チャールトン・ヘストン
先日「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」が封切られた(当ブログ2023.7.1参照)際、宣伝のためか、YouTubeにいろいろな小ネタや裏話が関連情報として掲載されていました。その中のひとつに、インディの代名詞ともいえるあの幅広の帽子を被った服装は、チャールトン・ヘストン主演の「インカ王国の秘宝」のコスチュームが元ネタとの話がありました。結構、インディ・ジョーンズ関連の書籍も読んでいたのですが、このネタについては、読んでいて忘れたのかはさて置き、記憶にありませんでしたし、その映画のことすら全く知りませんでした。
思えばチャールトン・ヘストンは「十戒」や「ベン・ハー」の史劇の大スターであり、若い頃は結構ファンでした(それすらも忘れていました(笑)、いやライフル協会会長となっていたので敬遠していたのかも・・)ので、早速その「インカ王国の秘宝」のブルーレイを購入して観てみました。物語は、ペルーに在住するガイド役がヘストンであり、確かに元祖インディの恰好をしています。観光でやって来る金持ちのマダムたちのお相手をして金を稼ぎながら、伝説のインカの秘宝を手に入れ、アメリカに帰ることを夢見ているダーティ・ヒーローです。
しかし、どうもヘストンの190cmの体躯と軽薄な行動がなんともちぐはぐで共感できません。これが似たような役に定評のあるハンフリー・ボガードなどとの違いなのでしょう。やっぱり、ヘストンは史劇がお似合いであり、普通の劇には向いていませんねえ、などと思っていたら、この作品は1954年公開なので、一役名声を得た「十戒」やアカデミー主演男優賞の「ベン・ハー」などの史劇に主演する前の作品だったようです。作品としては、実際に「マチュ・ピチュ」で撮影し、現地のペルー人が伝統衣装で登場するシーンがあることが唯一の価値のような気がします。そういえば、同時代に撮った「黒い絨毯」も辺境のアマゾンが舞台でしたから、普通の都会の現代劇向きではないことは周囲も知っていたのでしょうねえ。
つまるところ、ヘストンといえば史劇以外ではさっぱりという評価だったのが、SF映画「猿の惑星」に主演したことが彼の第二の転機になりました。彼の容貌や体躯は、身近なちまちました現代劇に似合っていないのです。やっぱり神話や過去の歴史や未来の空想のSF世界が良く似合います。
特に、SF映画への出演第1作の「猿の惑星」は実に良かった。実際は、低予算だったらしいのですが、猿たちのメイクアップが画期的でしたし、襤褸をまとった奴隷のようなヘストンの姿は史劇で鍛えた風格が滲み出ます(笑)。そして、ラストの砂浜の号泣は名シーンでした。続編も時代を越えて作られ続けており、まさしくSF映画の傑作といえます。
それにしても、「猿の惑星」はどうして、ここまでリメイク作品が続くのでしょうねえ。ちなみに、第1作のような特殊メイクアップの使用は後年、進化した”CG技術”に取って変わられ、モーション・キャプチャーで俳優たちが顔にマークを貼り付けて演じています。
それはそれで物凄くリアルなのですが、第1作を初めて観た時の、猿たちのメイクアップのインパクトは今思っても感動します。そうしたメイクした猿たちの人気はいまだに続いており、最近も悪役のオランウータンのボスであるザイアス博士がフィギュア化されています。最近のフィギュア生産技術は各段に進歩しており、一昔の人形っぽいオモチャ仕様ではありません。わずか16cmぐらいのサイズで布を着せたアクション・フィギュアなのに、実によく似ているのです。いやあ脱帽です。映画の感動が再現されるほどの出来栄えです。ついでにご紹介します。
いつのまにかヘストン主演の映画紹介記事が共演した悪役のフィギュアの話に変わってしまいました(笑)。まあ、ヘストンの人生も人種差別反対の公民権運動で活躍した後、共和党に鞍替えし、ライフル協会会長を5期も努める保守主義者になっていますから”人”は変わります。当然、私の贔屓も話もオチは変るのだ(笑)。
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