ザ・スーサイド・スクワッド/”極”悪党、集結
ジェームス・ガンという映画監督をご承知でしょうか?マーベル映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を大ヒットさせて、一躍名を成し、第3作目に取り掛かっていたのですが、トランプ政権を批判していた彼は、過去に書いた不謹慎なツイッターを”オルタナ右翼”によって世間に晒されたことから、マーベルの親会社のディズニーにいきなり解雇されたそうです。SNSの時代は怖いですねえ。
そうした彼のどん底の時期に、マーベルのライバル会社DCの親会社ワーナー・ブラザーズが救いの手を差し伸べ、”スーパーマンなどのDCヒーローのすべての題材を自由に選んで製作してほしい”という破格の条件で契約したのが「ザ・スーサイド・スクワッド」シリーズの今作だそうです。それだけ才能を見込まれていたのでしょうねえ。そういう逸話を聞くと、このシリーズの第2作が悲惨な出来だったことなどは忘れて見に行きたくなったのです。
ちなみに、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の第3作は、出演者の意向やファンの署名運動などで既にガン監督の復帰が決まっているそうです。
さて、このシリーズ第3作に当たる「ザ・スーサイド・スクワッド/”極”悪党、集結」は、ガン脚本らしく観客の予想の斜め上をギャグと血糊満載で展開していきます。ならず者を集めて秘密作戦を決行しようとする”自殺小隊”の物語なのですが、冒頭から「特攻大作戦」のノリで刑務所から曰く付きの囚人が集められて、いざ目的地に侵攻したとたん、いきなり”嘘でしょう。”と絶句する展開になります。
しかし、映画はもちろんそこで”話は終わった”のではなく、別の本命ともいうべき物語が始まります。こういうストーリー上の仕掛けが次々と発火しながら、アクションではグロテスクな肉体の破壊がブラックな笑いの中で炸裂します。なにしろ、集められた能力者は、人間種にとどまりません。イタチ男からサメ男までいるのですから、何でもありです。陸上を歩き、人語を解し、しかも人を食う不死身のサメ男、こんなとんでもない存在が鳥山明のマンガのように普通に居るのです。そして観ているうちに全く気にならなくなります。可愛げ迄出てくるのですから、不思議です。不思議と言えば、吹き替えが大スターのシルべスター・スタローンといいますからよく受けてくれたものです。驚きです。その上、パンフレットによると”サメ男は最初からスタローンを当ててキャラクターを作った”という監督の談話にはなんと言っていいか、でも笑ってしまいます。それにしても、こんな監督の意図を無視して吹替版で観るのはどうでしょうか?早々に字幕版の方の上映を終了している劇場もあるようですが、ホントに困ったものです(笑)。
そして、ストーリーは中盤からますます変な方向に進み、敵のボスが主人公のハーレイ・クインにべた惚れでついには結婚しようというまでの間柄になりますが、・・・いや、ここは映画をご覧ください。さすがハーレイと言うべきなのでしょうか?とんでもない結末です。
それから終盤、敵の本拠地のおぞましい秘密が暴かれるのですが、そこからは、完全な大怪獣映画になってしまうのです。しかも登場する宇宙怪獣が、1956年公開の大映映画「宇宙人東京に現わる」の宇宙人とそっくりなのです。まあ、どちらもヒトデを模していますから、細かいことは言いません(笑)。でも、一つ目のデザインは岡本太郎が先ですよ。ただ、今回の宇宙怪獣は、分身を作ってエイリアンのように人間の顔に張り付き、人を操るのはなかなか面白い趣向でした。
それにしても、仲間割れを起こすタフガイは、「ワイルド・スピード」で先日見た敵役を演じた元プロレスラーさんですし、今回のヒーローは「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」の敵役イドルス・エルバですので、ハリウッドも結構狭い世界なのですねえ。ちなみに、全シリーズで冷酷非情の女司令官の役を務めている黒人の女優さんは人気があるのですかねえ。どうも、しっくりこないのですが(笑)。
長々と書いてきましたが、全体の感想としては”面白い設定とストーリー”と頭では思いましたが、いまひとつガン監督の世界に入ることはできませんでした。ラストでの”不都合な記録媒体”の扱いへの不満もありますし、憎たらしい女司令官がのうのうとしているのも気に入りません(笑)。
そういえば、大人気の「ガーディアンス・オブ・ギャラクシー」第1作でもなんか違和感を持った記憶がありますので、どうやら私は少しガン監督と相性が悪いようです。それが残念でした。


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