レイ・ハリーハウゼンのクラーケン
ストップモーション・アニメ作家レイ・ハリーハウゼンの最晩年の作1981年「タイタンの戦い」に登場するクラーケンが”特大”フュギュアとしてエクスプラスから発売されました。以前紹介した”生誕100周年”シリーズです。”特大”と言うのは、材質が硬いレジン製ではなくソフビ製なのに高さが35cmで、横幅がなんと54cmもあるサイズなのです。商品写真では少しいびつな形に見えます。まあ、最近のソフビも結構硬質になっていますから経年変化への耐性はある程度大丈夫だろうとは思うのですが、結構値段が高い上に、個人的な感想から言うと、このシリーズでこれまで発売されてきた商品の造型の出来が、私が期待する”映画で出会った本物の雰囲気”を再現できていない感が微妙にするのですねえ。で、かなり悩みましたが、幼少時に刷り込まれた”レイ・ハリーハウゼン神話”には勝てません(笑)、ついに購入しました。
ちなみに、映画「タイタンの戦い」は後年2010年に再映画化されており、この辺のことは当ブログ(2010.4.24)でも紹介していますので、是非そちらをご参照ください。もちろん、登場するクリーチャー達のデザインの新旧比較はCG化してリアルな新作よりもオリジナルの方の圧勝です。オリジナル作品は、確かにレイ・ハリーハウゼンの老いによりコマ撮り技術自体は全盛期のものとは比較にはなりませんが、その造型の見事さは比類がありません。この”クラーケン”(2007.4.29参照)もそうですが、ヘビの胴体を持つ”メドゥーサ”のデザイン(2008.1.20,2009.10.4参照)にはその類まれな発想に感嘆した記憶があります。・・・あ、サソリは駄目(笑)ですねえ。
そして、当時もっとも驚いたのが、レイ・ハリーハウゼンの映画に、なんと英国の名優ローレンス・オリビエやウルスラ・アンドレスなど一流の俳優が出演していることです。B級や子供騙し映画といわれたハリーハウゼン作品が大作として扱われる、やっと陽が当たる時代が来たような気がしました。これで主演俳優と演出が良かったら、名作となったのですが、映画としての出来は今一つでした、残念です。なお、レイ・ハリーハウゼン氏は、引退後の1992年にその功績を認められアカデミー賞特別賞を貰っています。
さて、お話が随分それましたが、実際搬入した”クラーケン”の特大フィギュアの現物はやっぱりでかい。幸い、海外製品とは違って、胴体の上半分のところで尾までの下半身を分割し、コンパクトに保管できるようになっています。さすが日本のメーカーは、狭い家屋事情に細かな配慮があります(笑)が、しかし、それでも、我が家にはでかすぎるのです。
そのため、当初は押し入れにそのまま死蔵するしかないと覚悟していたのですが、現物を組み立ててみると、商品写真とはちがって、実に出来が良いのです。ソフビの材質や色付けが海生生物らしく、しかも、映画の雰囲気を実にうまく伝えているのです。このシリーズの商品の中で最上の仕上がり(もっとも、分割結合部に隙間ができるのが難点)です。そこで上半身部分のみ飾ることにしました。もっとも、山積みの本ケースの間にできた僅かなスペースへの仮置きですが(笑)。大げさに言えば、以前メイキング写真で見たハリーハウゼン御大のストップモーションの撮影現場を再現しているようで楽しくなります。そういう意味でこの模型は儲けものでしたねえ。ゆっくり楽しみましょう。
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