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2022年5月29日 (日)

ビリケン商会の大魔神

 今年の1月30日にフィギュアの造型には定評のあるビリケン商会から「大魔神」が発売されたのですが、なんとも運悪くその告知を見逃していたのです。前回の「サンダ対ガイラ」の時も初回販売を知りませんでした。どうも、ビリケン商会さんの告知期間が短すぎるのか、なかなかタイミングが合いません。なぜ、あの時HPを見逃したのか、などなど切歯扼腕しても後の祭り、次の販売日を首を長くして待つしかありませんでしたねえ。まあ、2回目の販売予告が掲載されていたのが救いです。さもないと、オークションでほぼ2倍以上のプレミアの付いた商品を買うはめになるところでした(笑)。

20220514_1654241  そして4月20日になって4月24日正午から第2回目の販売を開始するとの告知がありました。いやあ、長かったですねえ。もう正午ジャストにネットで申し込みです。おかげ様でなんとかビリケン製の「大魔神」をゲットすることができました。

 大映映画の特撮時代劇の傑作「大魔神」は、これまでも様々なキットや完成品が販売されており、コレクションも数多くある(当ブログ2006.7.26参照)のですが、出来のよいものは結構少ないのです。最高傑作はエステル社のレジンスタチュー(40cm以上ある)、ボークス社のレジン製フィギュア(30cmクラス)、海洋堂の松村しのぶ作のアクション・フィギュア(20cmクラス)など数える程度です。怪獣商品で有名なメーカーのエクスプラス社もレジン製をはじめ、ソフビ製商品を複数販売していますし、ゲームの景品までなっているのですが、なんか映画の雰囲気と少し違うのですねえ。

 それで、今回のビリケン商会の商品はというと、商品写真を見る限りいかにも”ビリケン商会”らしいリアルな造形です。しかも、変身前の石像もオマケでついているお得なソフビキットです。キットですから、組み立てと塗装も必要な商品なのですが、そこは模型づくりの腕の見せどころなのです。

 商品自体は5月末の発送予定よりずいぶん早く5月初めには届いておりました。造型は予想どおり映画の姿に忠実に創られています。ただ一つ残念だったのは、鎧の袴の部分と足が一体化しているのです。なぜ、ボークス製品のように、きちんと袴の内側を作らなかったのかな?手抜き?、それとも下から見上げたら、袴の中が見えるのがセクハラになる?などとつまらぬことを考えました。せっかくの見事な造型が台無しでした。本当に残念です。

20220519_164137120220529_103502120220529_1039101  組み立て等の作業はそのせいではないですが、仕事の関係もあってかなり遅くなってしまい、やっと昨日完成です。下半身にレジン液を注入したのち、いつものとおりの塗装です。顔をつや消しブラック+グリーン、その他の胴体はつや消しブラックにブラウン混合液でエアブラシします。そして、ゴールドで筆塗り(ドライブラシ)して完成です。おまけの石像つきモニュメントは、プラ板で上げ底にしてレジン液を入れたのですが、これが全体に漏れてしまいかなり重くなってしまいました。
 あと、体表用の茶系の塗料が余ったので、もう随分前にシルバー系に塗装したボークス社のソフビキット商品をリペイントしましたので、そちらもご覧ください。

20220529_1041071 20220529_1047301  それにしても、やっぱり人間の目玉の塗装は難しいねえ。なかなかうまくいきません。また、次の機会に精進しましょう。

 ちなみに、最後から2枚目の写真が、ボークス社のソフビキット製品を今回リペイントしたものです。
 また、最後の写真は、エクスプラス社から最も直近に完成品として発売された商品です。なんか顔が似ていないのが残念です。

2022年5月23日 (月)

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス

 マーベル・コミックの映画「ドクター・ストレンジ」の最新作「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」が公開されています。実は、2018年公開の第1作のラストがあまりにつまらなかったので、この魔術師が単独で主演する映画は次回劇場では観ないことにしようと心に誓っていたのですが、公開後のレビュー評価などがなかなか興味をそそるのです。異口同音的に”とんでもない内容”などと書かれると劇場に行きたくもなりますよねえ。
 なにしろ、直近の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」のマルチバース(昔からSFにある多次元世界)を逆手に取ったストーリーが予想以上に面白かったので、その続編であり、タイトルのまんまの”マルチバース”ネタの奇想天外なストーリーに期待したのです。加えて監督があのサム・ライムです。初代スパイダーマンシリーズを大ヒットに導いた御大の登場です。
 結局、節操もなく劇場で観て来ました(笑)。でもこのように逡巡していたため、劇場パンフレットが売り切れていたので、この写真で掲載したパンフレットはオークションで泣く泣く買ったものです。しかも内容も期待した裏ネタもなく本当にしょうもないものでした。

 さて、この映画の評価ですが、やっぱり”とんでもない贅沢な使い捨て”映画でした。以下、ネタバレを知りたくない人は読まないでください。この作品はネタバレなしには説明できませんので(笑)。

Img_20220523_0001 冒頭”いかにも異世界”という空間でドクター・ストレンジと女の子がモンスターに襲われ、その彼らが逃げ込んだ先が私たちの世界というところから物語は始まります。一つ目の蛸モンスターは、漫画っぽいデザインの割にタコ腕などの動きや皮膚感が実にリアルなのです。この辺は我が「シン・ウルトラマン」とは雲泥の差です。金の掛け方の違いなんでしょうねえ、キット。

 今回の新たに仲間となるヒーローは、異次元世界を自由に移動できるマーベルコミックでは有名(?)らしい”アメリカ・チャペス”という名前の女の子です。なにしろマーベルコミックは、星の数ほどヒーローがいる(基本的にアメコミは日本の漫画と違ってほとんどすべてがヒーロー物です。)のですから、私はまったくその存在すら知りませんでした。
 そして、こちらの世界のドクター・ストレンジ(主人公)がこの女の子を間一髪助けるのですが、一緒に逃げてきた異世界のストレンジはあえなく死体になってしまいます。しかも、その死体をこっそりレンガの壁の中に埋めるのには笑いましたが、実はこのことが後での伏線につながるのには感心しました。

 どうやら何者か分からないが魔術を使う強大な敵が彼女の異次元移動能力を奪うために襲って来ているということがわかり、ドクター・ストレンジは、アベンジャーズで一緒に戦った女魔法使い”ワンダ”に助力を求めるのですが、実は味方の筈の彼女が”ラスボス”だったという、なんともしまらない展開です。
 でも、前作「アベンジャーズ/インフィニティ・フォー」では彼女の魔術はそんなに強くもなかったのに、どうして”スカーレット・ウィッチ”などと呼ばれ、世界を破滅せるほどの力を持っているの?しかも、いつのまに2人の子供を産んでいたの?などと頭をかしげながら観ている中、物語はあれよあれよと進みます。

 少女をかくまったストレンジ所属の魔術師軍団の本拠地を、空中に浮かぶ”ワンダ”が力押しして破壊するシーンは、もう大変なスペクタクルです。凄い迫力なのですが、その動機がさっぱり分かりませんし、やっぱりその意味が分かりません。

 この”ワンダ”の設定は、映画鑑賞後も見たYouTubeの解説で分かりました。実は、映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」の後日談として、動画配信サービス「ディズニープラス」で放送された「ワンダビジョン」というシリーズで、”ワンダ”が最愛の夫アンドロイドの”ビジョン”と子供二人の世界を作り上げていたというのです。そして、そのドラマの中で彼女が最悪の”紅の魔女”になったというのです。つまり、このディズニープラスの動画配信を観ていない者には意味が全くわからないという、なんともフザケた製作態度なのです。ディズニーの囲い込みが露骨すぎますねえ。

 とにかく、物語は、この恐怖の”ワンダ”からに逃げるために、様々な多次元世界に飛びます。その中の一つの世界に、その世界の平和を守るヒーロー軍団が登場します。このメンバーが凄いのです。やっぱり名前も知らない、あまり有名でないヒーローたちですが、演じている俳優たちが豪華なのです。まず「Xメン」の車いすの禿げ頭プロフェッサーは、あの大物俳優がそのまま演じていますし、女ヒーローは最新の女007の女優さんです。また、「ファンタスティック・フォー」のゴム人間は、「クワイェット・プレイス」の主演で監督さんであり、何とも錚々たるメンバーなのです。
 そのメンバーが襲来した”ワンダ”に次々とあっけなく瞬殺されるのです。いやあ、驚きました。それぞれのシリーズもあるでしょうに、”まあ、異次元世界の住人だからいいや”とでも言わんばかりに、大スターたちを使い捨てです。これには本当に参りました。さすが、いつも観客の斜め上を行くマーベルの脚本家たちです。

 そして、ラストはサム・ライム監督面目躍如のゾンビ・悪霊三昧です。いやあ、全く先の読めない演出のてんこ盛り、御馳走様です。
しかも、エンドロールの先には、異次元を切り裂き現れるシャーリー・セロンの勇姿です。これも後で調べると、この女ヒーローは後年ドクター・ストレンジの妻になるという役柄だそうです。これで、シャーリー様のマーベル参入となりました。これじゃあ、次回作も見なきゃダメじゃないですか。
 それにしても、マーベル映画には、いったいどれだけのハリウッドスターが出演しているのでしょう、その出演料だけで物凄い金額になりそうです。恐るべしマーベル商法、いや資本力です。まったく恐れ入りました。

 

 

2022年5月15日 (日)

シン・ウルトラマン

 「シン・ゴジラ」で日本のゴジラ映画に”革命”を起こした庵野秀明総監督が企画・脚本を担当した映画「シン・ウルトラマン」を封切日の第1回上映で観て来ました。自分のことながら”あんたも好きねえ”という古いギャグが頭に浮かびますが、この映画は、随分公開が延期されましたし、どんな”ウルトラマン”の物語になるのか、いつもの秘密主義に加え、You Tubeなどでの断片的な予告編が期待を盛り上げたのです。もっとも、早くから露出していた怪獣”ネロンガ”や”ガボラ”のCG映像は、なんとも安っぽく、かなり危惧を抱いていましたが・・・。

Img_20220514_0001 さて、この作品の評価はというと、普通に面白いことは面白いのですが、残念ながら期待した”シン”の冠には値しないものでした。
 ただし、冒頭、オリジナルと同じタイトルから国に怪獣対策本部ができるまでを描いた数分間がもうめちゃくちゃ盛り上がりました。なにしろ、ウルトラQの怪獣を出現させるのですから、意表を突かれて感動です。一瞬ですが、”ゴメス””ペギラ””ゴーガ”などのCG映像は圧倒されます。でも、”ゴーガ”は何故か”カイゲル”という名前になっており、後で調べると、どうやら当時の「ウルトラQ」のサンプルストーリー(初期稿)の名前らしい。全編にわたってこうした”楽屋ネタ”がてんこ盛りなのです。
 その上、”怪獣”を”禍威獣”、”科特隊”を”禍特対”とするようなゴロ合わせ、さらには”外国人”ならぬ”外星人”なる言葉を創り出しています。まあ、遊び心と言えば、そうなのですが、どうも今一つ違和感があります。

 ともかく、最高の幕開けだったのですが、透明怪獣”ネロンガ”の出現し、”禍特対”のメンバーが自衛隊に指揮命令する場面で、テンションは一気に下がってしまいました。なんとも俳優たちのセリフが”一体誰に説明しているのか”というぐらいの棒読み連発なのです。どうも演技以前に演出がなってないのでは?とも思います。アニメ演出の悪影響なのでしょうか。若手だけでなく、アカデミー賞に輝く”西島秀俊”キャップまでもそうなのです。
 加えて、姿を見せた”ネロンガ”のCG映像も、危惧したとおり全くリアル感のない軽~い(巨大な生物という重量感が全く感じられない)オモチャです。なんとも、これが日本のCG技術の限界かと情けなくなります。韓国映画の方が何倍も上です。厳しい製作条件でつい妥協してしまうという製作サイドの悪い癖が出たのでは?とも思います。

 また、二番目の怪獣”ガボラ”もそうですが、これは、背中や尻尾、襟巻までドリル上に回転するという生物学的にあり得ないデザインが好きになりません。しかも、”禍特対”の若者が言います、「同じ怪獣のパーツを取り換えたようだ」と。実はこれも楽屋ネタなのです。もともとオリジナルでは、円谷プロが東宝映画怪獣の”バラゴン”のぬいぐるみを借用して、頭などを改造、ウルトラQの”パゴス”、マンの”ネロンガ”と”ガボラ”にしたというのはファンの間では有名な話なのです。そのネタを持ってきたのですが、さらに、あとから”これらの怪獣は外星人が作った生物兵器”だったと理屈付けします。こうした”楽屋ネタ”をもとにしたとんでも”理屈付け”がなされており、ウルトラマンマニアにはたまらないのでしょうが、そうでもない人には”ああ、そうなの”ぐらいで、なんとも心に響きません。

 結局、この作品は、オリジナルの”初代ウルトラマン”の第1話から最終話までを最大のリスペクトをもって、リメイクした作品というものでした。いずれもオリジナルの範疇の中でツジツマ合わせに終わっています。
 しかも、登場する怪獣は2体だけで、あとは宇宙人の”ザラブ”、”メフィラス”と”ゾーフィ”なのです。ちなみに”ゾフィー”ではなく、当時発売された雑誌の誤報にあった”ゾーフィ”ということです。さらに、”ゼットン”に至っては、怪獣や宇宙人でさえありません。ただの最終兵器なのです。まあ、いずれも、庵野秀明監督らしくアニメ「エヴァンゲリオン」の使徒の顔や変形姿が見事につけ加わっています。なお、庵野秀明は、エンドタイトルでは、”企画・脚本”ではなく”総監修”という肩書に変更されていますから、現場の樋口監督は大変だったのでしょうねえ、きっと。お疲れ様です(笑)。でも、やっぱり改造怪獣ではなく、”バルタン星人”や”レッドキング”は出してほしかった。”アントラー”も(笑)。

Img_20220514_0002  そういうことで、カラータイマーをなくしたウルトラマンは、なんか”去勢感”が強く、全く感動しませんでした。体表の色が変わるのでバイタリティが感じされないのですねえ。やはり昭和の物語なのでしょう。まあ、女性隊員の巨大化はうれしいのですが、やっぱり”シン”を冠するなら、新たなウルトラマンの伝説を作ってほしかったと思ったのは私だけでしょうか。怪獣や宇宙人のデザインも、成田亨デザインの改悪ですねえ。実際に造型した高山良策先生の存在を忘れているのではないか?特に、ペギラなど羽を毟ってどうするんだ!!
 余談ですが、「メフィラス」の名刺を出した山本耕史が一番異星人らしかった(笑)。

 最後に、上記で説明した”楽屋ネタ”は、劇場で販売していたメディアワークス出版の赤い本からの引用です。この本は、怪獣たちのデザイン図を載せているもので、高い(定価2,200円)ですが、なかなか読み応えがあります。ついでも、この映画で、ウルトラマンの本名が”リピア”とわかったのですが、その由来を誰か教えてください。この本にも書いてありません(笑)。

 

  

 

2022年5月14日 (土)

グラボイド

 皆さんは、「トレマーズ」という映画をご存知でしょうか。1990年に公開されたこの作品は、ケビン・ベーコンとフレッド・ウォードが主演したモンスター映画です。ネバダの片田舎で起こった地中に潜む巨大なモンスターの恐怖を描いた物語であり、「グラボイド」というのは、そのモンスターの名前なのです。その形は3本のヘビのような舌を持つ巨大なくちばしの付いたミミズなのです。しかも、地中を猛スピードで動き回りながら、地上の獲物の振動をキャッチして襲い掛かるというなんとも始末に悪い怪獣なのです。

91nnmwagywl_ac_sx342_  この作品は、B級テイストで予算も少なかった小品なのですが、地中から突然襲い掛かるパワフルなモンスターとそれに対抗する住民たちの奮闘ぶりがスリルと滑稽さの絶妙なブレンドで演出されており、世界的に大ヒットとなりました。
 そのため、続編も次々と作られ、そのたびにモンスターも変化します。2作目では小型化して二本足で歩き、3作目で空を飛びます。私は足が生えて空を飛んだ時点で観るのを止めてしまいましたので、その後の状況は全く承知していませんが、ネット情報によると、映画は全部で7作品も続編が作られ、TVシリーズにもなったということですから、かなりの鉄板ファンが付いているのでしょうねえ。

 このトレマーズシリーズの人気の高さを改めて知ったのは、「グラボイド」ほか変異種4種のガシャポンが最近発売されたからです。まさか、ガシャポンで映画「トレマーズ」のモンスターが売り出されているとは夢にも思っていませんでした。ガシャポンには何でもあるとは思っていましたが、あまりの予想外の商品に絶句しました。

 で、早速、オークションで第1作目に登場する「グラボイド」だけをピンポイントでゲットしました。他の異種は不要なのでセット販売ではなく、1種のみ出品のものに絞りこんだおかげで予想以上に高くつきました。まあ、しかたがありません。余分なモノは処分に困るのです(笑)。

 ところが、GWの連休中なので郵便事情が悪くなかなか商品が届きません。悶々とする中で、偶然、外出先のショッピングモールで「トレマーズ」のガシャポン自動販売機を見つけました。思わず、運試しに300円を入れてみると、1個出た後でいきなりの販売終了です。なんと最後の1個だったのです。しかも、開封してみると驚くことに希望どおりの「グラボイド」なのです。1/5を引き当てたのです。これは本当にラッキーでしたねえ。

 そして、そんな出来事があった直後、オークションでゲットした商品も届きました。結果、余分なものを高買いしたとも思えましたが、運の良さはまだ続きます。

20220513_1421562_20220514001001  このガシャポンは、グラボイド全身と地中から頭部を出したタイプの2種がセットなのですが、上くちばしがコンパチなのです。つまり、2つの頭に1個のくちばしという仕様なのです。ここで、もう一つのセットが役に立ったのです。くちばしを組み立てしっかり2種類のグラボイドが完成です。これで、万事目出たしと思ったのですが、実はそうもなりません。なにしろ、上くちばしのないグラボイドが2体残っているのです。

20220509_075448-2_20220514001101  で、結局、上くちばしを2個複製することにしました。おなじみの青い型どり材で、上くちばしを型取りし、透明レジンを注入して複製を作ります。型枠の底だけでなく側面にもレジン液がきちんと固まるよう、型枠を左右に傾けながら、何度かレジン液を注入して成型していきます。しかも、気泡の発生が多く結構手間取りました。やはり、ここが一番の難所でした。ライトでしっかり固めた後、下あごに取り付けるのですが、この工程は意外にうまくハマりました。最後に継ぎ目や隙間にレジン液を補填し、瞬間接着剤で固めて終わりになります。
20220513_142244_20220514000001  その後は、サーフェイサーで下塗り(グレイの上にブラックも)して、ラッカー塗料の褐色、黒色、白色の混合液を筆塗りします。さらにドライブラシも仕上げに使って、なんとか完成です。
20220513_142302 では、完成写真をご覧ください。販売されている2種(2番目の写真)に加えて、舌の有無が異なるオリジナルの2種(4番目の写真)が加わり、全部で4種のタイプ(最後の写真)ができました。遠目で観ると(笑)予想以上によくできました。

  

2022年5月13日 (金)

映画:オードリー・ヘプバーン

 オードリー・ヘプバーンの2020年製作のドキュメンタリー映画が劇場公開されています。オードリーは、1993年1月20日に亡くなっていますから、没後29年も過ぎているにもかかわらずの人気ぶりにいまさらながら驚きます。しかも、代表作の「ローマの休日」は1953年公開、1954年に「麗しのサブリナ」、1957年に「昼上がりの情事」ともう65年も前の作品の主演者なのです。後期の傑作「シャレード」でさえも1963年なのですから、いわゆるクラシック作品です。でも、今観ても全く古びていません。まさに古典というものの価値を感じさせます。
 多分、現在でも、私のように高校生の時に名画座、いまならDVDなどで「ローマの休日」を観てファンになる若者は多いと思います。まさに名画ならではのファン再生産の構造なのでしょう。

Img_20220512_0001  さて、このドキュメンタリー作品は、こうした出演作品を集めて解説したものではなく、彼女の生い立ちから亡くなるまでの人生を様々な映像や関係者の証言でまとめた内容です。
 実は、彼女の生まれや晩年のユニセフの活動などは、これまで様々な本などで何度も紹介されており、ファンの間ではよく知られたお話なのですが、映像となるとかなりインパクトがあります。

 特に、親しかった女友達がインタビューで「オードリーは男運がなかった」と切って捨てるのは納得です。一回目の結婚は、舞台で共演したニ流俳優のメル・ファーラーですし、2回目は、船旅で親しくなったイタリア男なのです。職業は精神科医なのですが、とにかく浮気が酷かったらしい。小さい時に父親に捨てられた経験から家庭を大事にする彼女を相当苦しめたようです。
 救いは、晩年になって暮らしたスイスの田舎町にある木や花に囲まれた小さな家が幸せそうでよかった。彼女の世話をする料理人と庭師の夫婦や近所の商店主などとの交流エピソードは、ファンの勝手なイメージに合致したいかにもオードリーらしくほっとします。晩年の内縁のパートナーは少し気に入りませんが、生涯、彼女を支えたようですので許しましょう(笑)。

 それにしても、幼少期にナチスドイツ占領下のオランダで地下室に隠れて暮らし、飢えの恐怖とユニセフの救援物資の有難さを体験したことが、晩年のユニセフの親善大使につながったようです。アフリカや東南アジアの飢えに苦しむ子供たちを救うキャンペーン活動で痩せこけて死んでいく子どもたちを抱いた彼女の姿には本当に頭が下がります。彼女が動くだけで何百万ドルもの寄付が集まり、ユニセフの予算規模は格段に大きくなったようです。さすがオードリーの人気なのでしょうが、彼女の戦争体験の講演を1回聞いて、1ドルで雇ったユニセフ会長はやり手でしたねえ。出会いがよかったのでしょう。

 出会いと言えば、ファッション・デザイナーのジバンシーとの出会いも印象的です。当時のアシㇲタントや服飾評論家の証言がなんとも面白い。最初、ジバンシーは、キャサリン・ヘップバーンと思い違いしていたそうですが、会って意気投合し、「麗しのサブリナ」以降彼女の衣装はすべてジバンシーが作っており、そのファッションは、当時としては画期的なスタイルだったらしい。
 まあ、オードリー・ヘプバーンという女優自体が、庶民的なドリス・デイやセクシーなマリリン・モンローというそれまでのカテゴリーにハマらない新しいタイプであり、シンプルな新しいファッションと相まって、女性たちの憧れのアイコンになったそうです。しかも、60年経ってもいささかも古びない、いや、いまでも”オードリー・スタイル”などのタイトルでの特集本や雑誌記事が発売されているのですから、やっぱり凄いですねえ。

 ところで、オードリーを捨てて家を出た親父とはどんな人間だったのでしょうねえ。後年、大スターとなったオードリーはアイルランドで父親と再会したのですが、終生溝は埋まらなかったようです。父親は一体何をしていたのでしょうか、とても気になります(笑)。ナレーションでは、系図をごまかしていたなどと揶揄され、戦争中に英国のネオナチに加入していたことまで暴かれていましたら、やっぱりオードリー関係者には相当嫌われていますねえ(笑)。ついでに言えば、本物の貴族の母親も、オードリーに身体的コンプレックスを植えつけるほど厳しい躾はイケませんねえ。それがファザコンの遠因かもしれません。 

 以上、結論として、途中で何度も挿入されるバレリーナの思わせぶりな映像は別にして、オードリー・ヘプバーンという人の生きざまを真摯に描いた良いドキュメンタリー映画でした。100分はあっという間でした。

 

 

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