恐竜画集
前回に引き続き、恐竜本のお話です。恐竜の姿は化石の発掘による新発見や分析技術の進歩によって様々な形に変化してきているのは、前回ご紹介したとおりですし、それは、図鑑の復元図にも大きく影響しております。
復元画家の元祖、チャールス・R・ナイトの復元図は科学的には不正確になっても、その芸術性や歴史的価値はいささかも失われていません。今観ても、素晴らしい”絵”なのです。残念ながら、我が国では、彼の恐竜画集は発売されてはいません。断片的に様々な図書でその”絵”が紹介されているにすぎませんが、どれも有名な”絵”であり、我が国の子供向の雑誌や図鑑で模倣されていたので、皆さんも多分どこかで見たことがあると思います。ちなみに、彼の作品をまとめた本はとしては「恐竜、マンモス、原始人」という洋書がありますが、この入手経過は当ブログ(2008.1.19)で詳細に書いていますのでご参照ください。
また、私のご贔屓のチェコの画家”ズデニエック・ブリアン”の絵も、いまや図鑑ではなく、画集としてその価値を高めています。興味のある方は、我が国での翻訳版「図説 人類以前」を古書店で探して、その素晴らしい復元図をご堪能ください。様々な古生物が原始の自然の中で生き生きと描かれています。本当に素晴らしいものです。なお、画集としては「原色 前世紀の生物」という大型本が出版されており、当ブログで正・続と2回(2014.1.18,2014.8.26)紹介しています。
こうした名著に比較して我が国の図鑑の”絵”はどうも感心しないなどと思っていたら、トンデモ恐竜本で紹介のあった「藤井康文 恐竜画集」という恐竜画集を手に取って、日本の復元画家もいいぢあないかと少し見直しました。作者は科学雑誌の「ニュートン」や小学館の図鑑で40年も描いてきた方だそうです。私のイメージでは我が国の出版物は昔の荒々しいタッチのスケッチ風復元図や最近のCGチックな復元図でしたが、この本の絵は手書きの細密恐竜画なのです。しかも、各ページの真っ白な背景に細かな描写の恐竜たちがうまく配置されているデザインは図鑑としても実にいい。”画集”としたのは、最新の恐竜の定説と異なる部分があるのでしょうが、そんなことはどうでもいいのだ(笑)。羽毛のない姿が実に心地よいのです。本当に楽しめました。
ちなみに、CG復元図では「寺越慶司の恐竜」、最新の学説に基づく恐竜画としては、内外の復元画家を紹介した「アート・オブ・ダイナソー」が出版されていますが、やっぱり、羽毛恐竜は嫌いです(笑)。しかし、何度も繰り返しますが、”近縁種は別にしてティラノサウルス本体にはまだ羽毛があったという決定的証拠はない”というのが往年の恐竜ファンの心のよりどころです。
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