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2020年9月25日 (金)

ブルーサンダー

 面白いと記憶していたもののDVDをコレクションとして購入するまでには至っていなかった映画の一つに「ブルーサンダー」があります。ジョーズで知名度を上げたロイ・シャイダー主演です。物語は、”ブルーサンダー”の異名を持つ新型ヘリコプターをめぐる陰謀劇で、ロスアンジェルスの街の上空でのヘリコプター同士の決戦が見処です。特に、”ヘリコプターの宙返り”シーンが強く印象に残っています。

91lpd0qcubl_ac_sx342_ この映画のことを思い出したのはアニメ作家の押井守の著書「押井守の映画50年50本」の中で、この作品が50本の1本として取り上げられ、ヘリコプターへの偏愛を熱く語った章を読んだからです。マニアというよりフェチという方が当たっているような書きぶりにすっかり当てられ、唆されました。
 もっとも、この本自体は、一般向けの名作選というのではなく、著者の膨大な知識ととてつもない程のマニアックな視点で映画を一刀両断に論評しておりますので、その天才の上から目線のような書きぶりと相まって読み手によっては好き嫌いが大きく分かれるような内容となっています。

 それはともかく、丁度「ブルーサンダー」はブルーレイが低価格で販売されていたので、本当に何十年ぶりかで再見しました。今観ても結構面白かったのですが、やはり本でのヘリコプター愛ほどのインパクトはありませんでした、誠に残念です。

 しかし、特典の「メイキング」がなかなか興味深い内容になっていました。実は”ブルーサンダー”のデザインは、映画製作にあたって作られた画期的な姿だったようです。今観ると、よくありそうな軍用機のスタイルなのですが、当時のヘリコプターはどれも丸型であり、映画に登場する四角い武骨な形は斬新なデザインだったようです。確かに、「世界の軍用機完全カタログ」という軍用機の図鑑(これにヘリコプターも掲載されているのです。)でもベトナム戦争頃はまだ丸型が多いですねえ。

Photo_20200925115401  まあ、そうなると”ヘリ好き”にはたまらなかったのでしょうね、きっと。実際にロスの上空で撮影したようで、俳優たちもなかなか過酷だったようです。悪役のマルコム・マクダウェルは”上空嫌い”でヘリに乗らない条件で出演した(信じられないエピソードです。)そうですが、結局は操縦席に乗せられ”真っ青”だったそうで、思わず笑いました。まあ、本編より特典の方が面白いというのも困ったものです(笑)。

 41f5o1byh8l_sx350_bo1204203200_ ちなみに、「映画50年50本」では、戦車愛も惜しみなく披露されています。取り上げた作品が「レッドアフガン」です。こちらは一度見たことがありますが、DVDは絶版となっているようで、今回、中古品を発注しました。記憶では戦車より”砂漠”ばかりが印象に残っていますが、ソ連映画なのにアメリカ映画という点を踏まえて、もう一度、挑戦しましょう。映画が本ほど過激で面白かったら良いのですが・・・(笑)。

2020年9月 2日 (水)

クロール -凶暴領域-

 映画「クロール-凶暴領域-」は以前動画配信で見てなかなか面白かったので、ブルーレイが廉価版となったのを機会に購入して再見しました。お話は、超大型ハリケーン襲来時、フロリダの自宅に取り残された父子に襲い掛かるワニの恐怖を描いたものです。初見の時は、床下の閉鎖空間をはじめ自宅とそのごく周辺という限られたエリアで起こるエピソードを描いた”小品”というイメージでしたが、改めて観ると、ハリケーンの空模様や洪水に浸かったエリアなどは正直どうやって撮影したものか、わからないぐらいの大掛かりな風景に感じられます。ワニだけはCG製というのは理解できますが、床下の泥などは演じる俳優さんの健康にも害を与えそうなぐらい汚いものですし、まさか、クロサワじゃああるまいし、お天気待ちして本当のハリケーンの時に強行したんじゃないだろうかと、思わず非現実的なことも考えてしまいました。

71ktlc0smtl_ac_sx342_  そんな感想を持った中で、ブルーレイの特典映像に掲載されたメイキングを見て驚愕しました。
 全部セットで撮影されているそうです。フロリダなのに撮影場所は東欧です。しかも、巨大な倉庫を借りて、英国製の特殊なプールを組み立ててから、その中に、床下や自宅を含めた周辺の家屋のセットを作っています。そしてその横から巨大な水槽に貯めた大量の水を盛大にセットに流し込んで撮影しているのです。そりゃあ、本物の迫力は出ますよねえ。
 でも、その水は、俳優が冷たくないように30°Cぐらいの温度にしているようです。当然あの汚い泥も作りモノです。俳優たちは、かがんで演技はしているものの、健康被害は全く杞憂でした。もっとも、床下シーンの撮影期間が3週間もかかったそうですから、肉体的には大変だったようです。まあ、床下セットを見る限りは上部が空いているので、画面で見るほどには閉所恐怖症的にはならなかったでしょうね、多分。
 また、プールの周りは、青色のシートで囲ってCGでハリケーンの空模様を再現しています。自宅前のセットの”ヤシ”の木は幹の部分だけで、風に吹き飛ばされそうになっている葉は全部CGでした。本当に本物と見分けがつきませんねえ。でも、やっぱり、本物の水と風を併用しているのがリアルな効果を上げているのでしょうねえ、さすがハリウッドです。

 こうして舞台裏をみてみると、低予算の”小品”と思っていたのに、一体どれだけ予算が掛かっているのか、驚きの作品です。まあ、製作に”スパイダーマン”のサム・ライミ監督がかんでいるようですから、一定資本も集まりやすかったのでしょう。日本では考えられないですよねえ。立派です。

 ちなみに、題名のクロールというのは、主人公が父との確執で記録の低迷に悩む水泳選手であり、ワニの襲撃を脱するために、そのクロールの実力を発揮するという見せ場もあるのですが、とにかく、何度も何度もワニに襲われ、手も足も噛まれます。それでめげないのですからエライ(笑)。アメリカ映画を観て、いつも凄いと思うのは、ケガをしても自分で応急措置をするという場面です。こういうサバイバル訓練を日常的にやっているのでしょうか、アチラでは。我が国じゃあ、ショック死する感じですねえ、彼我の差をいろいろな面で考えさせられるというしかありません。

2020年9月 1日 (火)

ライトノベル再考

 最近、ライトノベルに嵌っています。もともとは、近頃の「時代小説」のスーパーマン化に愛想をつかして、同じファンタジー小説(笑)ならとアマゾンのkindle unlimited 読み放題の会員になって、ライトノベル中心に無料の電子書籍版を読み漁っていました。時間つぶしにもなりますし、電子書籍版なら、書籍の置き場にも困りません(笑)。
 ライトノベルの作品で多いのが、いわゆる”異世界転生”ものであり、大体がゲーム好きの若者が不慮の事故で死んでしまったものの、何故か神様にチート(狡いぐらいトンデモなく凄いという意味らしい)能力を与えられ、魔法や獣人がいる異世界で英雄になるというストーリーです。とにかく馬鹿馬鹿しいぐらいに超人願望、異性願望、ハーレム願望などが満ち溢れており、現世でうだつの上がらない者の夢物語なのですが、極まれに素晴らしい作品にめぐり逢います。これが楽しくて”読み放題”を漁っています。

 51800duuxl 以前に少し紹介した「本好きの下克上 司書になるためには手段を選んではいられません」もその一つです。主人公は、本好きの日本人の成人女性でしたが、西洋の中世の時代のような異世界に転生します。しかも、身分は最下層の兵士の娘(幼女)なのです。もちろん、前世の記憶とあふれるばかりの魔力を持っているのですが、その魔力ゆえに身を食われ、外で走ることもできないほどの虚弱体質という設定です。こういうハンディを持った主人公マインが本を読みたい一心から、前世の記憶を活かしながら様々な商売に手を染め、平民階級から貴族階級への仕上がっていく過程が実にち密に描かれます。第2部の教会の司書になってからが一段と面白くなります。
 感心するのは、異世界の文化について、下町のにおいなどの生活感を生々しく描きながら、中世のような架空の階層社会をしっかり築き上げているので、荒唐無稽な魔法が少しも気になりません。逆によくこんな魔法を思いつくものと感心します。時代小説の剣術と同じ(笑)かな。
 また、主人公と関わる個性豊かな登場人物の設定も上手いですねえ。現在、第24巻で、いまや王族と関わる階級まで成り上がっています。どうやら、あと数巻で終わる(完結済み)らしいのですが、どうなるのでしょうねえ。師匠フェルディナンドはどうなるんだ!楽しみですねえ。

 512gsrcohbl_sy346_ そして、最近、特に気に入ったのが「異世界料理道」という作品です。近頃はやりの”異世界料理”ものなのですが、この作品は転生先の”異世界”の造型がなんとも見事なのです。様々な人種の文化を絶妙に混ぜ合わせて独自の世界を作り上げています。

 親父の居酒屋を手伝っていた半人前の見習いの料理人アスタが主人公なのですが、転生した場所が”ギバ”という猪のような凶暴な野獣を狩って生活する森の住人の村です。最初に出会うのが、男尊村社会で孤立しているアイ=ファという名の女猟師です。もちろんヒロインにふさわしい十分な美形なのですが、チョコレート色の肌と金髪の髪と青い目を持つ”バイキング”風の一族で、町の人間達からは”ギバ食い”と差別されています。なにしろ、女性は美人だが、男は皆ごっつい体の狩猟民族なのです。
 そんな中で、主人公が前世の料理、例えばギババーグやギバカツなどを創り出し、”食”のうまさとその大切さを示す中で、この一族の融和をはじめ、周囲の街や城壁の中の貴族階級まで巻き込んだ物語が進んでいきます。
 しかも、こちらは荒唐無稽な魔法は一切登場しません。作者が作り上げた異世界の”文化”や”人種””風習”を縦横に活かした物語なのです。ここが凄いと言わざるを得ません。この作品も、現在第21巻まで発売されていますが、タイトルは短い(笑)のに、まだまだ長く続きそうな感じです。

 いやあ、ライトノベルも捨てたものではありません。素晴らしい作品はまだまだあるのでしょう、きっと。また、冒頭についている漫画風の挿絵も気に入っています。昔の絵物語風でいいぢあないか。「本好きの下克上」は、そのまんまの絵柄でアニメになっています。

 それにしても、読み放題が可能なのは、当然ですがシリーズ最初の方のわずかな冊数に限定されています。つまり、その続きを読みたければ定価で購入しなかればなりません。電子書籍版にしても単行本なので1冊なんと千円を超えるのですから、なかなか出費が大きくなります。アマゾンの商売上手と言えば、それまでですが、・・・困りました(笑)。 

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