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2024年3月31日 (日)

葬送のフリーレン

 日本テレビで放映されたアニメ「葬送のフリーレン」第1シーズンが先日終了しました。「週刊少年サンデー」で連載中の少年漫画が原作らしい(こちらの方は未見)のですが、そのアニメ化作品にすっかり感心したのです。日本テレビと言えば、「セクシー田中さん」のドラマ化で原作者の同意なくて原作を勝手に改変するという悪事が明るみに出たばかりなのですが、どうやら、これはテレビという業界の中で思い上がったプロデューサーと、業界の中ですら”原作クラッシャー”と呼ばれる脚色家(やっぱり、米国アカデミー賞のように脚本家とは区別した方がいいよねえ。)の仕業らしいのですが、問題はこれまでも同じような改悪事件を繰り返してきたようですから悪質です。思えば、映画でもこの脚本家によって全く面白くない筋立てに換えられた作品もあったことも今回発掘されました。(当ブログ2009.5.5「鴨川ホルモー」参照)。まあ、テレビ業界がその温床なのかもしれませんが、これを契機に改革してほしいものです。それにしても脚本家協会も酷いですねえ。

 話がすっかり横道にそれましたが、このアニメは、どうやら原作通りに製作されているようです。いや、それどころか、原作のわかりにくいところを実にうまく処理して、原作者の意図をより効果的に見せているようで、その演出に賛美の声(youtube)が多数挙がっています。原作との違いは分かりませんが、今回のアニメは演出が実に巧妙で上手いということは実感します。

 具体的にいうと、映像的には、一見手抜きのようにも見える静止画の演出が見事です。静かなズームやアップで魅せつつ、わずかな最小限の身振りや口元を一寸ゆがめる演出で、心理描写をうまく表現します。登場人物のデザインがスタイリッシュですのでなんとも効果的で、しかも作画の手間も省けます(笑)。背景画も無理してリアルに凝らなくて良いノダ。あののんびり風景で丁度なのです。
 もっとも、魔法のバトルシーンは、シリーズの後半になるほど、やたら派手になっていくのですが、これは”静止画(手抜き)への批判”への対抗措置かな?そんなこと気にしないでください(笑)。

 そして、声優の感情のない、まるで棒読みのようで、実は味があるセリフ回しも良いなあ。フリーレンの声優のそっけなさは癖になります。他の登場人物とのやりとりも、絶妙のタイミングのずらし方などで笑えます。加えて、音楽も良いねえ。特に、前半クールのオープニングのYOASOBIの「勇者」の主題曲に魅せられました。うん、実に素晴らしい。

 でも、やっぱりストーリーの秀逸さが際立っています。異世界(ファンタジー)ものにありがちな魔王討伐ではなく、その後の物語なのです。第1話で年老いた勇者ヒンメルがあっけなく死んでしまう展開にはあ然としました。そして、その後の長命のエルフ”フリーレン”の人間を知るための旅路で、様々なエピソードが勇者の冒険の回想とともに綴られます。ここは原作の力なのでしょうねえ。
 さらに、アニメでは、いつも予想の斜め上を行くセリフや意表を突く行動などによって、エピソード毎に一寸としたカタルシスを感じさせるように演出されているのに感心するのです。これが実に楽しめるのです。まさに原作の魅力を生かした演出ということなのでしょうねえ。お見事でした。監督の斉藤圭一郎氏の名前を記憶しましょう。
 それにしても、次のシーズンまでのロスが長いなあ。配信もあるので見返しもしていますが、一日も早い第2シーズンの開始を待っています。

 

2024年3月21日 (木)

デューン 砂の惑星 PART2

Img_20240320_0001  第1作の前作「デューン 砂の惑星 PART1」では、見たこともない宇宙船のデザインなどの映像美に圧倒された(当ブログ2021.10.20参照)こともあり、この後編「デューン 砂の惑星 PART2」には大変期待していました。

 その期待が大き過ぎたせいなのでしょうか、それとも、前編の画期的なビジュアル等に慣れてしまったのか、観た後の感動がまったく盛り上がらないのです。もちろん、本物の砂漠を撮影した迫力と実にリアルなCG映像との合成の凄さなど、あいかわらず圧倒的な映像は健在なのですが、なんとも心が弾みません。それどころか、空想の惑星の砂漠や風俗文化があまりにも現実のアラブ世界を再現し過ぎているためか、現在の中東情勢などが生々しく重なり合ってしまい、SF映画としてのお楽しみが割引かれます。どうも、私のように現実を忘れ、能天気に映画を楽しみたい観客には少し苦手な作品になりました(笑)。

 いや、こうした感想こそ、原作小説やドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が描きたかったテーマなのでしょうが、あまりにも現実を突きつけられたような気がして、心から楽しめないのです。パンブレットによると、宗教の狂信性や”救世主”思想への懐疑を浮き彫りにしている面が評価されているようですが、主人公ポールが”救世主”になることに悩むシーンがあまりにも延々と続くので、狂気の白塗り坊主頭の敵役や皇帝までも登場するものの、なんかストーリーにインパクトが感じられません。

 また、最後の救世主の勝手な”行動”をヒロインが拒否するシーンは、どうやら原作とは違って、映画オリジナルで”自立する強い女”の設定になっているそうですが、個人的に演じる女優さんがあまり贔屓でないので、まあ、どうでもいいのです(笑)。

 それにしても、民衆の信仰心を煽って、大きな戦争へ”同胞”を駆り立てていくラストは、現在の世界情勢を念頭に置くと、寓話にしても恐ろしい気がします。一方で、デビット・リンチ監督の旧作のように、雨を降らす奇跡も起きず、単に惑星間戦争への突入というところで上映時間166分が終わったのは、SF物語としては尻すぼみというほかはなく、ミーハーの私などはなんとも物足りなさを感じました。どうやらPART3を想定しているかもしれませんが、やっぱり話をきちんと終わらせてほしかった。
 デビット・リンチ監督の”ブリキ製”のようなチープで通俗的な旧作「砂の惑星」を再見したくなったなあ(笑)。

2024年3月14日 (木)

祝!米アカデミー視覚効果賞の受賞/ゴジラ-1.0

 映画「ゴジラ-1.0」が米国アカデミー賞の視覚効果賞を受賞しました。政治的にいって、正直、まさか本当に受賞するとは思っていませんでした。まあ、ノミネートの対抗馬に恵まれたのかもしれませんが、ホワイトに特化せずに、米国アカデミーが世界に開かれたことは間違いありませんね。素晴らしことです。

 それにしても、山崎貴監督さんの嬉しさは大変なものでしょうねえ。もともとSFX技術者出身で、「スターウォーズ」や「未知との遭遇」に憧れてこの世界に入ったそうですので、視覚効果賞への思い入れもありましょうし、ノミネートの際のイベント会場で、憧れのスティーブン・スピルバーグに声をかけられ、”3回観た”と褒められ、しかも、記念写真まで一緒に撮ってもらったことは、例えようもない喜びだったでしょう。本当におめでとうございます。ルーカス・フィルムにも招待されたようです。
 ”まさか、ここ(アカデミー賞受賞式)に来られるとは”という受賞式でのスピーチの言葉には万感がこもっていました。
 今回、受賞後のテレビ番組などでの山崎監督のインタビューを拝見してみると、本当に奢らない、きどらない、優しいお人柄で、ますますファンになりましたねえ。

 そして、このアカデミー賞の効果は、現在も上映中の劇場への客足の伸びにつながっているようです。確か国内の興収は60億円を超えたと記憶していますし、シン・ゴジラと違って海外の興収もかなり増えているようですので、これを機会にさらに頑張ってほしいものです。なお、その人気ぶりは6月に発売が予定されているフィギュアにも見られるようで、発売元のエクスプラスによると、高額商品にもかかわらず、予約開始と同時に完売とか。・・・うーん、欲しいよう(笑)

 その一方で、今回の我が国映画界の”アジア初、監督では2人目(1人目はキューブリック)”という偉業について、映画ネタをテーマにしているワイドショーの番組にもかかわず、一言も取り上げなかったテレビ局があった(youtube)と聞いて驚きました。どうやら、他局(ジブリは日本テレビ関連ですが・・?)関係だったせいかもしれませんが、公共の報道機関としては、その神経(感覚?)が全くわかりません。最近、どうも、我が国の政治やマスコミはなんだかすっかりおかしくなっていますねえ。困ったものです。

20240314_131321 最後に、”マイゴジ(マイナスゴジラの略称)”ではありませんが、最近マイブームとなっているデフォリアル・フィギュアの”モスゴジ(モスラ対ゴジラの略称)”でお祝いの万歳三唱をしましょう。”バンザイ、バンザイ、バンザイ、誠におめでとうございます。今後のますますのご発展(海外進出、続編)をお祈り申し上げます。”

 

 

2024年3月 4日 (月)

映画技術入門

 先日「映画技術入門」という書籍が発売されました。内容は、映画史を支えてきた様々な技術と関連する700の作品を一挙紹介する(帯の宣伝文句)というモノです。具体的には、映写機と35mmフィルム、サイレントからトーキー、カラー、現像とプリント、音響、デジタル撮影、そして映画館など、様々な撮影機械や上映設備などの歴史の紹介です。こうしたテクニカルなお話は、以前から様々な専門的な書籍が出版されており、私も何冊か読みましたが、一向に頭に入らずそのまま素通りしています(笑)。

51eyyz9dnel_sy445_sx342_  その点、この本は、”入門”と冠しているだけあって、”分かりやすさ”に工夫をしています。若い女の子の主人公が専門家に関連技術を教わっていくという形式で、親しみやすい漫画とシンプルな図を駆使して大変見やすいのです。しかも、エポックメイキングな作品は写真入りで監督別の経緯なども説明されています。

 正直、スクリーンサイズなどにはあまり関心も無かったのですが、映画を撮影する際に監督がどうしてそのサイズを選んだのかなど、私のお気に入りの作品を通じて、撮影の裏側が垣間見えるような気がして実に楽しい読み物になっていました。そして、映画技術のトリビアもふんだんに盛り込まれており思わず笑います。

 例えば、映画が斜陽となった1970年代に現像技術が安い方法に一斉に切り替えられてしまったという現像の歴史は、”70年代の作品はどれも「くすんだような画面」となっている”という昔から私が抱いていた疑問に答えてくれた気がして、個人的に大変満足しています。
 また、カメラの歴史にも感銘を受けました。やっぱり高額なレンタル費用のかかるカメラは性能が違うようです。日本映画の薄っぺらい画像は、安いカメラの性かな?いやあ、単にカメラだけの問題でなく照明機材などあらゆる面で撮影技術へのアプローチが無くなっているのでしょうねえ。昔の「大映時代劇」の映像の凄さを思い出してほしいものです。

 それにしても、アルフレッド・ヒッチコックやジョン・フォード、そしてスティーブン・スピルバーグの作品ごとの画面サイズや使用カメラの歴史を紹介しているのもわくわくします。作品の流れを通じてそれぞれの作家の生きざまが見れるようです。
 また、ジョージ・ルーカスの映画技術への貢献が映画界にとって実に大きかったことを改めて感じます。スター・ウォーズの作品より、その収益を使ったデジタル撮影技術、さらに上映館の設備までも進歩させたことが凄いとしか、言いようがない。

 ちなみに、B級SF映画製作者のロジャー・コーマンの”スピルバーグやルーカスが技術的にレベルの高いきわもの映画を作ったことで、私たちの映画の魅力は大きく落ち込んだ”という愚痴には思わず吹き出しました。いやあ、まあ、そういうことですよねえ(笑)。

 以上、ほかにもたくさん紹介したいことはありますが、実に楽しい読み物なので、映画ファンなら是非お読みください。

 

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