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2025年1月31日 (金)

はたらく細胞

 映画「はたらく細胞」は、当初映画館で観るつもりはありませんでしたが、予想以上の大ヒット、興収は55億円にも達しているようで、白血球に扮した佐藤健のアクションが「るろうに剣心」を超える迫力などというネットの評判に、ミーハーな私はおもわず劇場に足を運びました(笑)。

 さて、この作品は、人間の体の細胞の働きを擬人化した漫画が原作で、アニメにもなっているようです。前述のとおり外部からの細菌等を撃退する”白血球”役に佐藤健が扮しており、その全身白塗りで作業服姿のビジュアルが、帽子に付いている早押しクイズのアイテムのような病原菌探知機(デザインへの楽屋落ちのセリフが笑えますが・・。)を含めて、最初に私が観るのを躊躇していた理由なのですが、まあ、映画を観ているうちに慣れてしまい、そう気にはなりませんでした。しかし、ダサいですよねえ(笑)。

 そして、期待したアクションは、お馴染みの「るろうの剣心」での壁走りなどを披露するものの、相手が病原菌で仮面ライダーでの敵怪人のようないでたちの上、攻撃も触手やらなにやらで攻撃するので、なんかリアリティがなくて迫力が減殺されるような印象でした。うん、まあ、頑張っているねえ、という感じですか。

 また、身体中の細胞に酸素を運ぶ”赤血球”役として永野芽郁が共演しており、あいかわらずのドジな役柄が適役ですねえ。この作品は、人間の様々な細胞の役割を擬人化することによって、わかりやすく体の仕組みを解説する内容ですから、他の配役も、集団で行動する”キラー細胞”役に山本耕史、一匹オオカミの”NK細胞”役に仲里依紗、”ヘルパーT細胞”役に染谷將太が扮し、劇中、それぞれの役割の詳しい説明もありましたが、まあ、映画が終わればすっかり忘れてしまいました(笑)。

 さらに、そうした細胞で作られている現実の人間役として、妻をなくして自堕落となったトラック運転手役の阿部サダヲ、その娘で医者志望の女子高生役を芦田愛菜が演じています。酒とタバコなどでボロボロになった親父の体の中がさびれた飲み屋街のようになっている一方、しっかり者の娘の体の中は、これは佐藤や永野の細胞たちが存在する世界ですが、西洋風の美しいお城という設定が面白い。
 中盤、トラック運転中に下痢となった阿部サダヲがトイレを我慢して四苦八苦する場面は、抱腹絶倒の演技で阿部サダヲの本領発揮でした。「十一人の賊軍」の非情な城代家老よりずっと良いのだ。笑いました。 

 物語は終盤に向けて、親孝行の娘が白血病に侵されてしまい、そのきれいな細胞の王国は、徐々に崩壊していくのです。”抗がん剤がきかない”とか”放射線治療は味方の細胞を殺していく”という説明や映像はある意味で、なかなか衝撃です。なお、親父の方の酒やたばこの影響でデストピアみたいになったセットや映像にも他人事に思えず心が痛みました(笑)。皆さん、健康に留意しましょう。

 それにしても、与えられた使命を懸命に果たす”細胞”たちを擬人化したら、なんともブラック企業の典型ですよねえ。使命を果たすことが生きがいという細胞たち、出来不出来があるが、皆その目的のために何の疑問も持たず一所懸命なのだ。これは、なにかの寓話なのかな?擬人化した途端、なんかやりきれない思いがするのは私だけだろうか。まあ、人間の身体を健康にするという大義名分のためには”個々の細胞のことなど知ったことか!!”という話でもあるまいし、とは思うものの、なんとなく異和感があります。まあ、異常だと糾弾され、廃棄されることに反発して、白血病を引き起こす”白血球”のガキには哀れさまでも感じました。いやあ、擬人化もほどほどにせんといかんねえ(笑)。

 ラストは、これまでの”細胞”の世界は滅び、骨髄移植で天使が降臨するのですが、移植された骨髄細胞役(天使)を白人の子役にしたのは、結局、骨髄の適合者が外国人だったというオチでしょうか。ひょっとしたら、国内の骨髄バンクへの登録者数が少ないことを指摘しているのかな?まさかね。

 以上、細かなことをいろいろ並べましたが、様々な細胞のはたらきをアクションたっぷりで分かりやすく描いており、擬人化による異和感が残ったものの、退屈することもなく楽しめましたので、これはこれで良かったのだ。個人的にも、”6本観たら1本ただ”というポイントが使えたので満足です(笑)。

2025年1月25日 (土)

三船敏郎1/6アクションフィギュア

 イタリアの造形メーカー「インフィニティスタチュー」から、三船敏郎の1/6のアクションフィギュアが発売されました。このメーカーは、以前にも「オールド&レア」シリーズとして、映画「用心棒」の三船敏郎の1/6のモノクロのレジン製のスタチュー(置物)を販売していました。当然ながら黒澤ファンの私は入手して、当ブログ(2022.2.25)にて紹介していますので、興味のある方はご覧ください。

 今回発売された商品は、モノクロではなく、彩色した布製の着物や袴を着けたアクションフィギュアとなっており、差し替え可能な上腕部6種などのアクセサリーが付属しているので、顎を撫でるポーズや抜刀した姿などを再現することができるようになっています。
 なお、この”ローニンver”以外にも裃を付けた”サムライver”が発売されていますが、円安のせいかかなり高額な商品となっていることから、そこは黒澤時代劇に敬意(?)を表して、”三十郎”の浪人仕様のものだけはなんとか購入しました(涙)。

20250124_1314321 20250124_130619120250124_1306271  さて、このフィギュアの出来具合ですが、三船の造形は、顔は前回のスタチュー同様、実によく似ています。
 また、差し替えの腕や鞘から抜くことができる刀などの付属品も良く出来ていますし、継ぎ目が気がかりだった腕などの可動部も自然で全く違和感はありません。
 もっとも、私自身は、眺めて愛でるスタチュー派ですので、動かして遊ぶアクションフィギュアの良さはあまりわかりません。ただ、このフィギュアの可動部分は首以外は見えないような仕様になっていますので一安心です。手首などの剥き出しの球体関節人形にはどうしても馴染めないのだ(笑)。

 しかし、約30cmというサイズのせいか、本物の布製の着物ではどうしてもパリッとした”着せ替え人形”っぽくなっています。やはり、1/6の縮小モデルでは本物の布地ではなく、レジン製の造形物への塗装の方がよりリアル感を増すのかもしれません。まあ、これは無理なことを言っているのですから、あまり気にしないでください。要は、私がやっぱりスタチュー派ということなのでしょう(笑)。

 ちなみに、このフィギュアは、草鞋を履いた足と台座が磁石でくっつくのです。普通、人形を長時間立てておくためには、サポート用のスタンドなどが必要なのですが、この磁石を用いたアイディアには、さすが老舗メーカーだけのことはあると妙に感心しました。
 では、”三十郎”フィギュアをお楽しみください。

 

2025年1月23日 (木)

室町無頼

Img_20250123_0002  映画「室町無頼」は、これまであまり映画で描かれなかった室町幕府末期を舞台にした時代劇だそうで、直木賞作家の同名の原作を映画化したということらしい。この映画を観る前に一番気になっていたのが主演俳優が大泉洋であることでした。最近は、さまざまな映画の主演も務めているのですが、正直あまり見ていなかった私などはやっぱりテレビのバラエティ番組等でのタレントというイメージがぬぐい切れず、時代劇のヒーローにふさわしいのかという疑問がありました。
 ところが、開幕早々、貧民が飢餓に苦しむ凄惨な京都の河原に登場する”蓮田兵衛”の姿は、”用心棒”三船敏郎を彷彿させるといったら、大げさかもしれませんが、実にカッコイイのです。いやあ、大泉洋さんの実力を再確認させていただきました。ちなみに、パンフレットによると、刀を常時帯刀することも含め、かなり殺陣の練習をこなしたようで、実に佇まいが良いのです。かつての東映時代劇のキンキラとは違い、衣装とかつら(いまは、ヘアメイクディレクターと美粧というらしい)もリアルで感心します。彩度を落とした映像もその効果を押し上げているのかもしれません。

 そして、蓮田兵衛のライバルである”骨皮道賢”(実在の人物らしい)を演じる堤真一も素晴らしい。まず、黒ずくめの鎖帷子を縫い込んだ衣装が気に入りました。なんせ応仁の乱の前ですから、平安朝の衣装も踏まえて、なんともかっこいい。そして、幼馴染で一揆をおこす兵衛と相対する洛中取締役の立場は、”椿三十郎”の仲代達矢を思い出します。三十郎に一目ぼれして信頼して最後は裏切られる室戸半兵衛の可哀想な役柄まで似ています。道賢としたら兵衛の行動は”お前は酷い奴だ”ですよねえ(笑)。

 さらに、道賢の元カノで、兵衛の彼女の遊女”芳王子(ほおうじ)”役の松本若菜に一目惚れです。正直、まったく名前も知りませんでしたが、なんとも、菩薩様のような(?)熟女の色気が満ち溢れており、年寄りの煩悩が呼び起こされます(笑)。こんな美人がいたのか、思ったくらいですから、多分やっぱり化粧と照明などの映像の力の相乗効果もあるでしょう。これを機会に、皆さんで女優松本若菜さんを応援しましょう(笑)。

 一方、残念だったのが、北村一輝演じる悪大名”名和好臣”ですねえ。もっと極悪非道ぶりを期待していたのですが・・・。弓を外しちゃいかんねえ(笑)。”カエル”役の若手俳優も頑張っており、特に、最後のオチ(笑)には感心しましたが、なんかセリフに違和感があって今後に期待しましょう。

 さて、時代劇のかなめである殺陣については、迫力はあるものの、少し型にはまったような気がしたほか、大掛かりな一揆のアクションも群衆の乱闘はかなり頑張って見応えもありますが、焼き討ちシーンで焼く筈の証文をばらまいているのは意味不明でした(笑)。焼け残った証文が拾われて後日証拠になるのではないか、と貧乏性の私などは気になって仕方がありませんでした(笑)。あと、一揆の大立ち回りで兵衛と道賢が戦っていたはずがいつの間にか別のところに居る等、編集の手違いか、とも思える場面もあったほか、最後の決闘は全編きちんと真正面から見せてほしかった、というのが欠点といえば欠点ですねえ。

 後、気になるのが、ロケ地の美術などは実にリアルなのですが、掘立て小屋などのセットになると、とたんに安っぽく、生活感が全くないのが、いかにも昔ながらの東映調でいただけません。当時、あんな機械で製材したような均一の板や柱はないと思うのですが、いかがでしょうか。曲がりくねった自然材や焼き入れをもっと徹底的に施してほしいものです。まあ、予算がないのは分かりますが、リアルさは細部に宿りますから、是非、手間をかけてほしいと思います。

 以上、個人的に好きなジャンルの時代劇ということで、いろいろ細かな点から辛口の意見を並べ立てましたが、映画全体としては、面白く、十分楽しめました。
 ここのところ、本格的な時代劇や異色作が東映で立て続けに製作、公開されており、作品の質も良く、時代劇ファンとしては実にうれしいことであり、今後とも時代劇の火を消すことなく頑張ってほしいものです。

 最後に、私の住む地域では劇場パンフレットが早々に売り切れ状態となっており、このジャンルのファンである高齢者層の購買意欲をもう少し事前にリサーチして販売量を確保してほしいものです。結局、オークションで購入せざるを得ませんでしたねえ。ちなみに、パンフの表紙は、白地に黒の題字のみですが、武田双雲の見事な文字でした。・・余談でした。

2025年1月18日 (土)

不思議の虫 ナナフシ

 最近の我が国の図鑑の進化は、本当に楽しい。先日、久しぶりに出かけた書店で「不思議の虫 ナナフシ」という図鑑を見つけました。なんと擬態する昆虫のナナフシ類に特化した図鑑でした。しかも、日本(20種)をはじめ、南米、東南アジア、マダガスカル、ニューギニア等に生息する約2500種のうち100種の珍しいナナフシを紹介する図鑑なのです。

61whadcxvql_sl1181_  本のサイズはそれほど大きくはないのですが、掲載された160点にも及ぶ写真は、世界珍虫図鑑(当ブログ 2020.10.31参照)で有名な昆虫写真家の海野和男氏が提供するものであり、貴重な生態写真や白地を背景にした精緻な標本写真には感動します。
 本来は昆虫類は趣味の対象外なのですが、なにしろ、幼いころから変な生き物が大好き(当ブログ2015.08.12参照)で、日頃はお目にかかれない珍しい異形の生物、例えば深海やジャングルに生息する生物には特に興味があって、そうした図鑑は思わず買ってしまいます(当ブログ2009.4.25、2011.2.27、2020.11.14参照)。しかも、この偏った指向は、怪獣や妖怪などの伝説をはじめSF映画に登場する想像上の生き物の図版(2013.02.02参照)にまで及び、書棚を見れば、映画関係の書籍に混じってそうした類の図鑑や書物が多数並んでいます。

 前述したように、この本は、世界のナナフシを網羅した美しい写真図鑑であり、しかも、映画「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」に登場する昆虫、私のお気に入りの”ユーレイヒレアシナナフシ”(当ブログ2020.1.11、2022.10.15参照)がしっかり取り上げられていたのです。もう買うしかありませんでしたねえ(笑)。

 それにしても、ひと昔前なら昆虫のマイナーな”ナナフシ目”だけを取り上げた図鑑が発売されるなどとはとうてい考えられませんでした。政治の状況は別にして、図鑑文化としては本当に良い時代になりました。ありがとうございました。

2025年1月 6日 (月)

クリストファ・リーの1/4ポリレジンスタチュー

 あけましておめでとうございます。
 2025年の第1弾です。お題は、大みそかに届いたスタチュー(置物)のお話です。

20250101_1156111  数年前に、スターエーストイズからクリストファ・リー演じるドラキュラ伯爵の1/4のポリレジンスタチューのデラックス版という高さ50cmを超える大型のフィギュアが発売されました。最近のフィギュアの価格は円安のせいかかなり高額化していますが、これはデラックス版とうたっているので、清水の舞台から飛び降る気にすらならない値段だったのですが、年末になんと定価の半額でオークションに出品されていました。
 いやあ、往年のクリストファー・リーのファンとしては、買わずにいられましょうか、つい、ポチっと押してしまい、なんと全く競争相手もなくゲットしてしまいました。やっぱり、没後だいぶ経ちますので、クリストファー・リーの知名度も随分落ちてるのかもしれません、そこは大変残念です。

51hcsggmcvl__ac_sx300_sy300_ql70_ml2_  さて、それはともかく、このスタチューは、クリストファー・リーのドラキュラシリーズの第6作「血のエクソシズム/ドラキュラの復活」という作品に登場するドラキュラ伯爵を再現したもののです。確か、映画の内容は、こうもりが灰に血を流してドラキュラが復活し、その次の作品の「ドラキュラ’72」という現代物につながるつなぎ的な作品なのです。
 どうせ、スタチュー化するなら、第1作の名作「吸血鬼ドラキュラ」を再現したら良いのにと私などは思うわけですが、販売元のスターエーストイズとは、半魚人なら続編、ミイラ男なら第3作目とマニアックな作品を好んで立体化するエクスプラス社(当ブログ2024.12.08参照)の子会社「少年リック」のシリーズのようですので、多分、製作者になんらかの思入れがあるのでしょう。一説には、生前のクリストファー・リーが1作目以外で一番気に入っていた作品とか言われているようです。ホントかな?

20250101_1203501 20250101_1156481  バージョン2.0というデラックス版は、まさに威嚇中のドラキュラを表現しており、何故か台座も発光します。私としては、普通のバージョンが好みですが、なにしろ格安の中古品ですから贅沢は禁物です。おもちゃぽくなることを心配していた布製のマントなどの衣服は、その布地の質や形状に工夫があり、なかなか見事な出来となっています。まあ、本来の価格から言えば、当然かもしれませんが、良く出来ています。
 ただ、クリストファー・リーの背が高いこともあってか、1/4というサイズは、やはり随分デカいなあ。一晩飾って、そうそうに、棺桶に戻っていただきました(笑)。まあ、しばらくは押し入れで眠っていてください。

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