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2022年5月13日 (金)

映画:オードリー・ヘプバーン

 オードリー・ヘプバーンの2020年製作のドキュメンタリー映画が劇場公開されています。オードリーは、1993年1月20日に亡くなっていますから、没後29年も過ぎているにもかかわらずの人気ぶりにいまさらながら驚きます。しかも、代表作の「ローマの休日」は1953年公開、1954年に「麗しのサブリナ」、1957年に「昼上がりの情事」ともう65年も前の作品の主演者なのです。後期の傑作「シャレード」でさえも1963年なのですから、いわゆるクラシック作品です。でも、今観ても全く古びていません。まさに古典というものの価値を感じさせます。
 多分、現在でも、私のように高校生の時に名画座、いまならDVDなどで「ローマの休日」を観てファンになる若者は多いと思います。まさに名画ならではのファン再生産の構造なのでしょう。

Img_20220512_0001  さて、このドキュメンタリー作品は、こうした出演作品を集めて解説したものではなく、彼女の生い立ちから亡くなるまでの人生を様々な映像や関係者の証言でまとめた内容です。
 実は、彼女の生まれや晩年のユニセフの活動などは、これまで様々な本などで何度も紹介されており、ファンの間ではよく知られたお話なのですが、映像となるとかなりインパクトがあります。

 特に、親しかった女友達がインタビューで「オードリーは男運がなかった」と切って捨てるのは納得です。一回目の結婚は、舞台で共演したニ流俳優のメル・ファーラーですし、2回目は、船旅で親しくなったイタリア男なのです。職業は精神科医なのですが、とにかく浮気が酷かったらしい。小さい時に父親に捨てられた経験から家庭を大事にする彼女を相当苦しめたようです。
 救いは、晩年になって暮らしたスイスの田舎町にある木や花に囲まれた小さな家が幸せそうでよかった。彼女の世話をする料理人と庭師の夫婦や近所の商店主などとの交流エピソードは、ファンの勝手なイメージに合致したいかにもオードリーらしくほっとします。晩年の内縁のパートナーは少し気に入りませんが、生涯、彼女を支えたようですので許しましょう(笑)。

 それにしても、幼少期にナチスドイツ占領下のオランダで地下室に隠れて暮らし、飢えの恐怖とユニセフの救援物資の有難さを体験したことが、晩年のユニセフの親善大使につながったようです。アフリカや東南アジアの飢えに苦しむ子供たちを救うキャンペーン活動で痩せこけて死んでいく子どもたちを抱いた彼女の姿には本当に頭が下がります。彼女が動くだけで何百万ドルもの寄付が集まり、ユニセフの予算規模は格段に大きくなったようです。さすがオードリーの人気なのでしょうが、彼女の戦争体験の講演を1回聞いて、1ドルで雇ったユニセフ会長はやり手でしたねえ。出会いがよかったのでしょう。

 出会いと言えば、ファッション・デザイナーのジバンシーとの出会いも印象的です。当時のアシㇲタントや服飾評論家の証言がなんとも面白い。最初、ジバンシーは、キャサリン・ヘップバーンと思い違いしていたそうですが、会って意気投合し、「麗しのサブリナ」以降彼女の衣装はすべてジバンシーが作っており、そのファッションは、当時としては画期的なスタイルだったらしい。
 まあ、オードリー・ヘプバーンという女優自体が、庶民的なドリス・デイやセクシーなマリリン・モンローというそれまでのカテゴリーにハマらない新しいタイプであり、シンプルな新しいファッションと相まって、女性たちの憧れのアイコンになったそうです。しかも、60年経ってもいささかも古びない、いや、いまでも”オードリー・スタイル”などのタイトルでの特集本や雑誌記事が発売されているのですから、やっぱり凄いですねえ。

 ところで、オードリーを捨てて家を出た親父とはどんな人間だったのでしょうねえ。後年、大スターとなったオードリーはアイルランドで父親と再会したのですが、終生溝は埋まらなかったようです。父親は一体何をしていたのでしょうか、とても気になります(笑)。ナレーションでは、系図をごまかしていたなどと揶揄され、戦争中に英国のネオナチに加入していたことまで暴かれていましたら、やっぱりオードリー関係者には相当嫌われていますねえ(笑)。ついでに言えば、本物の貴族の母親も、オードリーに身体的コンプレックスを植えつけるほど厳しい躾はイケませんねえ。それがファザコンの遠因かもしれません。 

 以上、結論として、途中で何度も挿入されるバレリーナの思わせぶりな映像は別にして、オードリー・ヘプバーンという人の生きざまを真摯に描いた良いドキュメンタリー映画でした。100分はあっという間でした。

 

 

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