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2023年10月29日 (日)

ザ・クリエイター/創造者

 久しぶりに本格的なSF大作を観ました。「ローグ・ワン/スターウォーズシリーズ」の監督という紹介よりは「GODILLA/ゴジラ」の監督と言ってほしい、ギャレス・エドワード監督の新作「ザ・クリエイター/創造者」です。さすが私のご贔屓の監督さんだけのことはあります。やっぱり、アメコミ映画とは一味違って、なかなか考えさせられてしかも実に面白かったのです。

Img_20231029_0001  物語は、アメリカを模した白人の国が、ニューアジア(架空の東南アジア地域)で現地の人間と共存して生活しているAI達を、核爆発を起こした犯人として、空飛ぶ強大な要塞を用いて撲滅させようとしている中、引退した片腕片足の元モグラ(潜入捜査官)の黒人主人公が、新しい最終兵器の開発者である謎の科学者を捕えようと再びアジアに潜入するところから始まります。

 とにかく、アジア地域で平和に暮らしているAIやアジア人に対して、ロスアンゼルスでの核爆発をAIのテロと決めつけて、圧倒的な武力で殲滅しようというアメリカを模した国の姿は、いやおうなく現実の米国社会の人種差別、インディアン政策、ベトナム戦争、イラン戦争など過去の黒歴史に加え、現実の中東情勢の危うさまでも彷彿させるのです。しかも、公開がAI反対で米脚本家組合のストライキのさなかという皮肉もあります。タイミング的にも、内容的にも、アメリカでの興行収入が伸び悩んでいるという噂は仕方のないことかもしれません。

 それにしても、この映画を観てつくづく思ったのは、西洋と東洋の思想の違いです。日本などでは、鉄腕アトムの頃から、いや実際は昔話の付喪神の時代から、物に魂が宿ることが当たり前のように感じているのですが、西洋では、神と契約した人間(白人かも?)以外の存在を認めません。だから、過去の映画でも、ロボットはろくでもないモンスターのように描かれます。自然のあらゆるところに神が宿る東洋と唯一絶対神のいる世界の違いかもしれません。

 正直、人間のようにうめき声をあげるロボットたちを冷酷に圧殺できるのは、最近まで奴隷制度を持っていた人種だけでしょう。いやあ、”針供養”などをする日本人にはとても無理ですねえ。もっとも、こうした理不尽さを鋭く描いたのは英国人の監督ですから、やはり西洋文明は恐ろしい。もっとも、この監督さんには、少年の頃に親と東南アジアを旅行した時の経験がかなりの影響を与えているようで、日本を含めて、アジアの文化には相当造形が深いようです。特に、最後のエンドロールのバックに虫の声を流していたのには驚愕しました。虫の音を楽しむのは日本人くらいで、特に、西洋人には虫の音は聞こえない(俗説?)そうなのですが、西洋人には肩こりが無いとおなじくデマかな(笑)。そういえば、タイトルには「ゴジラ」と同じように、縦書きの日本語もあしらっていたのですが、これは日本公開バージョンということなのでしょうか。パンフレットには何も書かれたいなかったのですが・・。

 余談になりますが、先日ネットフリックスで放送が開始されたアニメ漫画シリーズ「PLUTO/プルートウ」を2日間で観終えました。この作品は手塚治虫の「鉄腕アトム」のエピソード「世界最大のロボット」を浦沢直樹が、イラン戦争等をモチーフにリメイクしたロボット漫画のアニメ化なのです。さすが、手塚治虫漫画文化大賞を2度受賞した唯一の漫画家というだけあって、実に面白く、すっかりはまってしまいました。そして、テーマである”ロボットとは、人間とは何かと考えさせる”、いかにも鉄腕アトムを生んだ日本の物語です。もっとも、主人公は、白人型のロボット刑事なのですが、ここでも戦争の陰謀が大国のエゴであることが描かれます。ただ、主人公の鼻は、もっと恰好のよい形にしてほしかった。「YAWARA」の脇役とおなじかぎ鼻だ・・・本当に余計なことでした(笑)。

Img_20231029_0002  最後に、パンフレットに書いていたメイキングのエピソードなのですが、東南アジアのロケ地では、ソニーの高感度の軽量カメラを使って撮影クルーも少人数で撮影したため、ハリウッド大作映画の製作とは思われなかったようです。おかげで製作費も安く上がり、今後のハリウッド映画の新たな製作の方向になるのかもしれません。さすが、俳優2人と手持ちカメラで南米を回って撮影した「モンスター/地球外生命体」で名をあげたギャレス・エドワード監督です。そして、いかにポスト・プロダクション(CG画像合成等)の出来栄えが作品の優劣を決めるかを証明しています。あの東南アジアの風景にマッチした巨大な空想的建造物のリアルさと見事さには驚嘆します。未来兵器での銃撃戦も鳥肌物でした。とりわけ、あの悲しいロボット爆弾と冷酷無比な女隊長は特筆ものです。
 いやあ、SFアクション映画でこれだけ考えさせられた作品は久々でした。どうも御馳走様でした。 

 

2023年10月23日 (月)

怪物屋吉尾の塗装教室

 前々回で予告しましたYouTubeの番組「怪物屋吉尾の塗装教室」の紹介をしたいと思います。この番組は、XPURAS TOYS TV(造形メーカーのエクスプラス・トイズの番組のひとつのコーナーです。)の中にあり、既に第3回まで続いてます。内容は前回少し触れましたが、大阪にある海外ガレージキットの販売店だった「怪物屋」のオーナーの吉尾さんが、エクスプラスが発売しているプラモデルの塗装方法を教えるというものです。

 怪物屋と言うと、モンスターなどのガレージキット販売店としてその道では有名なお店であり、私も大阪へ行ったときは、2度ほど訪れたことがあったのですが、一度は店がお休み(結構閉っている日が多かったらしい)で、2度目は移転した住所を間違えて到達できず、幻の店(笑)になってしまいました。当時は、インターネットもうまくつながらず、結局、注文もできませんでした。田舎在住の身はつらいですねえ。

 さて、その吉尾(よしおと読むのが正解らしい)オーナーが長年の塗装ノウハウを惜しげもなく、それどころか喜々として公開してくれるのは、大変感動しました。正直、”幻のモンスター専門店”怪物屋のネット画像が怪しげなので(失礼)、そのオーナーを少し陰気で偏屈親父と勝手に想像していました(重ね重ねすみません。)ので、この番組の映像に映る、元イラストレーターらしく一寸おしゃれで多弁で明るい姿のギャップには本当に驚きました。

 そして、塗装方法にも驚愕です。なにしろ、エナメル塗装の上にラッカー塗装を平気で塗っています。一般的には、この順序の塗装では上のラッカーが溶けると言われています。が、オーナー曰く、”半世紀やっているが、溶けたことはない”そうです。ただ、下塗りに使ったのは顔料系のつや消しエナメル塗料だそうです。
 さらに、ラッカー塗料も、イエロー、マゼンダ、シアンの3色しか混ぜて使いません。どうやら、私の知らなかったラッカー塗料「色の源」という商品らしいのです。・・・早速入してみました(笑)。
 加えて、目玉と歯をホワイトの色鉛筆で塗るのです。しかも、その色鉛筆はエナメル・シンナーで溶けるそうです。人間の腕毛を鉛筆で描いていた外国モデラーを見たことがありますが、まさに”目から鱗”の裏技です。吉尾オーナー曰く、”色鉛筆は模型作りに有用”と力説するのも納得です。・・・これもとりあえず、似たような色鉛筆を数本購入してみました(笑)。

20230922_201045 20230923_112951  今回、私が見始めた番組は、第2回目の「1/35スケール ジュラシック・パークのティラノサウルスを作る(前編)」からであり、丁度、このモデルキットを購入して組み立てたばかりで、実にタイミングが良かったのですが、現在は、購入した新しい塗料の前ですこし作業が止まっています。まだ、キットの中の”仏様”が見えないのです(笑)。というか、この番組を見たせいか、すこし塗装に向けて踏ん切りがつかなくなったのです。まあ、ゆっくりしましょう。

 ちなみに、第1回目の番組は「平成ガメラ3のガメラ」です。これは番組を見て、思わずプラモデルを購入しました。うん、実に、エクスプラスの商品宣伝に貢献していますねえ(笑)。なお、このプラモキットは、背中の甲羅を一枚一枚貼り付けるというとても精緻なキットなのです。で、これも手つかずになりました。塗装の前に組み立ての段階で躊躇しているのです。思えば、ティラノサウルスでさえ、胴体の中のインナーを組み立てて、それに立体的に分割した皮膚などのパーツを貼っていくという手の込んだ画期的な生物モデルキットなのですから、リアルな模型作りのためには、ガメラの甲羅の数ごときは問題ではないのでしょうが、根気の無い自分的には相当な覚悟(笑)が必要でなかなかハードルが高いですねえ。まあ、のんびりやりましょう。

 そして、第3回目が前述の「ティラノサウルスを作るの後編」です。内容は、主に道路やフェンスなどの情景づくりです。この辺は、あまり興味がないのでパスです。

 ともかく、この番組は、怪物屋のオーナーの塗装ノウハウの塊なので、リスペクトをこめて、一度しっかりその名人芸を真似してみようとは思っています。模型モデラーで未見の方は是非ご覧ください。
20231009_150236 20231009_150313  とりあえず、今回は、現在までの私のティラノサウルスの作業状況だけをご紹介します。先はまだまだ長い。皮肉なことに、怪物屋オーナーの模型教室のテーマは、”数時間で簡単に塗ることができる”というものです。趣旨が全くあっていません(笑)。嗚呼、やっぱり先は長いなあ。

 ちなみに、手前にある塗料が購入したラッカー塗料です。まだ開封していません。うん、まだ覚悟ができていませんので、長い目で見守ってください(笑)。年末までにはなんとか”塗装地獄”のふたを開けたいものです。

 

2023年10月 9日 (月)

スクリーン・アーカイブズ

 創刊75年超を記念して、近代映画社の映画雑誌「スクリーン」の過去の記事を、テーマごとに復刻した特集本「スクリーン・アーカイブズ」が発売されていたことをつい最近偶然知りました。

 実は、月刊の映画雑誌「スクリーン」は、私の若い頃(中学校や高校時代かな?)の洋画の唯一の情報源でした。まあ、キネマ旬報は高尚な芸術作品が中心でミーハーには小難しいので敬遠していましたし、ライバル紙の「ロードショー」はまだ発刊されていない時期のお話です。
 新作の公開に合わせた様々な記事がを読むのが楽しみでしたし、その中で引用される過去の名作と言われる作品の紹介も勉強になりました。外国人俳優たちの大型写真や人気順位の発表もありましたねえ。女優の人気第1位が、オードリー・ヘップバーンで、男優がゲイリー・クーパーだった時の記憶が残っています。当時は、ビデオもなく、テレビ放送や名画座のリバイバルも少ない時代でしたので、名作「ローマの休日」を知らなかったので、”何故こんなあんまり美人じゃない人が一番人気なのか”と内心不思議でしたねえ。もちろん、その後「ローマの休日」を名画座で観た瞬間、一目ぼれです。我ながら単純です。そして、いつまでたっても、やっぱりご贔屓ナンバー1です。ちなみに、先日発売された4K Ultra HD「ローマの休日」を購入しました。これで、ビデオ、LD.DVD、BD,HDと揃いました。もっともデッキ(ハード)がないので、現在視聴できるのはDVDとBDだけです(笑)。いやあ、馬鹿ですねえ、しかし懐かしい思い出です。

20231009_145019  ということで、この「スクリーン・アーカイブズ」なるものを出版元から通販で購入してみました。まずご紹介するのは、オードリー・ヘプバーン特集の3冊です。どうやら、この本は正式には”アーカイブズ”ではなく、その前身の”復刻特別編集”というもののようですが、サイズがB5版なのに驚きました。1950年代の頃は、雑誌はこのサイズだったのかもしれません。しかし、それ以上にびっくりしたのは、元の印刷物を複写したせいか、なんとも文字も写真も印刷が不鮮明なことです。文字がかすれているところもあります。まあ、一種の同人誌のイメージですねえ。オンデマンド印刷で販売部数も少なく、一般流通に乗っていないことも同人誌に似ています。
 とはいうものの、それぞれの紹介記事がなんとも懐かしいというか、書き手が双葉十四郎、深沢哲也、荻昌弘など有名どころの映画評論家達なのです。文章が軽妙で読みやすく、作品の宣伝的なヨイショも微笑ましいものです。若い頃の新作へのドキドキ感が思い出されます。
 なにしろ、今の時点では名作という評価が定まった作品も、公開当時はさまざまな見方があります。後から紹介する「2001年宇宙の旅」などはその評価がまったく高くありませんし、ヘップバーンに至っては、”あんまり美人じゃない”などと失礼極まりないことをそのまま書かれています。クラシックな容姿が美人というのが当時の通り相場だったのでしょうね。まあ、そんなふうに公開当時の雰囲気が見事に記録されているのには感心しました。まさに”アーカイブズ”としての価値があります。

20231009_145043 20231009_144933 20231009_145214 20231009_145338  そして、ヒッチコック特集、ショーン・コネリーの007特集、クリント・イーストウッドの特集(第1号)などは、実に面白かった。「007は二度死ぬ」の日本ロケの裏話や来日時のインタビュー記事などは、上品なゴシップ調で本当に楽しいものです。前述したスタンリー・キューブリック特集での「2001年宇宙の旅」に対するSF作家の星新一の”良くわからない内容”という率直な感想が時代を表しています。貴重な証言ですよねえ。

 しかし、買ってよかったと思ったのは上記の特集号まででして、ジェームス・キャメロン、ティム・バートンなどの特集号になると、なんか記事がまるで面白くないのです。ご丁寧な挿絵の図解まであるのですが、SFに興味が全く無さそうな女性記者が自分のことばかりを引用して文章を書き連ねた記事などは誰が読むのでしょうか、SF映画ファンを軽視しているのか、とさえ思いました。思えば、この頃はもう既に雑誌「スクリーン」は斜陽だったのでしょうねえ。そして、やっぱり本物の「スクリーン」も1950年代から1960年代が一番輝いている時代だったのだ(笑)。・・・懐かしい時代でした。

2023年10月 8日 (日)

イコライザー THE FINAL

 ご存知、デンゼル・ワシントンの必殺仕置人シリーズの最新作「イコライザー THE FINAL」は、予想外な面白さのある作品でした。ライバル作品といわれる「ジョン・ウィック」のド派手なアクションとは正反対の静かで、しかしなかなか味わいのある小品に仕上がっていました。上映時間も109分と無駄に長くもなく、安心して鑑賞できました(笑)。

Img_20231008_0001  物語は、イタリアのシチリア島の謎めいた惨劇のシーンから始まります。CIAの殺し屋を引退し、アメリカの片田舎に住んでいたはずのマッコールが”組織”をつぶしたのですから、今回は世界的な陰謀事件に巻き込まれたのかと眺めていたら、思いもかけぬことで無敵のマッコールが負傷するのです。この撃たれた設定は実に納得できます。(漫画「なんと孫六」のパクリ(笑)ではないはず?)その直後、彼はその場で銃をこめかみに当てて撃つのですが、弾が出ませんでした。
 そして、なんとかフェリーで本土へ渡ったものの意識を失ってしまったところを小さな街の警官に発見されます。そこで老医者の治療を受けるのですが、なんとここで銃創を「ひどい転倒だ」という医者のひと声で見逃されます。このへんは、いかにもイタリアの田舎社会という感じです。この医者の「あんたは悪い人間か、良い人間か」という問いかけに「わからない」と答え、そのままその老医者の家で治療を受けることになります。あとで明かされる医者の理由が実に味わいがありました。使い古された言い回しでなければ、映画史上に残る名セリフかもしれません。うん、私的にはこれだけでこの映画は見る価値がありました(笑)。

 ともかくも、彼のシチリア島での行動の目的などが一切が不明なまま、その一見平和そうな海辺の小さな町でマッコールの思いもよらぬリハビリ生活が始まるのです。ここからが本編でした。この町は背後を急峻な崖に囲まれ、頂きにある教会を中心に石造りの建物が密集した地形であり、正午に鳴る教会の鐘がいかにも神の意志によってマッコールがここにいざなわれたような演出です。

 入り組んだ急な石段などを使いながら、紅茶を飲みに立ち寄る食堂の黒人系の美人店主や気の良い鮮魚店の親父などとなじみになりながら、平和で静かな暮らしが丁寧に描かれます。イタリアのロケ地の風景が素晴らしいし、なかなかこの辺は描写は気に入っています。正直、年寄りには直近で観た「ジョン・ウィック」の絵空事的なアクションより好ましいなあ。

 しかし、そこはイタリアなのです。定番のイタリア・マフィアの登場です。末端組織チンピラ(ボスの弟)が各商店からお約束のピンハネをしています。しかも、観光開発で街を地上げしようとして手段は過激に暴走し始めます。まあ、マフィアにとっては、タイミングというか運がなかったですねえ、そこには必殺仕置人マッコールがたまたま逗留していたのです。やっぱり神の御業でしょう。あとは、東映「正当やくざ映画」と同じです。マッコールが我慢ができなくなるまでの辛抱でした。

 そして、始まりは、チンピラたちがマッコールが食事している食堂で客を脅迫したばかりに、目にも止まらぬ早業で店から追い出された挙句、待ち伏せして襲い掛かろうとして逆に瞬殺されます。まさに必殺の仕置きでした。
 弟を殺された兄貴のマフィアのボスも情けない。わいろ漬けの警察署長の手首を切り落とすなどの残忍性を見せる(まあ、氷の入ったシャンパン入れに入った手首を持たして病院に送るのは今風なのでしょうか。)にもかかわらず、夜間に押し掛けた街中での復讐では、住民たちの抵抗(スマホ攻撃)にあって、いったん撤収、早朝の攻撃を企てるものの、逆に、仕置人が朝まで待つはずもありませんよねえ。丁度その夜は神を称える街のお祭りの日でした。神の祝福もあるのでしょう、あっという間に屋敷内の手下は全滅。「お前は誰だ」という決まり文句を投げかけたボスは自分が売っていた覚せい剤を飲まされ、死ぬまでの6分間地べたを這いまわりながら苦しむのでした。今回のマッコールの仕置きぶりは情け容赦が無くなっています。
 先日、中村主水が登場する2つのテレビシリーズの裏話等をまとめた「必殺仕置人大全」を読んで、シリーズの第1話あたりは、人は殺さずに長く苦しめるという仕置きだったそうですが、映像にすると後味が悪かったので、一撃必殺に換えたという逸話がありました。うん、確かに日本人の感覚では少しやりすぎと言う気もします。

 まあ、今回の敵役が家族経営のイタリアのマフィアでは少し弱すぎるような気にもなりましたが、新たに登場したCIAの女捜査官が「マイ・ボディガード」の子役ダコタ・ファニングの成長した姿とは後でパンフレットで気が付きましたのですが、その役柄上の設定に感心しました。「何故、私に電話したのか」という答えがまさかのうれしい気配りであり、これがシリーズ物の良さですねえ。

 さらに、極めつけは、最後の最後でに明かされた、マッコールがシチリア島に乗り込んだ理由です。いやあ、これには泣かされました。まさしく第1作の作品の肝です。CIAが追いかけていた麻薬売買を原資にしたテロの陰謀とは全く違う理由なのです。これが実に上手い。脚本家に脱帽です。次回作も観たくなりました。

 最後に、邦題にある「THE FINAL」は、わが国で勝手につけたそうです。原題は「ザ・イコライザー3」とのことです。まあ、住民が見ている中で行われた悪党達への仕置きの後も、マッコールはそのまま住み続けて住民たちとも仲良くやっている映像が出ます。さすが、イタリアとも思えますし、ついに見つけた”終の棲家”という終わり方ではありますが、主演のデンゼル・ワシントンはまだまだ68歳、子役で共演したダコダ・ファニングも今回シリーズに加わったのですから、今後とも頑張ってほしいものです。次回作を期待しています。

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