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2020年5月23日 (土)

ライト時代劇

 動画配信サービスでレンタルが解禁された映画「決算!忠臣蔵」を観ました。あまり期待はしていませんでしたが、財政面から忠臣蔵を描いたのが意外に面白く、しかも、ライトノベルではないですが、忠臣のかたき討ちなどという大時代的な視点ではなく、軽妙というか、かなりコミカルな演出が、”ライト時代劇”というジャンルの快作のような気がします。当時のそば一杯の値段から、赤穂藩の家老が年収3900万円程度だったというのも感心します。少なくても、市川崑の「四十七人の刺客」よりは何倍も面白い作品です。余談ですが、巨匠市川崑の晩年の作品は、クラッシャーの異名をもつ某大女優に魅入られたせいか惨憺たるものだったという某時代劇評論家の意見には、目から鱗で大いに賛同しています(笑)。

 ちなみに、この私が勝手に造語した”ライト時代劇”とは、往年の東映時代劇によくあった美空ひばりなどのチャンチャンばらばらのコメディ時代劇の類ではなく、これまでの重苦しい時代劇の見方を一寸だけ変えるような、現代人が小膝をたたくような知的な設定と軽妙な演出センスをもって造り上げた作品群をイメージしています。ヘモグロビンの過剰な噴出だけが時代劇ではありません(笑)。

 実は、こうしたジャンルに含まれるような時代劇作品を最近よく見かけるのです。
 例えば、つい最近の「引っ越し大名」もそうですし、「サムライマラソン」という作品もありました。特に、有名なのが、大ヒットした「超高速!参勤交代」ですよねえ。おかげで続編「超高速!参勤交代 リターンズ」もできました。まあ、やっぱり柳の下には二匹目はそうそういませんでしたが(笑)。
 いずれも、理不尽な絶体絶命の危機に面しても、飄々としかし知恵と工夫と笑いをもって克服していく物語は、いまの閉塞感の中にある私たちの共感が得られる内容になっていると思います。”ライト時代劇”だからこそ可能な風刺や笑いを堪能しましょう。

 その昔黒澤明が「七人の侍」を構想した時は、侍の日常生活が全くわからなかったと述懐したという有名な逸話がありますが、最近は様々な文献も発見され、時代考証の研究も進んだのでしょうねえ。
 これでいうと、画期的なのが「武士の家計簿」であり「武士の献立」なのかもしれません。こういう作品は、歴史的な価値のある文献が発見され、小説などの原作から映画化されています。思えば、フランキー堺の傑作「幕末太陽伝」の場合は落語がベースでしたが、今後は、江戸時代の文献の新たな発見や新しい才能の発掘などによる原作小説などが生まれることを大いに期待しています。もっとも、映画化で一番肝心なのものは、原作をいかに映画として見ごたえのあるものになるように料理するかなので、映画監督の俊英の誕生と土台となる美術や衣装の発展を気長に応援しましょう。

2020年5月10日 (日)

T-34 レジェンド・オブ・ウォー

 新型コロナウイルスによる映画館閉鎖で新作が見られない飢餓感からか、シリーズ物の新作ブルーレイをレンタルで事前チェックもせずに、発売と同時に2本いきなり買ってしまいました。

 一本目は「エンド・オブ・ホワイトハウス」の第3作目「エンド・オブ・ステイツ」です。ジェラルド・バトラー主演のド派手な建物破壊や戦争のような銃撃戦を繰り広げる、お馴染みのシークレットサービス物語の最新作です。しかし、柳の下に3匹目のドジョウはいません。2匹目もいなかったが・・(笑)。とにかく、大統領暗殺未遂の濡れ衣を着せられて逃亡する主人公の行動が行き当たりばったりで全然冴えませんし、見せ場のアクションもどうも切れがありません。というか、スートリーが全く馬鹿(すみません、この表現がぴったりなのです。)げています。現場に残された罠の証拠に見事に踊らされるCIAかFBIの捜査トップがあまりに愚かすぎますし、黒幕たちがミエミエな俳優ばかりでなんのサスペンスもスリルもありません。第一、暗殺兵器がスパイダーマンに登場するような無数のドローンなのですが、あんなのが本当に存在するのでしょうかねえ。唯一、ニック・ノルティの親父が儲けものでしたが、最後は一緒に暮らせよ!!いや、逆にアメリカらしいのかな?

 2本目は、ご存知「チャーリーズ・エンゼル」シリーズの新作です。これは元作もあまりお気に入りではなかったのですが、ネットの予告編で見た、クリステン・スチュワート(スノーホワイト)のジョギング姿に魅せられて(笑)買ってしまいました。しかし、これが大失敗。クリステンにおしゃべりな脳筋女の設定は全く似合いませんし、その上、いつも大事な時に間に合わない展開は見てる方は非常に疲れます。聞けば「ピッチ・パーフェクト2」で初めて監督した女性俳優の演出らしいのですが、今作の出来では次はまず無いだろうというネットの噂も至極納得出来ました。まあ、いきなりアクション映画はないでしょう、やっぱり。

91ivwnmtlzl_ac_sx342_  こんな状況の中ネットの噂で知ったのが、「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」という戦車映画です。ロシア映画というのが気になって、まずレンタルで動画配信をチェックです。
 その結果ですが、この映画は”戦車映画”の大傑作というべき作品です。とんでもアニメ映画のガールズ&パンツアーで描かれる戦車対決を本格的に実写化したような荒唐無稽さを含め、インディアン殺しで凋落した西部劇を純粋なガンプレイ主体のアクション物に作り替えたマカロニ・ウエスタンのようなエポックメイキング的な作品です。
 まあ、自粛の影響の反動か、やや大げさ(笑)かもしれませんが、それほど面白かったのです。
 とにかく、最近はやりの反戦だとか戦争の悲惨さなど小難しいことは一切除いて、純粋に戦争アクション、戦車アクションを追求したものです。まるで昔のハリウッドの戦争娯楽映画を最新の映像でリアルに蘇られせたようです。とてもロシア映画とは思えないほどの商業映画です。

 前振りがものすごく長くなりましたが、第二次世界大戦中に、ロシアに侵攻したナチスドイツのタイガーとロシアの「T-34」の戦車同士の戦いを描いたものです。冒頭、士官学校出たての主人公(戦車長)の敏腕ぶりに一気に引き込まれます。いやはや、漫画チックなハッタリ満開です。

 その後、1台のT-34でタイガー戦車の一個中隊を全滅させますが、ドイツ軍の捕虜となり、そこで戦車の演習に参加せられます。実弾抜きの戦車でどう戦うか、そしてどう脱出するのか? いやはやこんな楽しい設定をよく考えつくものです。しかも、ドイツ人はドイツ語をしゃべります。あたり前の話ですが、これがストーリーに見事な花をそえます。敵方のドイツ将校も歴戦の凄腕将校であり、その二人の対決はなかなか手に汗を握ります。それにしても、劇中の「白鳥の湖」には戦車ファンとしてそのキャタピラの華麗な律動を堪能できました。眼福です。

 戦争映画にアレルギーのある方も、第二次世界大戦の戦争映画ではなく、一種の史劇か、ファンタジー映画と割り切って、是非アクションとキャタピラを純粋にお楽しみください。なお、現在、コレクション用にブルーレイを注文中です。それだけの価値のある映画です。 

 

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