アンチャーテッド
痛快活劇と言えば、「インディ・ジョーンズ」や「ハムナプトラ」などに代表されるトレジャーハンターものです。映画の草創期からの伝統的な人気ジャンルです。そして、CG全盛期の今、現在のスパイダーマンを演じているトム・ホランド主演の冒険映画「アンチャーテッド」が製作公開されました。
原作は、有名なゲームらしいのですが、全くの門外漢なので、思い入れも先入観もなく素直に観ることができました。
物語は、500年前に世界一周したマゼラン探検隊が隠した黄金の宝に魅せられ行方不明となっている兄の消息を求めるトム・ホランドが、マーク・ウォールバーグ演じる胡散臭い古物商と一緒に、マゼランの世界地図、航海日誌、2つの十字架の鍵などを手掛かりに、スペインの教会やフィリピンの孤島で宝探しをする典型的なトレジャーハンターものです。
しかも、マゼラン隊に資金供与したスペインの一族の末裔がそのお宝を巡って暗躍するのです。そのボスがアントニオ・バンデラスなのですが、あの大スターがあっと驚く役を演じます。まあ、最近は悪役が多いのですが、何故、今回のこんな役を演じたのかな?とまで思いました。まあ、ご覧ください。俳優の格で映画を観てはいけませんねえ。反省です。
さて、映画の出来は、まあまあ面白かった、という印象です。トム・ホランドは、さすがに身のこなしが軽く、アクションは素晴らしいのですが、小遣い稼ぎに金持ちの女からとはいえ腕輪をスリ取るなどはなんとも気分が悪くなりました。作劇上、事前に”スリの腕前”を披露する必然性はわかりますが、日常的な犯罪習癖を見せられると、ヒーローに対する幻滅が生じます。欧米では、万引きやスリ、置き引きは犯罪ではない、というような感覚なんでしょうかねえ。
また、パートナーとなった古物商も平気で博物館から古地図を盗んでいるし、第一の見せ場であるオークション会場から手掛かりとなる十字架を盗むのもなんのためらいも観客へのフォローもありません。さらに、途中から仲間に入るスペインの女トレジャー・ハンターとは、お互いに十字架を掏りあい、だましだまされる関係が続きます。
どうも、アチラでは「騙すより騙されろ」という日本の格言は全く通用しないようです。まあ、騙された方が悪いというのが世界水準ですから。情けないお話です。
というようなエピソードが積み重ねられ、どうも日本人の私の感覚からは、腹の底から楽しめない、居心地の悪い展開となっていました。
故淀川長治氏は、”映画はひとつでも気に入ったところがあれば良い映画”という名言を残しており、その意味からいうと、最後の見せ場であり、2隻のマゼラン帆船の空中戦の絵には馬鹿馬鹿しくも意表をつかれ、感心しました。現代活劇で、しかも空中でハリウッドお得意の”海賊映画”のアクションを再現するとは、そのアイディアに小膝を叩いたのです。
この一点があることで、お宝が意外にチャチ(リュック一杯分)とか、手掛かりがいとも簡単に見つかるとか、スパイダーマン並みの超人的な身体能力とか、鑑賞中に引っかかった些細な欠点には目をつぶることができて、終わってみれば”この映画は良かった”と言うことができます。
最後に、この映画は劇場パンフレットが販売されていません。ネットで調べると、売り切れではなく、もともとパンフレット自体が製作されていないようです。どうやら最近売れ行きが悪いせいか、パンフレットを作らない映画も出てきているようです。パンフレットコレクターには困った時代になりました。それにしても、無料のチラシは何種類も作っているので、宣伝には無駄な力を入れて、映画ファンのささやかな楽しみを奪うとはつまらぬ社会になったものです。まあ、アナログ(紙媒体)からデジタル(映像)の社会になった弊害かもしれません。映画鑑賞の記録を残したいアナログ親父としては、これからはチラシの収集に努めなければならないかもしれませんが、配給会社様には劇場パンフレットの火が消えないようにお願いしたいものです。
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