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2024年6月30日 (日)

ケムール人、再び。

 1966年に放映された「ウルトラQ」の最高傑作と評される「2020年の挑戦」 に登場するケムール人の人気が衰えません。丁度いま、怪獣フィギュアメーカーの雄”エクスプラス”の子会社で通販専門「少年リック」から、ケムール人の復刻フィギュアが発売(予約)されました。
 この商品は、「MONSTER MAKER 28」という造型メーカーから発売されていたレジンモデルキットの原型をもとにした、ソフビ版だそうです。少年リックの宣伝文句によると、原型師丹羽秀介氏による傑作キットらしいのです。商品写真では、今時のモデルらしく、発光するようになっています。
 また、かつて「オリエントヒーローシリーズ」の怪獣キットで一世を風靡した造型メーカーの”ボークス”も、最近の小森陽一氏の活動に触発されたのか、突然、以前の復刻怪獣キットの発売をはじめ、その第2弾がケムール人だったので、偶然にしろ、同時期に密かな”ケムール人”ブームが起こったような気さえしました(笑)。
 
 ちなみに、以前このブログでも取り上げた(2018.12.08参照)ように、私もこのケムール人のユニークなデザインが大好きなのです。デザイン担当の成田亨氏自身も、エジプト絵画独特の平面性を取り入れた会心の作だと言っているようです。確か、幼いころ愛読した怪獣書籍の中で、このエジプト画の手法の話(横顔に目が2つのイメージ?)は読んだ覚えがあります。彫刻家でもある成田は、どの角度から見ても同じに見えるシンクロナイゼーション手法で人間の顔を四方から描いたということですが、・・・まあ、芸術家の言うことはあまりよくわかりません(笑)。しかし、その頭の提灯に三つの目玉は、なんとも圧倒的な存在感があり、当時から私のお気に入りの造型なのです。大人になっても、何度見ても、傑作デザインです。さすが、成田亨氏です。なお、頭と手足の造型は名匠高山良策氏です。ボディスーツはなんかの流用で成田氏が青く塗ったという証言があります。余談ですが、このケムール人はモノクロ映画でカラー写真が存在していないので、実際の色は不明なのですが、前述の証言から青系で塗装するのが定番になっているそうです。

20240630_0843351  さて、自宅の廊下のコーナーに飾ってある(写真)のは、もう随分前に発売されていた”メディコムトイズ”の30cmクラス(モノクロ版)と”エクスプラス”の20cmクラス(カラー版)のフィギュアです。そのほか、ビリケン商会のソフビキットの完成品もありますが、今回、ケムール人ブームおかげ(笑)か、前述のとおり、エクスプラスがフィギュアの復刻原型に使用するほど絶賛していた丹羽俊介氏のケムール人のレジンキットの完成品がオークションに出品されたのです。正直どうしようかと迷いましたが、ソフビではなくレジン製であること、そして完成した出来に感心したこと。特に、グリーン系の塗装が気に入ったので、清水の舞台から飛び降りました。その写真をどうぞ。ともあれ、これで”ケムール人”ネタは打ち止めです(笑)。

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2024年6月29日 (土)

SISU(シス) 不死身の男

 昨年10月ごろでしょうか、YOUTUBEで、物凄く面白い戦争映画として話題になっていたフィンランド映画「SISU(シス) 不死身の男」という作品がありました。一部の劇場で公開されたようですが、私の住む地方では公開されておらず、しかも、公開終了後は、私が契約していない配信での放映となったので、トム・ハンクスの駆逐艦映画「グレイハウンド」のように、多分もう観ることはないとあきらめていたのですが、今年の2月にブルーレイが6月に発売されることが発表されて、早々に予約して首を長くして待っていた映画です。

71o9kzy2wpl_ac_sl1222_  内容は、第二次世界大戦末期のフィンランドで、”シス”と呼ばれた老兵の物語です。この”シス”という意味は、フィンランド語で”絶対諦めない不屈の魂”というようなニュアンスで、正確には翻訳できない言葉だということです。

 一人の老兵がラップランドの荒野で金塊を掘り当て愛犬とともに移動中に、撤退途中のナチス・ドイツの小隊と遭遇するところから物語が始まります。このドイツ軍は戦車一台にトラック2~3台という構成ながら、慰安用の女性数名を捕虜にして連行しているというなんとも悪逆非道な連中なのです。
 当然、彼らは、一人の年老いたフィンランド人を見逃すはずもなく、後続の兵士が殺そうとするのですが、あっという間に返り討ちです。いやあ、一瞬のナイフさばきは”ランボー”並です。ここからが怒涛のアクションシーンの連続です。
 しかも、偶然、老人が金塊を持ってることを知ったナチスは、目の色を変えて老人を追いかけます。いやあ、地雷原での攻防や水中戦など、老人のゲリラ戦は見事です。

 また、老人が落とした認識票を調べて、相手が妻子を殺された復讐のために、ソ連軍の兵士を300人殺したという元特殊部隊の伝説の兵士だということが分かっても、敗戦後の優雅な生活を夢見てドイツ軍の将校は諦めません。部下のゲスな軍曹たちを使って、あの手この手で追い詰めます。そして、老兵の愛犬を罠に使って、ついに彼をつかまえるのです。そして、彼が不死身かどうか確かめるため、わざわざ縛り首にして看板に吊るすのです。いかにも性悪のくせ者将校という描き方がうまいですねえ。敵役が悪い奴程おもしろいのだ。
 さて、ここはネタバレになりますが、どうしてもふれなくてはなりません。なんと一晩経って老兵は息を吹き返します。”いくらなんでもそれはないだろう”とは一瞬思ったのですが、縛り首刑のように床が割れて落下させる(首の骨が折れるようです)場合は別ですが、普通の縛り首ではあとから息を吹き返す実例もあったそうですので、全くの絵空事ではないようです。
 しかも、今回は、気を失う寸前、足を古釘に突き刺し、体重の軽減を図っています。さすが伝説の特殊部隊の兵士です。しかも、戦闘の度に身体中に傷を負い、しかもその傷を自分で縫ったり、焼いたりする痛々しい場面を繰りかえすので、不死身ぶりもリアルに感じるのです。まあ、ここは”丈夫な体よねえ”と感心して、皆さん大きな気持ちで受け入れましょう(笑)。メイキングを見ると、この主演俳優さんは、60歳を超えているようで、このオファーを受けるのには相当決心がいったとのことです。頑張りましたねえ。最後は、飛行機まで墜落するのですから(笑)。

 それにしても、フィンランドの荒野(ラップランド)の風景が凄まじいですねえ。極限の自然の荒々しさには感動します。メイキングでも、その強風や寒さは尋常ではなかったようです。撮影隊の皆さんもご苦労様でした。

 最後に、捕虜の女たちのリベンジもスカッとしました。是非、未見の方はご覧ください。荒唐無稽で楽しい異色の戦争映画でした。

 

2024年6月27日 (木)

千の顔を持つ男

 どうやら今月は劇場で一本も映画を観ない月になりそうです。映画愛好家の友人が”評価する”という、新作「マッドマックス」については、前作「怒りのデス・ロード」の前日譚であり、再び”あの悪夢のような砂漠の世界へ戻る”という気力がどうにも湧かなくて、劇場に足を運びませんでした。ちなみに、決して主演がシャーリーズ・セロンではないからという理由ではありません(笑)。

81tog3vnjpl_ac_sy445_  もちろん、自宅ではあいもかわらず配信や市販のDVDなどでB級SF作品を中心にいろいろと眺めているのですが、予想外に面白かったのが、復刻シネマライブラリーで発売されていたDVD「千の顔を持つ男」でした。
 この作品は、無声映画時代、自ら施したメーキャップで様々な怪人を演じて、”千の顔を持つ男”と一世を風靡した怪奇俳優ロン・チャイニーの伝記映画でした。彼が演じた”オペラ座の怪人”や”ノートルダムのせむし男”などは、そのメークキャップが語り草となっており、その伝説的なデザインは、今なおフィギュアとして発売されるなど、クラシック・モンスターの定番となっています。

 しかし、”ロン・チャイニー”という役者については、ほとんど何も知らず、逆に、息子が”ロン・チャイニー・ジュニア”として、フランケンシュタインの怪物、ドラキュラ、狼男というユニバーサル・スタジオの3大モンスターをすべて演じたという話の方が有名なほどです。もっとも、今回は知らない分、稀代の俳優の人生を垣間見ることができるドラマとして楽しめました。なにしろ、気の短くなった私が、自宅で倍速モードにもせずに、最後まで一気に鑑賞したのですから、大したものです。

 それにしても、ロン・チャイニーが聾唖者の両親のもとに生まれた”コーダ”であり、そのことを知らなかった妊娠した妻と不仲となっていく場面などは、差別の問題をしっかり描いており、とても1957年製作の作品とは思えない内容でした。
 そして、子どもの頃からいわれのない差別と闘ってきた主人公は、その経験と才能がハリウッドでの成功を導いたものの、性格はますます頑なになってしまい、観てる方も”もう少し冷静になって”と言いたくなるのですが、実際”本当の役者”というのはあんな”自己中”なのかもしれませんし、第一演じるのが個性派俳優のジェームズ・キャグニーなのですから、しかたがないとも思ってしまいます(笑)。ただ、個人的には、やっぱりあの母親は好きになれません。息子よ、しっかりせいよ(笑)。それにしても後妻さんが良い人で良かったですねえ。懐かしい典型的なハリウッド映画でしたし、なにより、名作「オペラ座の怪人」などの撮影風景をドラマの中で再現するのがうれしかったなあ。

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