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2021年12月27日 (月)

牙狼之介

 五社英雄監督の初期の劇場映画「牙狼之介」とその続編「牙狼之介 地獄斬り」がアマゾンのプライムビデオから動画配信レンタル及びデジタル販売されていました。この作品は、もう随分前に衛星放送で放映され、VHSで録画していたものの、DVD化もなくて幻の作品となっていました。以前、当ブログ(2012.4.15「十兵衛暗殺剣」の本文参照)でも、DVD化を望みたいと書いたことがあります。何故、この作品が突然アマゾンからデジタル販売されたのか不明ですが、デッキが不調で録画VHSを鑑賞することができない現在、本当にありがたい企画でした。

 さて、この第1作は、1966年公開作品で主演の牙狼之介は夏八木勲が演じており、とにかく若い(笑)。物語は、ある宿場町にやってきた浪人が、盲目の女主人が営む問屋場の権利を奪おうとする代官と悪親分の非道を打ち砕くというものですが、数年前に公開された黒澤明の「用心棒」の影響が色濃くでています。
 もっとも、製作が東映ですから、最低限のちゃちな宿場のセットといつもの東映大部屋俳優たちの悪役演技です。
 五社監督としては、登場人物の人物設計に新機軸を出したかったようで、主人公の牙狼之介からして、ハードボイルドな名前にしては、人の命を大事にする人情味があるうえ、惚れっぽいくせに据え膳は食わないという実に見かけと合わない”人の良い”男であり、あるレビューで未熟な”ニ十郎”か、という意見には笑ってしまいました。また、この若き夏八木浪人がいつも裸でいるような印象を私が持っているのは、公開当時に見た別映画での”予告編”で風呂桶から全裸で立ち上がるシーンの悪しき影響でしょう。
 しかし、目の見えないヒロインを演じた宮園純子(初期のTV水戸黄門の準レギュラー)は盲目演技も上手く、綺麗でしたねえ。据え膳食えよ(笑)。
 また、切られ役も、猿を連れた浪人や、居合斬りのうまい無口な役者(聾唖者役)など、いかにも五社好みの俳優達でなかなか迫力ある殺陣を見せます。”三十郎”に対する仲代達矢に相当するライバル役として内田良平を連れてきています。まあ、最後は猿が助けてくれましたし、中途半端な逆手斬りは止めてほしい。”座頭市”の殺陣も意識していたのかな?そして、お得意の女同士のキャッツファイトも挿入されます。うん、まさに五社色いっぱいです。結論として、この第1作は結構面白かったと言ってよい出来でした。

 次の続編「牙狼之介 地獄斬り」は、隠し金山をめぐる争いに巻き込まれるのですが、この作品でも、意表をつく展開とやや風変わりな人物設定がされています。知的障害のある女をいたぶる町道場の連中のエピソードも意味が分かりませんし、しかもその町道場主(中谷一郎)との決闘も本筋とは無関係なのです。結局、唐丸かごで護送されている罪人西村晃とのかかわりを通して、牙狼之介の過去を描くのですが、なんとも劇画時代劇”無用之介”なのです。キャットファイトもふんだんに描き、色と欲との地獄絵図の筈なのですが、ちゃちなセットと石切り場のようなロケ地では、結局なんか中途半端な物語になりました。しかも、知的障害の娘を溺愛する天津敏の役柄などあまりうれしくありません。 それにしても、あの娘は可哀想じゃないか。殺すならやっぱり縛漣女の方でしょう。意外性を出しすぎたのか、なんだかよくわからない結末でした。まあ、続編ですから・・。

 でも、こうした幻となっていた作品を発掘してくれるのは大変ありがたい。できれば、BDにして発売してほしいものです。また、現在、アマゾン・プライムビデオでは、まだDVD化されていない五社英雄監督作品「御用金」や「人斬り」を動画配信(レンタル)しています。この作品も、デジタル商品の販売、できればBD販売をお願いします。期待しています。

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