ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
今月は劇場で是非観たいという映画は無かったものの、せめて月1本ぐらいは劇場に足を運びたいと、本日「ブラックパンサー/ワカンダ・フォエバー」に行ってきました。この作品は、ご存知のとおり、アメコミ映画で初めてアカデミー賞にノミネートされ、いくつかの賞を受賞した「ブラックパンサー」の続編です。この第1作については、個人的には”何処が良いのかさっぱりわからない”という感想で、当ブログ(2018.3.11参照)でもかなり酷評しています。正直、”黒人主演による黒人ヒーロー映画”ということで、当時のアメリカでの政治的な時流にのったハロー効果のせいで評価も高く、大ヒットしたのではないかと睨んでいます。
2作目はその完全な続編なのですが、実は主演した俳優が急逝したため、別の俳優を代役に立てずに、主演のヒーローを死んだことにして、その後の物語を新たに創り出したようです。ストーリーの面白さには定評がある(例外もあるが・・)マーベル作品ですので、前作の評価は別にして、どんなスクリューボールを投げてくるか、今作の変則的ストーリーに一寸興味がありましたので、大ヒット中の新海誠アニメ「すずめの戸締り」をパスして、劇場に足を運びました。
結果としては、さずがマーベル映画です。主人公の黒人王のヒーローが病気で亡くなったという設定で、残された家族の悲しみを描いています。
ヒーローが死亡して主人公が交代するという前代未聞の設定の中、先の読めないストーリー展開はなかなか楽しめました。
まあ、副題にある科学が進んだ”ワカンダ”王国の風景や文化などはやっぱりちぐはぐ感が満ち溢れているのですが、今回新登場のネイモアという海の王国の王様の設定が実に良い。もともとの原作漫画でも有名な”ヴィラン”らしいのですが、スペインに征服されたマヤ人から”突然変異”した一族であり、その理由はなんともアメコミらしく”クモに刺されて・・”のようなお手軽な設定ですが、白人への中南米の先住民の復讐とも読み取れるストーリーには感心しましたし、ネイモアの少年期を演じた子役も素晴らしい。
まあ、彼らが皮膚呼吸もできるなどという”科学的解説”は別にして、先住民族の羽飾りのある衣装などがなかなかリアルな風格があって侮れません。実際、ワカンダ王国の”変な”衣装より百倍は見事です。
そして、なによりネイモアを演じたメキシコ人の俳優が実に上手い。海の民を守るという高邁な思想は、単なる悪役にはしていません。この辺の脚本がいかにもマーベルらしく舌を巻きます。彼の敗因は、結局、ワカンダの王女を信用しすぎたことですねえ。残念です(笑)。それにしても、足首に羽が生えており、その羽で自由自在に空を飛ぶという幼稚園児のような発想(中二より下?)をリアルに映像化しているのにはもう驚いたというしかありません。投資額の違いはわかりますが、我が国のCG特撮もなんとか奮起してもらいたいものです。
最後は、ワカンダ王女が覚醒し、2代目ブラックパンサーとなってワカンダ王国を守護するのですが、まあ、大きな犠牲を払った(戦争への準備はもっとしてほしかった・・)ものの、あまり後味の悪いラストにはならず、160分と少し長いですが、映画料金分は十分楽しめました。
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