恐竜100万年 アロサウルス
レイ・ハリーハウゼンのダイナメーション映画「恐竜100万年」は、スティーブン・スピルバーグ監督がCG技術を駆使して製作した「ジュラシック・パーク」が1993年に公開されるまで、恐竜映画の最高峰でした。1966年の公開当時は、まだ我が国では縫ぐるみ(着ぐるみ)の特撮が主体でしたから、少年雑誌に掲載されたトリケラトプスやアロサウルスの宣伝写真を見たときの衝撃を忘れられません。荒涼とした荒野に立つ恐竜たちの姿はまさしく欧米の図鑑から抜け出たような古生物なのです。もっとも「ジュラシック・パーク」でも二本足で歩いてきたティラノサウルスには驚愕しましたが(笑) 。
映画の中で動く恐竜たちにも感動です。冒頭の歩くだけのブロントサウルスはやや物足りませんが、海辺の砂浜に登場する巨大な亀のアルケロンの生物感、ケラトサウルスとトリケラトプスの迫真の戦い、そして、今回紹介するアロサウルスと原始人との攻防は、ハリーハウゼンの絶妙なアニメーション(コマ撮り)技術のさえにより手に汗を握る名シーンとなっています。ガチガチと歯を馴らして威嚇し、人を加えて放り投げる悪役ぶりを披露したうえで、杭を腹に刺されたまま、大きく息をして死ぬ姿は、強烈な印象を与えています。後年のJPのラプターですねえ。
さらに、革製のビキニ風姿のラクエル・ウェルチの見事な肉体で止めを刺されました。もう眼福です。いやあ、この映画は本当に伝説になりましたねえ。
・・・話を戻しまして、そのアロサウルスですが、このたび突然のことながら、エクスプラス(日本のメーカー)から模型が発売されました。高さ30cmぐらいでしょうか、結構大きなサイズです。今後のラインナップを見ると、トリケラトプスも発売予定となっていますから、油断ができません。で、今回、その雄姿をご紹介します。
いかがですか?いままでハリーハウゼンの模型(フィギュア)で恐竜系はほとんどなかったので、今回の「恐竜100万年」グッズの発売はハリーハウゼン・ファンには大変うれしいことなのですが、サイドショウなどのアメリカのメーカーのものと比べると、少し粗が目立ちますねえ。
レイ・ハリーハウゼンのクリーチャー達はどれもそのデザインが抜群に優れています。そして、この映画の恐竜たちは、当然昔の古い学説に則った復元姿をしており、いわゆる爬虫類の鱗の肌に直立系の姿なのです。そう、私の年代のソウル・スタイルの恐竜です。そのため、なかなか見る目が厳しくなるのはしかたありません。
端的に言うと、鱗の造型(スジボリ)が甘いのです。細密画のそれではなくて油絵のような大雑把さです。そのおかげで生物感が全く足りていません。日本の怪獣になっています。これではイケません。本当に残念なことでした。次回のトリケラトプスに期待しましょう。
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