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2021年3月 4日 (木)

メイキング・オブ・エイリアン2

 先日「メイキング・オブ・エイリアン2」という大型本が発売されました。いうまでもなく映画「エイリアン2」の製作裏話をまとめたメイキング本です。著者はジョナサン・W・リンズラーという人で、これまで「メイキング・オブ・エイリアン」、「メイキング・オブ・インディ・ジョーンズ/全映画の知られざる舞台」、「メイキング・オブ・スター・ウォーズ/映画誕生の知られざる舞台」というSF映画のメイキング本ばかり書いてます。
 この「エイリアン2」のメイキング本は、29.7cm×2.2cm×21cmのサイズで、304頁もある大型本です。横長なので手に取って読みにくい(翻訳調の文章も含めて)のが難点です。

413ce2owyvl_sx218_bo1204203200_ql40_ml2_  内容は、映画「エイリアン2」がいかにしてできたか、当時は全くの無名のジェームズ・キャメロンがどのようにして監督をすることになったのか、そして、撮影がいかに過酷だったのか、そうした製作現場の裏側の事情が、製作陣への綿密な取材をもとに詳細に赤裸々に描かれています。こうした実名を挙げた書物というのは、争いを好まぬ我が国ではなかなか出版できません(笑)。
 なにしろ、第1作「エイリアン」をリドリー・スコットが撮った伝統あるイギリスの撮影所では、”空飛ぶピラニア?”のC級映画の監督実績しかない、何処の馬の骨ともわからないアメリカ人キャメロン監督への反発や侮りが相当あったようで、しかもプロデューサー(製作責任者)が彼の妻で"女"であることへの反感もあって、一時は現場のイギリス人助監督を解雇するという事態にまで進展したそうです。もっとも、この解雇は、仲間のイギリス人全員が辞める騒動になり、キャメロンが結局折れたそうです。どうやらイギリス人の頑固なまでの職人気質や勤務時間中にお茶の時間を何度も取る慣習などにキャメロンは我慢ならなかったようです。日本でも東映の時代劇撮影所におけるよそ者に対する”逸話”はよく物の本に書かれていますから、職人気質というのは世界共通なのかもしれません。ちなみに、第1作のメイキング本「メイキング・オブ・エイリアン」によると、新人だったリドリー・スコット監督も現場で苦労したそうですから、やっぱり”撮影所”というのは大変な処なのですねえ。

5148asfhyl_sx218_bo1204203200_ql40_ml2_  それにしても、ほとんど実績のないキャメロンがどうやって映画「エイリアン2」の監督になったのか不思議なのですが、答えは実に簡単で、キャメロン自身が映画「エイリアン」のファンで作品に精通していた上、「エイリアンズ」の題名で書いた続編の脚本が非常に優れたものだったからなのです。もちろん、自分が監督することを条件にしていましたので、丁度製作されたばかりの「ターミネーター」の出来栄えが映画会社の首脳陣に彼の才能をアピールすることになったようです。やっぱり黒澤明監督の言うとおり”脚本を書け”ですねえ。  

 ちなみに、彼の出世作「ターミネーター」も彼が脚本を書き、監督することを条件で低予算で製作され、このときに、特殊撮影技術のスタン・ウィンストンと出会い、「エイリアン2」以降も一緒に仕事をすることになります。彼がいなければキャメロンのイメージも映像化できなかったと思わせるほどの凄腕技術者でした。

 この本では、こうした裏話が企画段階から音楽まで製作工程のあらゆる場面が事細かに書かれていますし、特にSF映画の要である特殊撮影シーンについては、まだCGの無い時代ですから、例えば、あのエイリアン・クイーンとリプリーが乗ったパワーローダーの迫力ある戦いを実物大や1/4の模型を使ってどうやって作りだしたか、その方法が極めて詳細に説明されています。そのほか、筒状の容器に入れられた幼虫フェイス・ハガーが動くチョットしたシーンにも相当な工夫が必要だったなど、いやあ本当に楽しいお話ばかりなのです。

 ところで、この続編には、第1作で一躍大スターになったシガニー・ウェーバーは出演する気はなく、製作が決定してからも、映画会社からは高額のギャラの問題もあって彼女と交渉もしていなかった逸話には驚きました。結局、キャメロン監督自身が彼女と面談し、説得したそうです。ウェーバーの気が変わったのは、脚本が”リプリーの話”だったことや映画「ターミネーター」を観てキャメロン監督の才能を知ったからだそうです。もっとも、出演してからはリプリーが銃を撃つのに反対(銃規制の信条らしい)したり、様々なアイディアを持ち出して監督を困らせたらしい。その時のアイディア(エイリアンの子供を産むなど)は、その後の第3作以降の作品に随分使われているそうで、聞かなかって正解でした(笑)。

 とにかく、映画製作というのはかくも大変だということが実によく分かる本です。また、コンピュータ作業ではないアナログの特殊撮影の面白さを伝え残す見事な本にもなっています。かなり高額ですが、映画撮影の現場に興味のある方は是非ご覧ください。

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