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2022年1月26日 (水)

コーダ/あいのうた

 久しぶりに劇場でSF/アクション映画以外の作品を観ました。「コーダ/あいのうた」です。劇場の予告編を見て何故か無性に見たいと思った作品です。

 タイトルのコーダ:CODAというのは、Child of Deaf Adults の略語で、聾唖者の親を持つ子供という意味だそうです。ストーリーは、まさにタイトルどおり、漁業を営む聾唖者の4人家族の中で唯一一人だけ健常者だった高校生の娘の物語です。この音の聞こえない家庭の中で主人公には歌の才能があり、高校で出会った音楽の教師にその才を見いだされ、音楽大学への入学に挑戦するという、一種の”天才”物語です。私、昔から”天才”物語に目が無いんです(笑)。・・・無性に見たかった理由はその辺かもしれません。

Img_20220124_00012  実はパンフレットを見て驚いたのですが、主人公以外の家族役、父親、母親、兄貴は、いずれも本当の聾唖者の役者さんだそうです。アチラには、こうした障碍者が活躍できる劇団もあるようです。いやあ認識不足でした。しかも結構名の知れた俳優達らしいです。それだけに、実に上手い。手話のうまさなどはアタリ前なのですが、演じる小さな漁師町の漁師はもう本物のようです。

 内容はといえば、社会の差別を声高に強く訴えるようなものではなく、聾唖者の生の生活を笑いで包みながら生き生きと描いた実にアットホームな物語です。家族思いで通訳をする主人公のまっすぐな生き方には年甲斐もなく感動します。また、親父と母親のあっけからんな”熱愛事情”には思わず笑いますし、妹思いの兄貴のぶっきらぼうな態度も演技がうまいせいか、実に心に響きます。
 そして、主人公の才能を見出すメキシコ系(?)の音楽教師が面白い。巻き舌発音を矯正する”変な”性格が笑えますし、やたら口が悪く厳しい指導ぶりなのですが、”教師”を天職という自らのセリフも最後の活躍で本物になります。儲け役ですねえ。

 また、このお話はいわゆる”悪人”が登場しないのが良い。まあ、聾唖者を笑う女学生、魚を買いたたく卸業者などは登場していますが、普通のドラマによく登場する、悪らつな罠や苛めで主人公の恋路を邪魔する女ライバルや主人公たちの漁師協同組合設立をつぶそうとする顔役などの悪者たちは登場しません。法に厳格な女監察官は出ますが、あれは仕方がないなあ。実は観ている中で”外国の場合は大丈夫かな”と心配になったシーンがあるのですが、これが”やっぱりだめだった”パターンでした(笑)。それ以外は安心して観てください。悪者のいない世界は本当にほっとします。

Img_20220124_0001  さて、主人公の大学進学について、家族の反応は”通訳”がいなくなることに加え、いつまでも「ベイビー」扱いの母親が大反対。それに対して父親の「あの子は昔から大人だった」というセリフが心に響きます。しかも、何故かすねている兄貴まで「家族の犠牲になるな」というのにも泣けます。当然、そうなると、家族思いの主人公は進学をあきらめますよねえ。・・いったいどうなるのか、是非劇場でお確かめください。

 それにしても、この映画に出て来るセックス関係のエピソードは笑えますが、なんとも下ネタ風で露骨です。まあ”アメリカ映画ですから”と思っていたら、この作品の元ネタというか、フランス映画の「エール!」の再映画化作品なので、アマゾンプライムの動画配信中(今回の映画との連携でしょうか、実にタイミングが良い)のオリジナルを観ると、しっかりそれらのエピソードが描かれています。”フランス映画”仕込みのセックスネタでした。アチラは実に大らかですねえ(笑)。改めて感心します。

 Img_20220124_00011 ちなみに、オリジナル「エール!」との違いは、家族の仕事が農業から漁業に代わり、弟が兄貴になっているものの、家族を演じる俳優達の容貌や雰囲気がほぼ同じなのには驚きました。また、町長選への立候補が漁師協同組合の設立に換えているのも、オリジナルのストーリーの不具合をうまく修正した感があります。
 そして、今作は、恋人役の同級生との恋愛をしっかり描いています。ここはいかにもアメリカ映画ですねえ。 

 以上、本当にハートウォーミングなハッピーエンドのお話です。世知辛い今の世の中にはこうした作品は必要です。出品されたサンダンス映画祭で数々の賞を受賞し、全世界配給権が26億円という過去最高の金額で落札されたことは心強い。是非、世界でヒットしてほしいものです。

 なお、今回、劇場パンフレット買いましたが、どうも最近の風潮でなんとも表紙が味気ないので、宣伝チラシの表と裏の両方を掲載しました。どうかじっくりご覧いただき、是非、劇場に足をお運びください。コーダ私設宣伝員でした(笑)。

 

  

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