影として見破られたらおしまいというのですから、やっぱり、特撮と気が付かなかったという方が、名匠たる名匠の所以なのでしょうか。
 
  私の洋画初体験「バルジ大作戦」は、本物の戦車を使った堂々たる大作なのですが、ミニチュア戦車も多数使われているそうです。信じられません。何処の場面かな?、見直してなんとしても見破りましょう(笑)。
 
 さて、著者が、ハリウッドの特撮の第一人者として名前を挙げるのが、ジョン・P・フルトンという人です。古くは、「フランケンシュタインの花嫁」や「透明人間」であり、そのガラス越しの合成など、いまだに当時どんな技術をつかったのか、わからないという伝説の持ち主です。そして、紅海の海が二つに割れるシーンやベンハーの大海戦なども担当したといいます。
 
 私自身、もともとSFやファンタジー映画の特殊撮影には大変興味があるのですが、普通の映画に使われた特撮シーンには、あまり気にもしてませんでした。
 この本の著者に脱帽です。よくぞ、ここまで調べたと感心しました。
 とりわけ、爆発フェチというのでしょうか、様々な作品の爆発シーン、破壊シーンを丹念に分析、批評していることには参りました。世の中には、こんな人がいるのだと改めて感動です。
 
 さて、このように、この本では、著者の個人的な趣味を基に、ハリウッド古典を中心にかなりの数の作品を紹介しており、少し過大評価かなという部分もあるのですが、いまだ未見の作品も多くあって今後の再発見を期待するところです。
 最近は、この手の作品も結構DVDで新発売になりますので、楽しみも増えます。いやあ、有難いことです。
 こんな贅沢な無駄が許される幸せで平和な世の中がもう少し続きましようにお祈りしましょう(笑)。

2017年10月 6日 (金)

ローラン・バレスタ写真集「ゴンベッサ」

 「ゴンベッサ」というのは、ご存知、生きている化石シーラカンスの地元での呼び名です。その名を冠した写真集は、まさしく、シーラカンスを、海洋生物学者で水中写真家であるローラン・バレスタ氏が海中120mまでダイビングし、その遊泳する姿の撮影に成功した成果なのです。
 
Img_2151_3   この本の存在を知ったのは、先般ご紹介(2017.5.5ブログ)しましたが、究極のシーラカンス模型のメーカーのブログで、「おすすめの逸品」というオーナーからのご紹介なのです。ということで、シーラカンス・ファンとしては、一度、是非見てみたいと思っていました。
 
 そうしたなかで、今回、この写真集がヤフーオークションに出品され、もちろん、人気の高いシーラカンス関連ですから、激しい競争が繰り広げられ・・・・、いや、思い出したくもありません(笑)。・・ともかく、念願かなって、いま、我が家に届きました。
 
Img_2155   本のサイズは、31cm×31cmで、239頁もある大型本です。その主役は、言うまでもなく、遊泳するシーラカンスの勇姿ですが、そのほかにも、マダガスカルの荒々しくも美しい大地の風景やその他の生物の姿も脇役として掲載されています。もちろん、洋書ですので、私は写真を眺めるだけですが、まさに至福の時です(笑)。
 それにしても、はく製の姿とは全く違う、何人ものカメラマンたち(撮影チーム)に囲まれ、堂々とポーズをとるような姿やアップで切り取られた鱗や鰭の無骨さには驚かされます。お見事です。
 
 余談ですが、メイキングの撮影チームの大らかで茶目っ気たっぷりな行動も笑えます。いかにも、海の男達という感じです。是非、一度ご覧ください。
 
Img_2147  さて、この貴重な本は、アクリルケースで陳列したシーラカンスの模型の横にセットで置くことにしました。結局、このコーナーがお気に入りの図鑑置き場になりました。
 ちなみに、その左側には、ブリアンの「前世紀の生物」が見えます。・・・興味のない方には全くお呼びでないネ。失礼しました(笑)。(ちなみに、NHKの「植木等とのぼせもん」、結構はまっています。)
 

2017年6月17日 (土)

映画評論・入門

 映画評論とは何か、そもそもわけのわからない映画評論家という定義や役割について鋭く切り込んだ「映画評論・入門」という書籍が洋泉社から出版されました。著者は、ペンネームがいかにも映画秘宝人脈とも思えるモルモット吉田氏です。
51yya6x9yl_sx325_bo1204203200_  内容は、感想、評論、批評、レビューの違い、映画評論家と映画ライター、そして懐かしのテレビ映画解説者の実態などを詳しく、実名を挙げながら解説しています。今は亡き淀川長治氏(別格らしい)などはなんとも懐かしい限りです。

それに、SF映画を差別しなかった双葉十三郎氏を取り上げてくれたのはうれしい限りです。

 しかし、この本の面白さは、そうした論議ではなく、過去に実際に起こった映画監督と映画評論家の争いや、映画封切り当時の映画批評を、実名を挙げて赤裸々にかつ克明に記しているところです。
 
 有名な映画評論家たちがいかにその当時に的外れな批評をしていたか、いかに大新聞の記事が大衆のミスリードをおこなったか、そして、映画評論家と称する人たちがいかに政治や権力に弱いか、いやはやあきれるばかりのエピソードが載せられています。
 
 例えば、有名な市川崑の「東京オリンピック」の話です。当時のオリンピック担当大臣の鶴の一声で大変なバッシングに会うのですが、それを救うきっかけとなったのが、並居る映画評論家たちではなく、女優高峰秀子の新聞への寄稿だったそうです。いやあ、立派です。
 そして 北野武VS映画評論家、ロマンポルノと長老映画評論家などは、いかに映画作家たちが映画批評に不信を持っていたかがわかるような気がします。
 
 なにしろ、あの黒澤明の足を引っ張り続けたのが、我が国の映画評論家やマスコミたち、というのはよく聞いたお話です。結局、海外の評価が逆輸入されるまではバッシングですか(笑)?
 どうやら、我が国の場合、評論という基本ができていない。誰でも肩書を名乗れる、書ける気がする、あるいは書いてきた結果なのでしょうねえ。
 といっても、いまやネット社会で誰でも発信できる時代です。かく言う私も、映画を見るたびに、好きか嫌いか、感想を述べています。・・・いや、これは申し訳ない(笑)。
 
 さらに、この本では、「七人の侍」、「ゴジラ」、「2001年宇宙の旅」、「犬神家の一族」などのリアルタイム映画批評として、公開当時の実名入り批評を列挙しています。
 これが圧巻です。まあ、いったい、有名な評論家たちがどんな目をしていたのか驚きます。加えて、キネマ旬報などのベストテンの弊害(これは今でも同じですねえ。一般人が知らない作品ばかり・・。)にも触れています。
 有名なエピソードが、当時第3位の「七人の侍」でしょう。ハリウッドの西部劇と比較してまあまあの迫力(世界第一級の活劇ですゾ)だとか、人間が描かれていないだとか、もう絶句です。あげくは、自衛隊の発足にかけて左派よりの思想的攻撃です。あきれてものが言えません。こうした政治的批判は、最初の黒澤明本格評論書でも続きます。なにか、巨匠に難癖をつけなければ批評でないというような気までします。
 
 もっとも、わが国初の怪獣映画「ゴジラ」については、お歴々の気持ちもわかる気もしますが、円谷英二の特撮は褒める一方、本多猪四郎監督のドラマ部分はクソみそです。
 しかし、いまや、海外の映画作家たちからは、エンドマークに「本多猪四郎監督に捧ぐ」という賛辞まで受けているように、また、わが国でもその評価は一変しています。本多監督、長い間お疲れさまでした。
 一方で、この著書は、いまの「シン・ゴジラ」の総褒め殺しにも懸念を示しています。慧眼でしょう。
 いろいろな見方はあっても、それが自由に発言できて、尊重される風土や文化が大事と思いますねえ。どうも、我が国の多様性の無さというか、同一化したがる傾向はイケませんね。世の中、再び、物が言えなくなる時代が来ているのでしょうかねえ。
 
 さて、次は、ブロガー出身の方の映画評論を読んで観ましょう。「何故、アメコミはヒットするのか」など宣伝文句を読む限り面白そうです(笑)。

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