エイリアン:ロムルス
エイリアンシリーズの最新作「エイリアン:ロムルス」は、開幕早々、宇宙に漂う宇宙船の内部が、もう第1作「エイリアン」の貨物船ノストロモ号の雰囲気にそっくりなのです。ブラウン管のようなモニター、点滅するボタン、タッチパネルではなく、全部がプッシュ型のスイッチなのです。音響も当時のまま?です。オールドファンとしては、いきなりテンションがマックス(笑)です。
鑑賞後、パンフレットを読むと、時代設定も第1作の「エイリアン」と第2作目の「エイリアン2」の中間に設定し、極力、第1作目の雰囲気の再現に努め、しかもCGではなく、全部が本物らしく稼働する宇宙船のセットを作り上げたそうです。もちろん、エイリアンなども工夫を凝らし、昔ながらの特撮技術も生かしているようで、すべては監督の実物志向のたまものであり、俳優たちも実感を持って演技ができたそうです。
この懐かしもリアルな世界を造り上げたフェド・アルバレス監督は、脚本、監督、製作を兼ねた「ドント・ブリーズ」で大ヒットを飛ばして、今回の大作に抜擢されたようで、入植地の話にしたいというのも監督自身の提案らしい。実は「ドント・ブリーズ」は配信でちょこっと観たのですが、なかなかの強烈なホラー物で途中で正視するのをやめたので、今度はしっかり見てみましょう。でも今作でもあったが、狭い通路を這いまわるのは、出演者でなくても怖いなあ(笑)。
それにしても、ウェイランド・ユタニ社が開発している惑星の入植地の状況は、まさしくブレードランナー風の”旧式の未来”という悪夢そのものであり、汚れた作業服を着た鉱山労働者たちが籠にカナリアらしき鳥を入れて歩いているアナログの世界には思わず笑いました。そんな悲惨な入植地から抜け出そうと廃船となった宇宙ステーションから冬眠装置を盗み出そうとする6人の若者(うちひとりはアンドロイドですが)の物語です。そう、まさしく「ドント・プリーズ」の恐怖のじいさんをエイリアンに換えたホラー映画なのです。怖いはずですねえ(笑)。
エイリアン自体は、フェイズハガー、チェストバスター、ビッグチャップではないゼノモーフ(この呼び方は個人的には好きではないのですが)と従来の造形をブラッシュアップして好感がもてるのですが、欠点が1点、最後のアレは、どうも生理的に受け付けません。だれかが”ハリーポッターの悪役”と呼んだそうですが、そういえばそんな気もしますが、どうもデザインがエイリアンの世界観に合わない気がします。
ついでに、疑問をひとつ、冒頭で回収された残骸はノストロモ号であり、その最後で宇宙空間に飛ばされたビッグチャップ1匹の回収ではなかったのか?何故、あんなにフェイスハガーがあったのか、不思議でなりません。どなたが知っている方は教えてください。
でも、まあ、全体としては、フェイスハガーが蜘蛛の子のように飛び掛かって来たり、無重力の中で、エイリアンの体液を避けながら脱出するシーンなど、見せ場がたくさんありますし、なにより第1作のアレが登場したことが衝撃でした。いやあ、コレにはまったく参りました。ここで完全にとどめを刺されました。第3作目以降はどうも感心しない作品ばかりでしたし、リドリー・スコットの新作もイマイチでしたので、エイリアンファンとしては大満足でした。見事なエイリアン映画をありがとうございました。
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