知る人ぞ知るSF映画評論家の聖咲奇氏が「聖咲奇の怪物園」という同人誌を発行して、フランケンシュタインの怪物や半魚人などの往年のモンスター達を紹介しています。彼の収集したコレクションや裏話が懐かしくも楽しい読み物になっています。個人的には長年の懸案課題だった半魚人の体色問題が、撮影当時取材に来たLIFE社のカラー写真を証拠として掲げた記事によって、やっと解決を見たような気がしています。
そうした中で、テレビSF映画シリーズ「アウターリミッツ」の特集がありました。
アウターリミッツとは、ウルトラQの原型ともいえるアメリカのテレビシリーズで、有名な「ミステリーゾーン」よりモンスター系に力を入れた作品でした。ただ、残念なことに、ウルトラQと同じように、当時私が住んでいた地方では放映されなかった上、このブログでも紹介(2006.8.27)した大伴昌司氏の名著キネマ旬報社の「世界怪獣怪物大全集」の表紙の中央に登場モンスターの写真が掲載されていたこともあって、ともかく観てみたいという思いを拗らせたものでした。そんな記憶を思い出して、無性に見たくなりました。
そこで、販売されている映像媒体を調べてみると、3000セット限定生産のDVDボックスが、1シーズンの2巻、第2シーズンの1巻という全3巻しか販売されていないようなのです。しかもオークションなどを見るとやたらプレミアがついており、なかなか手が出ません、と思っていたら、定価より安く出品された奇特な方が居て、第1シーズンボックス2巻を即購入です。
さて、第1シーズンの第1巻は、前述の「世界怪獣怪物大全集」に掲載されたモンスター達のオンパレードです。第1話のネガ反転宇宙人も味がありましたし、第3話の人造宇宙人は、まさしく同著の表紙の中心に掲載された奴です。そして、第5話が、ナポレオンソロのイリアこと、デヴィット・マッカラムの若き日の6本指の未来人なのでした。これも同著で頭でっかちの特殊メイク(写真だけ)に感心した奴でした。さらに、13話の太古の魚、第14話の蟻宇宙人なども、同著の写真でしか知らなかったものなのですが、何故か、懐かしさがこみあげて来ます。
もちろん、当時の1話完結のテレビドラマですから、造形の稚拙さ、唐突なラストになるドラマとしての物足りなさは多少ありますが、まあ、いいぢゃありませんか(笑)。しかも、出演俳優もドナルド・プレゼンスやマーティン・ランドーなど有名どころも登場しますので、それなりに頑張っているようです。ただ、どうも、どの作品にも登場するワイフ(妻)や恋人の態度が、愛ゆえか?皆わがままのように見えて、SFドラマのテンポを乱す(笑)のは、いかにもアメリカの家庭を反映した作品なのでしょう。思えば、あちらでは夫婦や恋人などの人間関係を描かないとドラマではない、幼稚だと評価されるという(岡田斗司夫先生の談)のが、こんなところにも反映されているのでしょうか。
次に、第1シーズンの第2弾ボックスですが、第19話から32話まであるのですが、どうもモンスターのデザインが冴えませんし、物語もあまり面白くありませんでしたねえ。いったん打ち切りになったのもうなずける内容でした。
そこで、第2シーズンをおさめた第3弾をどうしようかと悩んだのですが、実は、この第3弾のボックスは、プレミアがついてやたら高いのです。その理由を調べてみたら、この第2シーズンは、「ターミネーター」の元ネタになった話など、実に傑作な物語が多いとの評価なのです。こうなると、仕方がありません。またも清水の舞台からジャンプしました(笑)。
その第2シーズンですが、脚本家のハーラン・エリスンが「ターミネーター」を盗作として訴え、勝訴した第33話「38世紀から来た兵士」は、確かに、未来から兵士がやってくるお話ですが、その未来兵士のアイディアだけであり、そもそも全く違う話のあの名作「ターミ―ネーター」に勝訴したというのは、なかなか理解できせん。アメリカの訴訟制度が変なのかなあ?そのほか、傑作と言われる第37話ガラスの手を持つ男、トレマーズの元ネタのような、第39話火星!その恐るべき敵、第41話のロボット法廷に立つ”I,Robot”、そして、ロバート・デュバル主演の第43話見知らぬ宇宙の相続人、ユニークなデザインの第44話宇宙からの使者など、後年のSF映画の元ネタのような作品も多く見られました。このあたりが傑作といわれる所以でしょうか。
うん、これで一応満足ラインを超えました。まあ、あんまり子供のころの記憶や妄想にこだわらない方が幸せですよね(笑)。
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