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2025年9月23日 (火)

ノスフェラトゥ(2024年版)

71rwoeiosql_ac_sy445_  「吸血鬼ノスフェラトゥ」は、1922年のサイレント映画の世界最初の吸血鬼映画であり、F・W・ムルナウ監督の傑作といわれています。とにかく、吸血鬼のオルロック伯爵を演じたマックス・シュレックの禿げ頭で長い爪の異様な姿が有名です。この作品は、ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」が原作なのですが、遺族の反対で”ドラキュラ”の名前が使えなかったそうですが、不死者(ノスフェラトゥ)というのは、やっぱりインパクトが強かったようで、その後、何度も再映画化されています。

81ifxdxpl_ac_sl1500_  このサイレント映画のオリジナルについては、もちろん私もDVDで観ていますが、やはり、サイレント映画特有の大げさな演技や画像の悪さであんまり面白くないのです。
 ところが、2020年になって最新の技術で復元された2Kリマスタードイツ語オリジナル版が、この6月にブルーレイ「ノスフェラトゥ/恐怖の交響楽」として発売されました。謳い文句は、”その映像美とち密な空間構成、計算された光と影の視覚効果は、一世紀を経てなお見るものを驚嘆させるだろう”というものでしたので、早速購入したのですが、確かに、映像は昔のバージョンからは比較にならないほど鮮明になっています。

 ただ、やっぱりサイレント映画特有の大げさな演技が私には意味不明でなんとも観るに耐えられないのでした。もっとも、そうした演技がオルロック伯爵には効果的だったのかもしれません。いまでも、そのフィギュアが生産されるほど、インパクトはあります。まあ、本来は、昭和の黄金時代の東宝怪獣映画のように、歴史的な視点を持って、その作品を鑑賞するのが礼儀なのでしょうが、思い入れが無いとなかなかそうはまいりませんね(笑)。
 
61e2pg88bl_ac_sx342_sy445_ql70_ml2_  さて、このサイレントの伝説の映画を2024年に再映画化したのが、ロバート・エガース監督の「ノスフェラトゥ」です。出演者も豪華です。主演のオルロック伯爵を「IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。」のピエロ”ペニーワイズ”を演じたビル・スカルスガルド、ヒロインをモデル出身のリリー=ローズ・デップ、その夫をニコラス・ホルト、この人は「レンフィールド」(当ブログ2025.3.25参照)でドラキュラの召使を演じていました(笑)、そして、フォン・フランツ教授を名優ウィレム・デフォーが演じました。なお、この作品は、アカデミー賞で撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門にノミネートされていますので、凄く期待していたのです。

 残念ながら、この映画は私の地方では劇場公開がされなかったので、先日発売されたブルーレイを入手してやっと観ることができました。
 まず、なにより驚いたのは、オリジナルの世界を、当時の街並みから家の調度品や衣装まで、物凄く丁寧にリアルに、まるで臭いまで感じられるような不衛生な社会を再現していることです。これには一寸感動しました。確かに、アカデミー賞にノミネートされるだけのことがあると感心しましたし、ハリウッドの力を再認識しますねえ。こういった昔の時代をリアルに作りだすのは、さすがです。

 さらに、ヒロインを演じた女優さんにも驚愕です。宗教画に出て来そうな奇妙な髪形のヘアメイクや衣装も見事ですが、なによりオルロック伯爵に呪われる演技が凄すぎます。白眼やベロ(舌というよりこの表現がぴったり)を口から垂れ下げ、痙攣する姿はエクソシスト張りです。特殊メイクでない分(多分?)、迫力が違います。精神を病んでいく姿は壮絶です。最初美人だと思っていた容貌の印象が一転するほどです。この女優根性は見事です。
 それにしても、彼女を善意から支援した友人夫婦と娘たちは可哀想でしたねえ。眠らされた夫には救いがありませんし、途中から登場するウイリアム・ デフォー演じる、オカルトや心霊術研究で学会を追われた変人教授は、結局なんの役に立ちませんでした。それにしても、デフォーが画面でかなり背が低く見えるのには、かなり戸惑いましたねえ。なんらかの演出意図があるのかな。それとも身長が単に低いだけ?

 ところで、この映画で一番興味があったのが、ビル・スカルスガルドが演じるオルロック伯爵のビジュアルです。なにしろ、先日観たドラキュラ映画「ドラキュラ/デメテル号最後の航海」(当ブログ2024.7.13参照)では、本家ドラキュラがCGを駆使して”ノスフェラトウ”の進化型のモンスターになっていたので、「IT」であれだけの恐怖のピエロを生み出した役者には、大いに期待していたのです。
 映画序盤は、画面が暗くてオルロックの姿形がよくわかりませんでした。なにしろ、指の影ばかりが伸びていくシーンが続き、なかなか姿形を見せないのです(笑)。
 そして、やっとその姿がはっきり映し出されたときは、少なからずガッカリしましたねえ。コサック刈りで口髯を生やした大男だったのです。うん、当時のトランシルバニアなどの風俗や文化からリアルさを追求したのでしょうが、まったくモンスター感がありません。アカデミー賞がノミネートで終わった理由が分かりました。観客は、奇怪なモンスターを望んでいたのだ(笑)。

 でも、まあ、ペストが流行った当時の時代をリアルに再現した映像は見事で、自宅でブルーレイの早回しも一時停止もせずに、最後まで鑑賞できましたので、それは一応面白かったというべきでしょう。

51n3zpy067l_ac_sy445_  なにしろ、「ノスフェラトゥ」の再映画化では、1979年に、はまり役と言われた怪優クラウス・キンスキーを主演に、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の作品があるのですが、適役すぎたのか、なんとも退屈でそうそうにDVDを早回しにした苦い経験もあるのだ(笑)。

 やっぱり、吸血鬼映画は、クリストファー・リーがドラキュラを演じるハマー映画のシリーズが一番です。

 

 

 

 

2025年9月15日 (月)

劇場版「鬼滅の刃」無限城編/ 第一章 アカザ再来

 「劇場版「鬼滅の刃」無限城編/ 第一章 アカザ再来」は、52日間で興収300億円を突破しているといいますから、実写版「国宝」の100億円と比較しても桁が違います。外国でも記録的なヒットらしいので、さすが、クールジャパンのコンテンツ「アニメ」の強さに感心します。
 前回の劇場版「無限列車編」は、夢を見せる鬼のCG映像や煉獄杏寿郎のキャラクターが予想以上に良かったし、テレビドラマの続編を映画公開する試みも興収400億円を突破する快挙となりましたから、今回も劇場に足を運びました。

Img_20250912_0001 どうやら、長い物語も佳境に入ったようで、最終編の3部作らしいのですが、この第一章は、無限列車編のラストで登場したスポーツマンみたいな上弦の鬼の”参”つまり第3位の”アカザ”の再来エピソードです。余談ですが、私のパソコンではアカザの漢字変換ができなかったので、カタカナですみません(笑)。どうも、この原作者の漢字等への知識と敵キャラターの作り込みが深すぎて、ときおり絶句します。まあ、連載中に漫画本が書店からなくなるほと売れたというのも納得です。とはいっても、私はまだ原作漫画を読んでいません。読むのは映画が終わってからにしようと決めています。というのも、絵のビジュアルや細かな演出は、アニメならではの素晴らしい出来だと感じています。実際、テレビのアニメ化で人気が沸騰し、一時は打ち切りも覚悟していた漫画原作が持ち直した話は有名です。

 なお、このアニメの製作は、”ufotable”という会社で、CGで情景などをリアルに描いていたようです。テレビ第1作の冒頭の雪のシーンは、見事ですねえ。あれで視聴者の心を掴んだのではないかと思っています。
 今回も、一足先に観てきた娘が”無限城のCGが凄い。劇場で観るべき”とか宣伝するので、その無限城の映像には期待していました。しかし、前作の無限列車の上の戦いなどの印象も加味して少し期待が大きかったのか、観た感想はなんか単調でしたねえ。どんどん回廊が無限に伸びるのも、予想の範囲内なのです。うん、無意識に観客の予想を超える映像を期待していたのだ(笑)。

 ネットで見ると、ufotableは、CG予算が少ないのでいろいろ製作体制や人材の活用で創意工夫して作り上げたと褒めているのですが、これまでの莫大な収益は一体どこに消えたのでしょうか、おかあさん(笑)。もっと投資しろよ!!ソニーや集英社さん。世界に冠たる日本のアニメ業界の闇は深いといいますが、もっともっと製作現場に投資しないと、中国などに追い抜かれますよ!!などと門外漢が勝手な妄想まで抱いてしまいました。

 ただ、お話はやはり見事です。基本は原作の力なのでしょうが、敵役が強い物語はとにかく面白いし、まあ、あんな鬼になる悲しい物語をいくつも思いつくものと脱帽です。おもわず、アカザには同情してしまいますが、根っからの悪というのもチキンと描いているのがいい。あの偽宗教の教祖、上弦の”弐”第2位の鬼の言い分は笑います。あんなセリフを吐いていて、外国の宗教国家では叱られないのかな?、まあ、ヒットしているみたいだし、ノープロブレムですか。

 以上のように、CG映像には若干不満もありましたが、2時間半十分堪能しました。でも最後に一言、アカザの首を切断されても、復活するのは、ルール違反じゃないかい?少なくとも、始祖の鬼舞辻無残なら別格と分かるが、せめて、首が無くても復活するなんらかの理屈と説明が欲しかったなあ(笑)。 もっとも、アカザの体の紋様の意味には納得です。感心しました。
 それと、改心したら鬼の間の悪業三昧は許されるのか? もちろん、アカザの場合は、明らかに無残によって引き起こされた心神喪失と認定されるので無罪です。鬼になる前の道場の連中の件?天罰です(笑)。

 余談ですが、写真の冊子は、入場の際、無料でもらった声優たちの対談集です。パンフなどはとっくに売り切れているようでした。

2025年9月13日 (土)

国宝

 映画「国宝」は、9月1日に観て来ましたが、ブログを書くのは本日9月13日になりました。記憶力があまりあてにならない私はいつもは備忘録も兼ねてすぐに記録するのに、今回はなかなか書く気になれませんでした。

Img_20250906_0001 正直、この映画が実写映画としてはひさびさに100億円を突破した作品という理由がよくわからなかったのです。確かに、主人公を演じた吉沢亮とライバルの御曹司役の横浜流星の若手俳優2人の熱演と頑張りには敬意を表します。パンフレットによると、1年半も前から歌舞伎の女形の稽古や舞踊を練習していたというのですから、日本映画界もハリウッド並みの準備期間を設けるようになったのかと感慨深いものがあります。
 加えて、主人公の子役もなかなか見事でした。ここは素直に評価しましょう。

 さらに、歌舞伎の伝統芸能というものの凄さと美しさを再認識しました。名門とそれを守り支える歌舞伎の社会は、なんとも異様な世界なのですが、それが伝統であり、その世界で好きで生きている人間達の生き様に外部から理屈でどうこう批判するものではないのでしょう。
 それにしても、芸のために、全てを捨てて生きるという主人公の姿は、落語家からバレリーナまで世界共通の芸術家たちの普遍の物語であり、凡人の憧れてやまないお伽噺なのです。
 このテーマに、歌舞伎界とは全く縁のなかった若手の美男男優2人がそれこそ”女形”という難役に挑戦している姿が見事にマッチして、女性観客の大動員につながった(多分)のではないかと思いましたねえ。

 そして、ソフィアン・エル・ファニという外国人撮影監督が、実に美しく歌舞伎の舞台を映像化しました。本当に美しく華麗な舞台に感動しました。日本人ではこうはいかなかったかも、とも思えます。この映画で歌舞伎座の観客が増えたとうのも納得です。さすが、「フラガール」の李相日監督です。狙いが素晴らしい。加えて、さまざまな施設を活用した美術セットも見事です。

 一方、お話は、歌舞伎の女形の芸を磨くことにすべてをかけた男の少年時代からの一代記です。やくざの親分の息子から歌舞伎界に身を投じ、御曹司と切磋琢磨しながら、波乱万丈の人生を描く物語なのです。
 ちょっと設定が無理筋ではないかと思いましたが、実は原作小説がありまして、その著者は、3年間も舞台の黒子として働いて取材して執筆したといいます。いやあ、ただただ尊敬します。原作も売れているようでよかったです。
 ただ、やはり、上映時間が3時間あるとはいえ、人間の一代記ですので、各ステージのつなぎに違和感もあります。例えば、親の仇討ちで敵に乗り込んだ後、いきなり場面が転換して、無事歌舞伎の名門に弟子入りします。おもわず飛ばすなよと。あるいは、役欲しさに手を付け破門されたお嬢様の行く末はどうなのか。そして、極めつけは芸子に生ませたあの可愛い娘はその後どうなったのか、などと鑑賞中に様々悩んで、やっと最後の疑問だけが、思いもよらぬ形で明かされます。まあ、いくら芸以外はどうでもよいと悪魔に祈ったとしても、なんか、人間性に腑に落ちませんね。そう、優れた芸術家には一般の社会通念は必要ないのです。だからこそ、歴史を超えて万人の支持を得る芸術を生み出せるのです。これは真理なのだ、ホント世界の天才芸術家の生き様をみて分かります(笑)。 それがこの映画のテーマです。

 それにしても、 昭和の時代は、俱利伽羅紋々背負っていても、あんまり忌避感は無かったのでしょうかねえ。楽屋で白粉を塗るシーンで誰もなにも言わないのが不思議でした。あの一緒に掘りもの入れた幼馴染も名門の御曹司の妻にちゃっかり収まりました。まあ、渡世の世界と芸能の世界はつながっていたから、でしょうか。
 そういえば、世間から一時マスコミで叩かれたエピソードがありましたねえ。でも、あれは、歌舞伎界の御曹司サイドからの密告でしょうから、まさしく最近の実話に基づいたエピソードです。それから名門でない人間国宝の生活はなかなか厳しいものですねえ。あの田中泯演じる老女形の住居が歌舞伎界の現実を表していますが、あの姿を見たことが主人公の復活につながったということは、覚悟が定まったことかな? などなど、よくわからないことをいまだにぐずぐず考えていることは、やっぱり映画としてよくできているということかな。

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