ワイルド・スピード/ジェットブレイク
久しぶりに劇場に足を運びました。平日の昼前の上映時間だけに観客もまばらで、コロナ対策のソーシャル・ディスタンスもしっかり確保されています。しかも、作品は安定路線のアクション映画「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」ですから、安全安心の娯楽の提供を期待していました。結果、予想以上の快作でした。いやあ、ひさびさにスカッとしましたねえ。やっぱり劇場は良いなあ。
さて、今回の作品は、やはり、このシリーズを大ヒット作品に大化けさせた、ジャスティン・リン監督が復帰したというのが大きな勝因のようです。実は、私も彼が監督した第5作「メガマックス」で虜になった一人です。なにしろ、南米の街中を2台の車で大金庫を引き回しながら、追ってのパトカーの群れをポンコツの山にしたアクションシーンは、これまで観たこともない、なんとも愉快な活劇でした。衝撃?いやあ、笑劇かな?その次の第6作の「ユーロ・ミッション」でも、高速道路を戦車が疾走して通行車両を次々と押しつぶしていく痛快さに大いに感心しました。いやあ、問答無用の面白さでした。
このように、アクションシーンには何の心配もしていなかってのですが、不安材料としては、ヴィン・ディーゼル演じる主人公ドミニク・トレットの弟が突然現れるストーリーです。え、そんなのあり?
また、第6作の最後で敵役だったジェイソン・ステイサムに殺されたはずの韓国系の仲間ハンが復活します。え、また、第6作で蘇ったミッシェル・ロドリゲス扮するレティと同じことするの?
しかも、今回は、仲が悪いと噂されていたドウェン・ジョンソンが出演しません。第5作でプロレス出身の彼が演じるタフガイの登場がこのシリーズの人気を押し上げたラッキー・アイテムなのに、大丈夫か?
加えて、前情報によると車で宇宙に行くとのこと。これまで車が空を飛び、氷原で潜水艦と競争した次は、宇宙にでも行かないと収まらないなあなどと冗談で思っていたら、本当らしいのです。007シリーズも宇宙に行ったらダメになったので、実に心配です。
などと、脚本の出来に危惧を抱いていました。前作までの脚本家がやめたとも聞きましたし・・。
しかしながら、こうした不安は全くの杞憂でした。弟の存在とその因縁は、冒頭からドミニクの若き日の父と兄弟のエピソードを別の若い俳優をつかってじっくりと描くことで観客に納得感を持たせました。開幕のユニバーサルの古いロゴの意味には感心しました。しかも、その弟ジェイコブにはプロレス出身の俳優ジョン・シナを起用し、ロック様に代わるラッキー・アイテムをしっかり確保しています。恐るべし、ジャスティン・リン監督。
もっとも、ハン役の復活は、パンフレットによると”ハンに正義を”というツイッターでのファンの運動に後押しされて実現したということですから、あの東京五輪2020の”出来事”を思い出します。いやあ、製作陣もご苦労様でした。でも、なんでもありなら、ワンダー・ウーマンで大スターになった恋人役も生き返してほしいものです。きっとギャラの問題でダメですよねえ、わかっています。
そして、やっぱり見せ場はカーアクションです。冒頭の地雷原を疾走するシーンは見事ですが、締めくくりの吊り橋アクションはさすがに荒業すぎてリアル感が全く無くあまり感心しませんねえ。
しかし、ラストの見せ場での巨大な装甲車との活劇には小膝を叩きました。劇中で”聞いたことがないほど強力な磁力装置”が何度も紹介されていましたが、車に積んだその装置がとんでもないアクションを生み出しました。スイッチを入れるたびに、周囲の車などの金属製品が引っ付くのです。何台もの車をくっつけて走る絵には吹き出しました。まさしく第5作「メガマックス」の大金庫のパワーアップ版です。いやあ、奇想天外とはこういう発想ですよねえ。最新作の必勝アイテムはなんと”磁石”でした。何度考えても笑いがこみ上げます。馬鹿馬鹿しくて、しかしそれを実写化して見せるのですから大したものです。
ちなみに、潜水服で宇宙に行くのも笑いました。こういうノリなら007映画の二の舞にはなりませんでしょう。いずれも、荒唐無稽な漫画的な発想ですが、なんかありそうに思えて納得してしまうのですから不思議です。
いやあ、本当に参りました。楽しい映画をありがとう。ついでに言えば、映画では、急逝した俳優ポール・ウォーカーが演じる妹の夫ブライアンはまだ生きている設定なのですねえ、ここは今後ともCGでもなんでも使って頑張ってほしいところです。
最後に、未見の方は、エンドロールが終わっても席を立たないようにしてください。私はやむにやまれぬ事情から出てしまったのですが、パンフレットを見ると、最後に次回作に向けて重要な場面が挿入されていたそうです。そうなんです、前もありましたよねえ、すっかり忘れていました。
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