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2020年8月25日 (火)

独立機関銃隊未だ射撃中

 岡本喜八監督の「独立愚連隊」シリーズ8本のうち、未見だったのが「独立機関銃隊未だ射撃中」でした。以前「東宝・新東宝戦争映画DVDコレクション」のシリーズの中に入っていたものの、絶版となったままでした。それがこのたび、やっと正規のDVDが発売されたのです。

81kdcr7rqhl_ac_sy445_  ちなみに、昭和34年公開の「独立愚連隊」から「独立愚連隊、西へ」そして第3作の「どぶ鼠作戦」までが岡本喜八監督で、その後の「やま猫作戦」から谷口千吉監督に交代し、第5作がこの「独立機関銃隊、未だ射撃中」なのです。そのシリーズは、その後も、福田純監督の「のら犬作戦」、坪島孝監督の「あり地獄作戦(当ブログ2018.5.16参照)」、そしてシリーズ最後の作品が、岡本喜八監督の「血と砂」でした。

 さて、この作品は、”独立愚連隊”の娯楽活劇というよりは、その名を冠した(もじっているタイトル)反戦映画です。どうやら、当時の独立愚連隊シリーズに対する根強い批判をかわすアリバイ的な意味合いが感じられます。

 物語は、ソビエトとの国境にある機関銃隊のトーチカを守る兵士達のお話です。豪放磊落な三橋達也、経験豊かな佐藤充、口先だけの兵士、インテリの兵士、志願兵の若い新兵、そしてベテランの連絡係などの生きざまを戦時中の軍隊の非人間的な部分を懺悔でもするかのようにじっくり描きます。基本的にトーチカの中だけの密室劇です。とにかく、登場人物達はまじめに悩み、苦しみ、国に居る家族を守るために戦おうとします。

 しかしながら、ソ連軍の侵攻の直前という中で描かれる兵士達の描き方がおざなりです。豪放磊落だがお守りを離さない上官、貧農出身で軍隊が天国という兵士、下の者には厳しいが実は小心で臆病な兵士、そして、インテリで戦争に疑問を持っている兵士など、どうもどこかで見たり聞いたりした人物造形です。しかも、俳優達の熱演も、影や構図など演出が観念的で真面目すぎるせいか、どうにも”固く”感じられます。
 にもかわらず、敵のソ連軍が東宝特撮自慢の戦車模型なのです。このギャップはなんとも悲しくなります。
 しかも、最後はなんと名作「西部前線異常なし」のラストの蝶々を百合に変えての”反戦”を象徴させる演出なのです。途中からそうなるのではないかと予想していたら、本当にそうなったので驚きです。
 とりあえず、一応は自宅のモニターで最後まで見ることができましたので、今回は”見た”という実績を積んだことだけで満足することにしましょう。

 それにしても、谷口千吉監督は、戦前から山本嘉次郎監督に師事し、黒澤明監督とは兄弟弟子に当たります。戦後の一時期は三船敏郎のデビュー作の「銀嶺の果て」や「暁の脱走」などを発表した有名な映画監督なのですが、どうも作品に恵まれていません。最近、いろいろ見る機会が増えてもなんだか感心しません。でも、いいのだ。彼は八千草薫の旦那(略奪愛らしい)ですから、幸せな映画監督です。

2020年8月15日 (土)

キングギドラの角

Manndakake  かつて古い漫画本を”お宝”に換えた有名な古物商「まんだらけ」がこの7月に発行した雑誌があります。店舗で販売している古本やおもちゃを一堂に掲載した雑誌なのですが、とにかく膨大な点数があり、実際に商品を買うことができなくても資料的な価値があります。
 今回の特集は「東宝怪獣」ということで、東宝が製作したいわゆる”怪獣映画”のパンフレットをはじめ、古い漫画や雑誌、玩具、ガレージキットなど様々な関連商品がこれでもかというほど大量に載せられています。

 そして、表紙や冒頭の見開きページに目玉商品として紹介されているのが、東宝の怪獣映画黄金期に作られた「地球最大の決戦」に登場した、ご存知”キングギドラ”の撮影用の模型です。
 本体の模型に操演用のひもや棒が付いており、アナログ感が満載で、観ているだけで当時の特撮現場が想像されて、楽しくなります。しかし、キングギドラの体色が濃紺系で、羽の色にも虹色の濃淡が付いています。実は、キングギドラの色はもともと濃紺系だったのですが、撮影現場に運ばれた着ぐるみを見た女の職員が「金星から来たのだから、金色と思っていた」と呟いたのを、”特撮の神様”円谷監督が聞きつけ、撮影直前に全身を金色に塗ったという逸話があります。そのため、既に作られていた映画パンフレットの表紙では元の濃紺系のままなのです。

 ということで、この操演用模型を改めて見てみると、濃紺系のままなので、どうやら撮影には使われなかったモデルのようです。でも、お値段は300万円といいますから驚きますし、この小道具は、一体どんな経緯があって、撮影所から古物商のところまで流れて来たのでしょう、そんなことが何故か気になります。せめて、最近流行りのウルトラマンなどの懐かしの特撮展などに貸し出しされないのでしょうか。まるでぼったくりバーのような中身のない貧素な地方巡回展覧会が大手を振っているのは困ったものです。

Kinngigidora  それにしても、「キングギドラ写真集」も発売され、なにかのギドラ・ブームかしらと、久しぶりに三ツ首怪獣を懐かしんでいたら、ヤフーオークションでレジン製のキット完成模型に一目ぼれです。この製品は、メーカー不明なのですが、高さ20cm強、広げた両羽が40cm弱の手頃なサイズで、商品写真を観る限りなかなか出来が良いのです。しかも、三本首のうちの一つの頭の角が2本とも欠けており、羽の爪までもいくつか失われているという私向けの”ジャンク品”です。こういう商品は低価格で競争相手が少なく、ホンの気まぐれで入札したら、本当に落札してしまいました。ご縁があったのですねえ(笑)。

 しかし、商品が到着してみると、”レジン製でこわれやすいもの”という出品者の注書きのとおり、輸送中に、頭部の長角4本が一の首を除いて、総て見事に折れており、羽の爪も3本は無く、しかも中央の短角1本を失っています。もう少し輸送のための包装をなんとかしてほしかったと悔やんでもしかたなく、この角や爪をいかに復元するかが、今回の模型作りのミッションとなりました。

 角を複製するためにいろいろ試行錯誤した結果、結局、エポキシ造形パテを自分の指で棒状に丸めて角度をつけるという原始的な方法が一番良いことに気が付いたのですが、それからが大変です。現存する角の形状や大きさになるように丸め、何本も試作品を作りました。微妙に大きさや曲がり方が違うので何度も繰り返し、作り直しました。それでも、偶然というか、奇跡のように、なんとか許容できる程度の角と羽の爪が完成しました。そして、その細長い部品に0.5mmの真鍮棒を差し込み、頭部に埋め込むのですが、この穴あけ作業ではピンバイスという工作道具の優れた機能をいやというほど実感します。これは本当に必需品ですねえ、今更ながらですが、改めて感心しました。
 角ができれば、あとはサーフェイサーで下塗りし、金色のラーカー塗料をエアブラシで吹いて完成です。お疲れさまでした。

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2020年8月11日 (火)

1917 命をかけた伝令

 劇場公開時に観ることができなかった映画「1917 命をかけた伝令」をやっと動画配信(レンタル399円)で見ました。監督が「007 スペクター」を撮ったサム・メンデスであり、ワンカットで全部撮ったかのように見せている手法も随分話題になっていました。

 ストーリーは、第一次世界大戦の西部戦線で、ドイツ軍の仕掛けた罠にハマろうとしているイギリス軍の攻撃を中止させるための命令書を持った二人の伝令の物語です。監督が祖父から聞いた実話というのも宣伝になっていました。

 映画は、冒頭から二人の若き兵士に密着してその姿だけを追います。二人が歩くにつれ、周囲の景色がのんびりした野原から野営地、そして長く迷路のように掘られた塹壕まで移り変わっていきます。何も知らされずに導かれた二人は、突然の思いもよらぬ指令を受けるのです。明日朝までに前線の向こう側の味方に攻撃の中止命令を伝え、1600名の全滅を阻止せよという無理難題です。

 しかも、伝える味方の連隊には伝令の実兄が従軍しており、彼は文字通り死に物狂いになります。たまたま居合わせて命令を受けたもう一人の兵士が冷静な対応を求めますが、もう完全に死亡フラグが立っています。いやあ、冒頭からどきどきしますねえ。さすがに、話題になって大ヒットした映画だけのことはあります。一度たりとも”早送り”などせずに一気に鑑賞することができました。

 ただ、カメラ目線の密着は緊張感を高めるのに向いていますが、池を渡るときなどはカメラが二人から離れると、誰の目線?とか気になってかなり違和感があります。ワンカットにそれほどこだわる必要もないとも思うのですが、サスペンスの神様のイギリス人監督ヒッチコックへのオマージュでしょうか(笑)。

 二人が通る悲惨な戦場は、無数にあいた砲弾跡や土に埋もれた死体などで戦争の無残さを訴え、そして突然に命が断たれる非情さも描かれています。長い夜が明けて突撃が始まり時間切れかと思われる中、意識を失いかけていた兵士が使命を果たそうと必死に駆ける姿は感動します。
 でも、軍隊の指揮官というのは勝手ですねえ。伝令の苦労などはほとんど歯牙にもかけません。”労い”ぐらいかけろよ。結局、彼らの功績はほとんど無視されたのでしょうねえ。だから映画にしたのかな?

 ともかく自宅のTV画面で見ても至極面白かったし、できれば劇場で見たかった映画でした。
 それにしても「ワンダーウーマン」以来、第1次世界大戦の映画が多いと思うのはなんでしょうかねえ。単なる気のせいかな? 

2020年8月10日 (月)

フライトナイト2 バンパイアの逆襲

 1988年、CG技術の登場以前、特殊メイクアップ全盛の時期に製作された吸血鬼映画「フライトナイト」の続編が「フライトナイト2 バンパイアの逆襲」です。第1作は、大胆な特殊メイクにコメディタッチのストーリーが大ヒットし、モダン吸血鬼映画として名を成しました。その人気の故に2011年にはリメイク「フライトナイト 恐怖の夜」も作られましたが、こちらの新作は変身姿もほとんど見せず、現実の変質殺人者というスプラッタな感じに仕上がっており、いわゆる”吸血鬼映画”という感じが全くしないのであまり買っていません。

 それはともかく、その続編の「フライトナイト2 バンパイアの逆襲」についてはVHSは発売されているものの、我が国ではDVD化もBD化もなされていないのです。確かに余り面白くはなかった記憶がありますが、何故か、ローラースケートで滑る黒人バンパイアの姿を無性に見たくなったのです。しかし、ビデオデッキの状態が信用ならない今では、手持ちのVHSを観る勇気がなく、海外版のBDを米国のアマゾンで探したのですが、高額のプレミア商品以外は見つからず、イーベイでやっと安価なBDを見つけました。

 そこで「セカイモン」を通じて7月4日に入札・落札したのですが、ロスアンゼルスの物流センターに商品が入荷したのが7月21日。さらにコロナウイルスの影響で確認作業日程が大幅に遅れて出荷されたのが7月30日、そして日本の税関には8月1日に到着して、翌日には通過、自宅に届いたのが8月4日で、実に1カ月の時間がかかってしまいました。いやはや、コロナウイルスはいろいろなところで影響がでています。ほんの半年前の”平穏”な日本社会がなんともろいものだったのかと改めて痛感します。

Img_20200804_0002  ちなみに、代金は商品本体が手数料を含めて3500円、プラス国際送料が2500円程度かかったのですが、手許に届いたBDは、なんとスペイン語版(多分)でした。まあ、音声は英語変換が可能ですし、どうせセリフはわかりません(笑)。リージョンはフリーですので、映画を鑑賞するには何の問題もありません。
 でも、その内容は”記憶”をはるかに超えた悲惨なものでした。

 まず、敵役の女吸血鬼がテレビ女優というのが無理筋の設定です。鏡に映らないなら、カメラには映らない(リメイクではそう)でしょうし、楽屋のメイクなどの準備で周囲に確実にバレます。・・まあ、そんなことを考えてしまうほど、ストーリーも特殊メイクも退屈だったのです。思い出はそのままそっとしていた方がよろしかったのでしょう。

 余談ですが、「フライトナイト2」は、リメイク作品(2013年)もありました。内容は、全く別なのですが、主人公”チャリー”と恋人”エイミー”、そしてバンパイアキラーの芸人”ピーター・ビンセント”の設定だけが同じで、ドラキュラの故郷のルーマニアに修学旅行に行って、生き血の風呂に入ったという伝説の女吸血鬼に出会う話なのです。面白いことに、エイミーや男友達の俳優までも第1作に似せています。エイミーが隣の普通のお姉ちゃん風なのもそうですので、できたら口裂け女をやらせてほしかった。あれだけ大ヒットした第1作の女優さんが第2作目に登場しなかったのは、あのメイクが嫌だったから?というのは勘繰りすぎでしょうか(笑)。
 ところで、このリメイク映画の内容を何故知っているのかといいますと、偶然にも丁度アマゾンで動画配信(レンタル100円)しているからなのです。それにしても、この映画どっかで見たことがある気がするのはどうしてなのかなあ?それが少し不思議です。

<追記>

Img_20200810_0001   リメイク版「フライトナイト2」について、前述のとおり、どっかで見たことがあるという記憶は間違いではありませんでした。気になって自宅のライブラリーを探してみると、日本版DVDを買っていました。随分前に第1作の続編と思い込んで購入していた黒歴史を思い出しました。購入後、前半のあまりの面白く無さに愛想をつかして倍速で飛ばしたようです。血の池のラストシーンがわずかに印象に残っていた・・・年のせいですかねえ、気を付けなければ・・・(笑)えません。

2020年8月 9日 (日)

恐竜超伝説 劇場版 ダーウィンが来た!

 NHKは一体どういうつもりでしょうか。「恐竜超伝説 劇場版 ダーウィンが来た!」の地上波再放送を見たのですが、そこには、CG製の毛の生えているティラノザウルスが闊歩していました。以前から、NHKでは、”最新の学説”に基づくと嘯き、頭部に青い毛をはやし、全身が黒い毛でまばらにおおわれており、しかも、ご丁寧に顔には醜い吹き出物ばかりという、なんとも無残なティラノザウルスの復元図を特集しています。
 確かに、羽毛のある近種の恐竜は発見されていますし、化石からもある程度は体表の色まで判別できることは承知していますが、まだ、テイラノザイルスに羽毛があった化石は発見されていませんし、イギリスの王立博物館では、身体の大きな恐竜への羽毛は否定的だという意見もあります。しかも集団の狩りという生態にもいまだに異論があるのです。

 にもかかわらず、国営放送とも言ってよいNHKが、一部の過激な説(鳥=恐竜)を全面的に採用し、子どもたちに人気のテレビ番組「ダーウィンが来た!」の一環で放送してよいのか。多感なこども達にあんな醜い暴君竜の姿を見せつけるとは、将来的に”恐竜好き”な子どもたちを減らそうとする政治的な意図(笑)まであるのではないか、とさえ思ってしまいます。

 ハリウッドがいまだに羽毛のない恐竜を「ジュラシック・パーク」シリーズに登場させている意味をわかってほしいと思います。誰が、あんなハイエナかハゲタカのような醜い生き物を好きになるのでしょうか。ティラノザウルス・レックスに羽毛を付けるのは、証拠が発見され、定説になった暁にしてほしいものです。勝手に子供たちの夢を壊してほしくないものです。
 なお、番組内では、羽毛のないティラノレックスも居た!として、国内の恐竜を紹介しています。これは、アリバイ作りか、国内の権威筋へのヨイショなのか!その姑息さに、いよいよ怒りは収まりません(笑)。

 ついでに言えば、劇場版に登場する主役級恐竜の一頭である”ディノケイルス”の復元姿と動きにも呆れました。まるで、アメリカの初期の漫画映画(カートゥーン)に登場する擬人化したアヒルのようです。しかも、体色はピンク色です。これも学説に基づく姿なのでしょうが、なんとも呆れかえります。CGは、日本のトップクリエーターということなのですが、動きも姿もリアルさが足りません。お金の掛け方が違うので言ってもセンないことかもしれませんが、ハリウッドの恐竜映画の凄さを改めて感じます。恐竜同士の格闘シーンなどみると、まるで迫力がありません。残念なことです。

 最後に、少し良かった点だけ挙げますと、北極圏の恐竜の姿はなかなか感動します。モササウルスは、シャチとジュラシック・ワールドの丸パクリですねえ。でも面白かった(笑)。このシーンのおかげで、全く恐竜などに興味がない妻と娘が録画しておいてくれたのですから、感謝せざるを得ません。

 いうまでもなく、”恐竜像”は、これまで様々な学説を踏まえ、随分姿を変えて来ました。この事実は分かっていますが、姿をかえるなら、きちんとした根拠をもって変えてほしいものです。正直、地球の一時代を制した”王者”の姿としては、あまりに恰好が悪すぎるとしか言えません。多分、羽毛があるにしてももっと優れたデザインなのだろうと、創造の神様の名誉のために思っています。

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