キングダム 運命の炎
大人気漫画「キングダム」の映画化シリーズ第3作の「キングダム 運命の炎」は余り期待をしていなかったのですが、これがなかなか面白い。大体、邦画の実写アクションは”日本のアニメ”と違って世界水準には達していないという評価は、まあ、これはハリウッド予算と比べると”雀の涙”ほどなのだからしかたがないかなあ、と諦めていました。ただ、このシリーズの佐藤信介という監督さんは、「アイアムアヒーロー」など前から思っていたのですが、大作風活劇に見せる才能が素晴らしい。今回も、多分、CG技術と外国B班スタッフの活用という方法を駆使して、実にスケール感のある映像を創り出しています。中国大陸の歴史ものなので、壮大な風景の実写は不可欠なのですが、パンフレットによると、どうやら、現地に行かずに現地スタッフに指示して目指す映像を撮ったということですから、情報通信網の発達も生かしているのかもしれません。少ない予算でお見事です。尊敬に値します。
ともかく、”史劇”という映画ジャンルに必要な条件は見事にクリアしています。まずは、娯楽映画に対する真摯な姿勢を大いに評価したいものです。なんか小難しいことばかりで評価される作品よりずっと好きです(笑)。
次に驚いたのが、出演俳優陣の豪華さです。主演若手組を除いても、大沢たかおや佐藤浩市に加え、今回新たに山本耕史、片岡愛之助(監督曰く”濃いメンバー”の敵将役とのこと)、そして、玉木宏、小栗旬、吉川晃司(パンフレット見るまで、だれか分かりませんでした(笑))などなど、主演級俳優が目白押しです。さらに、今回は杏ちゃんがなかなか力演して見せてくれました。不覚にも思わず感動しましたゾ。
それにしても、原作漫画は既に69巻が発売されているようですが、今回のお話は、まだ8巻と11巻の内容だとか、これは先が長い、新たに出演できる力のある俳優さんが日本映画界にそんなに居るのかなあと余計な心配をしたくなりました(笑)。
さらに驚いたのが、今回の筋立てです。内容に使った原作の巻数が前述のように飛んでいるのは、監督が”秦皇帝の生い立ち”の話を敵国と存亡をかけた大戦の前にうまくはめ込んだためのようです。なにしろ、映画の前半は、結局”秦始皇帝”の過去の回想になるのですから、意外だったのです。でも、これがなかなか泣かせます。
そして、後半やっと、因縁のある敵国との戦いです。まあ、いろいろ戦術を並べていますが、ここは漫画が原作のせいでしょうか、結局、最後は主人公の超人的なアクションによって勝利するのが、やや不満ですねえ。いや、漫画というより、中国の豪傑のお話が元なのですから、そこは言っても無理なのでしょう(笑)。
でも、主人公達の勝利の宴に敵の謎の”剣神”が登場して、いざ戦わんと言うところでエンドマークです。これはないなあ。長い物話の途中というのはわかっているけど、これはないなあ。次の公開は何年先?・・忘れてしまいますねえ。全くこんな連続映画方式を生み出したマーベルのアメコミ映画を少し恨みますねえ。
まあ、でも、早く次を観たいとおもうほど面白かったのは間違いありません。
しかし、最近はこんな映画ばかりです。「ワイルド・スピード」、「ミッション・インポッシブル」・・でも、本家のマーベルは新シリーズは全然ダメですねえ。マンネリが過ぎたというところかも。なんでもほどほどに願いますゾ。
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