すずめの戸締まり
いま大ヒット中の新海誠監督の「すずめの戸締まり」は、主人公の女子高校生が”あれよ、あれよ”と宮崎から東京、そして宮城まで旅する展開で退屈はしなかったものの、どうも腑に落ちない映画でした。主人公が通りすがりのイケメンを突然追いかけたり、奇っ怪な出来事にも全く動じず、さらに出会う人達が皆善人で親切に泊めてくれるというなんとも都合がよすぎてリアル感がないお話なのです。
しかも、異界と通じるドラえもんのどこでもドアとか、地震を起こす巨大なミミズなど、何故、彼女だけ見えるのか、また、どうしてその世界に入れたのか、第一、あの猫の行動の目的はなにか、それらしいセリフがあるものの、意味がよくわかりません。
本来、要石は人柱で恐ろしいもののはずなのに彼女は何の恐れも自らの行動への反省もみられないなあ!!・・・なんてことを上映中ずっと疑問に思っていたので、いまひとつ楽しめませんでした。演出が稚拙なのか、あるいは確信犯か?とにかく、もう少し分かりやすくしてほしかった。
それでも、3本脚の自走する椅子という発想やSNSで猫の逃走先が分かるというエピソードはいかにも今時の作品らしく、それなりの面白さもあったのですが、やっぱり道中袖すり合う登場人物達の行動があまりに主人公に都合が良いのでなんともシラケます。その分、逃走した猫(神)の”人でなし”の性悪さ(笑)が目立ちますが・・。自然災害を引き起こす祟神というテーマにした絵空事を描くなら、その大きな嘘に説得力を持たすためには現実社会の人の姿をもっとリアルに描く必要がありますよねえ。世の中には悪い人間も一杯いますよ。
結局、冒頭の伏線を回収して、ハッピーエンドらしく幕が下りても、前述した数々の疑問は少しも解消されませんでした。やっぱり要石となった人柱の悲しみは無視されるのですねえ。齢のせいで理解力や柔軟性が衰えたのかもしれませんが、なんともスッキリしないので、やや辛口の評価になりました。世間的には大ヒットですから、お許しください。
個人的に言えば、新海誠作品としては「君の名は」が一番ですねえ。ちなみに、前作「天気の子」は”雨の降り続く世界の到来”という無残な終末が好きになれません。もう世界の終わりですよねえ、本当に大変なラストでしたのに、何故か誰もあまり気にしていないのが不思議です(笑)。
なお、パンフレットは完売で画像の掲載は見送りです。
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