時代劇聖地巡礼
本当に久しぶりに全国チェーンの大型書店に出かけました。かつてはあれほど足しげく通っていた本屋さんにほとんど出かけていません。その理由は、本が通信販売で翌日には手に入る便利な時代になったこともありますが、一番大きな要因は、地元の大型書店では椅子を構え、売り物の本を自由に長時間読ませるサービスを始めたからです。高齢化社会の縮図なのか、開店と同時にお年寄り(何故かほとんど男性)が集まり熱心に読書しています。それ自体はお年寄りの生きがいにつながるのでしょうが、問題は、手で丸めながら読んでいる本がすべて売り物なのです。併設の喫茶にも持ち込んでも良いといいます。それらの本は、当然、読まれた後は売り場の書棚に返されます。何度か、汗でよれよれになった本を手にしました。定価で売る大事な商品なのですよ、コレ。買う客をなめてません?ホントに。何か、本屋さんとして、商売として間違っている気がします。もっと”本”を大事に扱ってほしいものです。古書店チェーンの方がもっと本を大事にしていますゾ。
実は、この”困ったちゃん”の大型書店さんが、コロナ禍のために椅子を撤去していたのです。で、久しぶりに書店の雰囲気を楽しみました。ネットショップのウインドウでは気が付かない新刊本が並んでいます。一期一会というのが本屋の楽しみですよねえ。
ということで、今回見つけたのが、「時代劇聖地巡礼」です。著者は、このブログでも何度か紹介したことがある時代劇研究家の春日太一氏です。立ち読みで中身をぱらぱらと見たら、ほとんどがTV番組の時代劇のロケ地の紹介で予想以上に映画関連が少ないため、購入を少し迷ったのですが、東映時代劇映画「十兵衛暗殺剣」で、殺陣に定評のある近衛十四郎扮する柳生十兵衛が湖族と戦った湖の場所が紹介されていたので、つい買ってしまいました。
この映画のことは、当ブログでも紹介(2012.4.15参照)していますが、大スター大友柳太郎が悪役の剣豪に扮し、小太刀を使う重厚な殺陣を見せて実に面白かった作品です。多分、琵琶湖だろうと思っていましたが、この本によると、ロケ地は、琵琶湖の内湖の一つ、葦が群生している「西の湖」だそうです。唯一足がつく浅い水辺があるそうです。現地も全く見てもいないのですが、あのクライマックスが蘇り、著者でなくても興奮しますねえ。
そして、購入後、もう一つの発見がありました。この本では、時代劇で良く使われる橋として、八幡市の上津屋橋、通称「流れ橋」が紹介されています。掲載されたカラー写真を見てうれしくなりました。私のお気に入りの大映映画「座頭市海を渡る」の前半に登場する欄干のない長い木造の橋があったのです。映画を観た時からどこにあるのだろうと思っていましたし、現在はもう存在しないのだろうと諦めていた”橋”が今も残っているのです。この映画の中でもう一つ印象的な”金毘羅宮の長い石段”が実は合成した絵だったとも聞いていましたから、なんだか昔の恋人に会ったような気がします。この本を買って本当に良かったと実感した一瞬でした。良く見れば表紙の写真の場所がそうです。
そのほか、テレビ番組として紹介されたロケ地の写真の中には、何かの映画で見た風景がある気もしますので、次作は、是非、時代劇”映画”のロケ地を紹介する本を出版してほしいものです。最近の時代劇ロケは京都以外の場所を各地で探しているそうです。いまや京都はあふれるばかりの観光客で混雑している大観光地ですから実際の映画ロケ撮影はもう不可能でしょう。仮に邪魔な現代的な建物や背景についてグリーンバックを使ってCG処理しても、外国人などの物見客が大勢集まる観光名所ではどう考えても制約ばかりで撮影は無理ですよねえ。
その意味で当初この本に掲載されている京都の風景が無人になっている写真に驚いたのですが、実は著者がロケハンで巡礼したのは、昨年のコロナウィルスの緊急事態宣言が解除された翌日以降の数日間だったそうで、まさに慧眼ともいえる出版でした。この掲載済みの写真から時代劇映画のロケ地を探し出すのも面白いかもしれません。いずれにしろ、歳を重ねた時代劇ファンには楽しい読み物となっています、未見の方は是非ご覧ください。
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