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2018年1月21日 (日)

ジオストーム

  映画「ジオストーム」のあらすじは、ある日、突然、全世界の気象をコントロールしている気象衛星が暴走をはじめ、世界各地に大災害を引き起こすというものです。
 以上の短い紹介文章ですべてを語りつくせるような、全くひねりの無い予想した通りの映画でした。
 
_new_2  この映画の見せ場は、つまるところ、架空の気象衛星のセットや各地の大都市の破壊シーンなどのCG映像なのです。リアルな宇宙ステーション、周囲を瞬間に凍結させる寒波、地面まで沸騰させる熱波、巨大な津波の襲来など、これでもかというほどの物量ですが、今や、どっかで見たことのある映像なのです。やっぱり、こけおどしだけでは感動しません。
 
 しかも、主演は、肉体派のジェラルド・バトラーなのです。無敵の強さです。今回は、衛星を作った天才科学者という設定(そうは見えませんが・・)ですから頭脳まで凄いのですから、安心(?)してお任せください(笑)。
 さらに、エド・ハリスが将軍役ですから、もう見え見え、バレバレの筋立てです。
 そして、ストーリー展開も、あっけなくわかる工作者の正体、とても大統領のシークレットサービスとは思えない女性ボディガードの倫理観、全く優秀とは見えない主人公の弟の官僚の行動など、あきれるほどのご都合主義でお話が進みます。
 
 結局、大惨事の割に、スリルもサスペンスも感じられず、サプライズも無いまま、お話はタンタンと進み、主人公たちの自爆する宇宙ステーションにとどまった英雄的行為で、世界の終末を引き起こすジオストーム(地球規模の暴風雨)の発生を寸前で食い止めるのです。
 ついでに言えば、本当に千に一つ以上の偶然で、都合よくハッピーエンドになるのも素晴らしいじゃないか。
 
 是非、何も考えず、何も言わず、楽しんでください。
 この作品の価値は、冒頭に紹介される現在の実際の地球温暖化を記録した数秒の映像に、いまアメリカでこの映画を作った意味があるのです。それを褒めましょうヨ。
 
 それにしても、ハリウッドでは、日本人と言えば、何故、いつも黒の大きな雨傘を差しているのでしょう。昔は、眼鏡とカメラでしたが、今は、日本製の傘。その性能が素晴らしいゆえのクール・ジャパンなのでしょうか、全くわかりません。欧米人は雨が振っても、傘を差さないのか(笑)。そういえば、イギリス人は傘はステッキ代りで雨でも差さないそうですねえ。

2018年1月 6日 (土)

キングスマン ゴールデン・サークル

 スパイ映画のパロディの傑作「キングスメン」の続編「キングスメン ゴールデン・サークル」は、二番煎じになる一歩手前で、ほぼ期待通りの毒のある活劇コメディに出来上がっていました。私は結構好きです。
 
_new  今回は、お約束通り、前作で頭を撃たれて死んだはず師匠(コリン・フォース)が生き返ります。その復活方法は、意外と真っ当な手順で、もちろんあり得ないフィクションの技術があるという前提ですが、ショックで記憶喪失のまま、なかなか元に戻らないし、記憶を戻す手段もよく考えました。しかも、頭脳は戻っても身体能力は鈍ってるなど、その紆余曲折が面白い。安直でないので、ここは褒めたい(笑)。
 
 また、冒頭、いきなり、主人公が前作からの因縁のライバルに襲われ、とんでもないカーアクションを繰り広げたと思ったら、キングスメンの本拠地が爆破されます。本来は意表をつく展開なのですが、予告編で全部流していますので、どうもイケマセン。
 
 ただ、前作同様、その後も、キレッ、キレッのアクション、ノリッ、ノリッの演出というしかないような展開です。とにかく、ただただ茫然と、そう言えば前作の続きで主人公の恋人はスウェーデンの王女だったなあとか、敵の義手男やロープウェーは007のパロディだなあとか、頭の片隅で思っていました。
 
 今回の見せどころは、イギリスのキングスマンの本拠地を失った主人公が相棒のマーリンと一緒に頼った、アメリカにある”従兄”関係の諜報機関であるステイツマンです。表の商売は、バーボンの醸造メーカーですが、その組織がとんでもない、コテコテのカントリースタイル、いわゆるカウボーイの世界なのです。
 ヤク中のチャニング・テイタム、アル中気味のジェフ・ブリッジス、メカニックのハル・ベリーなどのアメリカ田舎のパロディの設定に大いに笑わせてくれます。
_0001_new  なお、パンフレットによると、こうした設定などは結構実話に基づくひねりが多いらしい。そう思うと、あんまり笑えなくなりますが(笑)。とにかく、知的なギャグの毒がきつい。
 
 さて、今回の敵は、ジュリアン・ムーア演じる麻薬組織ゴールデン・サークルの女ボスなのですが、カンボジアの奥地に、郷愁のあまり、ハンバーガー店、ボーリング場、映画館など、アメリカのポップカルチャーを集めた秘密基地ポピー・ランドを作り、販売している麻薬にウィルスを仕込んで、麻薬の合法化や自らの免責をアメリカ大統領に求めるという誇大妄想狂です。
 しかも、エルトン・ジョン(本人が喜々として演じています。)を誘拐し、自分のために歌を歌わせている一方、上品な言葉と態度ながら、失敗した部下を巨大なミンチ製造機にかけハンバーガーにしてしまうと、とんでもない狂人です。ここは悪趣味、ちょっとやり過ぎです。
 
 一方、脅迫されたアメリカ大統領も相当ひどいものです。
 でも、実際、似たようなことをした実話もあるようです。これはパンフレットの受け売りです(念のため)。
 
 そして、最後は、やっぱり、今回も重要な相棒が死んでしまい、さらに主人公のとんでもないエンドにはまったく驚きです。詳しくは映画をご覧ください。スウェーデンの太っ腹に感心します(笑)。
 

2017年12月31日 (日)

オリエント急行殺人事件

  ご存知、”ミステリの女王”と呼ばれたアガサ・クリスティの不朽の名作「オリエント急行殺人事件」が映画化されました。
 
 多分、若い方はともかく、推理小説ファンなら、その筋立ても、原作発表当時は世界中が驚いた”意外な犯人”も既に多くの人が承知しているはずですから、その映画化には相当なリスクと新たな仕掛けが必要でしょう。
 
 前回1974年の映画化では、アルバート・フィーニィが凝りに凝ったポワロの扮装で原作ファンの納得も勝ち得ましたし、オールスター映画という意味でも、これほど豪華な大スター達の出演は空前絶後でした。しかも、ストーリーも、劇中トリックもきちんと説明がなされ、好感の持てる作品でした。
 
_new  では、なぜ、今回、再映画化されるのか、その意図はなんだろうかと実は懸念していました。私自身、クリスティ・ファンだけに大いに不安でした。
 そして、その危惧は、見事に的中です。今回の映画は、かんたんに言えば、最新の技術を使った美しくもこけおどしの映像と音響、そして、監督兼主演のポワロを演じた、ケネス・ブラナーの一人芝居なのでした。
 
 名優で名演出家といわれる彼なりの名探偵ポワロ像の提示と、犯人検挙へのポワロの懊悩を喜々として演じたい、ということではなかったのか、そんな感想を持ってしまいました。第一、今回もかなりの名優たちが出演していますが、単に出ているだけ、見せ場はほとんどありません。ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュディ・デンチ、ジョニー・デップなど扱いが軽いのです。
 しかも、名探偵エルキュール・ポワロはほとんど推理をしません。プロローグの嘆きの壁のエピソードも直感ですし、原作のトリックなど全く無関係に、雪崩や銃アクションをこなします。
 まったく、なんなのでしょうねえ。あの白髪混じりのポワロひげも感心しませんね。原作とは違います。もっとも、映画「ナイル殺人事件」・「地中海殺人事件」のポワロのような稀有の例もありますから、あまりイメージにとらわることもありませんが・・。
 
 まあ、つまるところ、この作品は、風景が美しいこととリアルな時代考証などの雰囲気がよくでていたことは評価できます。それだけです・・・。
 
 ちなみに、写真はチラシです。パンフレットは購入しませんでした。以上です(笑)。
 ついでに言えば、前作は、凄かったなあ。ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、ショーン・コネリー、アンソニー・パーキンス、リチャード・ウィドマーク、マーティン・バルサム達が出演してるのです。若い人には知らない人が多いかもしれません。悲しいことですが、世代間の断絶ということなのでしょうなあ。困ったものです。
 
 思えば、推理小説でもアガサ・クリスティの作品は、もう古典ですからねえ。
 私がポケット・ミステリを買いあさって、読みふけったのはもう随分前でした。いまやポケミスの姿はなく、文庫版ですからねえ。
 
_0002_new  話はそれますが、当時、ABC殺人事件のポケミス(絶版)がついに入手できなかったのが、いまでも残念です(笑)。今と違って、過去の作品を読むのも大変でした。なにしろ絶版物が多く、古本屋を回って探したりと苦労しました。
 そんな時、突然「白昼の悪魔」と「ナイル殺人事件」が単行本で再販されたのは、映画化に伴うものだったのでしょうかねえ。大変有難かった記憶がありますが、どなたか、知っている方があれば、教えてください。Img_2390
ちなみに、書棚にあるアガサ・クリスティのポケミスです。縦長で、1ページに上下段に文章が印刷されています。多分、欧米の洋書のサイズを模したのでしょうねえ。いまや、絶滅種です。アガサ・クリスティなら文庫版で全部揃っています。
 <追記>
  前作のDVDを鑑賞しました。滑稽なポワロと長い推理は退屈で眠ってしまいました。やっぱり、小説の方が良いですねえ。クリスティが生前、一部の例外を除いて映画化を許さなかった理由がわかりました。・・・・それにしても、若い時に見た時はもっと面白いと思っていましたが、どうなってんでしょうねえ。_0001_new

2017年12月16日 (土)

スター・ウォーズ 最後のジェダイ

  一体、映画「スター・ウォーズ」は何処へ向おうとしているのだろうか、最新作「最後のジェダイ」を見てつくづく思いました。
 
_new  開幕のあの心躍る音楽の後は、売り物の戦闘シーンも含め、やたら陰鬱で深刻な場面が延々と続きます。
 第1作をはじめとする3部作のような、わくわくする痛快娯楽活劇の雰囲気は微塵も感じられません。時折挿入されるとってつけたようなユーモアも逆効果です。変なペンギンを食っているシーンなど悪趣味です。
 
 全体的に王立劇場で演じられるシュークスピア劇のような重厚な雰囲気(見たことはありません(笑)が・・)なのです。物語のダークサイドを極めようとしているのですかねえ。
 
 しかも、主演のレイ以外の登場人物の役者さんが、みんな、なんとも濃いのです。例えば、何をやっても味方に大損害を与えるラテン系のパイロットさん、よく見ると顔の造りがごつすぎる黒人ヒーロー役、今回初登場のタンクロウのような中国系の女優さん、そのほか指令室のメンバー達はいずれも個性的な容貌をしています。人類型以外の異星人とのバランスを考慮した配役なのでしょうかねえ。個人的な趣味かもしれませんが、あんまり共感いたしません。古典的と言われようが、やっぱり映画は美男美女で固めてほしいものです。
 
 さて、これから先は、ネタバレになるので、未見の方は読まないようにしてください。
 まず、ジェダイ・マスターは、何故、直ぐに隠遁するのかな?過去作でも、ヨーダ老も登場しますが、この老師も、オビ・ワンも隠れていましたよねえ。ルークだけが責められるものでもないですよね、伝統に則っただけ?(笑)
 しかも、直ぐに、弟子がダークサイドの誘惑に負けるのも同じです。指導方法が悪いんじゃないか、と思ってしまいます。いまさらながら「失敗を教えるのが一番」?、あほか?
 
 しかし、一番がっかりしたのは、主人公のレイの素姓です。
 あれだけ、ルークとの関係を思わせぶりに描いておいて、結局、全く無関係のただの路傍の人の娘?それは無いじゃない?
 殺人事件が自殺だった、みたいな筋書きは、観客の予想を覆す妙手ではなく、期待を裏切る悪手です。第一、大衆受けする貴種流譚にならないじゃないか!!
 
 それに、ラテン系のサブキャラの作戦が全て成功しないことが、いや、それ以上に結果的に本来の作戦をぶち壊し、味方に壊滅的な損害を与えてしまうことが逐一不愉快ですし、大変な犠牲の結果を登場人物だけが温かい目で見守るのが、不思議でなりません。
 観客としては、カタルシスは全く感じられないのです。
 
 まあ、褒めるところと言えば、ラスト、石の惑星の塩原でのジェダイ同士の決闘シーンですが、さすがに黒澤明の時代(ジダイ)劇からインスピレーションしたという程度の迫力はありました。
 また、悪の最高指導者があっさり殺されるのがよかった。あんな顔の真ん中にへこんだ傷のある貧相な悪玉はまったく魅力がありません。何か意味があるのかもしれませんが、デザインが悪すぎます。
 さてさて、次回作はどうなるのかなあ?今回はむちゃくちゃな方法で生き残ったレイア姫も、実際の役者が死亡されていますから、どうするのでしょう。契約が心配になります(笑)。
 それにしても、ほとんどの登場人物に全く魅力がないから、困ったものです。加えて、映像の方も、どれも見たことのあるような絵で、しかも見せ場の悪のリゾート都市の情景も、あまりにも安直な美術で失望しました。銀河系とはとても思えません。コスプレのカジノの風景です(笑)。
 
 ということで、この作品の評価はどうなのでしょうねえ。ハン・ソロに続き、ルーク殺しだけが評価されそうです(笑)。確実に言えることは、上映時間3時間は長すぎです。こんな作品の出来でSW人気が続くのでしょうか?一般的なSF映画ファンとして、少々心配します。
 

2017年12月10日 (日)

DESTINY 鎌倉ものがたり

  山崎貴監督の「DESTINY 鎌倉ものがたり」は、不思議な魅力のある映画でした。一言で言うと、鑑賞中あるいはその直後より”後をひく”というか、どうにもその物語が気になって、原作の西岸良平の漫画を読みたくなったり、撮影裏話をもっと知りたくなって、公認のオフィシャルブックを購入したり、とお金がかかります(笑)。
 
_new  正直、ちょっと鼻につく、いつもの横文字タイトル(何故、どの作品にもDESTINYとか、ALWAYとか、BALLADとか、意味のない英単語を付けるのかなあ?縁起担ぎor欧米市場向け?)とCG活用の少しあざとい(?)山崎流ファンタジーワールドですが、まあ、安心して観ることができる信用力はありますので、主演の二人にはあんまり思い入れはない(笑)のですが、封切日に観て来ました。
 
 冒頭、いったいこの映画は時代設定はいつ?という不思議な感覚に襲われます。720円にしては分厚いパンフレット(これはリーズナブルです。)によれば、原作は1970年代ごろですが、映画ではわざと時代をぼかし、70年代から現在までを微妙にミックスしているそうです。ただし、携帯電話はない時代だそうです。
 
 さらに、魔物や神様が登場する魔界の鎌倉が舞台ですから、ますます摩訶不思議な世界になります。
 
 そして極めつけは、魂を連れ去られた妻を取り戻しに向かった黄泉の国が、ますます奇怪至極な世界なのですが、一方でどこか懐かしい記憶すらあります。ジブリ世界と中国文化(なんかの絵本の挿絵風)をこねくりまわして作り上げた感がします。
 ・・・まあ、嫌いではありません(笑)。江ノ電と魔物のCGが少しチャチですが、それも原作の世界に合わせたそうな?ま、いっか(笑)。
 あと、余談ですが、田中泯演じる貧乏神がうまいし、存在感があるなあ。
 
 それより、主人公の小説家の家が実に良いのだ。外観は、あれ?サツキの家?と思ったが、間取りが絶品なのです。まさに男の夢、男の隠れ家です。映画の中にしても、羨ましい限りです(笑)。
 
 ということで、未見の方は、是非、ご確認ください。
 では、私は、これから、映画の元ネタとなった漫画のエピソードを集めた本(こういう本が出版されているのです。)を読みましょう。「3丁目の夕日」以降、西岸ワールドは久しぶりですので楽しみです。

2017年11月26日 (日)

ジャスティス・リーグ

 DC印のヒーロー達が集結する「ジャスティス・リーグ」について、マーベルの最新作「マイティ・ソー バトルロイヤル」と同じように、無残な出来ではないかと心配していました。
 
 マーベル印の直近の作品のことは、先日のブログに書きましたのでご参照ください。ただ、驚くことは、興行的には結構な成績を上げているようで、その作品を高く評価する評論まであります。
 引用すると、マーベルのシリーズは、2016年の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でテーマが行き着くところまで行ってしまった感(親殺しを許せるか?、戦いの正義は何か?等々)があるので、本来のアメコミの原点である単純な英雄物語に回帰したものという主旨であり、次回のアベンジャーズへの布石だろうという分析でした。「なるほど」という気もしますが、オジサンとしては、やはり映画としてどうかなあと思ってしまいます。
_new  話をもとに戻しますと、このDC版アベンジャーズはなかなか良くできています。観客がリアルに感じるように、ストーリーも美術も実にうまく料理しています。
 正直、ドキュメンタリーな匂いまでして、ありえないSF・ファンタジー用のセットも、金ぴかではなく、汚し塗装というか、生活感を見事に出しています。これだけでも見る価値はあります。
 
 さて、登場するヒーロー達については、バットマンはともかく、ワンダーウーマンでさえ、前作で初めてアマゾン族の女王の子という出自を知ったくらいですので、超高速で動くフラッシュ、半分機械化したサイボーグ、海底都市アトランティスの王子アクアマンなど、全然知りませんでした。
 
 しかし、このたくさん登場するヒーロー達の出自などを実に要領よく整理し、それぞれのエピソードも当然絵空事なのですが、センス・オブ・ワンダーの視点で、説得力を持って描かれています。真剣でセンスのあるリアルな演出に好感が持てます。バットマンの能力は金持ちというのは笑えます。でも、考えれば、唯一、普通の人間ですよね、ひとり痛そうでした(笑)。
 そのうえ、今回の敵は、かつて大昔、アマゾン族とアトランティス人と人類が団結して戦い追い払った歴史があるというのです。さながら「ロード・オブ・ザ・リング」のようです。いいじゃないか(笑)。
 
 最後に、今回、スーパーマンが甦るのですが、このことは上映直前まであんまり情報がなく、心配していたのですが、結局、DC元祖のスーパーヒーローだけに、一番強く、なにしろ敵のボスが「クリプトン人」を恐れるほどですし、全体としてはストーリー上の扱いが一番だったということが心地良いものでした。第一、ご贔屓のエイミー・アダムスもちゃんと出演しています。楽しい2時間をありがとうございました。
 
 

2017年11月 6日 (月)

IT(イット)

 土曜の夜のお楽しみを台無しにしたアメコミ映画のお口直しに、少し、劇場に行くのをためらっていたホラー映画「IT(イット)」を日曜日の午前中に観て来ました。
 
 前後編2冊揃いの分厚い原作も読みました。細かな日常生活を積み重ね、リアルな恐怖を描く描写があちらでは評価されてたようですが、日本語の文章では退屈でどうにもなじめませんでした。さらに、ITの正体に至っては、とても馬鹿馬鹿しくて誠に興ざめでした。以前に、一度、映画(TV?)化されたものの、原作どおり忠実に再現されたITの正体は、やはり噴飯物でした。当時の映像技術では無理と思った記憶があります。
 
 ところで、余談ですが、”IT”とは、サイレント時代には、肉体派女優のことをIT(あれ)女優と呼んでいたそうです。あれとそれとはどう違うのか、どなたか教えてほしいものです。
 ちなみに、映画に登場するピエロは、欧米では、実際に起こったピエロの姿をした連続殺人鬼のせいで、いまやお笑いのシンボルではなく、恐怖の的になっているそうです。
 ちなみに、余談ですが、本来、道化役は、漫才のボケとツッコミの2人コンビであり、”ピエロ”とはボケ役の呼び名で、今回の映画に登場する姿は、ツッコミ役の”クラウン”というそうです。これはパンフの受け売りです。
 
Photo  さて、今回の作品は、結論からいうと、ホラー版スタンドバイ・ミーとでもいうようなお話であり、ITの正体も原作とは全く違う、映画オリジナルですので、ご安心ください。
 映画は、雨の降る田舎町から始まります。この冒頭の雨降りのシーンが白眉です。これからの行方を暗示するかのように陰鬱でしかし美しい映像です。
 かつて、黒澤明は、「羅生門」で墨を混ぜた雨を降らせて、雨粒をスクリーンに映し出したそうですが、カメラの性能が格段に進歩したとはいえ、あれだけ広範囲のエリアで雨降りの情景を描きだしたのは見事です。
 
 黄色い雨合羽を着た主人公の弟が、住宅街の側溝に流した折り紙の舟を追いかけて行くシーンは、華麗なカメラワークを通じて、予想される悲惨な運命を美しくも哀しく表現します。
 側溝の穴に近づくなという観客の願いもむなしく、彼はのぞき込み、お約束どおりペニーワイズ(ピエロの名)に襲われます。なお、R15+ですが、このシーン以外は、存外、物理的なショックは控えめですので、ご安心ください。
 それにしても、明るい青空や豊かな自然の中で、うわべは美しい街並みのあるアメリカの田舎町の閉塞感を描いています。思春期の子供たちそれぞれが、かなりハードな悩むを抱え、屈折し、恐怖と不安に耐えているのを浮き彫りにします。
 なにしろ、少年たちの演技がともかく上手いし、恐怖が実体化する不安感をよく表現しています。ただ、怪物に立ち向かう少年たちの蛮勇は、少し無理があるかもしれませんが、まあ、いわばそれが青春です(笑)。
 
 結局、超常現象を産む怪物ITより、大人の心に巣食う闇が数倍恐ろしい気がします。いやあ、トランプ大統領の支持基盤である普通の白人層をどうしても想起してしまいます。こわい、こわいなあ。
 未見の方は、どうか、映画をご覧ください。いろいろな気づきがある稀有なホラー映画です。それにしても、怪物が人間じゃないので、恐怖も楽しいエンターテイメントに仕上がっています。どうか安心して観てください。
 なお、エンドロールでは、第一章と表示されましたので、今後の第二章の続編がいまから楽しみです。
 
 

マイティ・ソー バトルロイヤル

 楽しい土曜の夜に、本当にしょうもない映画「マイティ・ソー バトルロイヤル」を観てしまいました。
 
 実は、何を隠そう、最近のマーベル印の映画は、巨額(多分)の資金を掛けた豪華なCG映像、意外と深い意味がありそうなストーリー、結構な大スターの出演などの理由で、すっかり私のお気に入りのシリーズになっていたのです。
 以前のアメコミ嫌いの私は一体何処に行ったのでしょう、多分、年のせいと思いますのでお許しください(笑)。
 
 さて、今回は、ケイト・ブランシェットがゲスト出演するというので、大いに期待していました。ところがどうしたことでしょう。あまりに単純でお馬鹿なストーリーだったのです。
 
 まず、北欧神話の神オーディンの第一子であり、ギリシャ神話のゼウスの妻ヘラとたまたま同じの名を持つ死の神(この設定も無理がある)をブランシェットが演じるのですが、登場するやいなや、弟のソーの必殺武器のハンマーを握りつぶした上に、異世界まで吹き飛ばします。そして最後には、なんと神の国アスガルドまで破壊するという物語です。いやはや何のひねりもない、大味なストーリーです。
 
 そして、それ以上に情けなかったのが、神の国などの異世界の造形・デザインの手抜きのような、安直さです。
 定評のあったCG技術も、原色系のセットや小道具などの美術の粗末さとあいまって、ファンタジーに欠かせない、異世界としてのリアルさやセンスオブワンダーが全く感じられないのです。チープで出来損ないのデザインのおもちゃ箱です。いやあ、これには参りました。
 
 どうやら、ソーとハルク(緑色の大男)のグラディエーター姿の戦いを見せたかっただけ、という製作陣の意図が透けて見えます。スタンリーさん、大丈夫ですか?少し、クロヒョウやら、魔術師やら、生産過剰ではありませんか?今後の品質を心配しますゾ。もっとも、アメコミの世界そのままと言えるかもしれません。多分、意外に評価の高い理由は、そうしたアメコミファンの声なのでしょう。
 
 まあ、故淀川長治氏の「どんな映画にも、一つは良いところがある」という言に因めば、どんな立派な神の国も、国づくりの過程では、他民族の征服、殺戮と略奪の歴史がある。そもそも国とはそういうものであり、当事者が君子のようにふるまっても説得力はない。そして、王国は、必然的に滅びるのだ・・・という寓話なら、その点だけは買えます。 
 
 なお、買うといえば、この映画のパンフレットを、魔が差したのか、映画を見る前に買ってしまいました。そこも残念でした(笑)。
 ちなみに、翌日曜日の午前中に、口直しに別の映画を観に行きましたが、これが予想以上に傑作で・・・これはまた別のお話です。
 終わり。
 

2017年10月29日 (日)

ブレードランナー 2049

 カルト的人気を誇るリドリー・スコット監督のSF映画の傑作「ブレードランナー」の続編が製作されたと聞いて、大変心配していました。
 30年もたって、何故、いまごろ続編を作るのか、しかも、あの「エイリアン」シリーズでさえ、スコット監督自身が作った最新作は全く異次元(?)に行ってしまいました(笑)。
 実際には、リドリー・スコットは製作にまわり、私にはどうにも理解できない「メッセージ」のドゥニ・ヴェルヌーヴが監督とのことで、正直どうなるのか、不安を消すことができませんでした。
 というのも、私、このオリジナルの「ブレードランナー」が大のお気に入りなのです。
 公開当時、劇場で観た時のインパクトが忘れらません。あの暗い世界を象徴するような音楽、雨降りの中のネオンにかすむ悪夢のような未来都市、さらにライトの光源がリアルなスピナー(空飛ぶ車)など、当時の特撮技術の粋を集めた圧倒的なイメージでした。
 そして、それ以上に、ショーン・ヤング演じる”レイチェル”です。いかにも、理想の特別の人造人間という形でした。いやあ、ハリソン・フォード演じるブレードランナーのデッカードでなくても一目ぼれします。
_new この大事な作品を、スコット監督は、こともあろうに、ビデオテープ(LD)をはじめDVD化するたびに、異なるバージョンを出すのです。ディレクターカット版はもちろん、ファイナル版まで、何度手を加えるのでしょう。買う方も大変です(笑)。 ちなみに、私は、ハッピーエンドで終わった劇場版が一番好きなのです。
 
 ということで、私としては、何故、いまさら続編を作るのか、大いに疑問でしたが、それは、全くの杞憂でした。
 
 結論からいうと、誠に見事な続編です。30年後に続編を作る理由も意義もしっかりした”メッセージ”があります。いやあ、この監督を見直しました。手のひらを大きくひっくり返します。お見事。
 映像は、もうCG技術を使って誠に申し分ありませんし、よくオリジナルの雰囲気を再現しています。とりわけ、巨大な宣伝ネオンが、フォログラムに代わり、エロチックなセンスも抜群です。「ゴースト・・」とは一線を画す出来です。
 しかし、それだけではありません。時代設定、登場人物、ストーリー展開が素晴らしいのです。逃亡レプリカント(人造人間)を追う主人公のブレードランナー(警官)も、やはり、戦闘用レプリカントで、仲間から”人もどき”と差別されながらの行動をハードボイルタッチで追います。
 その過程で、今、我々が直面する様々なテーマ、例えば、AIとの恋愛なども描かれます。このAIジョイの純情が切ないのですが、なにより、オリジナルのテーマが人造人間の人権、と寿命だったのが、続編では一挙に拡大します。ここは、ネタバレになりますので、やっぱり、劇場でご覧ください。続編の意義にもつながりますゾ。本当に脚本がうまい。
 
 最後に、あの人のサプライズな登場もうれしい。最新のCG技術に乾杯しましょう。ここも、是非、劇場でご覧ください。
  いやあ、続編はかくあるべきです。
  SF映画続編史上3番目の傑作(笑)が誕生しました、というぐらいに私は大いに贔屓にします。
  ちなみに、1番、2番の作品は、①ターミネーター2、②エイリアン2です。
 

2017年10月22日 (日)

アトミック・ブロンド

  シャーリーズ・セロン主演の「アトミック・ブロンド」は、宣伝文句のとおりのスタイリッシュ・スパイアクションでした。
 色彩を落とした映像や斜めに傾くカメラワーク、主演のドクターX(笑)のような美脚を見せつけるためのだけの衣装など、あまりに過剰なスタイリッシュさ(笑)に、なんとも感情移入ができず、しかも、ただただ大音量で画面と関係なく勝手に流れるBGM、さらに、決めても決めてもなかなか相手が倒れない、長回しの、ホントに痛そうな格闘シーンを眺めていました。
 
 ちなみに、BGMはデビット・ボーイなどのロック系の有名な曲らしく、好きな人には最高(そういうユーザーの声が多いよう)かもしれませんが、映画は、かの黒澤明が宣ったように映像と音楽は掛け算、融合芸術なのです。完全に遊離しているように感じたのは、私だけなのでしょうか。歳のせいか、劇場設備のせいか?とにかく音量で耳が痛いのです。
_new  さて、時代は、冷戦時、東西ドイツのベルリンの壁の崩壊前夜なのですが、西側スパイのリストや二重スパイの正体を巡って、セロン扮する女007(宣伝文句)スパイが大活躍する物語かと思ったら、スタイリッシュな映像とは正反対のやたら深刻なお話でした。
 
 007映画の魅力のユーモアも何もなく、セロンも裸の大サービスはするものの、無口で、格闘跡、傷だらけな無残絵なのです。この手の好きな人はいいが、私はどうも閉口します。見てて気が滅入りました。
 それに、目玉の格闘シーンも、長回しで見事な”階段落ち”のスタントには感心したものの、大男と殴り合うセロンの姿は痛々しくて見ていられません。
 もっと、スカッとしたアクションを観たいのです。リアルさの追求かもしれませんが、しまりのない、だらだらした格闘は見苦しい。鼻血も嫌悪感です。
 これまでの出演作を観たら、多分アクションが好きなんだろうなと思われるセロンも、「マッドマックス」後遺症(笑)は判る気がしますが、やはり年齢的にそろそろ、この手のリアル指向の格闘技映画は限界かなあと、思わざるを得ません。
 それにしても、「キングスマン」や「ザ・マミー」で圧倒的な存在感を示した、ソフィア・ブテラとくんずほぐれつの大格闘を期待していたら、それがベットの上とは意外でした。いやあ、この辺は、007映画の伝統を踏襲した(笑)のかなあ。第一、ブテラを、ボンドガールのような新人スパイに設定するのも脚本のミス。まず、女殺し屋にしてほしかった(笑)。
 まあ、ストーリーが回想による説明で右往左往するため、最後に仕掛けたどんでん返しなどは、劇中の伏線がまったくわからないので、なんの感動もありませんでした。・・・これは脚本と監督が悪い。まあ、最後のセロンの笑顔が救いです。
 
 ということで、今回は、パンフレットも買うこともありませんでしたので、ブログには、チラシを掲載しました。以上です。
 
 
 
 
 
 

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