イクサガミ
昨日、ネットフリックスで公開された配信ドラマ「イクサガミ 第1章」の全6話を一挙に観てしまいました。この作品は、今村翔吾の同名の時代小説を原作にしています。
実は、時代小説のファンでもある私は、この全四巻からなる小説を既に読んでいました。まあ、誤解を恐れず、簡単に言えば、漫画「るろうに剣心」の小説版ですねえ。ストーリーは、明治維新の西南戦争の後、10万円の賞金話という謎の新聞広告に誘われ、全国から京都の天龍寺に集まった292人の腕に覚えのある参加者が、東京までの道中で、お互いの番号札を奪い合うという凄惨なゲーム「蠱毒」のお話です。
主人公の”嵯峨愁ニ郎”は、病気で苦しむ家族を助けるために、このゲームに参加したのですが、集まった無頼漢たちの中で途方に暮れているいたけな少女”双葉”を見つけ、彼女を守って戦っていくことになるのです。彼は、実は幕末の薩摩藩で”人斬り刻舟”と呼ばれる凄腕の人斬りだったという過去を持ち、同じく蠱毒に参加していた因縁のある長州藩の人斬り”貫地谷無骨”とも戦うことになります。
さらに、彼こそが、京八流という最古の剣術の継承者の一人であり、一子相伝のための他の7人の兄弟との継承戦を逃げ出したという生い立ちから、そう、まるで「北斗の拳」を彷彿させる展開となるのです。
襲い掛かる敵は、他の継承者の兄弟をはじめ、京八流を抹殺しようとする化け物のような老剣客も登場します。さらに、幕府の元隠密、公家の守護役、女武芸者、アイヌの弓の名人、狂気の天才剣客、無手の中国人など、さすが、とんでもない背景や武術を持つ強敵ですが、それ以上に、この「蠱毒」というゲームの陰謀とその目的の設定に感心します。やや、現実離れした感もありますが、剣豪たちの戦いのための奇想の物語として評価しましょう。でも、正直、最初の295人という大人数から各関所を通っての東京入りができる人数が9人というのは、少し話が長かったなあ。しかも、東京に入ってからもさらにしんどかった(笑)。一体、最後はどうなるのか、はやく終わってほしいと思ったのは私だけでしょうか。
さて、前説が長くなりましたが、配信ドラマの内容に戻りますと、さすが、資金力の豊富なネットフリックスの製作です。豪華な出演陣に、リアルなセット、エキストラの数も半端ありません。そして、原作小説の脚色がうまいねえ。幕末の戦での主人公の挫折やその後の貧乏な生活ぶり、あるいは若き日の京八流の訓練などをしっかり描きながら、ゲーム「蠱毒」に突入していきます。余分な流儀や技の解説はきれいに省いています(笑)。
主人公の嵯峨愁ニ郎には岡田准一、少女香月双葉を藤崎ゆみあ(新人?)、ライバルの幕末の乱斬り貫地谷無骨を伊藤英明が無差別に人を惨殺する狂人を喜々として演じます。このひと「カムイ外伝」でも凄腕の敵忍者を演じており、こういう役が実に似合います(笑)。そして、味方か敵かわからない元幕府隠密忍者の柘植響陣を東出昌大が汚名挽回の好演をしています。飄々として良いですよ。また、玉木宏が公家の守護武者菊臣右京を演じます。適役ですが、出番が少なく残念でした。さらに、山田孝之をあんな使い方をするなんて、その衝撃と贅沢さに驚きました。なお、アイヌの弓天才カムイコチャの染谷將太は意外に向いていましたね。
そのほか、京八流の継承者の一人衣笠彩八に、アクションに定評のある清原果那というのは納得ですが、その他の継承者役は少しイメージが違ったかなあ。それに、「蠱毒」側の槐(えんじゅ)役の二宮和也もなんかなあ(笑)。ただ、人斬り半次郎役は誰?なのか知りませんが、その酷薄な表情が実に良かった。最後に、京八流をつけ狙う化け物岡部幻刀斎を阿部寛が演じているのには驚きました。大物感があって上手いなあ。以上、本当に、豪華な配役でした。
さてさて、続編の第二章には、原作小説に出てくる外国人の強豪たちは登場するのでしょうか、早くも期待が高まります。
最後に、時代劇でもっとも大事な殺陣については、冒頭の鳥羽伏見の戦や蠱毒での斬り合いなどはなかなかリアルで迫力がありました。特に、最後の愁二郎と無骨の対決は、花火の爆発まで誘発した見事なクライマックスになりました。小説が描く剣の奥義などにはこだわらない、うまい殺陣になっています。原作での幻刀斎の理解不可能な体術も、早回しのような処理で、その凄さを見事に映像化しています。お見事です。
あと気になったのは、岡田准一アクションの特徴である、近接での刀の高速の叩き合いの殺陣です。正直、小手先の技のようで個人的にはあんまり好きではないのです。日本刀は基本的にあんな斬り方はしないのではないかと、小さな疑問です。
ただ、全体としては、素晴らしい殺陣であり、第2章も楽しみです。未見の時代劇ファンの方は、是非ご覧ください。
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