劇場版 鬼滅の刃 無限列車編
つくづく自分はミーハーなのだなあと思い知らされます(笑)。アニメ映画「劇場版 鬼滅の刃/無限列車編」が大ヒット中で、史上最速で興行収入100億円を突破したなどというニュースを見ると、さっそく劇場に行きたくなります。
もともと「鬼滅の刃」は、当ブログにも書いていた(2020.2.11参照)ように、テレビ版を動画配信サービスで視聴し、その面白さは十分承知しておりました。ただ、原作のマンガが完結し、ネット情報などにより登場人物がほとんど死んでしまうという無残な行く末だけを断片的に知ってしまったので、いまだに漫画は手に取っていません。つまりテレビ版以降の筋書きはまったく白紙なのです。
正直、テレビ版の続きを劇場映画にするという企てはどうにも良くわかりませんでした。テレビ番組の劇場版と言えば、スペシャル版、スピンオフ版が普通です。それを画面の大きさが全く異なる世界で、テレビ版の続きをそのまま製作するのはいかがなものかと疑問を呈していたのです。第一、映画の後は、またテレビ版で放送する予定らしいので、映画にする勝算がなんとも不可解でした。
ところが、ふたを開ければ記録的な興行成績です。いくらコロナ禍でハリウッド映画が封切られていない状況を考慮してもこれは快挙です。内容が面白くなくては観客は劇場に足を運びません。しかも、コロナの恐怖もまったく影響を与えていないようです。リピーターもかなり存在するようです。・・・これは劇場に足を運ばなければなりません。ミーハー気質への弁解です(笑)。
さて、映画は、私が無意識に想定していた、これまでのあらすじ(テレビ版のまとめ)が一切ありません。観客は皆事前に”経緯”は知っているという前提なのです。これはこれで立派(笑)。
そして、冒頭は、まるで実写かと思うような里山の映像です。テレビ版の雪山と同じくインパクトがあります。本当にそのリアルさに驚きます。大画面の実写のような風景の中を手書きの2次元の人物が歩いていくのですから、これは日本アニメならではの作画方法かもしれません。ここまでCG技術などアニメの技法が進んでいると改めて感心します。
今回のタイトルに掲げられた無限列車の映像も美しい。大正時代の考証がしっかりなされた作画です。登場人物は、主人公竈門(かまど)炭治郎と鬼になった妹ねずこ、その相棒の猪頭と金髪少年です。この漫画の登場人物は、いずれも名前の漢字が難して全く読めません。当然、なんらかの仏教的な意味があるのでしょうが、難解すぎますので一切無視です(笑)。
ストーリーは、夜行列車に出現する人食い鬼と、主人公が属する鬼滅隊の柱(最強剣士の地位)の一人である煉獄(れんごく)きょうじゅうろうと一緒に戦うという内容です。この煉獄というキャラクターが凄い。まったく人の話を聞かない、常に大声で話すという、現実にはありえない、アニメならではの人物像なのです。ところがなかなか魅力的なのです。瞬きしない目と”うまい”の声のコンビネーションは、やはりアニメは声優の世界なのだということを痛感させられます。特に、この鬼滅の刃シリーズでは、以前から雑魚キャラの”鬼”に経験豊かな声優を使い捨てにしていると言われています。いや、だからこそ、初期に登場した鬼の存在感が異様にあったような気がします。特に、鬼滅隊の入隊試験の”山”の鬼の恐怖感はなかなか大したものでした。娘がファンだという”子安”さんという声優さんがその持ち味を発揮しています。昔のような掛け持ちという時代ではないのですねえ。まあ、いまや、声優はなりたい職業のトップグループらしいですから。
また、今回の無限列車の棲みついている鬼の正体は、十二鬼月の一人、夢を操る鬼”下弦の壱”で、実は、テレビ版の終わりの頃に放送された、諸悪の根源である鬼の元締め”無残”のパワハラに”下弦の鬼”たちの中で唯一生き残った鬼でした。しかも、その術は、列車全体を飲み込み、その一方で、睡眠中の人間の脳内世界を破壊するという凄まじい威力であり、映像的にも一大スペクタクルなシーンと幻想的で美しい世界を披露する内容なのです。ここでやっと、この”無限列車編”を劇場版にしたかった製作者の意図が分かりました。こうした映像をテレビ画面ではなく、映画の大画面で見せたかったということなのだろうとしっかり納得することができました。
しかも、登場人物の脳内世界を巡ってなかなか話が泣かせるのです。やっぱり、古き良き時代の母物は良いですねえ。失ったものは大きいですねえ。
映画の終盤になって、なんとか夢の鬼を退治してほっとしたと思ったら、そこに、唐突に、十二鬼月の一人”上弦の参”が襲来します。その力は、鬼の側近中上から三番目の実力者です。そしてラストは・・・・どうぞ映画をご覧ください。強い人間の使命と母の愛を満喫してください。
ちなみに、私がこの場面で感心したのは、”上弦の参”の鬼あかざ(漢字読めません)の造型です。戦闘狂というキャラクターらしく、その体中に入れ墨をしたアスリートのようなデザインが秀逸です。もちろん、漫画原作の容姿はそのままですが、多分、アニメのキャラクター・デザインの担当者のセンスなのでしょう、体型と動きのアニメートにほれぼれします。本当に、アニメーションも捨てたものぢやありません。見事です。この鬼滅の刃というアニメを通して、いつもアニメの演出というものを考えさせられます。
余談ですが、写真のパンフレットは、劇場では既に売り切れ状態であり、やむなく、オークションで未使用品をゲットしました。これもミーハー気質のせいかな?内容は、声優関連記事が多く占めていました。やっぱり今時の声優人気をうかがわせますねえ。
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