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2023年5月30日 (火)

65

 予告編で知った映画「65」のストーリーは、アダム・ドライバーが演じる主人公が6500万年前の地球、しかも、恐竜を滅ぼした隕石が降って来るDディーに紛れ込み、幼い子供を助けながらいかに脱出するか、というものでした。

Img_20230529_0001  恐竜時代にタイムスリップする設定なのかな?、でも、ティラノサウルスなど白亜紀の恐竜に人間が出会うのは恐竜ファンとしてはなんともロマンあふれるワクワクするような冒険譚になるだろうと勝手に思っていました。
 でも、いきなりの冒頭で意外な展開です。ネタバレになるかもしれませんが、アダム・ドライバーは、別の惑星の地球人そっくりな異星人だったのです。その惑星では、英語を話し、ポリコレを遵守し、黒人系の妻と病気の娘を抱えて、医療費を稼ぐために長期の宇宙探査に出かけようとしていました。まあ、ネタバレというより、本来事前に知っておくべき情報なのでしょうが、あまりなとんでも設定に絶句しました。
 とはいうものの、世間には”タイムトラベルを回避した秀逸な設定”という絶賛の声(Youtube)も一部みられますが、それなら主人公が英語でしゃべるのは止めてほしかった。あの名作「猿の惑星」での英語をしゃべる猿たちの意義を無に帰するものです。なんかこの幕開けの地球そっくりシーンでいきなり脱力しました。

 そして、任務を終えて帰路の宇宙船は突然の隕石群に遭遇して大破し、タイトルの6500万年前の地球に不時着するのですが、このあたりの描写がなんとも違和感一杯です。宇宙を探査しようとする科学力の発達した異星人は、隕石群への対策が警報だけというのも合点がゆきません。パイロットであるアダムドライバーの居眠り運転のせい(Yuotuerの意見)というのはあまりに酷です。もう少し脚本をSF映画らしく工夫すべきです。さらにいうと、遭難先で主人公が使う危険探知機は、警報が鳴っても意味はないくらい近くに設置しており、その効果はもう笑うしかありません。もっとマシンの設定なども詰めてほしいものです。

 また、冷凍睡眠カプセルの乗客は一人の少女を除いて死亡するのですが、”宇宙探査機のはずが、何故子ども連れの乗客が乗っているのだ”などとささいな違和感も湧きあがり、どうも映画の世界に没入できません。しかも、少女は黒人系の異人種です。行動も言葉も通じません。この辺はポリコレという以前に、無意識の黒人差別(いつもの白人の上から目線)なのではないか、というような気にさえなります。

 それでも、こんな小骨はすっかり飲み込んで、なんといっても舞台は白亜紀の地球なのです。ティラノサウルスやトリケラトプスが棲んでいる筈です。恐竜ファンとしてはここに大いに期待したのですが、残念ながら有名どころの恐竜は一切登場しません。もちろん化石に残っているのはごく一部ですから、まだまだ未知の恐竜は無数にいるはずです。
 しかし、映画に登場するのは、初期の巨大なトカゲ類のような、四つん這いで襲い掛かる人間ほどの肉食恐竜ややけに腕の長いティラノサウルスのような大型恐竜です。なんとも”微妙”です。

 パンフレットによると、監督さんは”恐怖を重視したような造形”を意図したようですので、それはそれで気持ち悪さを醸し出しているのは理解しましたが、爬虫類と恐竜の違いまでも意識させるような造形は、なんとも恐竜ファンの心を逆なでします。
 これが白亜紀の地球でなく、他の惑星なら良かったのですが、しっかり”地球”と明記し、エンドロールではご丁寧にも未来の現代ビル群まで映像化しているのですから、どうにも気に入りません。
 まあ、いいでしょう、そういう未知の恐竜がいたとしても、あのラストは微妙です。異星人の使う近代兵器でも平気なラスボスがあんな最後とはやっぱり”微妙”です。

 以上、90分ぐらいの長さですので、退屈はしなかったものの、SF仕立ての小道具や恐竜の造型に疑問符が付いた、全体的に”微妙な出来”の作品でした。個人的にいえば、演技派アダム・ドライバーは、宣教師な役は似合いそうですが、ヒーロー映画の主人公はやはり”微妙”でした。

2023年5月27日 (土)

ワイルド・スピード/ファイヤー・ブースト

 ヴィン・ディーゼルが主演を務める「ワイルド・スピード/ファイヤー・ブースト」は、22年も続いているシリーズ10作目で、どうやら完結編の前編らしい。冒頭、第5作目の「ワイルドスピード・メガマックス」のラストのシーンが流れます。私がこのカー・アクション映画にハマった、あの大金庫を二台の車でリオデジャネイロの街を引きずり回した大騒動を再現してくれます。あの時、最後に殺された悪役の麻薬王のボスの息子が今回の敵役であり、「アクアマン」のジェイソン・モモアが復讐心に燃えるダンテを演じます。見た目も強そうだし、悪魔のようなやり口であの仇敵シャーリーズ・セロン演じるサイファー一味を一蹴して、ドミニク・ファミリーに襲いかかります。いやあ、”強い悪役がいる映画は面白い”という定説のとおり、冒頭から凄まじいアクション全開になります。

Img_20230527_0002  アクションの第一弾は、ダンテの仕掛けた罠にはまって、ドミニクたちがローマの街を転がる球体の中性子爆弾を追いかけ回る羽目になるというものです。転がる爆弾は「ローマの休日」で有名な名所などを次々とぶっ壊します。まさに、5年前のリオデジャネイロの街に起きた大金庫暴走の再現です。しかも、スケールが倍加している分、迫力が凄まじい。最後は、人間業とは思えないほどのトリッキーな荒業で被害を最小限に食い止めるのですが、ローマの街は見るも無残な姿になってしまい、しかも、ダンテの企みによりドミニクたちは指名手配犯になります。

 それにしても毎度毎度奇想天外なカー・アクションを見せてくれるシリーズですが、今回はさらに予想を大きく上回るアイディアのてんこ盛りです。これが冒頭ですから、恐れ入ります。この大アクションを皮切りに、次々ととんでもない荒唐無稽の言葉では収まらないほどのファンタジックなアクションが展開されます。是非、劇場でご堪能ください。

 しかし、こうした派手なアクションだけでなく、ストーリー展開もなかなか優れものです。先手先手に仕掛けられるドミニクの攻勢によりばらばらになったドミニク・ファミリー・メンバーの行動など、話の先が全く読めず実に面白いのです。しかも、完結編らしく、これまでの登場人物の関係者が次々と登場します。

 前述のドミニクの息子の”実母”殺しの犯人サイファーの意外な行動にもあっと驚きましたし、その”実母”の妹も登場します。当然と言えば当然ですが、前作で敵だった弟ジェイコブもドミニクの息子の護衛役でしっかり儲け役を演じます。
 また、道化役のローマンらも期待どおりに見事にお笑いパートを演じています。そして、前作のラストの予告通りジェイソン・ステイサムが登場したものの、ドミニクと息子が絶対絶命の死地に立たされたところで、前編は無情にも幕を閉じます。次回作を早く観たいのですが、どうやら封切りは2025年という噂もあるようで随分先ですねえ。困ったものです。

 それにしても、ダンテの仇としては、もう一人ドウェイン・ジョンソン扮する捜査官がいるのですが、本編には出てこないのです。噂通り、役者同士の仲の悪さが解消できなかったのかなと思っていましたら、最後の最後でやっと登場しましたので、どうやら後編には登場するようです。しかも、このシリーズでは途中で死んだはずの妻のレティやハンが実は生きていたという剛腕ぶりを発揮しているので、あの劇中で死んだハンの恋人役ガル・ガロットも復活するのではないか、とも夢想していたのですが、どうやらそれが正夢になりそうです。
 そうなると、可哀想なのが、ステイサムの弟役ルーク・エヴァンズです。あれから劇中療養中というだけで一切登場しません。さらに、言えば、妹の夫役の俳優ポール・ウォーカーさんです。実際には死亡されていますが、いまはCGで復活できる時代です。今作も、10年前のメガマックスの映像には登場しており、生きている設定上家庭で妹だけの登場はやっぱり不自然でした。せめて次回の完結編には是非登場させてもらいたいものです。

 とにかく、アクション娯楽映画として、文句なく面白かったので一日も早い続編公開をお願いします。

2023年5月15日 (月)

アマデウス

 久しぶりにミロス・フォアマン監督の傑作「アマデウス」を観ました。オークションで安売りされていたスチールブック製のブルーレイをゲットしたからです。

Img_20230515_0001   内容は、ウィーンの宮廷作曲家サリエリの目を通して描かれる天才モーツアルトの破天荒な生きざまです。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトはまさしく天才の名にふさわしく、気ままで女好きで騒々しい下品な存在として描かれます。そして、敬虔なキリスト教信者であるサリエリは、モーツァルトの作曲の天才性を同世代で唯一理解できたゆえに嫉妬と神への恨みからあの手この手でモーツァルトを追い詰めていくというストーリーです。

 この作品の魅力はなんといっても18世紀の時代をリアルに再現しているところです。とにかく、街並み、宮殿、オペラ劇場、そして衣装・コスチュームが重厚で見事なのです。ブルーレイの魅力の一つである特典(オマケ映像)のメイキングと監督やスタッフのインタビューを見ると、1984年公開されたこの映画のロケ地はソ連時代(1991年崩壊)のチェコなのです。首都プラハは当時の建物がそのまま保存されていたそうで、若い頃にチェコから亡命した監督によると、”鉄のカーテンで守られて保存された街”だそうです。しかも、撮影中はいたるところに秘密警察が混じっていたというのも思えば凄いお話です。

 そして、俳優も素晴らしい。サリエリを演じたF・マーリー・エイブラハムは、当初別の役だったのを何かの機会に代役を演じたら、ミロス監督がすっかり気に入ってしまい、そのまま主演となったらしい。アカデミー賞主演男優賞まで取ってしまったのだから、その名演は見ごたえがあります。あの神への祈りなどは西洋文化におけるキリスト教の罪深さまでも感じられます。
 また、モーツァルトを演じたトム・ハルスも頑張りました。”キャハハハ・・・”という甲高い声は初見では度肝を抜かれました。学校の音楽室に飾っていた肖像画でお馴染みの楽聖ともいわれる天才作曲家のイメージがガラガラと崩れた時でした(笑)。聞くところによると、この作品のモーツアルト像には、モーツァルト協会(こんな組織があるらしい)からクレームが来たとか、さもありなんです。

 さらに、才能は無いが、音楽好きな皇帝ヨーゼフ2世も適役でした。一度見たら忘れられません。楽屋話では、キャスティングはとことんまで選考したらしい。それも有名俳優は除いて・・・。さすがミロス監督です。ただ、モーツァルトの妻のコンステンツェの女優さんがすこし違和感が残りましたが、実は、本命の女優がロケ地で足を骨折しての急な代役らしく、結局時間切れで決まったらしいのです。これもメイキング映像で本命の女優さんのスクリーンテスト映像を見ると実にしっくりくるのですが、撮影前に遊びでサッカーなどしていたらやっぱり失格ですわねえ。

 このように、この作品の良さを語りだしたらキリが無いのですが、ともかく全編を通じて重厚さと18世紀の息吹が感じられます。今時のアメコミ映画などとは雲泥の差ですねえ。これが時代を超える傑作と言うものです。家のテレビ画面でも一気に視聴できました。なんせ冒頭の街に雪が積もっているシーンだけなのに引き込まれるのです。これもメイキングのインタビューで、雪の街を歩く召使役の俳優は、雪が降るのを待ってロンドンで待機、そして降り始めたらプラハに飛行機で呼び出されたと証言しています。いやあ、本物志向の凄い映画監督と改めて思いました。まさに、本物の映画というものを堪能させていただきました。どうも、ありがとうございました。

 

  

 

 

 

 

2023年5月14日 (日)

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME3

 劇場に行こうかどうか、迷った挙句、レビューの評価の高さに唆されて「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME3」を観て来ました。ご承知のとおり、ジェームス・ガン監督のシリーズ3作目です。今回のストーリーは、アライグマのサイボーグ”ロケット”の物語でした。普通の地球産のアライグマがいかにして人語をしゃべり、各種の武器を使いこなす戦闘のスペシャリストになったのかを、その実験動物だった悲惨な幼児期から描きます。

 いかにもガン監督らしいと言えばそれまでですが、なかなか陰惨で残酷な場面が続きます。とはいっても、ある意味予想通りの展開に終始し、あまり驚きも感動も感じませんでした。なんか淡々とストーリーが進みます。主人公のスター・ロードも、プロレスラーのドラックスも、なんか影が薄いのです。死んだはずの元恋人のガモーラの存在も不可解でした。ギャグもあまり冴えません。唯一、笑ったのが、今回のヴィランの顔を貶した「ロボコップみたいな顔」という楽屋ネタの一言でした。これは私も全く同感でしたので、大いに笑わせてもらいました。
 それ以外は、なんともオカシクも面白くもなかったので、やや困惑しています。

 以前「ザ・スーサイド・スクワット ”極”悪党、集結」でも感じたように、どうやら私はジェームズ・ガン監督のセンスと相性が悪いようです。映画を観た観客のレビューの評価が高い(5点中4.3点)のは若者が中心でしょうから、どうも歳をとって世間様とのズレが大きくなったような気もしますが、・・・いやいや弱気は禁物です。ここは”作家によっては合わない作風もあるのだ”としっかり割り切りましょう(笑)。

 以上のように、この作品には私が”惚れ込む”場面がなかったのですが、退屈はしていませんでしたので、興味ある方は是非ご覧ください。当然、今回はパンフレットなどのムービー・グッズの購入はありませんでした。そのため、画像の掲載もなく文章だけのすこし寂しいブログになりました。その分、短い文章にしていますので、ご容赦ください(笑)。

2023年5月 4日 (木)

フットルース

 スチールブック仕様ブルーレイのオークションを眺めていたら、1984年公開の映画「フットルース」を見つけました。レンタルショップゲオの特製スチールブックの中古品ですが、かなり安かったので購入しました。まあ、アマゾンプライムならレンタル300円で視聴できるのですが、スチールブックの円盤(ブルーレイ)というのが決め手でした(笑)。

 実は、恥ずかしながらこの映画を観たことが無かったのです。もちろん、この映画がケビン・ベーコンの出世作で青春ダンス映画というぐらいは知っていましたが、何故か見る機会が無くて今に至ったのです。

 そして、今回、初めて観た感想として、なにより自宅のテレビでの再生にもかかわらず最後までしっかり観ることができたことを評価します。というのも最近歳のせいか辛抱(?)がなくなり、新作の動画配信などは、ちょっと面白くなければ早回ししたり、ひどい時には数分で観るのを止めてしまうことが多いのです。つまり最後まで観ることは快挙なのです(笑)。さすが大ヒットした作品はやっぱりそれなりに大したものです。

Img_20230501_00011  まず、オープニングに登場する様々な足元だけのダンスステップが意表をついて一気に観客を映画の中に引き込む見事な演出となっています。ストーリーは都会のシカゴからダンス禁止の田舎町に引っ越した、24歳のケビン・ベーコン扮する高校生の学園物語なのですが、なによりアメリカの田舎に住む白人たちの過激な保守ぶりには改めて驚かされます。本当にアメリカ人気質は過激ですねえ。

 とにかく教会を中心にした伝統を死守しようとする田舎町の姿が異常なのです。ダンスやロックなどを撲滅しようとする牧師をジョン・リスゴーが演じます。「クリフハンガー」の悪役をなんとも憎々しく演じたこの俳優さんの個性が独善的な宗教家にぴったりです。信じる神と正義の名のもとに町民たちを先導する姿はこわいですねえ。町民たちも問題を起こしたベーコンの母親を解雇したり、家に投石をするなど、まさに”ド田舎”ぶりには引いてしまいます。田舎の教会と町議会がこわい(笑)。

 そのことはブルーレイの特典のインタビューの中で、ロケ地がまさにそうした”信心深い”町であり、撮影すること自体心配したという証言もありますので、それほど現実を誇張していることでもないと思いますが、日本人の感覚ではとても理解できません。逆にいえば、単純な高校学園モノではなく、アメリカと言う国のあり方を淡々と問いかけている、なかなか大した作品に思えます。

 もっとも、この作品は糾弾するだけではありません。ダンス禁止に先鋭化した牧師でさえ、町民が勝手に焚書活動を始めたときは彼らの行動を諫めます。このへんの描写はまだまだアメリカの良心を信じている善良さを感じさせますし、妻を演じたダイアン・ウィーストという女優さんが実に菩薩のような、いや、アチラではマリアでしょうか、慈愛の表情を浮かべ、夫の心を取り戻すエピソードは製作当時の1984年にはまだまだ救いがあったような気がします。ラストのダンス再開エピソードで希望を提示するのですから・・。 

 とにかく、見事な廃工場のダンスシーンやアメリカの田舎の本当の姿を描いているところが気に入りました。もっとも、ケビン・ベーコンの華麗なダンスは、実は場面によっては何人かの吹き替えだったことがオマケの特典映像で明かされ、正直ガッカリもしましたが、逆に、実際に全く踊れなかった友人が練習して見事なダンスを披露するのは演じた俳優さんの猛練習のたまものだったそうです。思えば、39年も前の作品なのですが、1時間47分本当に楽しませていただきました。ありがとうございました。

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