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2021年2月28日 (日)

ANNA/アナ

  見なければよかった系の映画の口直しの作品を探していたら、リュック・ベッソンの「ANNA/アナ」に気が付きました。2019年の作品なのですが、評価が低かったせいか、日本では昨年の6月まで公開が延期されていた映画です。私もすっかり忘れていましたが、動画配信サービスで再発見です。

711pbvxjmbl_ac_sx342_  フランスの”女好き”ですが、稀代のアクション映画の製作・脚本も行う監督として名を成しているベッソン監督の最新作です。その実績から間違いはないだろうとレンタルで鑑賞してみました。確かに、いつものベッソン映画の焼き直しという印象からか、評価が低いのは理解できますが、やっぱり面白いぢあないか。マンネリズムもシリーズ作品と考えればいいじゃないですか。私は、十分楽しめました。

 思えば、監督作品としては「レオン」、「ニキータ」、「ルーシー」という傑作映画があり、脚本作品としては、「トランスポーター」、「96時間」、「コロンビアーナ」、「ラストミッション」などがあります。本当に娯楽アクションの話題作を作り上げているといって過言ではありません。特に、アンヌ・パリロー、ミラ・ジョボヴィッチ、ナタリー・ポートマンなど無名の新人女優を使って大スターに仕立てあげる手腕は神業ともいえ、その辺が”女好き”の噂が立つ所以です。

 今回の作品は間違いなくこれまでのアクション路線、特に「ニキータ」とほぼ同じ、KGBの女殺し屋アナが主人公の物語です。ただ、違うのは、今流行の時系列で物語が進行しない構成をとっており、観客が意外な結末に驚くようなエピソード後に「何か月前」という字幕で、その裏側の事情が語られるというスタイルなのです。こうしたエピソードが何回か繰り返されて、徐々にアナの過去や背景が描かれます。
 上手いのは、時代を1990年代に設定して、まだまだアナログのスパイの活躍が実感できるようにしています。現代のサイバー攻撃などはやっぱり余り面白くはありませんから。

 今回の主演女優は、ロシア出身のサッシャ・ルスで、モデル業界ではスーパーモデルらしいのです。背が高く、いかにもモデルという体型です。個人的には顔はあまり好みではないのですが、最近は劇中でモデルスカウトが言うように「背が高い、肌の色、髪の色」が美人のポイントのようです。ちなみにBDのメイキングを観ると、彼女は、前作に宇宙人の役で出演した後、1年間格闘術の訓練を受けて、この映画に臨んだらしい。あのスリムな体で巨漢のボディーガードとの格闘を見事に演じたのは、その成果のようです。アチラの映画はこれだけの時間をかけて準備をすることに改めて感心します。

 共演は、KGBの上司役が「ホビット」や「ワイルド・スピード」の敵役ショウを演じたルーク・エヴァンス、CIAのエージェントが「バットマンビギンズ」のスケアクロウ役キリアン・マーフィ、そして、KGBの女ボスにヘレン・ミレンが扮します。エバンスは初登場のシーンはカッコよかったのですが、いつのまにかアナに翻弄されます。不気味な雰囲気のマーフィも似たような状況に陥ります。あの即物的なセックスシーンが怖いですねえ(笑)。ヘレン・ミレンは、最近「レッド」以降、アクション映画のこうした役ばかりのような気がしますし、「ワイルド・スピード」ではエバンスの母親役でしたが、相変わらずの存在感です。メイキングを見ても、監督や共演者が彼女をべた褒めですねえ。眼鏡や衣装などさまざまな演技の工夫が凄いのでしょうねえ。でも、彼女がロシア系とは知りませんでした。勉強になります。
 そして、今回驚いたのが、アナのスパイになる前の悲惨な時期のチンピラ情夫が「T-34/レジェンド・オブ・ウォー」の主人公だったアレクサンドル・ペテロフとは信じられません。見た後も分かりませんでした。それだけ役になりきっているのでしょうかねえ、「レオン」のゲイリー・オールドマンの狂気の演技を思い出しました。

 とにかく、モデルで女殺し屋という子供っぽい発想をきちんとリアルに見せたことや観客を一定満足させるアクション、そして、なによりハッピーエンドが良かった作品です。特に、アンがKGBの勧誘の際にみせた第3の選択肢がよかった。この一点でこの作品を評価します。こういう観客の意表を突く場面が良いのです。決して進行時間を操作するだけが演出ではありません。私としてはベッソン印の娯楽アクション作品として一票を入れたいと思います。ちなみにBDも買ってしまいました(笑)。

2021年2月23日 (火)

魔女がいっぱい

 劇場公開時、あまりのレビュー点の低さから観ることをやめた映画に「魔女がいっぱい」があります。先日、動画配信サービスでレンタルが解禁されましたので、鑑賞してみました。もちろん、それほど期待してのことではありませんが、監督が「バック・トウ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキスですし、主演も「プリティ・プリンセス」のアン・ハサウェイなのですから、一定の信用度はあるだろうと考えていました。しかし、結果は、残念ながら”見ては駄目だった”系の作品でした。

 原作は、「チャーリーとチョコレート工場」の作者による児童文学作品で、「シェイプ・オブ・ウォーター」の監督ギレルモ・デル・トロが製作・脚本したらしいのですが、なんとも言いようのない”変”な物語です。
 黒人の子役が主人公なのですが、共演に「ドリーム」や「ギフト」の名女優オクタビア・スペンサーや「プラダを着た悪魔」の名脇役スタンリー・トゥッチが顔を揃えた上、魔法等のCG特撮技術も一流処で作品としては面白いはずなのです。しかし、肝心のストーリー展開に全く付いていけなかったのです。まさか擬人化したネズミの映画とは思いませんでした。

 トゥッチが支配人をしている由緒あるホテルを舞台に、子供たちをネズミに換えようとする野望を持つ大魔女(アンが特殊メイクで演じます)を退治しようとする男の子(子役)とおばあちゃん(オクタビア・スペンサー)のお話なのですが、前半早々に主人公の男の子は魔法でネズミに換えられてしまい、そのままネズミの姿でラストまで続くのです。大魔女は、飼い猫の裏切りにより滅びるのですが、主人公たちはそのままの姿(ネズミのまま)で幕がおります。後日談として、主人公のネズミをリーダーにした”魔女狩り”を行う団体の活躍を華々しく紹介して終わるのですが、正直こんなのあり?こんな救いのないラストで良いのかと悩みます。

 アン・ハサウェイは、三本指で耳まで裂けた大口のCG演技を楽しんでいる(何故か、アチラの美人女優は功成り遂げると魔女役をやりたがる?)ようですが、肝っ玉ばあさんのスペンサーも芸の達者なスタンリーもいまいちノリが良くありませんので、様々なギャグもさっぱり面白くなかったのです。本当に芸のないつまらない映画でしたねえ。

 それにしても、この物語が子供たちに見せるべき有名な児童文学(おとぎ話)なのでしょうか? 欧米の思想はなんとも不可解です。人でない人生の幸せ?悪い魔女は死んだ魔女だけ?実は風刺映画?などなど、頭に疑問符が付いたままです。わかったことは、劇場に行かなくて正解だった(笑)ことです。

 ちなみに、口直しに次にレンタルした「ニュー・ミュータント」も残念なマーベル映画でした。普通のアメコミの実写化をしてほしかったものです。どうも子供(思春期)が主人公では”変”な作品に仕上がります。
 こうなったら、気分転換には、過去の名作を観るしかありません。今晩は何を観るのか、観ないのか、それが問題です(笑)。 

2021年2月21日 (日)

女ガンマン/皆殺しのメロディ

 前回に引き続き、クリストファー・リーが出演した映画の話をしましょう。なんと西部劇に出演した作品があります。出演作品の多いことで有名ですから、驚くほどのことは無いのかもしれませんが、何とも似合わない役柄だったので、話のタネに「女ガンマン/皆殺しのメロディ」という1971年の作品をご紹介します。

 監督は西部劇の多いバート・ケネディで、主演は「恐竜100万年」で一世を風靡したグラマー(懐かしい表現)女優のラクエル・ウェルチです。3人のならず者にレイプされ、夫を殺された女の復讐劇です。最初は、その筋立てからマカロニ・ウエスタンと思ったのですが、監督から出演者までハリウッドなので厳密にはマカロニとは言えませんねえ。製作がイギリスなので、クイーン・ウエスタンとでもいうのでしょうか(笑)。

817hmqullwl_ac_sy445_  さて、この作品の見所は、やはりクリストファー・リーをはじめとする出演者の意外性でしょう。決して、映画の前半ほとんど裸にポンチョを纏っただけのラクエル・ウエルチの姿だけ(笑)ではありません。逆にいえば、アクション物の主演としては少し弱くて(演技も固い)物足りません。現在のマーベル・コミックのような女の無敵ヒーローが登場する時代ではありません。まだまだ女は弱いもの、男が助ける者という前提があるように思えます。このため、彼女を助けるガンマン役を眼鏡をし知的なロバート・カルプ(コロンボ刑事の犯人役が有名)が演じ、心優しい紳士を気取って死んでしまいます。その直後、なんとも都合よく一度会ったきりの謎のガンマンが彼女を助けます。この辺のストーリー展開が今一よく分かりません(笑)。

 まず、出演者は3人のならず者のうち一番上の兄役がアーネスト・ボーグナインです。あの「北国の帝王」の車掌役の鬼のような巨漢ですが、大作アクション映画には必ず大物役で登場する俳優さんです。体もごつく丸太のような腕でウエルチを殴り付けるのですから、本当だったら一発で死んでしまうと思います。でも、俳優としては強面の割には愛嬌もあって気の良い役が多いので、こんな強姦する悪者を演じるとは思っていませんでした。なにしろ「ワイルドバンチ」でただ一人売春宿の外で待っている役でしたから(笑)。

 そして、2番目の兄が”やぶにらみのジャック・イーラム”です。この個性的な脇役俳優は長年西部劇で殺され役を演じ続けて有名になった人です。セルジオ・レオーネがハリウッドで撮った本格西部劇「ウエスタン」にも登場します。冒頭の殺され役で、顔のドアップが印象に残ります。監督としてはこの作品が本場のハリウッドの西部劇だということを印象付けたかったものと思います。

 ならず者3人兄弟の末弟の俳優さんは知りませんが、一番はじけていましたから、アチラでは結構有名な脇役なのでしょうかねえ。とにかく、この3人兄弟が”3馬鹿大将”のようなノリで銀行を襲っては失敗するというドタバタ騒ぎを繰り返すのです。どちらかというと、女ガンマンの話より、こちらの方が面白くなるような作り方です。レイプシーン(直接的な表現は控えめですのでご安心ください)以外はまるでドタバタ喜劇なのです。

 さて、肝心のクリストファー・リーはメキシコに住む拳銃づくりの名人という役なのですが、子だくさんの髯もじゃもじゃの姿はなんとも似合わないのです。できたら黒ずくめの殺し屋などの役柄が似合っているのですが、どうも起用の意味が分かりません。監督がリーのファンだったのか?などと、ジョージ・ルーカスがこの稀代の”吸血鬼ドラキュラ”役者のファンで、ついに「スター・ウォーズ」の第2部に招いたという有名な逸話を思い出します。なにしろ、第一作に出演した”ヘルシング教授”役のピーター・カッシングと考え合わせると実に感慨深いものがあります。
 また、リーの住む家が海辺の一軒家というのも驚きました。西部劇で初めて海を観た気がします。これもなんとも意外で違和感がありますねえ。いかにもイギリス映画ということでしょうか?

 一方、西部劇らしい銃撃戦も今一つ盛り上がりませんし、ラストの決闘のふがいなさは拍子抜けの極みです。まあ、見ないほうが良かった西部劇なのかもしれません。
 今回、安売りDVDを買ったのが間違いでしたねえ。最近買った「ハンニバル」も酷かったので、どうも当たり外れが多いようです。反省です。  

2021年2月20日 (土)

マジック・クリスチャン

 こどもの頃、名物編集者の大伴昌司監修によるSFや怪奇映画の解説にハマったせいか、まだ見ぬイギリスのハマープロダクションの怪奇映画に憧れていました。特に、大伴氏が大絶賛していたクリストファー・リー主演の「吸血鬼ドラキュラ」がお気に入りでした。当時はまだVHSもなく作品を観ることができなかったのですから、雑誌に掲載されたわずか数枚の宣伝写真をよく眺めたものです。
 実際にハマー関連作品を観始めたのは、VHSのレンタルが始まった頃からですが、この辺のことは、当ブログでこれまで随分書いて(2007.1.14クリストファー・リー物語、2014.1.3ハマー・ホラー写真集、2015.6.13クリストファー・リー没す)おり、ドラキュラ作品はdvdを含めてほとんど観てきたつもりでした。

51blen8aml_ac_  先日、別冊スクリーンを探しているうちに、ふと思い出したのが、クリストファー・リーが吸血鬼ドラキュラの役でワンシーンだけゲスト出演した映画があるという雑誌記事(誰かの映画寸評だった?)の一文でした。その映画が「マジック・クリスチャン」です。一度、見てみたいと思っていたまま忘れていました。・・・最近、こんなのばっかり(笑)です。

 ネットで調べてみると、VHSは発売されている(当然絶版)ものの、まだDVDも発売されていません。ちなみに、アマゾンで調べると、アチラのブルーレイが販売中です。アメリカからお取り寄せで送料・手数料込みの2807円です。2月1日に注文して2月18日に封書で届きました。何度も言いますが、ホントに便利になったものです。
 もちろん日本語字幕がありませんので、セリフは全くわかりませんが、ハチャメチャの風刺映画ですので、さほど影響はありません(笑)。

 物語は、ピーター・セラーズ扮する大金持ちが、気まぐれに浮浪者(リンゴ・スター)を養子にして、金に糸目をつけない悪ふざけを延々と繰り広げるという内容です。社会の常識や理念をひっくり返そうという英国式モンティ・パイソン風の作品なのですが、ブラック・ジョークがきつすぎるというか、あまりにもお下劣(この表現がぴったり)で全く笑えません。例えば、ハムレット役者(男)にストリップをやらせたり、ボクシングタイトルマッチでホモショーを演じさせるなどのエピソードがてんこ盛りなのです。これを92分観たのは、なかなか辛かったなあ(笑)。

 しかしながら、ゲスト俳優が凄いメンバーなのです。例えば、バーのオカマ役にユル・ブリンナー(最初誰かわからなかった)、その客がロマン・ポランスキー監督、マジック・クリスチャン(船の名)を漕ぐ女奴隷たちの頭がラクエル・ウェルチなのです。もちろん、クリストファー・リーは、船内で吸血鬼に変身してマントをなびかせて歩きます。ただ、それだけの出演なのですが、ハマー作品のどのドラキュラ役よりも格好良かったのは意外でした。1969年製作の作品ですから彼が47歳の一番脂が乗り切った時だったせいか、スローモーションという撮影方法が良かったのか、いずれにしろ、このシーンだけがこの映画で唯一評価できるものでした。

 それにしても、ラストの糞尿の中に大金をバラまき、群衆に奪い合わせるエピソードではほんとに気分が悪くなりました。思えば、この映画は、ゲストスター以外の出演者達(エキストラ)にゴツくて異形の容貌の役者ばかりを集めているようにも見え、さらに顔のドアップや密集している場面が多く、画面からはなんともいえない臭いまでも感じられるような不快感が漂います。神経を逆なでしたい演出の狙いかもしれませんが、見ている観客はなかなかきついですねえ。日本でdvdが発売されないわけが分かったような気がします。本当に笑えませんでした。 

2021年2月15日 (月)

ドラゴンクエスト/ユア・ストーリー

Img_20210215_0001  公開当時、オリジナルのゲームファンから総スカンを喰らった映画「ドラゴンクエスト/ユア・ストーリー」を無料の動画配信ネットで観ました。私は、ゲームを一切嗜みませんので、全くの門外漢といってよいのですが、あのラスボスは、いくらなんだってダメでしょう。ゲームのファン達が怒り心頭に達した気持ちはよく分かります。
 この映画は、ゲームの物語の実写化という類のものではありませんね。反則技でゲーム文化そのものを馬鹿にしているとしかいいようがありません。ゲームに興味がなくても、少なくてもオリジナルへの敬意は払うべきでしょう。この設定でよく原作者の理解が得られたものと思いますし、こんな話を造り上げた山崎監督にはいささか失望しました。あげくの果てには「大人になれ!」ですからねえ、反感を買ってもしかたありません。山崎監督のお得意のSFも昔は馬鹿にされたジャンルなのにどうして?と思います。個人的にひいきにしていた監督さんなので余計残念です。

 この点についてはこれ以上は触れませんが、新作「どらえもん2」に関してネットで物議を醸していた「のび太さんは、そのままでいい。」というセリフも同じようなことなのでしょうかねえ。次に無料配信でもあれば見てみましょう。

 そのほか、主人公のヘタレ部分やなんか思い付きのようなストーリー展開にも不満がありますが、それ以上に気になったのが、3Dの表現です。なんか手が大きい人形がふらふらと微妙な動きをするのです。地に足が付いていない不自然で酔っているような動作なのです。ディズニーなどのアチラの3Dアニメでは全く感じませんので、単に3D技術が未熟なせいなのでしょうか、鑑賞中気になって仕方がありませんでした。
 我が国の2Dアニメが一段と進化している中で、こういうアチラかぶれのような安直な3Dアニメはいかがなものかと思います。加えて、もう一点気になったことがあります。声優が有名な俳優ばかりなのです。どうもアニメの登場人物の顔に俳優の顔がかぶさり、違和感満載です。やはり、餅は餅屋に任すべきとつくづく思いました。やはり、映画は作りたいものを時間をかけて、しかも、あまり気をてらずに、王道の作品をしっかり作ってほしいものですねえ、今後に期待しましょう。

 ちなみに、写真は封切り当時に劇場で配布されていたチラシです。あの時、劇場に足を運ばなくてよかった(笑)です。   

2021年2月13日 (土)

修繕の日々

 面白そうな映画がありません。映画館は閑散としています。ネットでたわいもない小説を眺めるのもあきまして、かねてから懸案だった模型の修理を始めてみました。

 まずは、破損した尾びれと胸びれを無理やり引っ付けたようなザトウクジラのデスクトップ模型の修理です。
 このモデルは、いまや絶版となったフェバリットのレジン製商品なのですが、箱なしのうえ前述の訳アリという模型を最近オークションで比較的安価に購入したものです。例のシュモクザメ(2021.1.12ブログ参照)のシリーズです。

20210128_1639011   さて、現物の状態は全体的にくたびれた感があるうえ、破損したヒレの接着部分にははみ出た接着剤の塊がこびりついていたほか、支え棒と台座をつなぐ丸い金具(平ワッシャー?)の紛失や台座の傷など目立ちます。商品写真ではなかなか分かりませんですねえ。

 20210128_1642371 修繕の手順は、まず、ヒレの接合部分は意外に前所有者による接着が強固だったので、余分な接着剤の塊をルーターで取り除き、接合線の僅かな溝をパテで埋めたあと、紙やすりで丁寧に磨くだけで完了です。次に、その周囲を除いた範囲をマスキングテープで覆って、フィニッシュ用のサーフェイサー(ブラック)で塗装しました。このブラックのサーフェイサー(写真参照)は、きめが細かく乾燥後もつや消し具合が私好みであり、実に使い勝手が良いのです。おかげで今回は黒色の上塗りを省くことにして、白い腹部を文様に合わせてマスキングし、つや消しホワイトに少量のフレッシュを混ぜたラッカー塗料でエアブラシしました。なお、黒色部分にかかった余分な白色塗料は、文様に併せてシンナーで拭きとれば完成です。ちなみに、背やヒレの方には、ミッドナイトブルーを軽くかけています。
 また、台座部分も、支柱の穴周辺をサーフェイサー(ブラック)で塗装し、家にあったワッシャー(多分組み立て家具のボルトとナットの余り物:この金具が無いと支柱の回転が止まりません。)

20210211_1412461 20210211_1411301  修繕が終わったザトウクジラは、高さ15cm、長さ30cmのサイズなのですが、跳ね上がった尾ヒレや左右の長い前ヒレなど、実にバランスが良いスタチューなのです。実際に飾ってみないとわからないものですね、同じシリーズのマッコウクジラ(2011.9.19ブログ参照)よりもずいぶん見栄えがします。これは儲けものでした。

 次に修繕の第2弾として選んだのは、約20cm四方のサイズのエイリアン・クイーンの小型モデルです。これは新品で購入したのですが、輸送中に両足破損(修復済み)、飾っている間にいつの間にか左手の薬指が紛失していたという誠に虚弱体質のレジン製モデルです(笑)。で、今回もアクリル保護ケーㇲを動かした際、ケース内のモデルが傾き、アクリル面に当たった途端、左手の一指し指と中指が折れてしまいました。その上、あわてて右手をつかんだせいで右手首が取れました。昔テレビで見たキートンの”ドタバタ・スクラップ芸”を思い出しました。いやあ、懐かしいな、とは笑えません。というか、衝撃に弱すぎでしょう。

20210211_0925361 20210211_1417271  気を取りなおして手間が増えてしまった修繕に挑戦です。まずは、失われた左手薬指の復元からです。”毒を喰らわば皿まで”の格言ではないですが、この際、左手も手首から切断しました。手元で左手と右手のサイズを見極め、エポキシ造形パテを指で捻って、大体の指の形を何本か造り上げます。乾いて固まったら、ブラック瞬間接着剤をつかって指の関節部等を盛り上げます。そして仕上げに前述のサーフェイサー(ブラック)を塗布します。一番違和感のないものにピンバイスで0.5mmの穴を空けて真鍮棒を差し込み、完成です。ちなみに、すべての接合部には真鍮棒を差し込みました。あと最後の調整としてブラックの瞬間接着剤の粘度を生かして適宜見栄えよく塗布して完成です。

 20210211_1414411 以上が、”修繕の日々”の成果ですが、結構時間もかかってなかなかしんどいのでしばらく休業にしましょう。嗚呼、疲れました。

 なお、最後の写真は、先般修繕したシュモクザメのモデルに、少し左下の隙間が寂しかったので、マダイの食玩を置いてみました。色や配置のバランスが取れてなかなか良くなったかな?・・・要するに暇なのです(笑)。一日も早いハリウッド映画の新作の劇場公開を待っています。 

2021年2月 4日 (木)

進化したマスキングテープ

 最近、流行している文房具の一つに、おしゃれな模様の入った色付きマスキングテープがあります。本来、マスキングテープとは、塗装作業時に塗料がかからないようにカバーするための作業用のテープなのですが、いまや若い女性たちの間では小物や部屋の飾りなど様々な用途で使われているそうです。
 私がよく立ち寄る100円ショップでも売り場面積が広く構えられています。しかも、実際、売り切れている商品も多いですねえ。

20210203_170845   ちなみに、私は、マスキングテープが模型づくりの塗装には欠かせないアイテムですので、普通の黄色いテープを使っているのですが、このたび、偶然買ってしまったこのマスキングテープの新たな使い道を発見しました。
 とはいっても、柄物のテープではなく、白、黒、茶の単色テープなのですが、このテープの特徴として、粘着力はあるうえ、剥がしやすく、しかも柔軟性もあって、実際使ってみると切ったり貼ったり、そして剥がすのも、なんとも使いやすいのです。

 現在、100円ショップで売っているプラスティックケースにミニ模型類を飾って保管しているのですが、この安物のケースは、透明なケースを台座に上から被せるだけの簡単な造りなので、何かの拍子にすぐに上部ケースが外れてしまうという欠点があります。その上部ケースと台座を固定するために、このテープを貼るのが実に効果的なのです。
 さらに、ケースを積み重ねするタイプのモノには、その繋ぎ目をテープで固定できますし、ケース自体を壁などへテープで固定することもできます。実に様々なところに自在に貼ることができるのです。白、黒、茶と色合せもできますし、なにしろ、貼り付け、取り外しが簡単ですから、実に便利です。本当に、日本の文房具の進化には目を見張ります。実際に使ってみて、初めてその凄さが実感出来ました。脱帽です。

20210116_160337  今回ご紹介するのは、台座が木製になっている100円ショップケースの例です。下部の境目に茶色のマスキングテープを貼りました。あまり目立ちませんし、なにより上ケースが外れることがなくなりました。
 ちなみにケースの中に飾ってあるミニフィギュアは、懐かしのチョコエッグ「日本の動物」のシークレットです。下段が、シークレット第一弾ともいうべき”ツチノコ”です。特に、右から2匹目以降の3匹が高額のプレミアがついた幻の赤舌ツチノコ3種です。(黒舌も存在するそうです。)発売当時は衝撃でした。あのチョコエッグは、ブラインド商品なので、目当ての商品が出るまで大量に買いました。後にはオークションでの一括入手に変わりましたが、とにかく、チョコが物凄く不味かった記憶があります。(当時の四コマ漫画で、青酸カリを商品に混入したが誰も死ななかったというブラックギャグがありました。)なお、上段の恐竜は、キタダ二竜・・だったかな?いずれも、フィギュアの底を、何度でも取り外し可能なプルタック(ガム状の製品:この商品も画期的な優れものです。)で固定しています。

 以上、日本の文房具の進化の現状報告でした。是非、一度お使いください。冗談抜きで感動しますよ。 

2021年2月 3日 (水)

ミッドウェイ

 映画「ミッドウェイ」については、劇場公開の際は日本が負ける作品を観る気がしなかったのでパスしていたのですが、CG予算をふんだんに投入したらしい戦闘シーンを見たくて、つい動画配信サービスでレンタルして観ました。手許のリモコンで安易にぽちっと押してしまうのが、便利さの中の落とし穴ですねえ。

 結果から言えば、自宅のモニター画面が小さいせいか、戦闘機の空中戦や戦艦の轟沈シーンは、良くできているとは思いますが、いわば、”普通の出来”という程度で感動しませんでした。それどころか、昔の東宝映画「山本五十六」の模型飛行機の空中戦の方が好ましいとさえ思えます。全体的にどこかで見たような構図ばかりで、あっと驚くようなショットが皆無だったせいなのでしょう。やはり、新作には観客の思いの上を行く必要があります。ただし、これが銀幕の大画面で見れば、あの空母の威容などは違って観られるのかもしれませんが、そこは残念でした。

 ドラマの方も、すっかりハリウッド御用達になった感のある浅野忠信が出演しており、なんか重苦しい感じで豊川悦司が山本五十六を演じます。あいかわらず、日本軍部のトップの脳筋ぶり(精神主義)によって負け戦への道をまい進する描き方であり、日本側はなんとも陰鬱ですねえ。まあ、仕方ありません、結局、敗戦国なのですから・・。
 とはいっても、コロナ対策などを見ていると、あいかわらず、この国は、戦略的かつ合理的に政治を行うことが苦手な国なのですねえ。まったく戦前の軍部を笑えません。困ったことです。

 しかし、劇中でアメリカ軍の首脳が”日本軍には勝てない”などというセリフが出てくるのには驚きました。歴史的にそんな過大評価があったのか信じられません。これは多分に、アメリカが強敵に勝ったというシナリオ上の都合と現在の日本(観客)への忖度ではないでしょうか。そうとしか思えません(笑)。

 また、真珠湾攻撃で沈んだ戦艦の楽隊のメンバー(余剰人員)で暗号解析部署を創設したという設定は、とってつけたようでなんか不自然です。音感とリズム感を生かしたとの説明は絶句です。
 逆にあの時点で、あれだけ日本の暗号無線を解読しているのは、本当は真珠湾攻撃も事前に察知して空母だけを避難させていたという陰謀説の方がずっと真実味が出て来ます(笑)。

 ちなみに、劇中で描かれたアメリカ軍の捕虜を碇を付けて海に投げ込むのは”史実”にあるのでしょうか? どなたか戦史に詳しい方に教えてほしいものです。当時は、鬼畜米英という雰囲気で捕虜の扱いは非人道的だったことは理解しますが、日本海軍将校が銃殺ならともかく、あんなカリブの海賊のような真似をするのはよくわかりません。物資不足の折りでもあり、一緒に沈める碇も貴重な資源でしょうにねえ。ここは、単に”日本人は野蛮人”というメッセージではなく、空母撃沈や東京空襲への恨みとでもいった、戦争が人を狂気に走らせるというエピソードを描いたものと思いたいですねえ。
 できたら、東京空襲のシーンでは、上空からの(無人機の映像のような)絵ではなく、焼夷弾を周囲から殲滅するように落とされた市街地での日本人の一般市民の悲惨さ、無念さを併せて描いてほしかったものです。ローランド・エメリッヒ監督らしい阿鼻叫喚の一大スペクタクルの映像ができると思いますが・・。軍隊ではなく一般大衆まで攻撃対象にした作戦は、近代戦史ではいつ頃まであったのでしょうか。
 それにしても、一体、この映画は何を描きたかったのでしょうねえ。・・・劇場で見ないことにして本当に良かったと安堵しています。

2021年2月 2日 (火)

シン・ウルトラマンの特報映像

 映画「シン・ウルトラマン」の特報映像が公開されました。「シン・ゴジラ」で大ヒットを飛ばした庵野秀明氏と樋口真嗣監督のコンビで、まあ、いってみれば、柳の下の2匹目のドジョウを狙った企画なのでしょう。以前、新ウルトラマンのビジュアルの画像が公開されたときにも、カラー・タイマ―が付いていないなどとネットで騒ぎになっていましたが、今回の”動く映像”には、私も驚きました。

 というのは、今回は、ハヤタ隊員役の斉藤工などの出演者のシーンに加えて、映画に登場する怪獣の姿が初めて正式に公開されたのです。オリジナルにも登場する”ネロンガ””と”ガボラ””の2体の怪獣です。いずれもオリジナルのデザインをデフォルメしたような造形で、どうにも、改悪のような気がします。しかも、回転ドリルにキャタピラー付きの機能などは、なんとも生物としてのリアル感が全くありません。
 もともと、この二匹の怪獣の着ぐるみが東宝映画「フランケンシュタイン対地底怪獣」に登場する”バラゴン”の着ぐるみを改造して作っていたことは、ファンの間では有名なお話です。こうした楽屋ネタを踏まえ、実は、この映画では、2匹の間になんらかのつながり(変身前後とか?)があるのではないかと、もっぱらの噂(ネット)になっています。このように先日の「ゴジラVSコング」予告映像と同じく、「シン・ウルトラマン」ネタでもネット雀たちが盛り上がっていますので、映画の宣伝としては効果があったかもしれませんが、私としては、なんとも大きな不安を抱いています。

 それは、怪獣たちのCGの余りの安っぽさです。ウルトラマンはまだまし(立体感が感じられないが・・)のような気がしますが、怪獣の方はなんとも薄っぺらな”絵”なのです。色合いも幼い子供用の玩具のようで実写感が全く感じられません。少なくても、汚れとか、照明とか、そういったことをまるっきり考えていないような映像です。正直、今時こんな安っぽいCG映像を出してくる製作サイドの感覚が衝撃です。
 ネット民の間では公開までにはCGの精度をあげるのだろうという楽観的な声もありますが、日本映画の予算から言えば、そんなことはとうてい期待できません。怪獣との格闘シーンを考えると、下手なCGより伝統の着ぐるみの方が正解かもしれません。そんな気さえしてきました。

 ハリウッド映画で大ヒットを飛ばしたマーベルの「アベンジャーズ」などはCGにけた違いのお金をかけています。思えば、アントマンが巨大化するシーンなどは、まさしくハリウッド版のウルトラマンとも言えます。そうした映像を見て目が肥えた今どきの観客には、あのCG映像は、とうてい耐えられるものではないでしょう。樋口監督が特撮を担当した実写映画「進撃の巨人」のような酷い映像になるのではないかと、とても心配です。事情があるのかもしれませんが、映画は見た目でなんぼです。本当にできることなら改善を願いたいものです。
 
 どうか、日本の生んだ偉大なコンテンツである”ウルトラマン”をお守りください。
 ただ、「シン・ゴジラ」の予告編第1報のときも、実は違和感と不安を持った記憶がありますので、今回も杞憂に終わることを願っています。  

 以上、あんまり酷いCG映像が衝撃でしたので、思わず駄文を並べてしまいました。革新的な作品ができあがることをお祈りしています。

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