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2022年2月25日 (金)

三十郎スタチュー

 このブログで何度も書いていますように、私は黒澤映画のファンです。特に、痛快な黒澤時代劇には若い頃の強い思い入れがあります。ビデオの無かった時代は、その面白さに関する映画雑誌の記事や伝説しか知らなかった「用心棒」や「椿三十郎」を見たくて名画座を探しました。そして、銀座並木座で初めて観たその活劇の面白さと三船敏郎のかっこよさに感動した記憶があります。あっ、敵役の仲代達矢の悪の魅力には惚れました(笑)ねえ。とにかく、幻だった黒澤明監督の凄さ、”世界のクロサワ”の異名の意味を思い知りました。以来、筋金入りのファンなのです。・・・本当に懐かしい。
 また、黒澤作品が初めてテレビ放送がされる際には、当時何十万円もしたVHSのビデオデッキを購入しました。それからは、レンタルの時代を経て、市販のVHS,LD,DVD、BDと、海外版も含めて買い集めました。
 さらに、随分前に海洋堂が発売した食玩の”三十郎”のフィギュアも持っています。当ブログ(2014.3.31)をご参照ください。
 ただ「座頭市」などを発売した国産メーカーの1/6アクションフィギュアものはパスしました。球型の関節を丸出しにした、ちっとも似ていない顔のフィギュアなどは論外ですよねえ。
 それからもう何年たったのでしょう、海外ではブリッツウェイから「マリリン・モンロー(2020.3.25参照)」や「オードリー・ヘップバーン(2020.10.21参照)」などの本物そっくりなスタチュー(1/4サイズ)も発売されているのですから、もうそろそろ我が国の映画スターの実物そっくりな1/6フィギュアも発売されないかなあと、淡い期待をしていたところでしたが、意外なところから、しかも念願の”三十郎”スタイルのスタチューが発売されました。

20220225_1512031  発売元は、イタリアのメーカー「インフィニティ・スタチュー」です。以前、当ブログ(2021.7.29参照)で紹介した映画「カサブランカ」のイングリッド・バーグマンの1/6スタチューを製作した会社です。このメーカーは、ジョン・ウェインやマーロン・ブランドなどのスターを名作映画の登場人物スタイルでフィギュア化しています。その中で「カサブランカ」などのクラシックな映画をチョイスした「オールド&レア」シリーズで黒澤映画の「用心棒」の三船敏郎が選ばれています。用心棒の西部劇化であり、マカロニウェスタンの元祖「荒野の用心棒」のお膝元だけのことはあります。20220225_1517281 20220225_151126

 20220225_1514231 正直、イタリアのメーカーが東洋人をうまく彫刻できるかなあ、とも思っていましたが、発売予定日が遅れに遅れてやっと届いた商品は、実に見事なものです。映画と同じくモノクロ調のモデル化ですが、三船敏郎の特徴をよくつかんでいます。聞けば、現在の三船プロの社長三船史郎(実の息子)の監修も得ているそうです。着物の雰囲気も実に良い。まあ、台座が少し気に入りません(写真では背景の格子戸を除けています。)し、輸送時の予想外のトラブルもありましたが、まあ、それはもう気にしないのだ。
 とにかく、三十郎スタイルの三船敏郎のその素晴らしい造形をご覧ください。 

2022年2月17日 (木)

白頭山大噴火

 コロナ禍のせいか、以前に比べて劇場に足を運ぶことが億劫になってきています。まあ、年のせいかもしれませんが、昨年の封切り映画を考えても、私好みの娯楽活劇の超大作を結構見逃しています。有名どころとしては、マーベルスタジオの「シャンチー/テン・リングスの伝説」、日本が舞台の「G・Iジョー/漆黒のスネークアイズ」、ジャッキーチェンとシュワルツネッガーが共演した「レジェンド・オブ・ドラゴン」、SFパニックものの「グリーンランド/地球最後の2日間」、韓国映画「白頭山大噴火」などがあげられます。

 さて、このように劇場で見逃した映画については、DVD発売が解禁された後、まずレンタルの動画配信でチェックするようにしています。のちほど詳しく述べますが、「白頭山大噴火」を除いて、前述の作品のほとんどはレンタル料500円が高く感じられるほどの残念な出来映えでした。本当に劇場に行かなくてよかったと自分の直感を褒めてあげたくなりましたねえ。

 例えば、中国人のアメコミ・ヒーロー物である「シャンチー/テン・リングスの伝説」のなんと退屈なことか。いわゆる桃源郷伝説ものであり、カンフーや伝説の龍まで登場しますが、印象として”こいのぼり”のような軽さです。実際、龍のCGの動きの軽さには本当に呆れました(笑)。とても、マーベルスタジオの作品とは思えません。そういや「エターナルズ」もそれなりの作品でしたので、マーベルの新シリーズの今後が少し心配されます。

 しかし、それ以上に絶句したのが「G・Iジョー/漆黒のスネークアイズ」です。米国印のニンジャものですから、ある程度は”覚悟”をしていたのですが、その予想をはるかに超える酷いストーリーでした。まずヒーローであるはずの主人公の裏切り行動にあきれかえります。その行動には共感のしようがないし、どうしてそんな彼を石田えりの女頭領が何度も許すのか、全く理解できません。彼に惚れるヒロインも美人ではないですし、その惚れる理由や経過もよくわかりません。それ以上に日本社会の描写やニンジャ組織については日本人として恥ずかしくてまともに見ていられません。平幹次郎2世の敵役好演も姫路城ロケもすべて無駄になった駄作でした。

 また「レジェンド・オブ・ドラゴン」はロシアの魔女伝説映画「レジェンド・オブ・ヴィー」の続編であり、第1作は、その映像表現の斬新さで結構気に入っている(BD保有)のですが、ロシアから中国に舞台を移しても、やはり”続編に傑作なし”の例外にはなり得ませんでした。第一、ロンドン塔に幽閉中の囚人ジャッキー・チェンと脳筋の監獄長役のシュワルツネッガーのマンガ的なアクションは、冒頭だけの共演で本編とは全く無関係という、まさに羊頭狗肉の作品なのです。あれ、この映画は劇場で公開されたかな?未公開作品ならご容赦ください(笑)。

 そして、彗星が地球に衝突するSFパニック映画「グリーンランド/地球最後の2日間」も、主人公が剛腕のジェラルド・バトラーですから家族3人ラストでなんとかグリーンランドのシュルターに逃げ込めるのですが、その行程で遭遇するパニック描写は、アメリカという国の現実、人間のエゴイズムの醜さを突きつけます。現実もそうなんだろうが、なんとも不快な気分になりましたねえ。後味がよくありません。

 で、やっと「白頭山大噴火」の感想です。この作品はレンタルすること自体少し悩みましたが、これが意外に拾いものでした。ストーリーは、北朝鮮にある”首領”のお膝元の白頭山が大噴火し、朝鮮半島全体に大災害が起こるのを防ごうとする韓国軍の技術将校のお話です。まあ、よくある火山噴火のパニックものなのですが、設定がいかにも韓国ドラマらしく、荒唐無稽でしかも無理難題のてんこ盛りなのです。本当によくあれだけの艱難辛苦の大嘘エピソードを創作できるものと感心します。
 まず、火山噴火はスリルを高めるために、小から大へ3段階に分かれて順次起こるという周到さであり、主人公の頼りない技術将校は退役当日で女房は出産間近という切羽詰まった状況なのです。
 しかも、その噴火防止作戦とは、北朝鮮の核ミサイルを盗み出し、白頭山のふもとの鉱山の奥で爆発させ、マグマの大噴火を抑え込もうというなんとも奇想天外な作戦なのです。その上、その日は北朝鮮の非核化が実現する日で、アメリカ軍が核を受け取りに韓国に来ているという空想映画です。
 なお、この作戦を立てたのが、地震学者役の韓国系アメリカ人のマ・ドンソク、映画「新感染」で腕っぷしの強い親父を演じた俳優さんです。そういえば「エターナル」にも出ていましたねえ。今回は何故か腕っぷしの強さは披露されません。「いのちぼうにふろう」のカツシンを思い出しました。
 そして、ミサイル格納庫の場所を知るのが北朝鮮の刑務所に幽閉されている二重スパイなのですが、その役をいまやハリウッドスターと言えるイ・ビョンホンが演じます。何をやらかすかわからない凄腕のスパイを硬軟自在な演技で魅せます。ただ、幽閉されていたという設定からか、やつれた風貌がなんとなく我が国の有名漫才師の”はまちゃん”を彷彿させると感じたのは私だけでしょうか?妻よ、御免なさい(妻がファンなのです・・)。

 それにしても、この作品の肝となる噴火により都市破壊のシーンは、ハリウッド映画並みの迫力です。日本の一見してCGとわかるような映像とは雲泥の差です。加えて、そのストーリーも観客の予想を超えて進みます。半島全滅という未曾有の大災害を前にして、イ・ビョンホンの勝手な行動により作戦部隊は紆余曲折の道中となり、さらに協定を順守したいアメリカ軍と韓国軍の北朝鮮侵入の証拠を押さえたい中国軍と三つ巴のトラブルにまで発展します。とにかく次から次へこれでもかというほど意表を突く展開が続き、また、その解決策や着地点がなんとも小憎らしい程上手いのです。
 そして、その極めつけが、逃走したイ・ビョンホンが中国軍に捕捉され、アメリカ軍までが対峙したその時に、韓国軍の主人公が取った方法です。とにかくあっと驚く方法で窮地を脱するのですが、良く考えると現実には絶対あり得ないだろうと思っても、よく、こんなアイディアを思いついたと脚本家に座布団をあげたいほどです。もっとも日本人なら絶対こんなことは考えないでしょうが、とにかく脱帽です。
 以上、この映画は、中国やアメリカの妨害にも拘わらず、大統領府の迅速な作戦決行により、白頭山の大噴火を防ぐというなんとも見事な空想科学映画に仕上がっています。加えて、緊急連絡の際でも主人公と妻の人の話を全く聞かないエピソードなどには笑わされますし、予想以上に楽しめました、今後DVDの購入も検討してみましょう。

 

2022年2月13日 (日)

80’映画大解剖

 「80’映画大解剖」という1980年代の映画を特集した雑誌が発売されました。サンエイムックの”映画大解剖シリーズ”の第5弾だそうです。でも、何故今頃80年代の作品を取り上げるのかな、とも思ったのですが、掲載された作品を観て納得です。
 「ゴーストバスターズ(84)」、「レイダース/失われたアーク(81)」、「インディジョーンズ/魔宮の伝説(84)」、「同左/最後の聖戦(89)」「トップ・ガン(86)」などの特集コーナーが並んでいます。そう、いずれもいま新たな続編が公開、あるいは製作されているものなのです。まあ、この本は完全な新作映画の宣伝の一環でしたねえ。見事に映画会社の戦術にハマってしまいました(笑)。

Img_20220212_00013  ただ、80年代の映画を考えてみると、この雑誌でも書かれているように、70年代に崩壊した50~60年代の娯楽映画黄金時代のスタイルを取り戻した時代だったというのも納得です。前述の作品のほか「バック・トゥ・ザ・フューチャー(85)」、「ランボー/怒りの脱出(85)」「ベストキッド(85)」「マッドマックス2(81)」「ビバリヒルズコップ2(87)」「ダイ・ハード(88)」、「ブレードランナー(82)」、「ターミネーター(84)」、「エイリアン2(86)」、「ロボコップ(87)」、「バットマン(89)」、「メジャーリーグ(89)」など、いずれも後年シリーズ化や続編が生まれ、いまでも評価の高い娯楽作品です。映画の楽しさ、面白さを堪能できる作品ばかりで、私のお気に入りの映画でもあります。

 ちなみに、80年代の映画を一言で言うと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のセリフにあります。過去にタイムスリップして「大統領は誰か」と聞かれて「ロナルド・レーガン」と答えると「副大統領はジェリー・ルイスか」と返されるギャグがありますが、まさにそういう”強いアメリカ”を求める時代でした。なお、同作品の続編には不動産王トランプらしき人も登場しますので、この映画はなかなかあなどれません。いや、これは余談でした。

 このように社会変化に合わせて映画史をひも解く書籍というのはよくあるのですが、今回改めてムック仕様のビジュアル雑誌で眺めてみると予想以上に面白かったなあ。
 ただ、せっかく何頁にもわたってインディー・ジョーンズ作品をマニアックに解説するならせめて「魔宮の伝説」に登場する虫の名前(ユーレイヒレアシナナフシ)を紹介してほしかった(笑)。それにつけても、製作中と言われるインディー・ジョーンズの新作は期待できるのかなあ。あの2008年公開の4作目は、原爆冷蔵庫なんかのエピソードなどもあってか、もう蛇足としか言えない出来でした。いやあ心配です。でもまあ、騙されついでに、まずは手始めとして公開中の「ゴーストバスターズ」の正式な続編というふれ込みの新作を見に行きましょうか。

 

2022年2月12日 (土)

大怪獣のあとしまつ

 映画「大怪獣のあとしまつ」のSNSなどの評判がめちゃくちゃに悪く、”くそ映画”とかのスレッドが立ってバッシングを受けているようです。YouTuber達の意見もほぼ同様で、”史上最低の映画”や”途中で席を立ちたくなった”などと酷評のコメントが多い。映画サイトのレヴューの点数も2.2という信じられない低さです。

Img_20220212_00011 Img_20220212_00012  そういう状況を踏まえ、往年の怪獣ファンとして劇場に足を運びました。その結果は、言われるほどの最低映画でもないですねえ。世間の評判の悪さは、どうやら「シン・ゴジラ」の後始末の物語を期待した連中の声のようです。まあ、予告編がいかにも真っ当な”怪獣映画”のような宣伝でしたので、勘違いした客が多かったのでしょう。それが、怪獣の死体の後始末を巡って曲者役者達の演じる内閣閣僚が繰り広げる収拾しないギャグとコントでは、裏切られた感が強かったのでしょう。

 でも、この映画の監督は、あの深夜ドラマ「時効警察」の三木監督であり、しかも、とんでもないシュールなギャグをぶちかませていた課長や古手婦人警官役の役者がそろっているのです。観る前からどんなパロディ映画になるかぐらい予想が付くのじゃないですかねえ。
 私としては、いささか下ネタが下品すぎること以外は、おおよそ予想の範囲内であり、逆にいうと、心配していた特殊撮影の映像がなかなかしっかりできており、ほっとしましたねえ。まあ、別れた恋人への投資効率やシャンプーのギャグはいくらお茶の間ではないと言ってもイケませんが、細かすぎるわかりにくい例え話は、もともと三木ワールドの持ち味なのですから、広い心で楽しみましょう(笑)。

 それにしても、批判している意見はいずれも”災害救助活動を揶揄している”だの、”死体処理対策が全然効果がない”だの、”怪獣映画”をひどく真面目に論じていますが、たかが”怪獣映画”なのです。(まあ、されど”空想科学映画”なのですが・・)
 考えてもみてください、ストーリーは、人智の及ばない無敵の巨大怪獣がある日突然光に覆われて死んでしまい、その残された死体をどうにかしようという”とんでもなく馬鹿馬鹿しい”設定です。それだけでもう”怪獣映画”のパロディじゃないですか。死体も当然人智は及びません。この映画のテーマは、災害救助対策などではないでしょう。シュールすぎるセリフ劇の中で我が国の政治家の現状を皮肉っていますし、死体をめぐる周辺国家の対応なども実にありそうです。その意味では、「シン・ゴジラ」とは全く違って、国の打つ対策がどんどん収拾がつかなくなるのは自明の理なのです(笑)。 

Img_20220212_0001  一方、第一線の現場では主人公の”選ばれし者”を演じた山田涼介達が頑張っています。スマホを掲げた勇姿には小膝を叩きました。なるほど、この手がありましたか(笑)。三木監督常連のオダギリジョーもドレッドヘアーの爆破作業員がなかなか儲け役です。第一、死体の処理班シーンには、ほとんどギャグシーンが無かったことが現場を大事にしている証というのは言い過ぎですかねえ。
 まあ、真面目な怪獣映画は「シン・ウルトラマン」に期待しましょう。怪獣映画にはこういう映画もあるのです。私は支持します。皆さん、感情的な意見に惑わされず、是非、映画をご覧ください。
 それにしても、一つの映画が気に入らないからと言ってこれほどまでのバッシングが起こるのはなにかほかに理由があるのでしょうか、そちらの方が逆に気になりますねえ。どなたか場外乱闘の原因等を分析してほしいものです。

 最後に、一番後ろの写真が劇場パンフレットの表紙です。なんと1,000円します。主演の山田涼介さんのファンでもなんでもありませんので買うのを一瞬迷いました。製作が東映と松竹の共同だそうで、”怪獣映画”などほとんど製作したことがない(ギララと怪竜大決戦だけ?)会社ですので、なんか宣伝方法が根本から間違っているような気もします。

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