ザック・スナイダーカット/ジャスティス・リーグ
映画「ジャスティス・リーグ」の監督ザック・スナイダーカット版ブルーレイが発売されました。いわゆるディレクターカット版というもので、例えば、リドリー・スコット監督の「ブレードランナー」などは違うラストで何種類も発売されているので有名ですが、このブルーレイは少し違います。なにしろ、オリジナルの劇場公開版が120分に対して、なんと240分、つまり4時間超もあるのです。
聞くところによると、劇場で公開されたオリジナル版は評判も興行も悪く、ファンを中心にザック・スナイダー監督の当初に企画した内容に改変するよう働きかける運動があったようです。もともと、スナイダー監督は熱烈なコミックファンであり、そうした思いがコミックファンとの連携となったようで、今回、かなりな追加撮影も行って、上映時間4時間の作品が出来上がったそうです。
しかも、ブルーレイの発売にあたってアマゾンが特別仕様で売り出したおかげで、予約受付と同時にすべて売り切れ、転売屋が何倍ものプレミア価格でアマゾンの中古売場で転売するという事態を引き起こしました。当時は、買えなかったファン達の発売元のワーナーへの怨嗟の声がアマゾンのレビューに掲載されていました。劇場公開版を気に入っている私(当ブログ2017.11.26参照)としても、当然、品切れの中なんとかゲットしようと、楽天市場などを探し回ったあげく、やっと初回仕様のブルーレイセットを”定価”で予約したものでした。その時は、こんな変則的な作品なので発売予定数が抑えられているのかとも思っていましたが、販売直前になって、”通常版”がアマゾンでお安く発売されたのには呆れると同時に怒りが湧いていますが、これはまた別の話です・・か。
さて、このような経緯があった作品ですが、観て驚きました。まず、画面が監督の意向によりスタンダード版なのです。つまり、ワイドテレビでは、左右に黒枠が出ます。しかも、極端にカラーの彩度を低くしているので、まるでモノクロ画質です。つまり、一見すると、クラシック映画のようです。スーパーマンたちの超人が活躍する娯楽活劇なのに、なんとも暗いムードです。冒頭のワンダーウーマンの活躍が文字通り色あせて見えます。これはイケません。色を抜きすぎて、まるで古いアルバムを眺めるような気さえします。
加えて、4時間という長時間のせいか、サイレント映画のような”章立て”なのです。しかも、2時間の追加分はほとんどが細かな説明的な内容であり、あまつさえ意味不明な夢のシーンも多く挿入されています。オリジナルの作品では、実に要領よく超人たちを紹介していた物語が、どうでもいいようなエピソードが挿入されたせいで、なんとも中途半端なテンポになってしまいました。アマチュアが作った個人的な映画のようだといったら、失礼ですよねえ。わざわざ、マーベルに対抗したかのようなラスボスなどを追加することはないのです。
しいて良かった点を言えば、悪役のステップウルフのデザインが各段に改善されたこと、ロシアの原発跡地の住民エピソードをカットしたこと、エンドロール後のスーパーマンとフラッシュの速度競争などがカットされたことは喜ばしいのですが、それ以外は、何故、こんな長い作品を作る必要があったのか、理解できません。私としては、上記の点以外は元の劇場公開版に軍配を上げます。これは決して、アマゾンやワーナーの”商売”に騙されたと怒っているわけではありませんので誤解のないように願います。でも、ホントなら、映像配信でレンタルしてから購入を判断したらよかったぐらいは後悔しています。
ちなみに、改めて劇場公開版を観ましたが、つまらないギャグが少し鼻に突きますが、やっぱり色鮮やか(マーベルよりは随分暗い色調ですが)な方が娯楽活劇としては楽しめました。
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