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2017年6月17日 (土)

映画評論・入門

 映画評論とは何か、そもそもわけのわからない映画評論家という定義や役割について鋭く切り込んだ「映画評論・入門」という書籍が洋泉社から出版されました。著者は、ペンネームがいかにも映画秘宝人脈とも思えるモルモット吉田氏です。
51yya6x9yl_sx325_bo1204203200_  内容は、感想、評論、批評、レビューの違い、映画評論家と映画ライター、そして懐かしのテレビ映画解説者の実態などを詳しく、実名を挙げながら解説しています。今は亡き淀川長治氏(別格らしい)などはなんとも懐かしい限りです。

それに、SF映画を差別しなかった双葉十三郎氏を取り上げてくれたのはうれしい限りです。

 しかし、この本の面白さは、そうした論議ではなく、過去に実際に起こった映画監督と映画評論家の争いや、映画封切り当時の映画批評を、実名を挙げて赤裸々にかつ克明に記しているところです。
 
 有名な映画評論家たちがいかにその当時に的外れな批評をしていたか、いかに大新聞の記事が大衆のミスリードをおこなったか、そして、映画評論家と称する人たちがいかに政治や権力に弱いか、いやはやあきれるばかりのエピソードが載せられています。
 
 例えば、有名な市川崑の「東京オリンピック」の話です。当時のオリンピック担当大臣の鶴の一声で大変なバッシングに会うのですが、それを救うきっかけとなったのが、並居る映画評論家たちではなく、女優高峰秀子の新聞への寄稿だったそうです。いやあ、立派です。
 そして 北野武VS映画評論家、ロマンポルノと長老映画評論家などは、いかに映画作家たちが映画批評に不信を持っていたかがわかるような気がします。
 
 なにしろ、あの黒澤明の足を引っ張り続けたのが、我が国の映画評論家やマスコミたち、というのはよく聞いたお話です。結局、海外の評価が逆輸入されるまではバッシングですか(笑)?
 どうやら、我が国の場合、評論という基本ができていない。誰でも肩書を名乗れる、書ける気がする、あるいは書いてきた結果なのでしょうねえ。
 といっても、いまやネット社会で誰でも発信できる時代です。かく言う私も、映画を見るたびに、好きか嫌いか、感想を述べています。・・・いや、これは申し訳ない(笑)。
 
 さらに、この本では、「七人の侍」、「ゴジラ」、「2001年宇宙の旅」、「犬神家の一族」などのリアルタイム映画批評として、公開当時の実名入り批評を列挙しています。
 これが圧巻です。まあ、いったい、有名な評論家たちがどんな目をしていたのか驚きます。加えて、キネマ旬報などのベストテンの弊害(これは今でも同じですねえ。一般人が知らない作品ばかり・・。)にも触れています。
 有名なエピソードが、当時第3位の「七人の侍」でしょう。ハリウッドの西部劇と比較してまあまあの迫力(世界第一級の活劇ですゾ)だとか、人間が描かれていないだとか、もう絶句です。あげくは、自衛隊の発足にかけて左派よりの思想的攻撃です。あきれてものが言えません。こうした政治的批判は、最初の黒澤明本格評論書でも続きます。なにか、巨匠に難癖をつけなければ批評でないというような気までします。
 
 もっとも、わが国初の怪獣映画「ゴジラ」については、お歴々の気持ちもわかる気もしますが、円谷英二の特撮は褒める一方、本多猪四郎監督のドラマ部分はクソみそです。
 しかし、いまや、海外の映画作家たちからは、エンドマークに「本多猪四郎監督に捧ぐ」という賛辞まで受けているように、また、わが国でもその評価は一変しています。本多監督、長い間お疲れさまでした。
 一方で、この著書は、いまの「シン・ゴジラ」の総褒め殺しにも懸念を示しています。慧眼でしょう。
 いろいろな見方はあっても、それが自由に発言できて、尊重される風土や文化が大事と思いますねえ。どうも、我が国の多様性の無さというか、同一化したがる傾向はイケませんね。世の中、再び、物が言えなくなる時代が来ているのでしょうかねえ。
 
 さて、次は、ブロガー出身の方の映画評論を読んで観ましょう。「何故、アメコミはヒットするのか」など宣伝文句を読む限り面白そうです(笑)。

2017年6月11日 (日)

ヒッチコック/トリュフォー

  現在ではサスペンスの巨匠と称されるアルフレッド・ヒッチコックは、かつてアメリカではそんなに評価されていなかったといいます。例えば、大スターのゲイリー・クーパーは、「海外特派員」への出演オファーを断ったといいますし、アカデミー賞にもとんと縁がありません。
 しかし、フランスのヌーヴェル・ヴァーグの映画作家たちが作家性、芸術性を高く賞賛(ちなみにハワード・ホークスも同じだったそう)したため、その評価がアメリカに逆輸入されたと聞いています。さすが、やっぱり、どこも芸術の国フランスには弱いねえ(笑)。
 こうした再評価の筆頭が、映画評論家から監督となったフランソワ・トリュフォーであり、そのトリュフォーの依頼で、かの名著「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」が生まれたのです。   
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 この本については、以前、このブログでも取り上げましたから多くは述べませんが、世界の映画作家たちの教科書となったともいわれていますし、一般人が読んでも映画作りの面白さ、裏技が楽しめます。
 まだ、CGはもちろん機材の少ない時代の創意工夫のなんと素晴らしいことか、ヒッチコックの才能に驚嘆します。
 
 例えば、「断崖」のコップに入った牛乳のサスペンスは、コップの中に豆電球を仕込んで光らせたとか、拳銃を持つ手のアップは、巨大な手の張りぼてを作ってカメラの手前に置いたとか、「サイコ」のシャワーは、カメラに水がかからないように穴がアッチ向いているとか、映画的効果を高めるための様々なアイディアは、創造力というものの無限の可能性を教えてくれます。
 
 また、そうしたテクニック以上に、映画とは何かをヒッチコックの考えを浮き彫りにして示してくれました。「たかが映画じゃないか。」の言葉はヒッチコックだから価値があるのです。
71abbh3qc1l_sl1434_  その名著のDVD化なのです。最初聞いたとき「何それ」とわが耳を疑ったのですが、実は、その本のための長いインタビューの音源、つまり録音が全部残っていたそうです。ヒッチコックとトリュフォーと通訳のおばさんの3人、そして時々記録写真のカメラマン。
 
 朝から晩まで何日もかけて撮影所の一室での全作品についてのロング・インタビューです。気難しさで有名なヒッチコックも、多分、自分の評価を高めてくれたトリュフォーだから、こんな申し出を受けたのでしょうし、トリュフォーも、映画を1本作るような準備をして臨んだそうです。
 
 その結果、歴史的な名著が誕生し、その後も二人は死ぬまで手紙で交流していたそうです。・・・良い話でないですか。
 
 さて、DVD120分の内容は、おもに、「サイコ」と「めまい」を中心に、映画のシーン映像を使った、こまかな分析にくわえ、マーティン・スコセッシなどの著名な映画監督のコメントが入ります。もう少し、他の作品にも時間を割けばいいのではとは思いましたが、まあ、いいでしょう。
 それにしても、「エイリアン3」以後、私とは相性のよくないデビッド・フィンチャー監督が誠にまともな素晴らしいコメントをしていたのは意外でした(笑)。(これは偏見ですねえ、反省します。)
 
 映画ファンには、本当に楽しいDVDでした。映画を愛する若い方々は、映画の古典に親しむこと、ヒッチコックを知る楽しみを是非、味わってください。

2017年6月10日 (土)

蜜蜂と遠雷

 久しぶりに単行本を買ってしまいました。
 その本とは、本屋大賞と直木賞をダブル受賞したとの宣伝文句で、本屋の店頭に平積みされていた恩田陸の「蜜蜂と遠雷」です。
 実は、恩田陸の小説は、演劇界の天才を描いた「チョコレートコスモス」以来のファンなのですが、いかんせん、その続編の「ダンデライオン」が未完のまま中断しているせいか、しばらく遠ざかっていました。
61o3yv2bfwl_sx340_bo1204203200_  しかし、今度の作品は、ピアノのコンクールで競い合う若き天才たちの物語というではありませんか。
 かつて、「チョコレートコスモス」は、連載中断中の漫画「ガラスの仮面」の渇きを癒し、演劇という世界の天才を描き、かつてない感動を与えてくれたことを考えれば、クラシック界を題材にした「のだめカンタービレ」や「四月は君の嘘」などの漫画がヒットしてます現在、これは、絶対、間違いなく面白いに違いないと確信し、「これ以上重い本を買うな!!家が傾く。」という妻の厳命をすっかり忘れて、冒頭の仕儀(単行本購入)に至った次第であります(笑)。
 
 あらすじは、ある世界的なピアノコンテストに参加した、3人の異なるタイプの天才のお話です。一人は、とんでもない自然児の少年、そして、王道を歩む王子様タイプの青年、そして、眠れる天才少女です。
 クラシック界の描写や天才たちの造形は素晴らしく、そして何より天才たちの名演奏の文章表現はまるで音楽やその世界が目の前に現出するかのような見事さです。ダブル受賞もさもありなん、と感動します。まさに、予想通り、恩田陸ワールドのエンターテイメントあふれる傑作なのです。
 詳しくは、ここでは申しません、是非小説をお読みください。
 結構ぶ厚いのですが、一気呵成に読めます。いやあ、面白かった。これほど夢中になったのも久しぶりです。
 是非、未読の方は、本をお買いになってお読みください。
 
 ということで、恩田先生、誠にありがとうございました。
 あと、願わくば「ダンデライオン」の続きをよろしくお願いします(笑)。

2017年1月22日 (日)

ハワード・ホークス映画読本

  私のお気に入りの映画監督の解説本「ハワード・ホークス映画読本」が出版されています。著書は、ホークス監督の信奉者と自認する映画評論家山田宏一氏です。
 
51aozgg8ncl_sx337_bo1204203200_  この有名な評論家は、ホークスの映画を定義し、「映画が映画であるだけですばらしい。」と喝破しています。
 誠に慧眼です。とかく、世間では純粋な娯楽映画を低く見る傾向があり、思想とか、メッセージとか、芸術性とか、そういったものが付加されていないとどうも評価されない風潮があります。我が国の権威ある「キネマ旬報」がその最たるものかな?なにしろ、毎年のベストテンは見たこともない映画ばかり並んでいます。
 
 しかし、本当はホークス映画のように、映画の醍醐味や面白さを純粋に楽しめばいいのです。この読本は長年私が抱いていた思いを代弁してくれました(謝、謝)。
 
 加えて、ホークスの映画の面白さについて、活劇と喜劇が絶妙に融合している凄さや登場する勝ち気なヒロインの造型に関して現代を先取りしたその秀逸さを軽妙な文章で浮き彫りにします。
 もっとも、この監督へのこうした評価は、1950年代にフランスのヌーヴェル・ヴァーグ派の映画監督たちが偉大な作家だと指摘した結果、本場アメリカに逆輸入されたことが有名であり、それまではアメリカでも単なる娯楽作品を作る職人監督と位置付けられていたようです。どこも、おフランスに弱いのかなあ。・・・我が国の三隅研次監督もそうです。もっと再評価をお願いします。
 
51rpcje17ml_sx331_bo1204203200_  それにしても、この本は今年が生誕120年に当たる記念出版ということですが、以前に分厚い伝記本を買った覚えがあります。やたら膨大な分量で高額な翻訳モノだったのですが、難解な和訳が読めずに放置しました(笑)。
 
 今回は、この本を読んで、久々に若いころの愛読書で、当ブログのタイトルの元ネタ「お楽しみはこれからだ」シリーズのわくわく感を思い出しました。もったい付けた難解な文学的な評価や政治論、楽屋ネタなどではなく、映画のシーンについて仲間内で面白さを語り合うような映画本がやっぱり楽しいものです。その意味で、この本は名著(笑)です。
 
 思えば、ホークスの映画は、西部劇の「リオ・ブラボー」、「エル・ドラド」、「赤い河」をはじめ、「ハタリ」、「ガンガ・ディン」、「ヨーク軍曹」の活劇、喜劇「赤ちゃん教育」、「ヒズ・ガール・フライデー」などがお気に入りですし、以前TVで観た「男性の好きなスポーツ」などはDVD化をかねてより切望しています。本当に120年記念なら一刻も早いDVD化を願います(笑)。
 
 しかし、巻末の作品リストを改めて眺めてみるとまだまだ未見の作品、正確に言うと観たことがあるもののDVDを収集していないものがたくさんあります。
 ということで、これからアマゾンで注文です。とりあえずは、廉価版「コンドル」「脱出」「紳士は金髪がお好き」・・・アレ!!「リオ・ロボ」が無いなあ。
 「ピラミッド」は少し値段が高い?
 
 そういえば、「ヒッチコック読本」についても、最近出版されています。同じく若いころ相当ヒッチコック映画に傾倒した時期もありました。
 今後の読書の楽しみが増えました。 
 
 

2016年11月21日 (月)

小山春夫版「甲賀忍法帖」、祝復刻!!

 長年待っていました幻の貸本漫画、小山春夫作の「甲賀忍法帖」がやっと復刻されました。学生時代、文庫で一大ブームとなった原作の山田風太郎の忍者小説を知って以来、幼い頃に観てファンとなった傑作「真田十勇士猿飛サスケ」の作者である漫画家の作品が実は風太郎忍法帖に描かれた異形の忍者が登場する漫画であることに気づき、その作者が描いた「甲賀忍法帖」の漫画化作品を何としても読みたかったのです。
_new_2  このオリジナルの貸本漫画は全3巻であり、これまでもオークションで頑張ったのですが、どうしても最後の1巻が入手できず、つまり、第1巻と第2巻は所有しているのですが、肝心な要のラストが不明であり、しかも、最も贔屓の敵役の不死身の忍者「薬師寺天膳」の悪役ぶりを堪能したかったのです。まあ、ヘビの生殺しですねえ。
 一方、山田風太郎の原作は、数年前?に、青年漫画「バジリスク」として再漫画化され、濃艶なエロチシズムとしつこいほどのバイオレンスで人気を博しました。
 この青年向け漫画では、薬師寺天膳についても、その色悪と不死身ぶりは丁寧に書いていますが、いかんせん不死身である理由がかなりシラケます。ここは、やはり原作者の山田風太郎の天才を真似るべきでした。いらぬ注釈は誠に余分、残念。
 こうした最新の作品と比べると、この小山春夫の作品は、時代も昭和30年代後半、しかも少年向けでありますから、当然原作のお色気部分は全部カット、しかも、わずか全3巻ですから、展開の早いこと、未見の第3巻部分も簡単に終りました。
 期待の薬師寺天膳もあっけなく首を斬られて死んでしまいます。正直、内容は、やや物足りませんでした・・。でも絵は上手いでしょう?
 
 しかし、良いのです。やっと本日、念願がかないました。しばらく休んでいました発行元の「アップルBOXクリエート」さん、本当にありがとうございます。こころから感謝します。
 できれば、あと小山春夫作「虹の剣士」や「かくれ忍者伊賀丸」の復刻もお願いします(笑)。

2016年9月11日 (日)

メイキング本

  最近、ハリウッド映画のメイキング本がかなりたくさん翻訳出版されています。主に、アメコミ関係が中心ですが、SFやアクション映画に関するものであり、タイトルは、メイキングオブ○○とか、アートオブ○○とか、中には、公開30周年などを記念したヒストリー&メイキングブックもあります。
 参考までに、昨年来、私が購入した本の表紙をご紹介します。
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 、Photo_5Photo_7 Photo_9 Photo_8  いずれも、大型本で、それなりに値段も立派ですが、こういう本がわが国でも日本語版で入手できるようになったのは誠にうれしい事です。
 あとは、もう少し、普通のジャンルの映画も彼の国では出版されておるようですので、SF以外の分野のメイキング本も翻訳願いたいところです。
 
  もう一点、出版元にお願いです。惜しむらくは、アートばかり、すなわち、検討デッサン画ばかり掲載した本があるのが困ります。
 こうした本は、ビニール袋で封印されているのが普通で中身が確認できないので、購入後、映画製作のメイキング部分が少ないと本当に情けなくなります。
 できれば、アートだけでないメイキングものを出版してほしいものです。  

四月は君の嘘

  月刊少年マガジンに連載されていた漫画「四月は君の嘘」が実写化され、昨日から劇場公開されています。
 実は、この漫画については、私何を隠そう、恥ずかしながら連載中から愛読しており、大ファンなのです。勿論、単行本全11巻は書架に収まっており、先日は、別巻も揃えたところです。
 
 物語は、四月のある日、母を失ってピアノが弾けなくなった中学生(高校生ではないのだ!)の天才ピアニストの前に、自由奔放で過激な美しい少女が現れ、友人の幼馴染たちとの交流を通じて、再び主人公をピアノ演奏に復帰させる物語です。
 
 この新川直司という漫画家の絵は、無茶で大げさな行動や笑いを生み出す場面では、いきなり二頭身のこけし(?)顔に変わるという、マンガならではのギャグ手法を大胆に活用します。
 もっとも、連載始めは、正直「何、コレ?」となかなか絵柄に馴染めませんでしたし、登場人物のセリフとコマの位置の関連に戸惑うことがありました。
 しかし慣れてみると、単純な線で描いたまっとうな絵とのギャグ表現のギャップにはなかなか味がありますし、主人公の少年によるピアノの演奏のシリアスな場面などは、奏でるメロディーまでが画で見えるようで感嘆しました。
 そういえば、「のだめカンタービレ」でも、音のない漫画表現の無限の可能性を知らされましたねえ。…大げさか(笑)。
 
_0001_new  そして、この漫画のカナメは、主人公が初めて恋をするバイオリニストである同窓生の宮園かおりの秘せられた設定なのです。 
 カラフルに輝いてる彼女(コミック最終巻の表紙をご覧あれ。)にはある秘密があったのです。が、それは漫画ならではのものでしょう。とてもリアルな演出が前提の実写化には向いていないと思います。
 
 ちなみに、この作品は、既に、昨年アニメ化されています。大変繊細で美しい、淡い色調の風景や音楽の演出で、原作の雰囲気をなかなか上手に映像化しており、感心しました。演出者の手腕が見事です。しかし、それもやはり二次元の絵の中だから可能だったと思います。
 
 実写映画はもう既に公開中ですから、実写化反対と言ってもセンないのですが、原作の宮園かおりを、今人気絶頂の広瀬すずであっても、生身の女優が演じるのは演出上酷でしょう。ストーリーの設定上、誰が演じても実写にはなじみません。
 ・・・ということで、多分私は劇場には足を運ばないつもりです。ステージでバイオリンを弾く姿勢の良い姿、足蹴りを繰り出すギャグ調の姿、そして・・などなど、原作のイメージを壊されたくありません。・・なんでもかんでも映画化すればいいというものでもないだろう・・てか。
 
 最後に、この「四月は君の嘘」という題名について、連載中から意味がわからんと思っていたのですが、最後の最後でそのオチが判明します。
 ・・・結果が分かれば、なかなかしゃれたタイトルです。ネタバレはいたしませんので、是非、漫画を11巻を最後までお読みください(笑)。
 
 そういえば、作者の新川直司の最新作「さようなら私のクラマー」も、少女サッカーのお話ですが、今はまだタイトルに秘められた意味が分かりません。どうせ全巻終わるころにわかるのでしょう。楽しみです。
 ・・・実は、この漫画も、やっと最近登場人物の顔の区別(ギャグ顔や同じ髪形で主人公がよくわからん・・・)ができるようになりました。そのためか、あの伝説の「スラムダンク」を彷彿させる雰囲気も感じられ出し、俄然面白くなってきています。
 ・・これは、また別のお話です(笑)。

2016年7月31日 (日)

日本特撮技術大全

  今回公開された「シン・ゴジラ」では、ゴジラが着ぐるみではなく、フルCGで全編製作(実は、「三丁目の夕日2」の冒頭で既にCGゴジラは登場していましたが、)されており、日本の特撮映画界もついに円谷歌舞伎を卒業し、本格的なCG技術の段階に突入したという節目の時に、時宜を得たというか、便乗商法というか、「日本特撮技術大全」という368頁にも及ぶ大著が出版されました。
51sbkxtre1l_sx352_bo1204203200_  この本は、円谷英二特技監督が始めた特殊撮影の技法などについて、照明、模型、操演などあらゆる分野から、当時の現場写真や図面での解説を入れて網羅しています。
 有名な「寒天の海」や「水槽の絵の具の雲」から「ホリゾントの巨大富士山の絵」など、日本で創意工夫した特撮の技法が、惜しげもなく紹介されています。結構、初めての写真が多く、感慨深いものがあります。
 ただ、この本、やたら値段が高く、その割には、2冊のゴジラ映画の復刻シナリオをオマケで付けたせいか、写真の外箱ばかり立派で、本体の肝心な本の装丁が上カバーもなく、表紙などの紙質が安っぽく、まるで同人誌のような手作り感でいっぱいな状態になっています。
 
 まあ、そもそも本の内容自体、戦前・戦後の材料が何もない時代から発想の逆転や創意工夫で特撮技術を生み出して来た歴史を記述していることを考えれば、案外似合っている装丁かもしれませんが、買う方、読む方の立場に立ってほしかったと思います。
 個人的には、シナリオの復刻など興味がありませんし、実際、外箱から取り出したり、読むのに本当に不便なのです。
 
 しかし、この本の出版で、これまでのアナログの特殊撮影の総まとめが完成した気がしますし、「シン・ゴジラ」の公開で伝統的な特撮、とりわけこれまでの伝統的な怪獣映画がジ・エンドを迎えたと改めて思いました。
 これを契機に、日本SF映画界も、長年のトクサツという成功体験への過度のこだわりを捨てて、ハリウッド映画並みのリアルな映像の新時代に入ってほしいものです。
 以上、えらそうなことを勝手に言ってしまいました。すいません。 

2016年5月 8日 (日)

風の市兵衛

 このGWは、文庫「風の市兵衛」シリーズにはまりました。佐伯泰秀、上田秀人、風野真知雄などの有名作家のお馴染みの時代小説シリーズがマンネリ化する中、それらに代わる面白い作品に行き当たらなかったのですが、「この時代小説が凄いで第3位」という帯の宣伝に魅かれてたまたま手に取った第一作の面白さに感心しました。

Photo やはり、こういった娯楽作品は、痛快な主人公の設定が重要です。風の剣をふるう風のような、どこか涼しげな浪人者であるにもかかわらず、算術を持って渡り用人を稼業としているというのがうまい。しかも、王道である貴種流離譚ものであり、個性的で魅力的な仲間との触れ合いが定番的に描かれるのも好ましい要素となっています。
 さらに、各物語には、必ずおきゃんな町娘や気丈な姫が登場し、市兵衛とのやり取りの中で、淡い恋心がさらりと描かれ、男性読者の心をしっかり捉えます。
 特に、第1作目の「風の市兵衛」の旗本の母子、第2作目の「雷神」の絹問屋の跡取り娘、第4作の「月夜行」の大名の姫、第6~7作の「風立ちぬ」の料亭の娘など、僅かな数行の描写がうまいのです。
 加えて、主人公市兵衛と別嬪の娘たちとのやり取りが禅問答のような趣があり、なんとなく楽しくなります。

 一方、始めのうちは、この著者の文章表現がやや独特の省略系というか、言葉足らずの感があり、速読の私には、どういう場面か時折戸惑う面もありましたが、慣れればそれも個性なのでしょう。
Photo_2
 とにかく、殺陣のシーンが「風になった」とか「風に乗った」という抽象的な語句で表現され、いつの間にか相手は「横たわっていた」ということで具体的な斬り方や刀法がわかりません(笑)。この点、秘剣の佐伯泰秀や奇想天外な剣法を編み出す風野真知雄の時代小説とは全く趣が異なっています。

 ちなみに、主人公が振う「風の剣」とは、文中の「人とも思えぬほどの使い手」という表現からすると、幼少時に馬と競争したという逸話から、剣術の型ではなく、並外れた脚力を活かした動きの速さの剣術という設定だろうと私は密かに推測しています。

 結局、この連休の期間に文庫の第1巻から第13巻まで一気に読了です。しかし、まだまだシリーズは続いており、最新刊は、17巻のようですので、お楽しみはまだこれからです(笑)。
 映画などの映像化のお話はまだ無いようですが、各巻完結の小説ですので、テレビ向きでしょうねえ、期待しています。Photo_3


 

2016年2月14日 (日)

SF大クロニクル

 ハリウッド映画「オデッセイ」で、改めてSF映画の素晴らしさを堪能したところですが、アメリカにおけるSF関係の出版物の凄さにも感心しました。
61o8so0rkl__sx352_bo1204203200_ 今月初めに、わが国でも邦訳されて出版されていたのですが、気が付きませんでした。そのタイトルもズバリ「SF大クロニクル」という厚さ5cmの大著です。

 内容は、フランケンシュタインから最新のアメコミ・ヒーローまで、映画だけでなく、コミック、小説、テレビ番組、ゲームの世界の250を超える名作など1700項目を年度別、体系的に網羅しています。
 もちろんビジュアルも豊富です。ジュール・ベルヌなどは、初版本、映画化した作品の大半を時系列に整理して解説しています。いやあ、さすがにアメリカです。こうしたSF関係の類の本は誠に充実しています。
 我が国の作品も、「アトム」から「宇宙戦艦ヤマト」、「風の谷のナウシカ」、「新世紀エヴァンゲリオン」など、やはり漫画とアニメが中心ですが、さすがに、円谷英二とゴジラは取り上げられています。
 唯一困ったのが活字の小ささです。老眼鏡でもしんどいサイズで情報量が多すぎます(怒)。

51ewzsnj7zl__sx356_bo1204203200_ こうした類の作品評論の大型本は、以前に「怪奇SF映画大全」という分厚い本が出版されてはいましたが、少数でありほとんど見かけません。 多分邦訳されてない大型洋書は無数にあることでしょう。もっとどんどん翻訳してほしいものです。普通の映画の分野でも凄そうです。
 今回の訳者は、北島明弘氏で、あの分厚い名著「世界SF映画全史」を書いた人です。さすがです。この方に大いに期待したいものです。41veg6vv39l__sx350_bo1204203200_

 一方、我国の出版業界といえば、依然としてかつての栄光の特撮時代の円谷英二特技監督のスタッフの回顧録ばかり出版しているのが現状です。裏方に光が当たるのは結構なことですが、次の時代への参考となっていくのでしょうか。しっかり足元を見つめ直し、世界を見てほしいものです。「進撃の巨人」を見ただけに心配なところです。・・・「シン・ゴジラ」とは一体なんのこっちゃ(笑)。61jvio85e4l__sx347_bo1204203200_
いくつか出版物を紹介しますが、このほかにも確か、ゴジラの中身の俳優さんの回顧録などもありました。
 いずれも当時の撮影風景の私的なスナップ写真が中心です。それぞれ面白いのですが、あまりに懐古趣味が強いような気がします。世相を表しているのかなあ(笑)。

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