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2020年10月31日 (土)

劇場版 鬼滅の刃 無限列車編

 つくづく自分はミーハーなのだなあと思い知らされます(笑)。アニメ映画「劇場版 鬼滅の刃/無限列車編」が大ヒット中で、史上最速で興行収入100億円を突破したなどというニュースを見ると、さっそく劇場に行きたくなります。

Img_20201031_00021 もともと「鬼滅の刃」は、当ブログにも書いていた(2020.2.11参照)ように、テレビ版を動画配信サービスで視聴し、その面白さは十分承知しておりました。ただ、原作のマンガが完結し、ネット情報などにより登場人物がほとんど死んでしまうという無残な行く末だけを断片的に知ってしまったので、いまだに漫画は手に取っていません。つまりテレビ版以降の筋書きはまったく白紙なのです。 

 正直、テレビ版の続きを劇場映画にするという企てはどうにも良くわかりませんでした。テレビ番組の劇場版と言えば、スペシャル版、スピンオフ版が普通です。それを画面の大きさが全く異なる世界で、テレビ版の続きをそのまま製作するのはいかがなものかと疑問を呈していたのです。第一、映画の後は、またテレビ版で放送する予定らしいので、映画にする勝算がなんとも不可解でした。

 ところが、ふたを開ければ記録的な興行成績です。いくらコロナ禍でハリウッド映画が封切られていない状況を考慮してもこれは快挙です。内容が面白くなくては観客は劇場に足を運びません。しかも、コロナの恐怖もまったく影響を与えていないようです。リピーターもかなり存在するようです。・・・これは劇場に足を運ばなければなりません。ミーハー気質への弁解です(笑)。

 さて、映画は、私が無意識に想定していた、これまでのあらすじ(テレビ版のまとめ)が一切ありません。観客は皆事前に”経緯”は知っているという前提なのです。これはこれで立派(笑)。
 そして、冒頭は、まるで実写かと思うような里山の映像です。テレビ版の雪山と同じくインパクトがあります。本当にそのリアルさに驚きます。大画面の実写のような風景の中を手書きの2次元の人物が歩いていくのですから、これは日本アニメならではの作画方法かもしれません。ここまでCG技術などアニメの技法が進んでいると改めて感心します。

 今回のタイトルに掲げられた無限列車の映像も美しい。大正時代の考証がしっかりなされた作画です。登場人物は、主人公竈門(かまど)炭治郎と鬼になった妹ねずこ、その相棒の猪頭と金髪少年です。この漫画の登場人物は、いずれも名前の漢字が難して全く読めません。当然、なんらかの仏教的な意味があるのでしょうが、難解すぎますので一切無視です(笑)。

 ストーリーは、夜行列車に出現する人食い鬼と、主人公が属する鬼滅隊の柱(最強剣士の地位)の一人である煉獄(れんごく)きょうじゅうろうと一緒に戦うという内容です。この煉獄というキャラクターが凄い。まったく人の話を聞かない、常に大声で話すという、現実にはありえない、アニメならではの人物像なのです。ところがなかなか魅力的なのです。瞬きしない目と”うまい”の声のコンビネーションは、やはりアニメは声優の世界なのだということを痛感させられます。特に、この鬼滅の刃シリーズでは、以前から雑魚キャラの”鬼”に経験豊かな声優を使い捨てにしていると言われています。いや、だからこそ、初期に登場した鬼の存在感が異様にあったような気がします。特に、鬼滅隊の入隊試験の”山”の鬼の恐怖感はなかなか大したものでした。娘がファンだという”子安”さんという声優さんがその持ち味を発揮しています。昔のような掛け持ちという時代ではないのですねえ。まあ、いまや、声優はなりたい職業のトップグループらしいですから。

 また、今回の無限列車の棲みついている鬼の正体は、十二鬼月の一人、夢を操る鬼”下弦の壱”で、実は、テレビ版の終わりの頃に放送された、諸悪の根源である鬼の元締め”無残”のパワハラに”下弦の鬼”たちの中で唯一生き残った鬼でした。しかも、その術は、列車全体を飲み込み、その一方で、睡眠中の人間の脳内世界を破壊するという凄まじい威力であり、映像的にも一大スペクタクルなシーンと幻想的で美しい世界を披露する内容なのです。ここでやっと、この”無限列車編”を劇場版にしたかった製作者の意図が分かりました。こうした映像をテレビ画面ではなく、映画の大画面で見せたかったということなのだろうとしっかり納得することができました。
 しかも、登場人物の脳内世界を巡ってなかなか話が泣かせるのです。やっぱり、古き良き時代の母物は良いですねえ。失ったものは大きいですねえ。

 映画の終盤になって、なんとか夢の鬼を退治してほっとしたと思ったら、そこに、唐突に、十二鬼月の一人”上弦の参”が襲来します。その力は、鬼の側近中上から三番目の実力者です。そしてラストは・・・・どうぞ映画をご覧ください。強い人間の使命と母の愛を満喫してください。
 ちなみに、私がこの場面で感心したのは、”上弦の参”の鬼あかざ(漢字読めません)の造型です。戦闘狂というキャラクターらしく、その体中に入れ墨をしたアスリートのようなデザインが秀逸です。もちろん、漫画原作の容姿はそのままですが、多分、アニメのキャラクター・デザインの担当者のセンスなのでしょう、体型と動きのアニメートにほれぼれします。本当に、アニメーションも捨てたものぢやありません。見事です。この鬼滅の刃というアニメを通して、いつもアニメの演出というものを考えさせられます。

 余談ですが、写真のパンフレットは、劇場では既に売り切れ状態であり、やむなく、オークションで未使用品をゲットしました。これもミーハー気質のせいかな?内容は、声優関連記事が多く占めていました。やっぱり今時の声優人気をうかがわせますねえ。

ジャイアント・ウェタ

 「ロード・オブ・ザ・リング」で一躍名を馳せたニュージーランドの映画監督ピーター・ジャクソンの特殊撮影工房の名前が「ウェタ・デジタル」といいます。この工房の技術と熱意があってこそ、エルフやゴブリンたちが住むリアルでファンタスチックな世界が創造できたと思います。そして、この「”ウェタ”・デジタル」という工房の名前こそ、ニュージーランドだけに生息する巨大な昆虫「ジャイアント・ウェタ」の名前から取られたものなのです。ちなみに「世界珍虫図鑑」によると和名は”オバケハネナシコオロギ”となっていますから、姿形は羽のない巨大なコオロギなのです。

20201031_0754491   この昆虫が、バンダイ系の会社から「一番くじ 昆虫」のD賞商品「ジャイアント・ウェタ」として発売されました。1回680円でA賞からハズレまで様々な商品があるのですが、AからD賞までは、実物大の模型というのがウリになっています。
 正直、あまり昆虫類には興味はないのですが、最近「世界一の巨大生物」などという図鑑も買った影響からか、オークションに出品されていた商品を思わず買ってしまいました。

 ところが、この模型の造型が想像以上に大変よくできていました。さすが老舗のバンダイです。造型師の名が無いのが残念です。まあ、彩色は胴体以外はやや手抜きでしたが、エナメル塗料のフラットブラウンとブラックの混色で薄めに墨入れすれば、なかなかなリアルな出来上がりになりました。では、現物をご覧ください。

20201031_0756151 20201031_0812501   で、各種の図鑑の”鉄板”、手に乗せた姿の写真をご覧ください。その巨大さに感動しますぞ。

 こうなると、ヘラクレスとか、ゴライアスとかの名前が付いている他の巨大昆虫の模型もほしくなりますねえ。結構プレミアがついている価格ですし、私の対象範囲外なのですが、困りました(笑)。

 それにしても、最近は本当にバンダイが元気ですねえ。ガシャポンでも、ダンゴムシ・シリーズには笑いました。本当に体が丸くなる、ダンゴムシやら、マンマルコガネなどを実際の数倍のサイズに拡大した模型を販売しています。もちろん、安価なおもちゃとしての商品レベルなのですが、きちんと球体になるのが立派です。こうした商品を手に取ってみると、やはり昆虫類は精密なマシンに見えます。自然の創造主の造型は見事ですねえ。
 ちなみに、このシリーズで最も感心したのが、爬虫類の「アルマジロトカゲ」です。この生物も丸くなるところからラインナップされたのでしょうが、その造型の出来が素晴らしいのです。仕掛けは簡単で、身体が丸くなるように輪切りの胴体をつなげただけのシンプルな造りなのですが、とにかく本物っぽく見えます。ついでに先ほどと同じく”墨入れ”を施すとさらにリアル感がアップします。さらに、意外なことに体の各部が動くことでさらに効果を高めているのです。おもちゃレベルの簡単な作りでこれほどリアルで自然な姿を生み出したことに感動します。是非ご覧ください。

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2020年10月25日 (日)

恐竜100万年 アロサウルス

 レイ・ハリーハウゼンのダイナメーション映画「恐竜100万年」は、スティーブン・スピルバーグ監督がCG技術を駆使して製作した「ジュラシック・パーク」が1993年に公開されるまで、恐竜映画の最高峰でした。1966年の公開当時は、まだ我が国では縫ぐるみ(着ぐるみ)の特撮が主体でしたから、少年雑誌に掲載されたトリケラトプスやアロサウルスの宣伝写真を見たときの衝撃を忘れられません。荒涼とした荒野に立つ恐竜たちの姿はまさしく欧米の図鑑から抜け出たような古生物なのです。もっとも「ジュラシック・パーク」でも二本足で歩いてきたティラノサウルスには驚愕しましたが(笑) 。

 映画の中で動く恐竜たちにも感動です。冒頭の歩くだけのブロントサウルスはやや物足りませんが、海辺の砂浜に登場する巨大な亀のアルケロンの生物感、ケラトサウルスとトリケラトプスの迫真の戦い、そして、今回紹介するアロサウルスと原始人との攻防は、ハリーハウゼンの絶妙なアニメーション(コマ撮り)技術のさえにより手に汗を握る名シーンとなっています。ガチガチと歯を馴らして威嚇し、人を加えて放り投げる悪役ぶりを披露したうえで、杭を腹に刺されたまま、大きく息をして死ぬ姿は、強烈な印象を与えています。後年のJPのラプターですねえ。

 さらに、革製のビキニ風姿のラクエル・ウェルチの見事な肉体で止めを刺されました。もう眼福です。いやあ、この映画は本当に伝説になりましたねえ。

 ・・・話を戻しまして、そのアロサウルスですが、このたび突然のことながら、エクスプラス(日本のメーカー)から模型が発売されました。高さ30cmぐらいでしょうか、結構大きなサイズです。今後のラインナップを見ると、トリケラトプスも発売予定となっていますから、油断ができません。で、今回、その雄姿をご紹介します。

20201025_1258442  20201025_1257541 20201025_1257251 20201025_1256131 いかがですか?いままでハリーハウゼンの模型(フィギュア)で恐竜系はほとんどなかったので、今回の「恐竜100万年」グッズの発売はハリーハウゼン・ファンには大変うれしいことなのですが、サイドショウなどのアメリカのメーカーのものと比べると、少し粗が目立ちますねえ。
 レイ・ハリーハウゼンのクリーチャー達はどれもそのデザインが抜群に優れています。そして、この映画の恐竜たちは、当然昔の古い学説に則った復元姿をしており、いわゆる爬虫類の鱗の肌に直立系の姿なのです。そう、私の年代のソウル・スタイルの恐竜です。そのため、なかなか見る目が厳しくなるのはしかたありません。
 端的に言うと、鱗の造型(スジボリ)が甘いのです。細密画のそれではなくて油絵のような大雑把さです。そのおかげで生物感が全く足りていません。日本の怪獣になっています。これではイケません。本当に残念なことでした。次回のトリケラトプスに期待しましょう。

71fdmzgvrol_ac_sx342_ ちなみに、最近、ブルーレイも発売されています。眼福です。そればかりです(笑)。

2020年10月21日 (水)

オードリー・ヘプバーン

 ついに我が家に無事に”オードリー・ヘプバーン”をお迎えすることができました。ヘプバーンについては、高校生のころ名画座で「ローマの休日」を観て以来の筋金入りのファンなのですが、今年の正月に、あの本物そっくりのフィギュア製作で定評のあるメーカー「ブリッツウェイ」からついにオードリー・ヘプバーンのフィギュアが発売されると知って以来、無事に発売されることを祈願しておりました。なにしろ、いまやコロナ禍で世界の流通は何が起こるかわかりませんし、製造現場の中国の情勢も気になりました。心配ですよねえ(笑)。

 さて、日本では海外とは段違いに人気の高いへプバーンですが、そのファーニーフェイスと称される顔のせいか、本人に似せる造型が難しいのか、あまりフィギュア化されていません。様々なグッズがあふれるマリリン・モンローとは雲泥の差です。最近、発売された人形でも、顔は似ているものの、全体の姿はやっぱりバービー人形です。

 そこに、”ブリッツウェイ”の登場です。しかも「ローマの休日」仕様で、スクーターの「ベスパ」付きです。ヘプバーンの造型化はうれしいのですが、ベスパはやりすぎです。なにしろ1/4スケールなのです。横長の乗り物を考えると、そのサイズはかなり大きなものになるのでは?と心配していました。

 で、到着した段ボール箱を見て驚愕です。想像以上にでかいのです。う~ん、部屋に入らないぞう。そのぐらいのインパクトがありました。まあ、当然ですねえ。なにしろヘプバーンの箱とベスパの箱が一緒の大箱に入っているのですから。本当に、別売にしてほしかったなあ。もちろん、我が家にはこの人馬一体型を飾るスペースがありません。涙を飲んでヘプバーンのみ飾ります。椅子の代わりにCANONL版写真用紙の空箱を使用したのですが、これがまるで誂えたかのようにぴったりです。よかった(笑)。

 なお、早速アクリルケース(24cm×24cm×39cm)とアクリル台(高さ13.5cm)を発注しましたが、日光を遮断する外箱を自作する必要がありそうです。なかなか手間がかかることです。

 では、とりあえずご覧ください。その造型の凄さには驚かされます。「ローマの休日」当時の若き日の初々しさが見事に再現されています。ちなみに、立体で見るとヘプバーンは結構鼻が高いのですねえ、西洋人ですからあたりまえか(笑)。なお、最後の写真は、以前発売されていた、「ティファニーで朝食を」を再現したヘプバーンの人形(1/6スケール)です。全身像はカットです(笑)。

 また、12月には「ロ―マの休日」のブルーレイが発売される予定です。今年はへプバーン・イヤーという年になりました。

20201019_1314572 20201019_130306120201019_1306571 20201019_1306071 20201020_1153301

 

2020年10月20日 (火)

鉄人28号

 「鉄人28号」は横山光輝の懐かしの漫画の主人公のロボットです。私は、漫画もアニメも観たことが無く、あまり思い入れはないのですが、私の先輩に好きな人がいて、飲み会で何故か模型を作ろうと盛り上がったまま、もう随分になります。というのも、手頃な価格の模型キットが入手できなかったのです。狙いはビリケンのキットでしたが、オークションの中古品でもプレミア価格で手が出ません。やはり根強いオールドファンが多いようです。

20201004_1010011  そんなこんなで数年がたってすっかり忘れていたのですが、オークションでビリケン製ではないものの30cm台(実際は29cm)の模型キット(メーカー不明)が出品されていました。もちろん中古品で製作途中で放置、鼻ももげて、腕輪(?)の飾りも2個ほど行方不明な状態です。それを今回、長年の懸案を片付けるべく、数千円でゲットしました。

 さて、届いた現物を手に取ってみると、なんということでしょう、鉄人28号らしい胸部の鋲がありません。あの鋲がなければ、まったく武骨な鉄人らしくありませんので、やむなくカスタマイズすることにしました。最初は、虫ピンを使おうかともおもいましたが、どうもサイズが微妙にあいません。そこで妻の昔の趣味の装飾品づくりに使っていた”Tピン”を使うことにしました。このTピンを短く切って胸部に22本打ち込むと意外とぴったりで気に入りました。

 また、欠けている腕輪の飾りも残っているものを型どりして複製しました。さらに足にはレジン液を注入して自立するように試みましたが、前所有者が石膏を注入していたために、どうしてもうまくバランスが取れません。・・・ここは残念ですが、あきらめました。

 20201020_1132361 鉄人28号の塗装は、原作漫画はもちろん神戸の震災復興記念の実物大のモニュメントを見ても、明るい青に赤い腹帯、緑のロケットベルトという色合いであり、おもちゃ感が著しくどうにも抵抗感があります。そこで、ハリウッドの最近のスーパーマンのダークな衣装のように、少し暗めに塗装です。メタリックブルーにつや消しブラックを混色し、同じく、メタリックレッドもメタリックグリーンにもブラックを混色です。背中のロケットや腕輪はクロームシルバーにブラックです。いかにもダーク系に塗装してみると巨大ロボットらしい雰囲気が醸し出されます。金属感も出ています。マスキングテープの細かさが結果につながります。
 問題は目の表現なのですが、どうも機械系の目は筆書きでは限界があります。正直、失敗です。今後の課題ということにしましょう。
 加えて、本当はクラシックな鉄人らしく、鋲や継ぎ目などに赤さびなどを描きたかったのですが、これも技術が追いついていないので研究課題です。やはり、「サンダーバード」の模型じゃないですが、マシン物は生活感や老朽化感が必須ですよね。

20201020_1130561  それにしても、今回の模型作りを通じて、鉄人28号のロボットとしてのデザインを見直しました。昔のマンガなので簡単に描いたものというイメージでしたが、寸胴の丸みのある大きな胴体に、小さな西洋の騎士のような兜頭と太い足と腕がついているだけの非常にシンプルな造りは、実に機能的で無駄が無く、シンプル・イズ・ベストとでもいうべきグッドデザインなのです。なるほどオールドファンに人気があるのも無理はないと改めて感心しました。最近の装飾過多の機械兵器と比べると余計そうした思いが強くなります。昔のものはやっぱり味がありますねえ。ホントに大したものです。

2020年10月13日 (火)

金田一耕助語辞典

 久々に、横溝正史の探偵小説を読みたくなりました。というのも最近発売された「金田一耕助語辞典」を見たからです。
 コロナ禍の中、珍しく書店で立ち読みして衝動的に購入してしまいました。(下記の表紙の本です。)

Photo_20201013082901  内容は、タイトルどおり、横溝正史の生み出した金田一耕助に関する様々なキーワードを五十音順に解説したものです。原作に登場する言葉はもちろん、作家の状況、映画の俳優やセリフなど、まあ、あきれるほどに多く、しかも”小膝をたたくような”ネタを選別、網羅しています。とにかく文章が軽妙ですし、イラストも楽しいのです。なんとも著者の金田一耕助愛が満ち溢れており、読む方も心が弾みます。

 私が横溝正史にハマったのはもう随分前のことで、市川崑の角川映画以前、角川文庫の表紙もまだ素朴な絵柄だった頃です。友人宅に遊びに行った折、何故か置いてあった「悪魔が来りて笛を吹く」を読んで、そのラストの犯人をあてるトリックに驚愕したのが始まりでした。以来、探偵小説に入れ込み、海外の小説まで手を出し、アガサ・クリスティまでたどり着くのですが、”それはまた別の話”です。

 それにしても、横溝正史という作家の価値が世間で随分認められた時代になってうれしい限りです。私がハマった時代では、松本清張の”社会派”が第一等で、横溝作品は一段低く見られていたような気がします。我が国ならではのトリックを生み出しているのにと結構悔しく思っていましたなあ。
 いまや漫画やアニメの「金田一少年の事件簿」で世界にその名が知られているという解説には正直驚きました。ゴジラと同じか、とも思いますが、やはりオールド・ファンとしてはうれしい限りです。
 確か、当時買い集めた横溝作品(文庫)や横溝正史研究・解説書も書棚の奥にしまっているはずなので、秋の夜長に再度読み直しましょう。
 未見の方は、是非、”おどろおどろしく”楽しい横溝正史ワールドをご堪能ください。(最近、記事が長いというご指摘もふまえ、このへんで)

2020年10月11日 (日)

テネット

 待望のクリストファー・ノーラン監督の「テネット」は、なんとも理屈がわからない映画でした。といっても、決して面白くないわけではなく、変な動きが混じる派手な戦闘シーンや本物のジャンボ機をはじめ大型トレーラーや消防車等を使った物量大アクションは一見の価値があります。そして、ラストの”飛び込み女”や”謎の味方”の正体にはストーリーテラーとしての手腕を感じます。

 しかし、この映画の世界観とラストのオチへのつじつまがどうにも合っていないような気がしてなりません。もちろん、物理学者を顧問にして才人のノーラン監督がミスをするはずがないのでしょうが、どうも不可解なのです。

Img_20201007_0003  まず、この映画の肝は、時間旅行ではなく、”時間逆行”というユニークなタイムトラベルなのです。過去に飛ぶのではなく、過去に逆行するという概念は、優れた着想だと思います。「ミミット(未見です。)」や「インターステラー(これは傑作です。)」など時間にこだわるノーラン監督の真骨頂なのでしょう。もっとも、それを実現する未来から送られたタイムマシンが"回転ドア"なのは笑えますが、ストーリー的にも何故か初期の”ドラえもん”映画を思い出させます。

 さて、この装置で過去に”逆行”すると、全てが逆回転している世界を酸素ボンベを付けて歩くという状況になるのですが、何故に、正常な動きの人間が過去に存在できるのか?、何故、過去にもどると傷が治るのか?、さらに、あの絶望的な時にどうして死体が生き返ることができたのか?などなど、わからない理屈が山ほどあります。パンフレットを読んでも解説がありません。是非、これらの疑問を解消してほしいものです。漫才の”地下鉄ネタ”ではないですが、本当に気になっています。

 最後に、エリザベス・デビッキというフランス出身の女優さんがなかなか頑張ります。ケネス・プラナー演じる武器商人で未来からのマシンを悪用する夫に虐げられているという薄幸の女という役柄なのですが、途中からだんだんとウェイトが増してきて、最後は、まるで主演のような扱いです。まあ、背が高くスタイルが良いので◎です(笑)。
 それにしても、悪役が似合うケネス・プランナーはまさにアイルランド人らしいゴツイ体格であり、あの太い腕で殴られると日本人など一発で死ぬなあと思わせるほどの迫力があります。それにしても、「IT」にもありましたが、あちらのDVは直ぐにベルトを外すのが定番なようです。文化ですかね。コワいですねえ。

・・・・なんか、この映画のようにまとまりがつかないのです(笑)が、以上です。

 

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