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2023年11月30日 (木)

 北野武監督の新作時代劇「首」は、間違いなく画期的な作品です。なにしろ、映画やテレビで長い間きれいごとで描いてきた戦国武将の英雄譚を赤裸々にリアルに描いてみせた作品なのです。さすが、”天才たけし”です。目の付け所が全然違います。思えば、北野版「座頭市」で、CG技術をつかって斬られた斬口を見せるという極めてリアルな殺陣もお見事でした(世間ではあんまり評価されていませんが、この殺陣も斬新でした。)。
 考えてみれば、戦いで何千人もの人間を殺し、捕えた者達の首をはねたという史実が実際どうであったか等は、少し考えればその比類ない残虐性はわかることなのですが、天下統一とか歴史的な意義からすっかりその辺は目をつむっていたのですねえ。しかも、衆道などの性癖も当時の一般的な習俗として定着していたことは明らかなのですが、誰もはっきりあんまり描かなかったですねえ。

Img_20231129_0001  正直にいうと、この作品は劇場に行くのが少し億劫でした。往年の大映時代劇の血の噴出などの様式美的な殺陣は結構好きなのですが、グロい死体の映像などは大の苦手なのです。今回はタイトルからして「首」じゃないですか!、一時はパスしようかとさえ思っていました。
 ただ、YouTubeなどでは、”コメディ時代劇”あるいは”コント映画?”ではないかなどと言う感想もありましたし、どうやらグロさにも一定の節度がある感じでしたので、思い切って観て来ました。

 そして、その感想なのですが、少し訳の分からない箇所(信長の手紙?)がありましたが、作品としては”見て損はない作品”だと思います。

 まず、冒頭の合戦後の川辺のシーンも首なし死体に群がる沢蟹を描いているのですが、さほど気色が悪くなるほどの”絵”ではなく、逆に”戦国”という時代の雰囲気を観客に一気に伝えるという場面となっています。また、一族郎党の斬首刑も女子供のシーンはなく、節度があって安心しました。
 戦闘シーンについては、敵と味方の色分けなど黒澤明作品を彷彿させるほどの迫力があり、いやあ大したものだと感心しました。パンフレットによると、既存の殺陣師の”いかにも”という殺陣を嫌って、たけしが自ら演出したらしい。このへんがやっぱり非凡なのですねえ。

 そして主演者も、いつもの常連役者に加え、芸達者のくせ者揃いです。たけし監督作品にはみんな出演したがるそうですねえ。まあ、海外でも評価が高いですから当たり前かもしれませんが、今回は自ら売り込んだキム兄が抜け忍の芸人、曽呂利新左衛門役で良い味を出しています。あのとぼけた独り言には思わず笑いました。

 それにしても、狂気の信長役でハッチャけた加瀬亮、真面目な明智光秀役の西島秀俊、そして荒木村重役でいつもながらの遠藤憲一は、衆道三角関係もご苦労さまでした。最近の風潮か、平気で男同士の濡れ場を見せるのが多くなりましたが、いろいろな意味で役者は大変ですねえ。まあ、観ている方もよく頑張りました(笑)。

 また、千利休役の岸部一徳は相変わらずの存在感で、どんぴしゃりの適役でした。一方、黒人侍の弥助登場には「イエローモンキー」のセリフとともに驚きました。

 さらに、今回、その演技のうまさを見直したのが、黒田官兵衛を演じた浅野忠信でした。ビートたけし扮する羽柴秀吉と大森南朋の羽柴秀長(秀吉の弟)とのやりとりは、まるで漫才トリオのような雰囲気で何度か吹き出しました。どうやらアドリブでのセリフが多くて現場は大変だったようですが、コメディタッチの中でもいかにも軍師らしい立ちい振る舞いもさりげなく表現されていました。ハリウッド俳優は伊達ではありませんねえ。

 あと、ワンシーンだけなのに印象的だったのは、無茶苦茶な安国寺恵瓊の六平直政、切腹に時間がかかる清水宗治役の荒川良々は、いつもながら笑えました。蛇足ながら、家康の影武者作戦はやりすぎです(笑)。

 観終わってみれば、「自分は百姓だ」という秀吉からの視点で、大将首をめざす手柄、衆道を好む武家の習わしなど当時の社会常識を蹴り飛ばすという構図になっていることにも感心しました。さすが、”天才たけし”の見方は、一味違うと感心しました。未見の方は是非ごらんください。ただ、女優さんは柴田理恵ぐらいであとは男ばかりの”むさい映画”であることはくれぐれもご承知おきください(笑)。

2023年11月22日 (水)

クレオスのラッカー系塗料”色ノ源”

 先般、当ブログ(2023.10.23)でご紹介した、エクスプラスのプラモデルキットのティラノサウルスをやっと塗装しました。もちろん、YOUTUBEの「怪物屋吉尾の塗装教室」の塗装技術に挑戦してみたのです。しかしながら、”鵜の真似をする烏”のことわざのとおり、吉尾名人の名人技のようには全くイケません。
20231121_1137401 20231121_1138311  ただ、使用した塗料は、クレオスの商品名を「色ノ源(イロノモト)」というラッカー系の塗料で、今回初めて使いました。この塗料はイエローとマゼンダとシアンの3色を混合して好みの色を作るというものですが、これが実に難しいのです。番組のように簡単にはいかないのです。何度も試行錯誤を繰り返しました。結局、映画「ジュラシック・パーク」のT-レックスの体色を表現するには、0.3CC調色スプーン10杯のイエローに爪楊枝の先に付けた1滴ほどのマゼンダとシアンで十分(番組内で紹介された混合比率はなんかおかしいのですが・・・)だったのです。
 あとは好みで濃淡をつけて(実は目分量なので混合する度に色合いが変化するのです(笑))塗り重ねます。実際、この塗料はクリア性が高くてなかなか下地が隠せません。何層も吹き付けて、やっと色が出てくる感じですねえ。いやあ、この作業だけで根気がつきました(笑)。

20231121_1138011  そして、仕上げにラッカー塗料のクリアー(つや消し)を万遍なくエアブラシで吹き付けます。この方法は予想以上につや消し効果があり、スプレータイプのつや消しよりずいぶん使い勝手が良いことが分かりました。以降、”つや消し”仕上げにはこの手法がマイ・ブームとなりました。なお、番組内で紹介のあった”高速ドライブラシ”は、どうも塗料の濃さ(牛乳ぐらいの濃さより一寸薄いぐらいが一番らしい)の塩梅がつかめず、今回は涙をのみました。加えて、目や歯への色鉛筆による塗りは、全く上手くいきません。多分、使用する鉛筆の質が違う(笑)のでしょうねえ。これも断念です。

 結果は、塗装教室の学習成果はほとんど出せず、結局は単なる”色ノ源”塗料のお試しという感じになってしまいましたが、ひとつ感心したのがこの”色ノ源”塗料の効果でした。何層にもなっているせいか、妙に生々しいのです。リアルな生物感がそこはかとなく感じられるのです。単なる私の錯覚かもしれませんが、完成写真をみてご判断ください。

20231121_1143291  この生物感らしさの出来に気を良くして、手許にあった「大アマゾンの半魚人」のトイ(フィギュアというよりトイの呼称が似合うチープなモデル)のリペイントを行いました。元の半魚人モデルは、ブラックのスミ入れによる塗装がきつく、なんとも薄汚い出来だったので、まず、ルマングリーンのラッカー塗料の筆塗りで黒塗り部分を消します。そして、”色ノ源”の3色を混合した明るいグリーン色を作り、エアブラシ塗装しました。さらに、鱗の継ぎ目にはエナメル塗料のクリア系”スモーク”色でスミ入れです。
 最後は、もはやマイブームとなったつや消しクリアの吹付けで完了です。以前のおもちゃ風の塗装よりは、随分とリアルなフィギュアになったと自負しています。もっとも、ジュリー・アダムスには、何の手も加えていません。人間のリアルな肌色塗装は、今後の課題です。これが多分一番難しいと感じています。

 20231121_1139481 20231121_1140191 H250923-019また、10年前に塗装した海洋堂のソフビ製”トリケラトプス”が、経年によりすっかり色褪せして見る影もなくなっていましたので、これも”色ノ源”塗料を使ってリペイントしました。
 製作当時のブログ(2013.9.23参照)を見ると、グリーンのラッカー塗料の下塗りに、何故か、エナメルで全面仕上げ塗装をしたとのことですが、どうやら、このエナメル塗装(塗膜力が弱いのかな?)がほとんど消えている状態でした。リペイントは、前述のT-レックスと同じ方法で塗装したのですが、下地がグリーンだったので、やっぱりグリーン系の仕上がりとなったほか、つや消しクリア塗料が途中で切れてしまい、若干テカリが残っているのが残念ですが、まあ、根気と塗料のストックが尽きましたので、これで完成です。リペイント前の状態の写真がない(写すのを忘れた!!)ので、10年前の写真と比較してご覧ください。

2023年11月10日 (金)

ボクらを作った映画たち

 ネットフリックスで、面白いドキュメンタリー番組を見つけました。「ボクらを作った映画たち」という、大ヒットした映画のメイキングの物語なのです。まさに、私の興味のど真ん中の企画です。しかも、取り上げた作品も私のお気に入りのものが多いのです。既に、3シーズン目を迎えてるのですが、主なタイトルを紹介しましょう。

 第1シーズン:ダイ・ハード、ゴーストバスターズほか、第2シーズン:フォレストガンプ/一期一会、ジュラシック・パーク、プリティ・ウーマン、バック・トゥ・ザ・フューチャーほか、第3シーズン:ナイトメア・ビフォア・クリスマス(例外的にヒットしなかったが、後年アイコン化したモデルアニメーション作品)、星の王子ニューヨークに行く、エイリアン2、ロボコップ、ハロウィンほか、です。どれも大ヒットした有名な作品ばかりです。

 そして、いずれの映画の作品もその製作の裏側はもう大変です。観客として脳天気に笑っていた、これらの有名な作品の大半が、実は監督や俳優などのスタッフ達がまだ無名の時代の作品であり、実際、その作品の大ヒットによってメジャーになった人ばかりです。まあ、会社からすれば、海のものとも山のものとも思えないリスクの大きな賭けという認識なのでしょうねえ。

 番組は、基本的にハリウッドの映画会社の大物プロデューサーの理不尽な命令との戦いを当時のスタッフ達の証言を基に、コメディタッチで描かれますが、これは成功したからこその笑い話であり、その製作当時の現場は、当事者にすればまさに阿鼻叫喚の地獄だったのでしょう。もちろん、現場でもスタッフ間の争い、俳優と監督とのいさかいなど、様々なトラブルが生じます。「エイリアン2」の無名の監督(ジェームス・キャメロン)とイギリスの特撮スタジオの現場チーフの対立は、ストライキにまで発展した有名なお話(当ブログでもメイキング本の紹介)なのですが、当事者が実名で証言する映像には感心します。まあ、何時間もかけてスモークを焚いていざ撮影というスタジオに、おばちゃんが”お茶の時間”と言って紅茶セットを運んできたら、キャメロンでなくても怒り心頭でしょうねえ。こうしたエピソードがてんこ盛りなのです。

 それにしても、ハリウッドのプロデューサーがいかに予算を削減するかだけに終始し、なんと作品を見る目がないのか、ということを思い知らされます。会社側は常に予算削減や公開日の前倒しなど無理難題を要求し、それを無名のスタッフ達が努力や熱意で乗り越えて完成させるというのは実に物語的に面白いのですが、正直、一つの作品が完成するのは、もう”奇跡”としか思えません。神様の気まぐれで傑作が出来上がる気がします。まあ、”創作”というのは大なり小なり大変ですが、ハイリスク・ハイリターンの映画製作では想像以上に凄まじい。携わった人の人生までも変わってしまいます。

 それにしても、会社の製作トップの人たちは一体どんな経歴なのでしょうねえ。なんか上級社会の地縁、血縁の人達のような気がします。ある映画会社の”女帝”と呼ばれたトップは、まるで女優顔負けのポートレートで紹介されます。もっとも、当時の頑張ったスタップたちは実名で誇らしげに顔を出して証言していますが、当時作品をぶち壊そうとしかしなかったようなプロデューサーは顔写真だけの紹介(笑)でした。ちなみに、キャメロン監督にことごとく逆らった現場チーフは写真だけです。でも、後世までこんな形で先見性の無さを記録されるとなかなか辛いものがありますねえ。まあ、革新性のあるものは凡人にはなかなか理解できませんわねえ。それにしても、映画監督をしようとする人間はやっぱりいろいろな意味で”非凡”ですねえ。これはつくづく痛感しました。

Img_20231110_0001  以上、どの回もあっと驚く逸話ばかりです。しかも、いずれもエポックメイキングな作品ばかりです。映画製作の裏話に興味のある方は是非、ご覧ください。実は血みどろスプラッター映画が嫌いな私は、有名な「ハロウィン」を観ていなかったのですが、映画の配給係が一念発起して映画造りをはじめ、学校卒業したばかりの経験の少ない若者(ジョン・カーペンター)が監督して仲間内で作ったということは知りませんでした。しかも、出資者を説得した”血が一滴も出ない”というコンセプトも初めて聞きました。ジェイミー・リー・カーティスのデビュー作でもありますので、今回、BDを買いました(笑)。若者たちばかりのアットホームな撮影現場を想像しながら観てみましょう。いやあ、映画って本当に面白いものですねえ(笑)。

2023年11月 8日 (水)

ゴジラ-1.0

 令和5年11月3日(金)の朝9時、「ゴジラ-1.0」の初日、初回上映を観るため、映画館への入場、チケット発券、さらには劇場パンフレット購入の長い行列に順次並びました。子供の頃、良い席をとるために朝早くから映画館の前で並んでいたことを思い出しました。それにしても、いまやチケットはネット予約済みなのに、発券のために列に並ぶのは本当になんとかならないものでしょうか。まあ、祝日とはいえ、映画館がこれほど混むのは久しぶりだと思います。それだけ前人気があったのでしょう。ネットで調べると前日にはもう満席状態だったので、当日券に並んでいる人たちはどうするのでしょうねえ。他人事ながら気になります。
 加えて、グッズ売り場の混雑も大変です。ゴジラのトイなどを抱えた、いかにもオタク風の若い人達が大手を振って行列に並んでいるのは、私などの”往年の隠れ特撮ファン”には感慨深いものがあります。いやあ、うらやましい(笑)。

Img_20231103_0001  さて、肝心なこの最新ゴジラ映画の感想ですが、その前に、YouTubeでの評判をご紹介します。総じて評判が良いのです。人間ドラマと怪獣が融合した稀な傑作という評価が大半を占めているようです。驚いたことに、あの辛口の”元祖オタク”の岡田斗司夫氏も97点という高評価なのです。世界市場に打って出ることのできる作品で、「シン・ゴジラ」を抜いたとまで言います。さらに「永遠のゼロ」の原作者も興奮冷めやらぬ口調の大絶賛でした。その他アメコミなどを中心にとんでもコメントするオタクの面々さえも過去の「ドラえもん」などの時の悪口雑言とは一転して、山崎貴監督の大復権です。
 実際、金曜日から日曜日までの3日間の興行収入が10億4千万円といいますから、大ヒットは間違いない出来となっています。おめでとうございます。

 正直、CG技術はハリウッド映画と遜色のない出来となっています。限られた予算で最高の仕上がりといってもよいのでしょう。パンフレットによると「三丁目の夕日」に登場した数分間のゴジラのCGにはとてつもない時間と労力がかかってしまい、本編CGはとても無理と当時は断念していたのが、やっと機器やソフトの進歩でハリウッドの尻尾が見えたとの山崎貴監督の証言があります。個人的に言えば、海上でゴジラが機雷回収船を追ってくるシーンや日本海軍の駆逐艦を襲うなどは、鳥肌が立つほどの映像となっています。波をCGで製作したというこの場面だけでも見る価値があります。実際に船での撮影もあいまって「ジョーズ」並みに臨場感を盛り上げます。

 そして、やっぱり時代設定が絶妙でしたねえ。初代ゴジラより前の終戦直前から終戦直後というまさに0となった時期なのです。まだ、自衛隊もなく、しかも、戦勝国によって賠償艦として確保されていた日本海軍の無傷の駆逐艦等を引っ張りだすとはお見事です。加えて、試作機の幻の戦闘機を使ったアイディアも素晴らしい。さすが「永遠のゼロ」などで軍用兵器マニアぶりを発揮した経験が生かされています。ついでに言えば、木製漁船改良の機雷回収船も実に良い。あの”わだつみ作戦”は無理がありますが・・(笑)。まあ、欲を言えば、”46cm砲弾”だけでなく、戦艦大和とゴジラの戦いを見たかった(笑)

 また、敗戦直後の東京の風景なども見事です。まさしく「三丁目の夕日」のノウハウを発展させて、造り上げた世界はまったく違和感はありません。本当に過去を再現する手法の集大成と言ってもいいかもしれませんね。

 ただ少し気になったのが、各方面で絶賛されている人間ドラマの部分です。個人的には少し物足りません。神木隆之介が演じる元特攻隊員が主人公なのですが、あまりに自分の心情をセリフで説明するのが少し気に入らないし、隣のおばさんの安藤サクラの再開時の”恥知らず”的なセリフの意図やヒロインの浜辺美波の、ゴジラの口の高さから落とされたり、爆風で吹っ飛ばされても生きている不死身ぶりがなんとも不可解でした。もっとも、このエピソードにはオタクYouTuber達が”ゴジラ細胞”等々の裏設定があると主張されているようですが、普通そんなのは気が付きませんし、鑑賞中はなんとも違和感一杯でしたねえ。-1.0ですよ(笑)。

 とはいっても、吉岡秀隆扮する元海軍の技術将校のセリフとして”装甲のない飛行機、兵站を軽視して餓死を招く作戦、そして特攻”など、人命を軽視する日本軍の作戦を厳しく糾弾するのには感動しました。ちなみに名機と言われるゼロ戦なども軽量化して機動力が上がっただけという見方もあります。悲しいですねえ。もっとも、当時飛行機に脱出装置を実用化していたのはドイツ軍だけだったそうです。

 最後は、今回のゴジラそのものの評価です。CG技術の進歩によりその動きなどは実に生々しく描写されています。とりわけ、獲物を見つけると目の色を変えたように猛然と追いかけてくるシーンは巨大な生物感溢れる”怖いゴジラ”を造り上げています。お見事です。しかも、爆弾等で破損した皮膚等が再生する設定も素晴らしい。なんでもかんでも跳ね返す”平成ゴジラ(GMK以外)”とは一味違います。”弱くなった”のではなく”リアルになった”のです(笑)。
 ただ、惜しむらくは、その体型です。実は観る前から、ボディビルダーのような人間的な胸板と馬鹿みたいに背の高い背中の棘がデザイン的にどうにも気に入りませんでした。怪獣のデザインの魅力は、異形のものであるべきです。この辺の勘違いは、平成ゴジラのデザインの流れでしょうねえ。まあ、背びれについては、今回新たなギミックの使用があるので容認するとしても、やっぱり、あの胸板は暑苦しい(笑)。

 以上、ながなが、いろいろと苦言を呈しましたが、総体としては、私も”傑作”と思います。是非、多くの人たちに観ていただいて、前人未到の実写版怪獣映画で、興行収入100億円を突破したいものです。一部に、山崎貴監督の作品を”良いとこ取りの寄せ集め映画”などという中傷めいた意見を言う人もいますが、スピルバーグ監督などもヒッチコックなどの過去の様々な作品から学んでオマージュしていますし、最近のアクション映画は、無声映画のキートンの映画を再現しようとまでしています。まさしく”良いとこ取り”ですよねえ。温故知新はどんな分野でも当たり前です。こんな中傷は無視して、どんどん取り入れて見事なエンターテメントを期待しています。このあと、復活したゴジラ細胞はどうなるのか、続編をはやくつくってほしいものです。

 余談ですが、パンフレットを見ると、様々なゴジラグッズを販売する”ゴジラ・ストア”なるものがあって、この作品の撮影の裏側を網羅した「The Record of G-1.0」という公式大型書籍が2024年3月に発売されるとのことです。ゴジラ細胞という設定が本当にあるのか、どうしても知りたくなって、高額な価格に目をつぶって、清水の舞台から飛び降りました。・・・鑑賞直後の気分高揚なせるわざだったのかも、と少し後悔しています(笑)。

 

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