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2018年4月19日 (木)

ジュマンジ ウェルカム トウ ジャングル

 あの衝撃的だった1995年の「ジュマンジ」の最新版「ウェルカム トウ ジャングル」が公開されています。
 
 今回の主演は、ロック様こと、ドウェイン・ジョンソンです。この人、一体、一年間に何作の映画に出演しているのでしょう。このところ切れ目のないようなお目見えです。ハリウッド一の稼ぎ頭というのも頷けます。
 今回は、ゲームの中の探検家という役柄で、いつものようなタフガイですが、その正体は優柔不断な弱虫の高校生という設定であり、そういったおどおど演技も見せます。が、やっぱりパワー炸裂です。
 
 助演はジャック・ブラックで、見かけの通りの中年のデブ男で、その正体がイケイケの金髪ねえちゃんという役柄で、女子高校生らしい演技を喜々として演じています。さすがに芸達者です。
 
 さて、物語は、居残りの4人の高校生が、倉庫で見つけたテレビゲーム型「ジュマンジ」を始め、ゲームの中に吸い込まれてしまいます。そのゲーム世界は、ジャングルで、盗まれた巨大な宝石ジャガーの目をもとの場所に戻すことがゲームの終了になっています。
 
 ゲームを行う彼らの邪魔をするのは、ワニ、サイ、カバ、ヘビ、ジャガーというCG猛獣に加え、サソリなどの毒虫を操る男がボスの武装した軍団です。しかも、ゲームで生きる回数は、3回に限定です。結構、馬鹿馬鹿しい弱点も設定されています。
 
 とにかく、マンガチックな軽いアクションにつぐアクションです。まあ、何も考えずにご覧ください。貴方はこの映画で笑えますかな?
 
 思えば、オリジナルの「ジュマンジ」は、同じくジャングルがテーマでしたが、ゲームの世界に吸い込まれるのではなく、現実の世界にゲームのジャングル世界が出現するという奇想天外な設定でした。これはインパクトのある凄い発想です。それからいうと、今回の設定は、平凡でおとなしいなあ。
 
 ただ、CG技術は雲泥の差です。オリジナル当時は、CGの草創期であり、猿などは、毛が一本一本筆で書いたように動いていました(笑)。それでも、サイの暴走など迫力満点でした。いやあ、オリジナルをまた見たくなりました。確かどっかにDVDがあるはず・・・。
 
_0001_new  それにしても、劇場販売のパンフレットは、なんとしたことでしょう、ゲームの外箱に似せた冊子に入れた一枚の地図の様な仕様です。販売元は何を考えているのでしょう。読み辛くでしかたありません。
 パンフレットに奇想のデザインは必要ありません。普通の形で作成してください。しかも820円は高すぎです。
 

2018年4月15日 (日)

パシフィック・リム アップライジング

  先日、アカデミー賞を受賞したオタク監督、ギレルモ・デル・トロが生み出したハリウッド版”KAIJU”映画「パシフィック・リム」の続編「アップライジング」が公開されました。
_new  今回は、デルトロが製作に回ったため、監督が交代したそうで、その結果、よりわかりやすいスッキリした怪獣映画になりました。この交代したスティーブン・S・デナイト監督も、かなりのジャパン・ポップ・カルチャー(=日本アニメ・特撮映画)オタクらしく、なんと「マグマ大使」やロボットアニメ好きを広言しています。(最近、こんな人がやたら多いが・・)
 一方、製作にはやはり中国資本がかなり入っているようで、中国人が重要な役割を占めています。まあ、それでも、怪獣とロボットの最終決戦の舞台が日本(前作は香港)で、しかも、東宝特撮の聖地の富士山麓というのは、うれしいものです。脚本も書いたデナイト監督の功績でしょう(笑)。
 第一、夜間や雨降りシーンが多かった前作と比べ、今回は、昼間、しかも青空の下、怪獣たちが戦うのですから、しっかり、円谷版黄金期の東宝特撮怪獣映画へのリスペクトが感じられます。
 しかも、人間搭載型巨大ロボットのイエーガーと同じタイプの謎の敵ロボットも登場し、ロボット対ロボットのスピード感あふれる戦闘はなかなか見ごたえがあります。対KAIJU戦より面白い。
 さらに、無人型イェーガーが敵に乗っ取られ、怪異に変身するシーンなどは、どうみても、エヴァンゲリオンの実写版です。いやはや、監督のオタクの徹底ぶりには感心します。
 ストーリーも、なかなか意表をつく展開でした。本当に、オタクが行き過ぎると大変なことになるという教訓でもあります(笑)。まあ、ご覧ください。
 前作よりずっとわかりやすい出来上がりですし、私は好きです。
 ただ、残念なのは、前作からの引継ぎですから、しかたないのですが、”KAIJU”の造形がやっぱり面白くないことです。変に生物をデフォルメしており、実にカッコウも悪いし、感情移入も全くできません。(メキシコ系かな?)
 どうやら、テレビ版ウルトラマンの怪獣たちを意識しているようですが、あの奇想で秀逸なデザインは、成田亨・高山良策の天才コンビだから出来たのです。次作は、もっと日本の怪獣らしいデザインでお願いします(笑)。
 

2018年4月 8日 (日)

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

 リュック・ベッソン監督の「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」は、フランスの有名なSF漫画を映画化したそうです。
 ネット記事によると、同監督のSF映画「フィフス・エレメント」の製作当時では、その内容から映像化は技術的に困難ということで断念したということですから、今回の映画化は、当然、満を持してのCGのてんこ盛りです。
_new  今回の舞台である、千の惑星から集まった宇宙人たちが生活する、増殖するがん細胞にも見える巨大宇宙ステーション「アルファ」には、かつて「フィフス・エレメント」に登場した着ぐるみの宇宙人達によく似たCG製のエイリアン達が無数に描かれています。実はこれをやりたかった?・・訳はないですよね(笑)。
 
 さて、お話は、まるで絵本のような海と巨大な巻貝の家に住み真珠の肌を持つ人型生物(原住民)が暮らす平和で美しいパール星の海辺のシーンから始まります。
 突然、空から巨大なヒトデのような形の宇宙船が水平線に墜落するシーンは、かつて欧米で描かれた有名なSF絵画を彷彿させます。絵的には頑張っていますので、私としてはそんなに嫌いではありません(笑)。
 
 ところで、タイトルの「ヴァレリアン」というのは、「アルファ」連邦の政府機関のエージェントの名前でして、美人の相棒「ローレリーヌ」とコンビで捜査をしているのです。         演じるのはデイン・ハーン、あの超能力映画「クロニクル」のエキセントリックな主演者です。今回は、プレイボーイでいつも相棒を口説いているという設定ですが、どうもイマイチはまりません。相棒の女優さんも美人ですが、なんか違うなあ、と。
 加えて、この連邦軍の指揮官たちの軍服や装備がまるでコスプレ、玩具のような描写が気になるなどなど、全体的にいえば、ベッソンの描く?フランスのコミック世界に没入することはできませんでした。
 
 ストーリーは、冒頭の予感とおり、ベトナム戦争時に起こった”原住民””皆殺し事件(アメリカ先住民の事件のことかも?)を題材に、それをSF的に惑星単位にまで風呂敷を広げたような内容ですが、監督が言いたかったのは、平和と調和を好み、母星を破壊し、娘や両親を殺した敵までも許すパール星の未開人(映画で司令官が使います)の精神性の高さがテーマのようにも思えます。でも、やっぱり欧米人の目線かな?
 
 それにしても、土曜のナイトショーなのに、全く観客が入っていませんでした。前作もそうですが、どうも、ベッソンのSF映画は当たりませんですね。
 ただ、最初に言いましたように、SF映画ファンの私としてはそれほど嫌いな映画ではありませんでした(笑)。以上です。
 
 

2018年3月25日 (日)

トゥームレイダー ファースト・ミッション

 かつて、アンジョリーナ・ジョリーの主演でゲームを映画化した2部作のリブート作品が今回の「トゥームレーダー ファースト・ミッション」です。
 アンジョリーナ編では、主人公は二丁拳銃と格闘技の名手で、007とインディ・ジョーンズを混ぜ合わせたような痛快アクション映画でした。
_new_0001  さて、今回は、前シリーズとやや趣を異にしています。「ファースト・ミッション」いうタイトルの通り、主人公ララは、父の失踪から自暴自棄になり家出し、自転車宅配で自活するも、格闘技の練習料も滞っているという状況です。しかもスパーリング相手に負けるのですから、話になりません。
 
 映画の前半部分は、ヒーロー映画を見に来た観客の期待をことごとく裏切るのです。ヒーローらしからぬ軽率で行き当たりばったりの行動には共感できず、「主人公が弱すぎ?」、「秘密の部屋のドアは開けたら閉めて!!}などと雑念を抱いてしまった観客の私の方が困ってしまいました。
 
61xjvmbzzcl  まあ、ララ役がアリシア・ヴィキャンデルという小柄なスェーデン人で、あの静かな傑作SF映画「エクス・マキナ」のロボット役の女優さんですから、女007というイメージとは全く違います。(ちなみに、私はこのロボット映画は好きでブルーレイ買いました。)
 
 しかも、監督までもノルウェー人だそうですので、北欧風で能天気なハリウッド映画とは少し風合いが違います。スーパーマンではない生身の人間のヒーローものを目指している気がします。ダイ・ハードの第一作のような、・・とにかくアクションが痛々しいのです。確信犯なのでしょうねえ(笑)。ただ、肉体改造ぐらいトレーニングをしたのは立派です。やっぱり向こうの女優さんは凄いですねえ。
 
 そして、映画は伝説のヒミコの島に到着してからが本番となります。
 今回は、なんと、日本の古代女王が"死の女王”として登場です。ヒミコ=悪の女王の設定には、日本の歴史ファンが怒るよ、と心配していましたが、最後にどんでん返しがあってほっとしました。
 それにしても、日本とまったく関係のない東南アジアの孤島が舞台ですし、その墳墓たるや日本の文化の片りんもないとんでもない仕掛けだらけの無国籍ピラミッドです。ちょっと複雑な気がします。
 
 さて、ララが島に到着(漂着が正しい)するや、悪の結社「トリニティ」にララはいきなり捕えられ、7年間単身赴任で墓を掘っている敵のリーダーに愚痴とともに、父の死を告げられたまま、抵抗するすべもなく墓堀人夫として使役されます。しかも、父が処分を命じた墓地の真の場所を示した手帖まで取り上げられるのです。まったく良いところはありません。
 
 観客としては、ここらあたりが我慢の限界だったのですが、その辺を察するように、ララは、中国人の相棒に促され脱走、崖から転落して濁流に飲まれたあげく、旧日本軍の飛行機の残骸でアクロバットな見せ場を経て脱出に成功するのですが、敵の追っ手一人を殺したことから、大きくララが変わります。やっと、女ヒーローの誕生です。そうです、この映画は、誕生編だったのです。
 
 ここから、アクション物語が始まります。まず、意外な人物(=多分、皆さんの予想通り)と出会い、ヒミコの墓の数々の関門をクリアして、ヒミコの”死の力”の正体が明らかにして、敵をなんとか退治して、やっと大団円になります。
 そして、無事に父の遺産を相続した時に、トリニティという敵の正体が暗示されるのですが、その対決は次回のお話になりました。
 しかも、エピローグでは、質屋で、ララの愛用アイテムの2丁拳銃を手に入れるのです。
 まあ、私としては、お金を踏み倒しているボクシングジムに金を返せよと言いたいのですが(笑)。
 
 以上、すこし変わったアクション映画でした。シリーズお約束の超常現象も全くありません。まあ、今回は誕生編ですから、続編が作られることをお祈りします。
 

2018年3月11日 (日)

ブラックパンサー

 全米で大ヒットしたとかいう、馴染みの宣伝文句に騙されて、「ブラックパンサー」を観て来ました。
 ブラックパンサーとは前回のアベンジャーズで突然現れた、マーベル社の黒人のヒーローです。もちろん、アメコミには全く疎いので、どういう素姓・由来のヒーローなのか、全然知りませんでした。
 
 さて、今回の映画で分かったブラックパンサーの正体は、アフリカのなんとかという王国の王子だったのです。
 その王国は、貧しい農業国と思われており、現在でも、他の国との貿易や外交関係もなく、一種の鎖国の様な状況ですが、その実態は、太古の時代に宇宙から飛来した、なんとかという鉱石のおかげで、科学力を飛躍的に発達させた桃源郷だったのです。
 
 その、なんとかという鉱石は、宇宙で最も固く、しかも医療や科学などのさまさまな面で活用できる万能の石であり、王子が身にまとう、クロヒョウのスーツの素材をはじめ、槍や斧などの武器、はてはステルス機能付き飛行艇、あるいは王国そのものを覆い隠すドームなどに使われているそうです。さらに、この鉱石の力は、植物まで影響を与え、王族に不思議な力まで与えるのです。
 
 まったく、一体、どんな石やねん、とツッコミたくなるほどの都合のいいものです(笑)。アメコミらしいといえば、それまでですが、もう少し設定に理屈をつけてほしいものです。
 
 物語は、この王子の王位継承をめぐる従兄との争いでした。スパイとしてアメリカに潜入していた亡き父の弟が掟を破って粛清されたのですが、実は隠し子がおり、父と自分の復讐のために王国に戦いを挑むという、いかにも古臭い、手垢のついた伝統的なストーリーでした。
 
 まあ、この地味なお話に取ってつけたような時事性として、他国の独裁政治、飢餓や貧困、難民の受け入れなどの世界情勢には全く目をつぶり、鎖国を維持し、ひとり王国の秘密を守り、何世紀も一人栄華をほしいままにしていることへの批判を塗し込んでいます。
 もちろん、現実世界が苦しんでいるこれらの問題に解決策があるわけではありませんので、映画では国王が国際支援を呼びかけるエピソードを添えるにとどまっています。まあ、こんなものでしょう。
 
 そのほか、超科学力とアフリカ伝統衣装の違和感、(海底軍艦のムー帝国を思い出しました)、めまぐるしいだけの安易なアクション、結構弱いヒーロー、魅力のないわき役たちと、ツッコミどころ満載で、どうして全米でヒットしてるか、全然わかりません。
 ということで、今回はパンフレットもチラシもありません。・・・以上でした。

2018年3月 4日 (日)

シェイプ・オブ・ウォーター

 自他ともに認めるモンスター・オタクのギレルモ・デル・トロ監督の新作「シェイプ・オブ・ウォーター」は、アマゾンの水棲人間と女性の愛の物語でした。
 
_new  アマゾンの水棲人間というと、いうまでもなく、1950年代の代表的なモンスター映画「大アマゾンの半魚人」が有名です。
 水着姿で泳ぐジュリー・アダムスに恋した怪物(半魚人)は、異形ゆえに報われることなく、身を亡ぼすという、定番の「美女と野獣」系の怪奇映画でした。
 この50年代の映画に初めて登場した半魚人のデザインと造形が秀逸で、ギルマン(鰓人間)と呼ばれ時代を超えた人気を誇っています。アチラでは、このフィギュアやスタチューが今でも生産され続けています。
 あの黒い淵を自在に泳ぎ回ったリアルな水棲クリーチャーに匹敵する着ぐるみは、これだけ素材やCG技術が進歩した今日まで、いや、この作品まで登場しませんでした。
 
 そう、今回の映画は、6歳の時に見た「大アマゾンの半魚人」の恋をかなえたかった(パンフレットの記述)というギレルモ監督の”夢”の実現なのです。
 それだけに、半魚人のデザインは、凝りに凝っており、オリジナルのスリムなスタイルを生かした、納得のゆくデザインです。
 そのうえ、顔の隈取、目、鰓、体表の処理など生物感溢れる造形は、芸術的でお見事としか言いようがありません。しかも、発光機能まで追加しており、やっと、21世紀の半魚人といえる水棲クリーチャーが登場しました。はやくフィギュアが発売されないかなあ(笑)。
 
 さて、お話は、米ソ冷戦の60年代、アメリカの海辺の田舎町にある政府の秘密研究所に、南米で捕獲された水生生物が軍事研究ために運び込まれます。
 今回の主人公は、美女でもお姫様でもなく、その研究所で働く口の聞けない中年女性の清掃員なのです。しかも、映画館の2階のアパートにひっそりと住んでいます。付き合いは、隣の売れない老年の画家(ゲイらしい)と、同じ清掃員仲間の黒人女だけです。
 クリーチャーの創造と併せ、特筆すべきは、研究施設や主人公のアパートの装飾などのセットのリアルさです。レトロで冷戦時代という暗い時代の雰囲気を良く描いています。

 また、研究対象である水棲人間を電撃棒でいじめ抜くのが警備担当のサディストのような軍人です。屈強な体型をして力こそ全てと信じている白人の大男です。新「スーパーマン」のゾッド将軍を演じた俳優なので顔も言動も怖い怖い。
 もっとも、そんな男も、家庭では、郊外の一軒家で、テレビや冷蔵庫、キャデラックを持って、二人の子供の良き父親として、バービー人形の様な金髪の奥さんと幸せそうに暮らしています。昔テレビで見た60年代のアメリカの豊かで幸せそうな家庭の風景です。半世紀も前のあの大型のキャデラックは、まさしくアメリカの富の象徴ですねえ。改めて思います。

 ただ、今回、驚愕したのは、この映画のストーリーが単なるファンタジー映画では終わらなかったことです。従来の「美女と野獣」というお伽噺の範疇を一気に超え、人間と非人間とのセックスまでしっかり描いた作品なのです。
 
 冒頭、独身の中年女の秘めたる行為をしっかり見せたり、典型的な家庭内のハードなベッドシーンなど、人間の生活の裏側まで生々しく描きます。
 一方、怪物とのセックスは、逆にさらりですが、性器の形状へのセリフ説明まであります。子供向けではなく大人向けの寓話を目指した、にしても、異形とのセックスは、人の形を模した神を崇める主流派のタブーだけでなく、やっぱり驚天の展開です。本当にモンスターファンの私にしても驚きました。生物学的におかしいとかは別ですよ(笑)。
 
 ただ、考えてみれば、この映画は少数=異形の者への愛情を描いたものであり、現在のアメリカ社会への痛烈な批判なのでしょう。障害者、女性、黒人、ゲイ、・・・怪物、こうした差別を受け続ける少数派の弱い立場の人々の声を代弁しているのです。
 
 モンスター映画と馬鹿にすることなかれ、一度、是非ご覧ください。人間とはどういう生き方をすべきか、考えさせられます。
 実は、このオタク監督の一連のモンスター作品については、「パンズ・ラビリンス」をはじめ、「パシフィック・リム」も含め、「ミミック」以外はあまり好みではなかったのですが、この作品は高く評価したいと思います。
 

2018年3月 3日 (土)

ドリーム

  映画「ドリーム」は申し分ない快作です。話題作だったので、レンタルで観たのですが、あまりの出来の良さに、コレクション用のブルーレイ&DVDを注文してしまいました(笑)。
 
916a1f0rpel_sl1500_  お話は、アメリカの冷戦時代、ソ連と宇宙開発競争をしているNASAの、3人の黒人女性の奮闘記です。実話に基づいているという設定です。
 天才数学者(中心)、後にNASAで最初の黒人管理職(右)、初の黒人女性技術者になる黒人女性(左)たちです。
 この3人の天才ぶりが際立っています。もともとNASAというのは全米中から天才・秀才が集まっているのですから、一層凄いのです。
 
 数学者のエピソードを挙げると、例えば、中核の部署に抜擢されたとき、黒塗りの資料の行間を読んで、発射の成否を数式に表した時、初めて参加した会議で、宇宙船の着水地点を数式で計算した時、同僚たちの唖然とする姿に溜飲が下がります。シンボル的に演出されるチョークがニクイ。
 
 というのも、その当時のアメリカは、黒人隔離政策?がしっかり残って(今でも・・かな?)おり、トイレも、食事も、居住区も、「非白人用」に差別されていました。いや、情けないですねえ。
 
 映画はプロローグの後、主演3人が美しいハィウエイでエンストの車の横に立っています。そこに、パトカーが近づいてくると、3人に緊張が走ります。「余分なこと言わないでヨ」と口の過ぎる技術者に注意します。黒人たちのアメリカの警官というものイメージがよくわかります。今でも、よく白人警官が黒人を射殺していますものねえ。・・・アメリカの人種差別の現状を一瞬で切り取ります。いや、恐ろしいですねえ。
 
 そして、やっぱり、アメリカでのトップクラスの天才が集まるNASAの職場でも、黒人差別が露骨にあります。白人ばかりの中枢に配置されるや、誰も触らない「非白人用」のコーヒーポットが用意されるし、主人公は非白人用トイレを目指して、毎日、エリアの端から端までトットコと走って往復する有様です。トットコと往復する姿は、軽快な演出と相まって、滑稽ですらありますが、アメリカの恥ずべき人種差別の暗部をしっかり告発します。
 
 このトイレのための一時離席を巡って、彼女の上司であり、NASAの事実上のトップである本部長を演じたケビン・コスナーがNASA内の人種差別の実態に気が付くのです。彼女の理由を聞いたコスナーが、職場のポットの「非白人用」のラレベルをはぎ取った際に見せた同僚たちの困惑の表情、そして、大ハンマーを使ったコスナーの英断は、誠にカッコいい。大向うから声がかかりそうです。久々に、グッジョブ、儲け役です(笑)。
 
 もっとも、アメリカの英雄である宇宙飛行士の描き方には気を使っているような気がします。本部長と彼らだけが黒人を差別しないのです。歓迎の際、離れたところに並ばされてる黒人女性たちに、「あそこにも人が居る」といって、女秘書が止めるのかまわず、寄ってきて握手しますし、女数学者にはなにかと好意的な発言をしています。英雄への礼儀の演出かどうかはともかく、やっぱり宇宙飛行士はかっこよくなければなりません(笑)。
 
 一方、女の白人上司は、とにかく徹底していやらしく無視と底意地の悪さです。「話ができます。」と紹介する、あからさまな蔑視、黒人を人間とは思っていないような態度です。常に黒人達の足を引っ張る白人上司は初代スパイダーマンのヒロインが演じているのですが、すっかり嫌いになりました。黒人の女管理職候補に、「偏見はない」と公言して、「そう信じているのは知っています。」としっぺ返しを受けていました。ざまあ・・・失礼。
 
 余談ですが、この女管理職がIBMのコンピュータ室のトップになるエピソードや女技術者が資格要件のため白人高校に編入するための裁判所のスピーチが傑作です。やはり天才は違います。
 
 以上、今も厳然と続く、人種差別の国の中で、その能力と行動力でまさしくアメリカンドリームを成し遂げた3人の活躍に感動します。しかも、トットコと(この表眼がこの映画には似合います。)克服できたのは、彼女たちがまさしく天才だったからでしょう。
 
 考えれば、彼の国は、人種差別、銃所有、金(学歴)礼賛、弱肉強食が当たり前という厳しいお国柄です。お金もない、能力もない、普通の有色人種の人達はどうやって生きていけばよいのでしょうねえ。・・・比較すれば、日本に生まれてよかった・・と思いますねえ(笑)。
 

2018年2月11日 (日)

今夜、ロマンス劇場で

 2月に入って、封切り映画で食指の動く作品が見当たりません。しかし、しばらく劇場に足を運んでいないと禁断症状が出そうになった頃、丁度、夕食時に家族と一緒に眺めていたテレビのバラエティー番組に、番宣(映画でもこの言葉かな?)のため綾瀬はるかが出演し、「今夜、ロマンス劇場で」という新作映画の紹介をしていました。
 
 この映画は、銀幕から登場人物が抜け出し、映画の助監督と恋に落ちるというファンタジー映画ということをチラシなどでわずかに知っていた覚えがあるものの、全く興味がなかった作品でした。
 
 ところが、その番組の中で、綾瀬はるかが、あろうことか「王女様が映画’館’から出てきて・・・」と紹介したので、共演者たちは爆笑、「それ普通やろ」とツッコミを入れ、聞いていた私達家族も全員噴き出しました。
 さすが、”天然女優”と呼ばれるだけあって素晴らしいコメントです。そのうえ、その後のゲームでも、おっとりした雰囲気とはかけ離れた身体能力の高さを披露しました。
 いやはや、演じていない時は、普通と一寸違う感性がやっぱり女優には必要なのかなあと妙に感心しました。
 
 そういえば、彼女は、「JIN」で可憐な娘を演じる一方、女座頭市、女サーボーグ、最近ではNHKのファンタジー・ドラマの女用心棒も演じています。アクションもこなすのです。
 以前からこのブログでも紹介しているように、容姿は少し私の好みとは異なりますが、女座頭市以来のファンなのです。
 ということで、笑わせていただいた分のお返しという意味で、昨日、この映画を観て来ました。
 映画自体は、予想通り、いかにも邦画らしく、撮影所のセットをはじめ東映調の安っぽい造りのうえ、共演の坂口健太郎君も演技がたどたどしいため、前半今一のノリでしたが、万国共通の映画ファンの気持ち、映画を愛したいという思いは、共感し、くみ取れるストーリーでした。
 特に、「映画で記憶に残るのは一部、多くの映画は忘れ去られる。」というセリフがありますが、こうした消えゆく映画への愛こそがこの映画のテーマでした。いいんじゃないか(笑)。また、脚本の終わり方、ラストの締めは予定調和とはいえ、一応納得です。
 
 しかし、こうしたファンタジーは、細部を徹底的にリアルに作り上げることが不可欠なのです。全体的にセットじみた、あるいはCG丸出しの薄っぺらな絵では、やっぱり説得力が足りません。監督の力というより予算の差なのでしょう、本当に残念でした。
 以上、今回は、突然の鑑賞であり、チラシもありません。
 こうしてみると、同じオードリー・ヘップバーンへのリスペクト映画でも、多部未華子主演の「あやしい彼女」はやっぱり傑作です。・・うん、今晩あたり、DVDで見直そうかな(笑)。

2018年1月21日 (日)

ジオストーム

  映画「ジオストーム」のあらすじは、ある日、突然、全世界の気象をコントロールしている気象衛星が暴走をはじめ、世界各地に大災害を引き起こすというものです。
 以上の短い紹介文章ですべてを語りつくせるような、全くひねりの無い予想した通りの映画でした。
 
_new_2  この映画の見せ場は、つまるところ、架空の気象衛星のセットや各地の大都市の破壊シーンなどのCG映像なのです。リアルな宇宙ステーション、周囲を瞬間に凍結させる寒波、地面まで沸騰させる熱波、巨大な津波の襲来など、これでもかというほどの物量ですが、今や、どっかで見たことのある映像なのです。やっぱり、こけおどしだけでは感動しません。
 
 しかも、主演は、肉体派のジェラルド・バトラーなのです。無敵の強さです。今回は、衛星を作った天才科学者という設定(そうは見えませんが・・)ですから頭脳まで凄いのですから、安心(?)してお任せください(笑)。
 さらに、エド・ハリスが将軍役ですから、もう見え見え、バレバレの筋立てです。
 そして、ストーリー展開も、あっけなくわかる工作者の正体、とても大統領のシークレットサービスとは思えない女性ボディガードの倫理観、全く優秀とは見えない主人公の弟の官僚の行動など、あきれるほどのご都合主義でお話が進みます。
 
 結局、大惨事の割に、スリルもサスペンスも感じられず、サプライズも無いまま、お話はタンタンと進み、主人公たちの自爆する宇宙ステーションにとどまった英雄的行為で、世界の終末を引き起こすジオストーム(地球規模の暴風雨)の発生を寸前で食い止めるのです。
 ついでに言えば、本当に千に一つ以上の偶然で、都合よくハッピーエンドになるのも素晴らしいじゃないか。
 
 是非、何も考えず、何も言わず、楽しんでください。
 この作品の価値は、冒頭に紹介される現在の実際の地球温暖化を記録した数秒の映像に、いまアメリカでこの映画を作った意味があるのです。それを褒めましょうヨ。
 
 それにしても、ハリウッドでは、日本人と言えば、何故、いつも黒の大きな雨傘を差しているのでしょう。昔は、眼鏡とカメラでしたが、今は、日本製の傘。その性能が素晴らしいゆえのクール・ジャパンなのでしょうか、全くわかりません。欧米人は雨が振っても、傘を差さないのか(笑)。そういえば、イギリス人は傘はステッキ代りで雨でも差さないそうですねえ。

2018年1月 6日 (土)

キングスマン ゴールデン・サークル

 スパイ映画のパロディの傑作「キングスメン」の続編「キングスメン ゴールデン・サークル」は、二番煎じになる一歩手前で、ほぼ期待通りの毒のある活劇コメディに出来上がっていました。私は結構好きです。
 
_new  今回は、お約束通り、前作で頭を撃たれて死んだはず師匠(コリン・フォース)が生き返ります。その復活方法は、意外と真っ当な手順で、もちろんあり得ないフィクションの技術があるという前提ですが、ショックで記憶喪失のまま、なかなか元に戻らないし、記憶を戻す手段もよく考えました。しかも、頭脳は戻っても身体能力は鈍ってるなど、その紆余曲折が面白い。安直でないので、ここは褒めたい(笑)。
 
 また、冒頭、いきなり、主人公が前作からの因縁のライバルに襲われ、とんでもないカーアクションを繰り広げたと思ったら、キングスメンの本拠地が爆破されます。本来は意表をつく展開なのですが、予告編で全部流していますので、どうもイケマセン。
 
 ただ、前作同様、その後も、キレッ、キレッのアクション、ノリッ、ノリッの演出というしかないような展開です。とにかく、ただただ茫然と、そう言えば前作の続きで主人公の恋人はスウェーデンの王女だったなあとか、敵の義手男やロープウェーは007のパロディだなあとか、頭の片隅で思っていました。
 
 今回の見せどころは、イギリスのキングスマンの本拠地を失った主人公が相棒のマーリンと一緒に頼った、アメリカにある”従兄”関係の諜報機関であるステイツマンです。表の商売は、バーボンの醸造メーカーですが、その組織がとんでもない、コテコテのカントリースタイル、いわゆるカウボーイの世界なのです。
 ヤク中のチャニング・テイタム、アル中気味のジェフ・ブリッジス、メカニックのハル・ベリーなどのアメリカ田舎のパロディの設定に大いに笑わせてくれます。
_0001_new  なお、パンフレットによると、こうした設定などは結構実話に基づくひねりが多いらしい。そう思うと、あんまり笑えなくなりますが(笑)。とにかく、知的なギャグの毒がきつい。
 
 さて、今回の敵は、ジュリアン・ムーア演じる麻薬組織ゴールデン・サークルの女ボスなのですが、カンボジアの奥地に、郷愁のあまり、ハンバーガー店、ボーリング場、映画館など、アメリカのポップカルチャーを集めた秘密基地ポピー・ランドを作り、販売している麻薬にウィルスを仕込んで、麻薬の合法化や自らの免責をアメリカ大統領に求めるという誇大妄想狂です。
 しかも、エルトン・ジョン(本人が喜々として演じています。)を誘拐し、自分のために歌を歌わせている一方、上品な言葉と態度ながら、失敗した部下を巨大なミンチ製造機にかけハンバーガーにしてしまうと、とんでもない狂人です。ここは悪趣味、ちょっとやり過ぎです。
 
 一方、脅迫されたアメリカ大統領も相当ひどいものです。
 でも、実際、似たようなことをした実話もあるようです。これはパンフレットの受け売りです(念のため)。
 
 そして、最後は、やっぱり、今回も重要な相棒が死んでしまい、さらに主人公のとんでもないエンドにはまったく驚きです。詳しくは映画をご覧ください。スウェーデンの太っ腹に感心します(笑)。
 

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