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2021年3月27日 (土)

モンスターハンター

 ハリウッド映画がコロナ禍で軒並み公開延期される中で、やっと封切りになった「モンスターハンター」を観て来ました。予告編を見て以来随分待たされていたので、初日の初回に行ってきました。場内の席はまばらでコロナ対策としては完璧でしたねえ(笑)。

Img_20210327_0002  この作品は、ご存知のとおり大人気のゲーム「モンスターハンター」の映画化で、同じくゲームを原作とする「バイオハザード」で当てた監督ポール・W・S・アンダーソン、主演ミラ・ジョヴォヴィッチのコンビで製作されています。「ゾンビの次はモンスターか」と妻はあきれたとパンフレットに書いてありましたが、まあ、そのとおりですねえ。

 さて、今回も、ゲームには登場しないミラ演じる特殊部隊の小隊長アルテミスを、異世界に召喚する荒業で映画化しています。「バイオハザード」の手法ですねえ。そのおかげで現在の近代兵器と異世界の巨大モンスターが戦うという設定が面白い。
 でも、異世界のモンスターには、近代兵器は全く歯が立ちません。ちなみに異世界の魔法の剣では斬れるのですから、その辺は”異世界”ということで納得しましょう(笑)。とにかく、現代の特殊部隊の方は一方的な蹂躙で終わります。しかしこういう怪獣映画のノリはうれしいものです。空飛ぶドラゴンのようなモンスターが偵察機をつかむシーンは白眉です。私としてはこの場面だけで満足です。
 ちなみに、異世界の砂漠がやけに白いと思っていたら、実は、ケープタウンの近くにある真っ白い砂で有名な場所だそうです。現地でのロケ撮影は過酷だったそうですが、トム・クルーズの体を張った作品のように、いまやCGではなく”本物”というのがウリになる時代なようです。

 物語自体は、モンスターとの戦いというよりは、異世界に飛ばされ、味方が全滅する中で、生き残ろうとするアルテミスのサバイバルな生き様に力点が置かれています。特に「マッハ!」でその身体能力を世界に示したトニー・ジャーが扮する異世界の戦士との出会いがかなりな時間をかけて描かれます。大げさに言えば、二つの文明の衝突ということになりますが、チョコを渡して仲良くなる場面は、やっぱり少し白人の傲慢さを感じるような演出です。東宝映画「キングコング対ゴジラ」の無意識の差別意識を思い出しました。
 加えて、ミラが鍛えすぎです。もう戦闘人間という感じで色気もなにもありません。まあ、サバイバルなので仕方がありませんが、ファンサービスが失われたのが実に残念です。

 今回の映画は、今後のシリーズ化を見越しての異世界の紹介という雰囲気になってしまい、舞台設定や登場人物がほぼ出そい、さあ、これからだと思ったところで幕が下ります。まあ、面白くなかったわけではありませんが、上映時間も1時間40分程度と短く、全体的に”小品”という感じでやっぱり少々物足りません。謎の尖塔によって「スターゲート」のように異世界と自由に行き来できる設定ですから、今後はいろいろな展開を構想しているのでしょうが、私としては続編が実現できるように大ヒットすることをお祈りしましょう。

 それにしても、ゲーム製作者の監修を受けたというあの巨大モンスターのデザインは、どうなんでしょうか。特に、地中を高速で移動するモンスターの姿は、あの巨大な角が邪魔じゃないかとずっと心配していました。そう思わないかな?

Img_20210327_0001  余談ですが、最近、市販されるパンフレットの表紙が味気なさ過ぎです。シン・エバは白で今回は黒。紙面が限られてるのですから、もっと有効に使ってほしいものです。写真は、無料のチラシを掲載することにしました。

2021年3月25日 (木)

バルカン超特急

 最近、家庭内での映画の視聴では、加齢のせいで気が短くなったためなのか、”つまらない”と感じる場面ですぐに手元のリモコンで倍速を選んでしまいます。単に風景を延々と映している(ぼうっとしてんじゃねえ!と言いたくなります)ようなシーンなどは本当に耐えられません。今回は題名をあげるのは控えますが、最近見たのはそんな倍速映画ばっかりです。題名を控えるのは、当ブログで倍速映画と貶した作品が後で見るとなかなか味があると評価を変えた経緯もあるので反省して(笑)遠慮しました。

61sa3f1pbl_ac_sy445_  そんな中で、ひさしぶりにヒッチコックの初期の作品「バルカン超特急」を観ました。この作品は、東欧からロンドンに向かうバルカン国際列車の中で、一人の老婦人が忽然と消えてしまうというミステリー(めずらしく途中まで謎解きです)です。以前に観て面白かった作品なのですが、私のDVDコレクションから漏れていた作品でもあり、丁度DVDのバーゲン品があったので今回取り寄せたものです。

 なにしろ、1938年公開というモノクロ作品です。DVDの解像度自体はあまり良くはありませんし、当時の撮影技術もいまほど進んではいないと思うのですが、その映像と演出の見事さには唸ります。幸い(?)随分前に観たので、細かなストーリーもすっかり忘れており、開幕早々からスリルとサスペンスとユーモアの詰まったヒッチコックの世界に引き込まれてしまいました。そして、一気に最後まで堪能しました。そうです、これこそが映画であり、こういう作品が傑作と呼ばれ、古典という名に値するのです。まさにヒッチコックの初期の傑作という評価を再度確認しました。

 冒頭、東欧の田舎の町の駅周辺が映るのですが、それがミニチュアのように見えるのはご愛嬌です。昔はカメラやフィルムの質も低く、よく模型を使っていたようです。これが本当に模型かは別にして、ヒッチコックが手前の”手のアップ”を撮影するのに巨大な手の模型を作ったというのはこのブログでも何度も紹介したことがある有名な逸話で、そうした映像(アナログ)の魔術師という異名もあるのですが、ヒッチコックは、なんといっても、ハラハラ、ドキドキのストーリーの展開が名人芸なのです。

 この作品でも、翌日のロンドン行きのバルカン特急列車に乗るためにひなびたホテルに集まった人たちを一人ひとり紹介する場面の見事なこと。突然吹雪で開くドアを使ったユーモアあふれる老婦人の登場をはじめ、英語が通じず食事もとれない二人の英国紳士、主人公であるアメリカの富豪の娘と彼女の手助けすることになる風変わりな男との奇想天外な出会いなど、ホテルの支配人の滑稽な応対を通じて、一時も観客を退屈させないヒッチコックの手腕に感動します。冒頭以外の魅力はここでは逐一説明しませんが、どの場面もなにか凝縮しているような厚みがあります。現代の名匠スティーブン・スピルバーグ監督が若い頃古典を観て勉強したというのは有名なお話ですし、観る側ももっともっと古典(映画)を楽しむ文化が必要でしょうねえ。是非、メーカーさんには古典をBDで発売してほしいものです。以上、あらためての古典賛歌、アルフレッド・ヒッチコック賛歌でした。

2021年3月13日 (土)

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

 エヴァンゲリオンの新劇場版シリーズの最終作「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を観ました。新劇場版の第1作「エヴァンゲリオン新劇場版:序」の公開が2007年9月といいますから、実に14年ぶりの完結です。しかも、第3作「エヴァンゲリオン新劇場版:Q」が2012年11月公開ですから空白期間が8年間もあります。そもそも、「序」・「破」ときたら「急」というところを「Q」ですから、3作で終わるわけもなかったのですが、ついに完結ということで期待感は高まります。なにせ、3作目は、2作目から14年後というとんでもない設定でしたし、謎が謎を呼び、結局”サードインパクト”を起こしてしまうという幕切れでしたので、地球全体を破壊した大ぶろしきをどう畳むのか、興味津々ということなのです。もっとも、タイトルからして心配です。「シン・ゴジラ」の二番煎じに、あの末尾の音符記号「:||」はどういう意味?リピートか、完結か、NETではいろいろ議論が起こっています。商売上手と言えば、そのとおりなのでしょう、コアな岩盤層のファン達は喜んでいるようです。

Img_20210312_00011 さて、映画の出来はというと、映像が凄い、CG技術のおかげでしょうか、巨大メカの戦闘シーンなどはリアルで精密な絵が目まぐるしく動き回り、老朽化した動体視力では対応できません。ただ、人間の想像力はかくも奇想天外なビジュアルを描けるのかと、ひたすら感心して眺めていました。しかしながら、以前のように巨大なメガが凄いスピードで都市で戦うという、いわば怪獣映画としての理想の”絵”が無くなり、まるで特撮のセットのような世界で戦う場面は、セルフパロディにしてもあまり面白くはありません。加えて上映時間がやや長すぎます。特に恒例のシンジのヘタレなシーンが延々続くのを観るのは退屈でしかたありませんでした。

 それにしても、やっぱり、難解映画と言われるだけあって、お話の展開がまったくわかりません。実は、鑑賞前に、新劇場版3作をネット配信で再度視聴して復習した(1~2作目は意外にわかりやすい)のですが、これまでの宿題をこなすよりも新たな謎が次々に提示されて、ゲンドウやコウゾウ、カオルやカジ達の持って回った意味ありげなセリフの意味が全くわからないのです。完結編に至って、使徒まがいの正体やマイナス宇宙なるものが出現し、最後は世界は丸く収まりますが、モブキャラだった筈の中学校の同級生の活躍やシン・ヒロインの急転直下の誕生、ましてやゲンドウの愛妻補完計画の正体には正直あ然としましたねえ。まあ、なんでもありの大空想神話科学映画ですから、ハッピーエンドなら許しましょう(笑)。それに、幸せが日本の農村にあるというメッセージは3.11後の日本人の気持ちを反映して共感できるし、綾波レイがスーツ姿で田植えをする場面は素晴らしい。結局、これをやりたかった?・・・わかります(笑)。

 Img_20210312_00012 鑑賞後、ユーチューブでコアなファンによる解説(非公式)を観ましたが、それでもよくわかりません。どうやら、原始地球に、”アダム”という生命体が隕石に乗ってやって来て、生命の実と何とかの槍と死海文書をもたらした。その後、”リリス”という別の生命体が地球に衝突、セカンドインパクトを引き起こし、アダムは活動を休止したらしい。一方、リリスは様々な生物を生み、人類が誕生した。その秘密に気が付いた人間達がゼーレという秘密結社を結成して世界を裏から操っている。そして、近年になってアダムが復活、使徒が襲来するようになった、というのが、そのネットの解説です。
 そんな話はどこにも載っていないぞと思っていたら、実は漫画本にあるらしい。しかも、テレビ版、旧劇場版もパラレルワールドとなっているということなので、もう完全にお手上げでした。いやあ、解釈は自由という説明でしたが、これは作者が単に故意に説明をしていないだけでしょう、まったく商売上手なことです。ついでにいうと、パンフレット1500円は暴利です。内容は、ほとんど声優の談話でした。ストーリーの解説ぐらいしてほしいものでした。

 

Img_20210312_0001 ちなみに、最後の写真が、劇場パンフレットの表紙です。白紙ではありません。なんか、描かれています。

2021年3月 4日 (木)

メイキング・オブ・エイリアン2

 先日「メイキング・オブ・エイリアン2」という大型本が発売されました。いうまでもなく映画「エイリアン2」の製作裏話をまとめたメイキング本です。著者はジョナサン・W・リンズラーという人で、これまで「メイキング・オブ・エイリアン」、「メイキング・オブ・インディ・ジョーンズ/全映画の知られざる舞台」、「メイキング・オブ・スター・ウォーズ/映画誕生の知られざる舞台」というSF映画のメイキング本ばかり書いてます。
 この「エイリアン2」のメイキング本は、29.7cm×2.2cm×21cmのサイズで、304頁もある大型本です。横長なので手に取って読みにくい(翻訳調の文章も含めて)のが難点です。

413ce2owyvl_sx218_bo1204203200_ql40_ml2_  内容は、映画「エイリアン2」がいかにしてできたか、当時は全くの無名のジェームズ・キャメロンがどのようにして監督をすることになったのか、そして、撮影がいかに過酷だったのか、そうした製作現場の裏側の事情が、製作陣への綿密な取材をもとに詳細に赤裸々に描かれています。こうした実名を挙げた書物というのは、争いを好まぬ我が国ではなかなか出版できません(笑)。
 なにしろ、第1作「エイリアン」をリドリー・スコットが撮った伝統あるイギリスの撮影所では、”空飛ぶピラニア?”のC級映画の監督実績しかない、何処の馬の骨ともわからないアメリカ人キャメロン監督への反発や侮りが相当あったようで、しかもプロデューサー(製作責任者)が彼の妻で"女"であることへの反感もあって、一時は現場のイギリス人助監督を解雇するという事態にまで進展したそうです。もっとも、この解雇は、仲間のイギリス人全員が辞める騒動になり、キャメロンが結局折れたそうです。どうやらイギリス人の頑固なまでの職人気質や勤務時間中にお茶の時間を何度も取る慣習などにキャメロンは我慢ならなかったようです。日本でも東映の時代劇撮影所におけるよそ者に対する”逸話”はよく物の本に書かれていますから、職人気質というのは世界共通なのかもしれません。ちなみに、第1作のメイキング本「メイキング・オブ・エイリアン」によると、新人だったリドリー・スコット監督も現場で苦労したそうですから、やっぱり”撮影所”というのは大変な処なのですねえ。

5148asfhyl_sx218_bo1204203200_ql40_ml2_  それにしても、ほとんど実績のないキャメロンがどうやって映画「エイリアン2」の監督になったのか不思議なのですが、答えは実に簡単で、キャメロン自身が映画「エイリアン」のファンで作品に精通していた上、「エイリアンズ」の題名で書いた続編の脚本が非常に優れたものだったからなのです。もちろん、自分が監督することを条件にしていましたので、丁度製作されたばかりの「ターミネーター」の出来栄えが映画会社の首脳陣に彼の才能をアピールすることになったようです。やっぱり黒澤明監督の言うとおり”脚本を書け”ですねえ。  

 ちなみに、彼の出世作「ターミネーター」も彼が脚本を書き、監督することを条件で低予算で製作され、このときに、特殊撮影技術のスタン・ウィンストンと出会い、「エイリアン2」以降も一緒に仕事をすることになります。彼がいなければキャメロンのイメージも映像化できなかったと思わせるほどの凄腕技術者でした。

 この本では、こうした裏話が企画段階から音楽まで製作工程のあらゆる場面が事細かに書かれていますし、特にSF映画の要である特殊撮影シーンについては、まだCGの無い時代ですから、例えば、あのエイリアン・クイーンとリプリーが乗ったパワーローダーの迫力ある戦いを実物大や1/4の模型を使ってどうやって作りだしたか、その方法が極めて詳細に説明されています。そのほか、筒状の容器に入れられた幼虫フェイス・ハガーが動くチョットしたシーンにも相当な工夫が必要だったなど、いやあ本当に楽しいお話ばかりなのです。

 ところで、この続編には、第1作で一躍大スターになったシガニー・ウェーバーは出演する気はなく、製作が決定してからも、映画会社からは高額のギャラの問題もあって彼女と交渉もしていなかった逸話には驚きました。結局、キャメロン監督自身が彼女と面談し、説得したそうです。ウェーバーの気が変わったのは、脚本が”リプリーの話”だったことや映画「ターミネーター」を観てキャメロン監督の才能を知ったからだそうです。もっとも、出演してからはリプリーが銃を撃つのに反対(銃規制の信条らしい)したり、様々なアイディアを持ち出して監督を困らせたらしい。その時のアイディア(エイリアンの子供を産むなど)は、その後の第3作以降の作品に随分使われているそうで、聞かなかって正解でした(笑)。

 とにかく、映画製作というのはかくも大変だということが実によく分かる本です。また、コンピュータ作業ではないアナログの特殊撮影の面白さを伝え残す見事な本にもなっています。かなり高額ですが、映画撮影の現場に興味のある方は是非ご覧ください。

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