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2022年7月31日 (日)

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

 「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」は、恐竜映画のエポックメイキング作品である「ジュラシック・パーク」の後継シリーズ「ジュラシック・ワールド」3部作の完結編です。

Img_20220729_0004  恐竜マニアで「ジュラシック・パーク」第1作と第2作をこよなく愛する私にとって、この新しい”ワールド”シリーズは、どうも今一つ盛り上がりません。新シリーズの第1作の新しい”恐竜ランド”は、オリジナルの第1作の焼き直しであり、進歩したCG技術で架空の恐竜を創り出しても、あんまり面白くありません。まあ、海生爬虫類のモササウルスをデビューさせた(笑)のが数少ない評価できる点です。
 2作目はさらに悲しくなりました。当ブログ(2018.7.17参照)では、”普通の映画”になったと嘆いています(笑)。火山の噴火で島の恐竜が全滅するのを助けようとするお話ですが、やっぱり架空の恐竜が興をそぎますし、クローン人間まで登場し、最後は生き残りの恐竜を世界に放つことで幕を閉じますが、一体、この始末をどうするんだ、と驚いた記憶が蘇ります。完全な続編ありきの中継ぎでしたねえ。

 そして、この最終作につながるのですが、冒頭で、世界中のいたるところに恐竜が出没している映像が流れます。ここで、雪原を歩く恐竜、荒野を疾走する群れなどは実に素晴らしい景色です。かつてNHKのドキュメンタリー特集で雪の中の恐竜CGを見た経験が無かったら、もっと感動していたかもしれないと少し残念です(笑)。お約束のモササウルスの獰猛振りも一場面挿入されています。

 どうやら前作以降闇ブローカーが暗躍して恐竜の密売が横行する一方、公的には唯一”バイオシン”というバイオ関係の大企業が恐竜の保護エリアを管理しているという設定です。まあ、ここが今回の新たな”ジュラシック・パーク”になります。このうさんくさい大企業のCEOがあのスティーブ・ジョブズにそっくりなのです。思わず笑いました。ライバル会社ゆかりの人を相手に”ユニバーサル”もなんか人が悪いですよねえ(笑)。

 また、世界中に穀倉地帯を食い荒らす巨大なイナゴの大軍が発生するなど、世界の終わりが近づいているエピソードが唐突に描かれます。聖書の影響か、大陸では身近なのか、とにかく欧米人は終末となるとこの虫のお話が好きです。でも、イナゴは恐竜じゃないですよ(笑)。

 さらに、今回の映画の目玉として新シリーズの主人公クリス・ブラットとブライス・ハワード、そしてクローン人間の子役に加え、オリジナルの3人の科学者、サム・ニール、ジェフ・ゴールドプラム、そして女植物学者ローラ・ダーンが勢ぞろいします。最近、こういうオールスター映画が流行っていますが、・・私は好きです(笑)。みんな元気そうでうれしい限りです。

 ストーリーは、オートバイと恐竜、密猟者との銃撃戦など、アクションも満載ですが、それはまあ映画を観ていただく(笑)として、やはり、この映画の一番のお楽しみの恐竜の紹介をしたいと思います。ティラノサウルス、ヴェロキラプトルなどいつもの常連ではなく新顔を中心にお話します。
 何分、完結編ということで、登場する恐竜の種類もかなり増えています。なお、今回は、架空の恐竜は登場しませんので、ご安心ください。もっとも、この映画での恐竜の復元像自体が学説と随分違うというご意見の若い人もいるように聞いていますが、カエルの遺伝子を使ったというオリジナルの設定もありますし、映画の恐竜はカッコ良いので細かいことは言わないように(笑)。

 実は、前作のブログ(2018.7.17参照)の中で”悪役恐竜は羽毛恐竜にしたら良い”などと書いていましたが、今回、そのことが現実のものとなります。ピロサウルスというそうで、凍った湖の上で、クリスらに襲いかかります。黒く見える羽を広げながら威嚇する姿は、なかなか悪役ぽくて感心しました。NHKの赤と青色の安手の羽毛恐竜のデザインとは雲泥の差です。しかも、氷の下を猛スピードで泳ぐのです。この演出には驚き、感心しました。確かに水鳥は水中を泳げるのですから、この意外な設定にも納得です。旧シリーズ3作目の霧の中いざり寄って来る”プテラノドン”の恐怖の再現です。座布団1枚です。

 そして、いつかは登場するだろうと思っていた、最大の翼竜ケツァルコアトルスも貨物飛行機を襲い、爪で機体を引き裂きます。しかし、これはいくらなんでもやりすぎです。あの骨格でそんな力はありえない、などと思ってしまいます。でも、話の都合上、飛行機が墜落しなければなりませんので、これも仕方がありません(笑)。

 また、巨大な3本爪をもつ草食恐竜テリジノサウルスも最後は物凄い力を発揮するのですが、ここは少し演出過多です。旧シリーズ第3作目でティラノサウルスを圧倒した魚食い恐竜バリオニクスの嘘臭さの二の舞ですねえ。

 加えて、おなじみティラノサウルスのライバルとして登場するのが、世界最大の肉食恐竜と言われるギガノトサウルスです。なんか、デザインも架空の復元図のような気がしますが、本来、ティラノサウルスは噛む力など類をみないほど強力なので、やっぱり役不足ですねえ。

 逆に、懐かしかったのが、背中に帆を立てたデメトロドンです。懐かしいジュール・ベルヌの原作を映画化した「地底探検」に登場する、生きた本物のオオトカゲに背ビレをくっつけた特撮へのオマージュとのことです。うれしい限りです。座布団1枚差し上げます。

 そして、トリは、オリジナル第1作のエリマキ恐竜ディロフォサウルスです。これは、学説には無いエリマキを震わせ、毒液を吹いて、遺伝子サンプルをスプレー缶に隠して盗み出した太っちょの産業スパイを殺したことで有名ですが、今回そのスプレー缶まで再登場するのです。いやあ、30年ぶりの伏線回収ですか?お疲れさまでした。

 そのほか、クローン人間の生みの親のエピソードには泣かされますし、最終的に、恐竜と共存する世界という終わり方も案外よかったと思います。思えば、前作まで恐竜を閉じ込めてメデタシ、メデタシという考え方は、なんとも狭い了見でしたねえ。世界はこんなに広いのですから(笑)。でも、市場に配慮してか、あの諸悪の根源の中国人科学者の扱いがどうも甘いような気がします。

 以上、細かなことをいろいろ言いましたが、恐竜映画として十分楽しめました。新シリーズの中では最高の出来です。未見の方は是非ご覧ください。

 

 ところで、全く映画とは無関係の余談なのですが、チェコの恐竜復元画家ブリアンなどの復元図の原画展が来年3月から兵庫県立美術館で開催されるそうです。この展覧会は、全国を巡回するのでしょうか? 是非、そうなってほしいなあ。関係者の皆様の取り組みに期待したいところです。恐竜ファンとしては、とにかく懐かしさで一杯なのです。当時の古い学説に基づく復元図なので、是非、美術品として楽しんでください。

 

2022年7月23日 (土)

峠 最後のサムライ

 「峠/最後のサムライ」は、幕末の越後長岡藩の家老河合継之助の生きざまを描いた司馬遼太郎の原作「峠」を映画化した作品です。監督は、黒澤明の後継者とも言われた小泉堯史らしく、衣装や美術など実に丁寧な映画作りをしています。

 史実では薩長連合軍5万に対して690名で戦い幕府の意地を見せた”最後の侍”というのが一般的な評価なのでしょうが、この映画を観るかぎり、どうにもその人間像に共感が得られませんでした。原作もあんな感じだったのかな。

Img_20220723_0001  映画の中で役所広司が演じる河合継之助は、見かけも態度も立派で、部下はもちろん同僚や一般庶民まで周囲の者は皆”ご家老”を尊敬しているのです。芸者遊びが大好きで女房まで遊びに連れていくのを彼の両親が温かく見守っていたり、補佐役も闇討ちで襲い掛かる反対派の若侍達も、彼の言葉で説得されるのです。加えて、諸外国の事情にも通じており、ガトリング銃やオルゴールまで輸入している知識人でもあります。

 しかし、”戦いはしない”と大見えをきった挙句、主戦論者の殿様の立場で藩を動かし、薩長との交渉を行うのですが、敵の状況や時勢をあまりにも楽観的に捉えていたという描かれ方です。
 「戦いを避けるためにあらゆる手段をつくす」などというセリフの割に、京都や薩長との事前交渉も一切行わずにただ長い間無視した挙句、最前線の司令官に唐突に嘆願書を出しただけで、しかもたった1日粘っただけであきらめる姿には、なんとも”幕末の傑物”とはとても思えず、ただの”世間知らず”、”夢想論者”という描き方になっています。とにかく、見通しが甘いし、暢気すぎますねえ。

 しかも、峠の砦を奇襲して確保しただけで、敵が信濃川を渡って攻めることなど念頭にも置かないとは、とても知将とも言えません。そのお気楽さで、城は落城するは、城下町の人は焼き討ちされるは、では目も当てられません。その後、地の利を生かして湖を渡って夜襲し、城を取り戻すものの、すぐに味方の裏切りにあって敗走します。燃えている家の前に茫然とたたずむ孫を抱いたじいさんに”すまん”と頭を下げても、後の祭りですねえ。
 結局、当時の武士の中では進歩的な考え方をもってはいたものの、やっぱり民百姓は二の次(若様には亡命を計画)で、侍の自己満足?といわれても仕方がない気がします。この作品は、現代の観客に対して一体何を訴えているのか、私にはその狙いがなんとも理解ができません。もっと違う描き方があったのではないかとさえ思わざるを得ません。

 この作品の開始前に上映された新作「ガリレオ」予告編で、主演者が高笑いして「さっぱりわからない」というセリフが耳について離れません。観終わった私の心を見事に代弁しています(笑)。

 余談ですが、あのガトリング銃の昔ながらのポンポン花火のような発砲は、このCGの時代にもっと本物らしく迫力が増すような工夫はできなかったものでしょうかねえ。これも悲しくなりました。

2022年7月18日 (月)

フェバリット クロメジナ(特大)

 先般、フェバリットの釣り魚シリーズ模型もほぼコンプリートしたとこのブログに記載(2022.6.16)したばかりだったのですが、なんということでしょう、突然キングサイズの幻の一品、クロメジナ=オナガグレ(特大)が不用品販売サイトに出品されました。発売当初の定価よりもかなりプレミアがついていたのですが、ひっとしたらもう二度と手に入る機会はないかもしれないと判断し、清水の舞台から飛び降りる(今までも何度も落ちましたが・・)気持ちで即購入しました。

20220713_160135120220713_1602421 20220713_1603071  では、届きました商品をご覧ください。フェバリット史上最大の大きさと言うだけあって、とにかく予想以上にでかいのです。以前購入した同シリーズ”年無しクロダイ”(2022.1.10ブログ参照)より、厚みがあって、一回り大きく感じるのは、あながち錯覚でもなさそうです。

 ところが、輸送用の段ボール箱が本体に比べてぴったり過ぎたのか、到着した商品の尾びれの上端が段ボールの壁面に突き刺さる形で欠けています。もともとなのか、あるいは輸送中の事故なのか、分かりませんが、なんとも残念な結果でした。
20220716_1127251  とはいうものの、こうした事態も予め覚悟の上です。さっそく透明レジンを使って補修作業です。幸いなことに、実際にはあまりわからないような小さな欠損です。そのため、いつもの定型的な修復工程と思っていたら、口から尾の先までが60cm超もあるので、作業台に一杯いっぱいなので、作業がしづらいことこの上もありません。本体を抱えてレジンの注入とライトの照射の作業、色塗りはミッドナイトブルーにブラックを重ね塗りして色目を合わせます。まあ、なんとか一見ではわからない程度には補修できましたが、改めて全てが”でっかいことは良いことだ”とは決して思えないことを痛感しました。まさに、手に余りました(笑)。

 修復の終わった模型は、我が家には一時預かりにするスペースもないため、早速、某所へ搬入して贈呈です。このへんのことは以前お話した通りです。幸い、届け先では”太っていておいしそう”との声も出るなど、飾ってもらえるスペースもありました。なにより輸送途中で破損することなく無事に贈呈することができてほっとしました。

20220714_095744120220714_115032120220714_1514111  最後に、修復作業の備忘録として、その過程を写真で残しておきます。ちなみに、手順は「クロダイ」とほぼ同じでした。以上です。20220718_1202081

2022年7月17日 (日)

ソー/ラブ&サンダー

 マーベル・スタジオの最近の作品は、「アイアンマン」から始まった様々なヒーロー映画の集大成「アベンジャーズ/エンドゲーム」を頂点に、二極化しているようです。”傑作”と”そうでないもの”との二つです。傑作としては、新生スパイダーマンの第3作「ノー・ウェイ・ホーム」そして、スパイダーマン映画の生みの親サム・ライミが監督した「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」は、その途方もないアイディアを実現した演出と観客の予想の斜め上を行ったストーリーで大変満足しました。

 一方、”そうでないもの”としては、中国シフトの「チャン・チー」、さらに、ダークヒーローを主役に据えた、人食い宇宙人の「ヴェノム/レット・ゼア・ビー・カーネイジ」、SFチックな吸血鬼ものの「モービウス」などはそれぞれ金をかけたCG技術には感心しますが、ストーリーがなんとも単純で、”それでどうした”と文句も付けたくなる作品でした。もっとも、そのことは、YouTubeの予告編で予想もできておりましたので、単体作品は”レンタル視聴”で対応しましたので、あまり精神的なダメージはありません(笑)。

Img_20220716_0001 今回の「ソー/ラブ&サンダー」については、正直、これまでの”ソー”単独主演の3作品は、あまり好みではなかったのですが、「エンドゲーム」のソーの太りっぷりが気に入ったことや、YouTube予告編のコメディタッチの場面に魅せられて劇場に足を運びました。レビュー評価も上々なのです。

 ところが、冒頭からシリアスの塊のようなシーンが続きます。白く塗り固めたような痩せた男が娘を抱いて荒野を彷徨っています。ある神の敬虔な信徒の最後の一人だったのですが、そこで、偶然彼が信奉する”キンキラの太っちょ神”に出会い、救いを求めたものの、人を人とも思わない(当たり前?)神の真の姿を知って激情し、その場にあった”神殺しの魔剣”を持って、神を殺し、宇宙のあらゆる神を殺すことを誓うのです。
 つまり、この映画のメインのストーリーは、この白いやせた”ゴア”という名の男の復讐劇なのです。実は、あまりに白いメイクが濃すぎて、この貧相な男を、まさかクリスチャン・ベールが演じているとは思いませんでした。(鑑賞前の情報はできるだけ見ないようにしています。)後でパンフレットで確認して驚きました。

 それにしても、マーベル・スタジオの製作陣というのは、アメコミのライバル会社で、最も老舗であるDC作品「バットマン」で有名なヒーローであるバットマンを演じた俳優をマイケル・キートンに続いて、自社作品の敵役に登用するのですから、なんとも人が悪い気がします。
 でも、何故彼らは出演したのだろう、DCのファンに義理立てはしないのだろうか? アチラでは、野球のトレードと同じ感覚なのかな?

 話をもとに戻して、主演のソーは、と言えば、まるで「フォレスト・ガンプ」張りの自分探しの旅を続けており、予告編で観た「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の連中とのギャグ満載のシーンがとってつけたように、前半の僅かなシーンとして描かれます。それで終わりです。なんか羊頭狗肉も甚だしいと幻滅しました。

 そして、この作品で最も期待していたのが、元カノのナタリー・ポートマンが”ソー”となって登場することです。しかし、それがなんとも微妙なのです。ネタバレになりますが、彼女は末期がんであり、ハンマーの力を持っても回復しないという設定です。嘘~!こんなヒーローもので、こんな悲惨な設定をするな!!とも言いたいし、あまりにナタリーの容姿の衰えを強調しすぎです。なんとも目をそむけたくなります。ファンとして実に悲しいものがあります。

 さて、この物語の真の主人公であるゴアは、正直いって影を行き来するだけであまり強そうもないのですが、ソーの国の子供たちを大量に誘拐したことから、ソーはオリンピア風の神たちの集う神殿に潜入して最高神であるゼウスに協力を求めます。このへんから私はもう完全に投げました(笑)。
 八百万の神より多そうな神々が集う競技場に登場したのが、美女を従わせ、短いスカートを履いたような、でっぷり太った”ゼウス”です。私、その顔とビア樽の体つきを観ても、誰が演じているのか、分かりませんでしたが、その声で疑ったのが、まさか、まさかのラッセル・クロウなのです。「グラディエーター」のファンとしては、もう本当に勘弁してほしいと絶句です。本当になんでこんな役を受けたのですか?金か?まあ、事情があるのでしょうねえ。
 とにかく、その最強の”いかずち”の武器もデザインも威力も最低です。片手間の仕事です。本当に観るに堪えないのです。

 また、クライマックスでは、ソーが誘拐された少年少女たちにハンマーの力を与えて敵と戦わせます。皆、傑作SF「光る眼」のように両眼が青白く光り、まるで洗脳されたように敵を攻撃します。これは恐ろしい光景です。現実の戦場の少年兵の姿です。こうした場面を何の疑問もなく描いている処がこわいなあ。

 最後は、”神の門”の前でゴアの娘を生き返らせるのですが、結局、その娘をソーが引き取り、タイトルの副題”ラブ&サンダー”のコンビになるのです。副題は、元カノのジェーンとばかり思っていたのが、ここで完全に裏切られました。これみよがしにタイトルを出して、観客の予想を覆すのは、思いの上を行くことが肝要です。思いを下回ってどうするんだ。悪手ですねえ。
 ついでにいえば、ジェーンの役名のハリウッドスター名のもじりギャグの意味は何でしょうか。わかる方は是非教えてください。また、あのソーの国王役の黒人の女優さんは何故あんなにたびたび登場するのでしょう。あまり役割が無いようですが、これも教えてほしいものです。 

 以上、この映画は本当にまったくの期待はずれの作品でした。私が期待した分、その反動は大きいのだ。
 しかし、この映画を絶賛するレビューやコメントが多いのは腑に落ちません。やっぱりマーベルファンは観るところが違うのでしょうねえ。でも、やっぱりこの映画はイケません。 

2022年7月16日 (土)

ザ・ロストシティ

 映画「ザ・ロストシティ」は私のお気に入りの冒険物です。失われた都市を探しに行く物語は、インディ・ジョーンズシリーズは別格としても、「ロマンシング・ストーン」など昔から目がありません。特に、先日公開された「アンチャーテッド」がコケ脅しアクションだけのなんとも面白くなかったので、今回は少し期待をしていたのですが、実はレビューのあまりの低評価に劇場に足を運ぶのを逡巡していました。
 しかし、この作品はサンドラ・ブロックとチャニング・テイタムのW主演に加え、ブラッド・ピットまでゲスト出演している上、好きなジャンルなので、世評にこだわらず(いまさらながらですが・・笑)、公開最終日に劇場にすべり込みました。

Img_20220716_00011  ストーリーは、売れっ子のロマンス小説家のサンドラ・ブロックを「ハリー・ポッター」で有名なダニエル・ラドクリフ扮する大富豪の不肖の息子が、小説ネタにした幻の古代都市を発掘させようと南海の孤島に拉致したため、小説の表紙カバーモデル役のチャニング・テイタムが凄腕の傭兵ブラッド・ピットを頼んで救出するという単純なものです。

 サンドラの役柄は、元々は考古学者でいやいやロマンス小説を書いているという設定です。言葉の端々で自分の小説を貶すのですが、どうやらアチラでは”ロマンス小説”は低級な読み物として定着しているようです。
 一方、チャニングの方は、彼女の小説の専属表紙モデル(欧米では現実に表紙モデルで一躍有名になった伝説的な人物が存在するらしい。)としてその容姿やたくましい肉体美で大人気なのですが、実は全くの見掛け倒しで「ホワイトハウス・ダウン」のような戦闘能力は皆無なのです。
 この凸凹コンビが、ジャングルの中で大富豪の追っ手から逃げていく場面は、サンドラが新作発表会で着ていたスパンコールでギラギラ光るステージ衣装のままで悪戦苦闘するさまやチャニングの行動が足を引っ張り、事態をさらに悪化させるという実に笑えるコンビなのです。

 逃避行の中の二人のセリフのやり取りもなかなか笑えます。なかでも、「小説のファンを馬鹿にするな」というチャニングのセリフには少し感動しました。「作者の分際で・・」というのは別の作品でした(笑)。
 ただ、あの出版社の太った黒人の女オーナーのセリフや行動は、アチラではギャグなのでしょうか?救出に向うのですから”善い人”なのでしょうが、そのセンスは日本人の私にはとても笑えません。

 そして、アクションシーンも実にのどかな(人は死にますが・・)雰囲気であり、やや艶笑的ともいえるギャグを常に振りまきます。今時の若者にとってはなんとも刺激が少なく物足らなかったと思います。多分そのせいで評価が低いのでしょう。でも、私には十分面白かったですねえ、サンドラが手足をつながれた椅子のまま運ばれるシーンやチャニングがヒルに吸い付かれたお尻をさらけ出す場面には笑いました。

 それにしても、昨今はお約束のファンサービスは”美女”より”男性”のヌードが多いようです。この風潮は全く気に入りません(笑)ね。マイナス要素です。まあ、主演のサンドラも胸間で頑張っていますが、やっぱりそれ相応にお年を召していますので、そこはもう一人”美女”を配してサービス場面を作ってほしかったですねえ。本当に残念です。

 加えて、超人的なアクションを見せたブラッド・ピットの突然の退場はかなりショックでした。これはイカンです。ラストまで尾を引きます。せっかくのお気楽ムードが崩れました。ここもマイナス要素になります。

 また、あの可愛かった(シリーズの前半まで)ハリー・ポッター少年があんな悪役が似合う大人になるとは夢にも思いませんでした。”子供のころ可愛くても、大人になれば必ずしも美男美女になるとは限らない”とはよく言われることですが、あんなにも変わるとは、きっと悪い魔法使いの魔法のせいでしょう(笑)。 

 最後に、パンフレットの解説で言及されている「幸せの一ページ」よりは、「ロマンシング・ストーン」が元ネタです。どうも最近のパンフレット制作の程度が低すぎます。Youtubeの方が何倍も情報量があります。もっとも、それが嘘かホントかわからないところが、困りますが。

 以上、この作品、私は十分楽しみました。 

2022年7月 7日 (木)

凶人ドラキュラ ブルーレイ版

 先日、クリストファー・リー主演のドラキュラ映画のうち、「凶人ドラキュラ」のブルーレイが発売されました。リーが一躍有名になった第1作の「吸血鬼ドラキュラ」ではなく、第2作目というところがなんとも解せません。なにしろ、この作品は、国内では、VHSの発売もなく、DVDも確かシリーズの中で一番遅かったような気がします。

71eg0e72sl_ac_sx342_  そもそも、この2作目は、第1作の大ヒットの後、8年も経ての続編なのです。今回のブルーレイには解説チラシが封入されており、それによると、続編が遅かったのは、製作会社のハマー・プロダクションがドラキュラの登場しない吸血鬼映画を乱作したため、”ブラム・ストーカーの原作をないがしろにしている”とリーが出演を拒否していたためだそうです。
 この続編は、アメリカの大手配給会社との契約を理由にプロダクション社長がリーに泣きついて実現したそうです。ただ、リー自身はどうやら納得していなかったようで、一言のセリフもしゃべらなかったといいます。(もともとセリフが無かったとの説もあるようです。)

 ちなみに、この作品は、昔から映画雑誌などで牧師が女吸血鬼の胸元に杭を打ち込もうとするシーンや吸血鬼リーが威嚇している姿の宣伝写真が有名であり、確か2004年頃にDVDが発売されて、やっと観ることができた作品でもあります。でも、期待が過ぎたのか、あんまり面白くなかった記憶があります。コレクションのDVDもその後再見していません(笑)。

 当ブログでも何度か紹介(2006.8.20、2006.8.28,2007.1.14、2014.1.13、2015.6.13没)してきたように、ドラキュラ役者のクリストファー・リーのファンとしては、まずは、第1作の傑作「吸血鬼ドラキュラ」、そして、初めて劇場で見た第3作「帰ってきたドラキュラ」のブルーレイ化を望んでいましたが、この第2作目からのブルーレイ化というのは、本当に意外でした。国内発売での話ですが、なにか権利関係の問題があるのでしょうかねえ。でも、何故、いまこのマイナーな作品の発売なのか、よくわかりません。

 ただ、今回、改めてブルーレイを見直すと、実はこれが意外に面白かったのです(笑)。
 まず冒頭、第1作のラストから始まるのが、いかにも正式の続編ですと宣言しているようで楽しい。また、脚本が気に入らないためか、一言もしゃべらないドラキュラ伯爵が、かえって凶暴な怪物のようで面白い。思えば、第1作目は普通に会話していました(笑)。評判が良かったのか、この作品以降、リーのドラキュラはあまりしゃべらない。充血した目技(笑)に力を入れているようです。
 さらに、この作品で、灰に生き血を注いで復活という手法を創造したのはグッドアイディアでした。これで、シリーズ化に向けて、何度でも復活できます。実際、復活シーンは、昔ながらの特撮風でなかなか楽しいですねえ。
 ただ、軽薄な主人公夫婦が生き残り、実直な兄夫婦が犠牲になるのは、少し不憫です。でも、ドラキュラの餌食になるエロチシズムには、兄嫁がふさわしいのかもしれません。
 とにかく、今回は、自宅の居間で一度も早回しすることなく観ることができましたので、まずは購入してよかった、よかった。

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