ビリケン・アントラーの触覚
久しぶりに模型作りです。興味のない方は飛ばしてください。
今回、初代ウルトラマンの「バラージの青い石」に登場するアントラーのビリケン商会製の中古品を入手しました。御承知のとおりビリケン商会のソフビ模型は、いずれも造型のつくりがなんとも見事で、この商品も随分前に廃盤となっていますが、依然としてオークションなどでは高値で取引されています。もちろん、私の場合は、箱なし、説明書なし、組み立て中途品といういつものジャンク品です。
左の写真(エクスプラス製)のようにこの怪獣のデザインは、カブトムシの頭部にクワガタの大あごをくっつけて、二本足で立っているという姿です。実は、着ぐるみ製作者として有名な高山良策氏が最初に製作した”ウルトラマンの怪獣”だそうで、子どもの時に、この着ぐるみを製作中の有名なスナップ写真を少年雑誌で見たことがあります。その舞台裏の写真のインパクトは大きく、それ以来、私のお気に入りの怪獣になっています。
考えてみると、なんとも奇妙なスタイルなのですが、高山良策氏の手にかかると、リアルな生物感が生まれるのが名人芸なのでしょう。他の造型師ではそうはなりません。デザインの成田氏も造型には高山氏をよく指名したそうですから、製作陣においても相当高い評価があったようです。おかげで、同時進行で何体も製作せざるを得なくなるほど忙しく、高山氏の日記には「他の造型師に廻してほしい」という愚痴が残っているそうです。
さて、このビリケン製の模型は、スタイルなど実によく実際の着ぐるみを再現しており、ファンの間でも傑作モデルとして知られ、何度か再販もされています。しかし、このモデルにはひとつ致命的な欠陥があります。人形は顔が命とよくいいますが、昆虫は触覚が命です。そうです、このモデルには、触覚の部品が無いのです。これは画竜点睛を欠くというものです。
ひょっとすれば、モデラー自身の創意工夫を期待してのことかもしれませんが、「カネゴン」の靴の球も作る会社のモデルキットとしては手抜きとしかいいようがありません。そのため、以前、この正規品を作った時には、触覚がなかったためにどうにも気に入らず転売してしまった苦い記憶があります。
で、今回2度目の挑戦では、アントラーの触覚を自作することを目標に置きました。
以下、模型作りの手順です。
まず、二本足で立たせるため、下半身にレジン液を注入します。足首の継ぎ目にしっかりビニールテープを巻いて、液が漏れるのを防ぎます。さらに、前面に突き出た大アゴによって前のめりに倒れるのを防止するため、背中の甲羅の下部にもレジン液を入れて前後のバランスを取って直立するようにします。
そして、今回の目玉の触覚作りです。ただ、映像を見ても触角の位置がよくわかりません。そこで、少し邪道ですが、他のモデルを参考にすることにしました。怪獣モデルの専門メーカーのような会社エクスプラスのアントラー(一番最初の写真)を購入しました。で、驚きました。アントラーには口唇にも触覚のようなモノが付いていました。本物の昆虫には無い筈なのですが、架空の生物だから仕方がありません(笑)。
自作する材料としては、針金を考え、粘度の高い接着剤を節として盛りましたが、形が不揃いで断念。次に樹脂粘土で整形しましたが、小さな節を作ることができす挫折。思い余って、他商品の触覚を型どりまでしたのですが、片面しか複製できず失敗。いろいろ考えた挙句、節にはビーズ玉を使用することを思いつきました。手近にあった直径3mmは少し大きすぎたので、2mmと2.5mmのビーズ玉を取り寄せて、1mm針金に通します、一定の間隔で並べるとそれらしく見えましたので、身近な針金を接着剤で固めて先端の櫛のような部分をつくって出来あがりです。
最大の課題をクリアしたあとは塗装です。いつものとおり、フラッドベースを混ぜたつやけし黒を全体にエアブラシ塗装します。この場合、少しづつ濃淡を付けながら何度も吹き付けます。エアブラシの調子が悪く、吹く量が少ないことがかえって効果がでたような気がします。背中の甲羅は丸く塗り残し、あとで、ホワイト+ブルーに、さらにスカイブルーをエアブラシします。そのほか、フラットベースを混ぜたダークイエローで手足や腹部、顎の周辺をそれらしく塗装します。これで終了です。塗装はいつものとおり1日で終了です。
出来上がりは、次の写真をご覧ください。まあ、こんなのものでしょう。
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