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2021年1月11日 (月)

誇りと情熱

 あけましておめでとうございます。

 コロナ禍の中で、封切り映画も目ぼしいものはなく、最近はまだ見ていない古典を発掘していくのがもっぱらの楽しみになっています。とはいっても、発売されているDVDやBDの中から、ほとんど勘だけで探していますので、西部劇のつもりが現代のカウボーイの喜劇を買ってしまったりと当たり外れが多いのもしかたありません。しかも余り知られていない作品=売れ筋でない作品は値段が高いのです。で、結局、新品よりは中古品にならざるを得ません(笑)。ちなみに、動画配信は、最近の作品やヒット作品が中心ですので、古い作品はあまり見当たりません。残念です。

81uw3xergl_ac_sx342_  さて、今回ご紹介するのは、1957年製作、贔屓のケイリー・グラント主演の活劇「誇りと情熱」です。監督がスタンリー・クレイマーで、監督となって2作目ですが、翌年に「手錠のままの脱獄」、次の年に「渚にて」を製作していますので、その演出手腕に期待していました。

 物語は、1810年代の初頭ナポレオン率いるフランス軍がスペインに侵攻する中、敗走するスペイン軍が保有する”巨大な大砲”をイギリスの海軍将校が引き取りに来たところから始まります。ちなみに、原作小説の原題は”大砲”であり、砲身の長さ10m、砲台の車輪の直径が2mという、当時の大砲の基準としては規格外の巨大サイズで画期的な兵器が真の意味での主人公なのですが、映画はなんでこんな題名にしたのでしょうねえ、不思議です。

 それはともかく、映画冒頭のスペイン軍の撤退シーンの規模にまず圧倒されます。CGの無い時代ですから、荒野を埋め尽くするエキストラの”数”の物量に感動しました。これぞ、ベンハーのローマ軍の行進シーンを彷彿させる、”史劇”の醍醐味です。ちなみに、”史劇”の難しい定義はまた今度(笑)。個人的には、この場面だけで買った価値は十分あったと納得しました。うん。

 主演のケイリー・グラントは、イギリス海軍の砲術専門家の将校として、十八番の”ユーモラスな困り顔”でオンボロ馬車に乗って登場しますが、到着した先がスペイン軍が敗走したため、フランク・シナトラ扮する”靴屋の息子”の率いる人民軍(ゲリラ)が占拠している司令部の跡地という設定です。しかも、肝心な大砲は既に崖下に廃棄されており、なんとも前途多難な幕開けです。加えて、ゲリラ側の要望で1000km離れたスペイン軍の砦の城壁を砲撃する羽目になるというのは、活劇としても喜劇としても最高のシュチュエーションなのですが、演出は特に盛り上がることもなく平凡に進んで行きます(監督2作目ですから)。

 しかも、グラントが”大砲を崖下から引き上げるには2千人必要”と言うと2千人のゲリラが集まるし、”川に落ちた大砲を引き揚げるに1万人はいる”と愚痴れば、闘牛場の群衆を1万人集めるという、とんでもない展開をグラントのセリフと表情の”一人芸”に任せて、演出はことさら喜劇調にするわけでもなく、悠々とゆったりしたペースで進みます。しかし、巨大な大砲をロバや群衆で引っ張って行くシーンは、なんとものんびりした風景になっており、個人的にはこの絵柄が実に気に入りました。いいぢぁないか。

 途中、スペイン軍との遭遇や待ち伏せをはじめ砲台の故障など様々なトラブルに会いますが、ほとんどスリルもサスペンスもメリハリもなく、無事(死者多数?ですが・・)に2万人の群衆とともに目的地に到着します。そして、ラスト、大砲以外は全くの徒手空拳の群衆による最後の総突撃の結果はどうなるのか、それは観客の期待にはまったく忖度しない、なんともあっけない無情の結末なのですが、作品でご確認ください。古き良き時代の長閑なくせにシニカルな物語です。

 しかしながら、この作品の最大の見所は、なんといっても若き日のソフィア・ローレンのハリウッド映画への登場なのでしょう。親兄弟を助けるためにスペイン軍司令官に身を任せたものの裏切られたという、ゲリラの頭の情婦の役です。登場するや画面のすべての人物を食ってしまいます。高慢に胸をそらせた其の姿は見る者全てを圧倒します。とにかく反則じゃないかというほどの存在感であり、はち切れんばかりのそれは周囲を睥睨しています。アメリカ軍のピンナップ・ガールを生身化したようなスタイルは、当時はなんとも煽情的でセンセーショナルだったのでしょうねえ。彼女の立ち居振る舞いへの演出も作為的でここだけはなんか力が入っているような気がします(笑)。いや、いまみても凄いですねえ。CGじゃあないですよ。嗚呼、南無阿弥陀仏・・・・でした(笑)。

 当然、物語は当時のお約束に従って唐突に二人のラブロマンスになります。この辺は、古典を見るときのお約束です。現在の目線で見てはいけません。それにしても、大歌手のフランク・シナトラは何故いつもあんな役なのでしょうねえ。まだ、ぺエペエの時かな?

 解説によると、名代のプレイボーイだったケイリー・グラントが彼女のお色気に惚れて熱烈にアタックしたそうですが、当時彼女には恋人がおり、相手にされなかったようです。この逸話は、翌年に「月夜の出来事」という艶笑喜劇で再び共演していますので、あながちガセネタではないような気がします。まあ、とにかく、そのボリュームの破壊力は、”大砲”の比ではありませんでしたねえ。眼福です。いやあ、買ってよかった(笑)。以上です。 

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