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2020年2月19日 (水)

ルーキーハウスガール

 動画配信サービスで無料で提供されている無数の実写映画などの中で、時折、面白い作品に当たることがあります。「ルーキー ハウス ガール」もそんな作品の一つでした。

81v9rlnphsl_sy445_  イギリスの労働者階級の少女がオーストリアのスキー場の高級別荘で住み込みのハウスキーパーとして働いているうちに、そのオーナーの息子と恋におちるという、鉄板ネタのシンデレラ・ストーリーなのですが、イギリスの階層社会の有様をコメディタッチで描いていて好感が持てます。しかも、主人公が持つ”特技”によるサクセスストーリーにもなっていますので、そのハッピーエンド効果は、普通のラブコメディの2倍の効果を上げています。

 それにしても、この主人公はどっかで見た顔だと思っていたら、スター・ウォーズのスピンオフ作品「ローグ・ワン」のヒロイン役のフェリシティ・ジョーンズという女優さんでした。可愛い人なのですが、高級別荘の人間達と比較するとなんかすごく小柄なのです。演出の狙いでしょうが、当初、完全に周りから浮いて見えます。
 日本人から見るとよくわからないのですが、同じ白人でも労働者階級と上流階級では、容貌も体格も、人種までも違っているように思えます。2歳から役員の席が構えられていたという御曹司をはじめ別荘で豪遊する金持ち連中は皆背が高く、まさしく上から目線の態度ですし、家政婦までも美人で背が高く体格も良い人間を雇っているという設定です。
 とりわけ、ビル・ナイ扮する銀行家の当主が現実ではあり得ないほど物分かりが良い紳士という設定はともかく、スチュワーデス上がりという母親役のブルック・シールズの態度がまさしく”上流階級”のさもありなんな対応なのです。自家用ジェットで行き来し、チャーターしたヘリコプターによるスキー遊びをはじめ、主人公の給料の1ケ月分のドンペリを一晩に何本も空ける生活をしていたら、誰でもそうなりますわねえ(笑)。

 もっとも、オーナー達の留守中に羽目を外す家政婦や仲間たちの行動もあきれましたが。酔いに任せた主人公のあっぱれ開放感あふれる大胆姿には大笑いです。可愛いじゃないか。ここは大いに気に入りました(笑)。 

 一方で、労働者階級の主人公の家庭はといえば、母親を事故で亡くし、失業中である親父の駄目さぶりには呆れかえります。ため息をつきます。こうしたイギリスの階層社会に加え移民問題も現実にはありますから、大変ですねえ。でも、ラストにはやっぱりささやかな幸せが用意されています。この辺の親父の一人暮らしの変化の仕掛けの見事さにはつくづくは感心します。是非、ご覧ください。いろいろな味で幸せな気持ちが味わえる作品となっています。

 以上、本当に拾いものの映画でしたので、今回、バーゲン発売中のDVDを購入しました。なにしろ、動画配信というのはお目当ての作品がいつのまにか消えてしまっていくのが難点なのです。今後は、もっとライブラリーで保管できるようにしてほしいものです。くわえて、古典的な作品もラインナップに加えてほしいものです。これは往年のハリウッド映画ファンからの希望です。 

 

2020年2月11日 (火)

鬼滅の刃からアニメ三昧

 毎日アマゾンプライムやネットフリックスなどの動画配信サービスに耽溺していますと、一時期ハマっていた実写版ドラマに飽きてしまいました。いや、飽きるというよりは、アチラのTVドラマの内容のどぎつさとその長さが胸につかえてきた、というのが正解でしょう。
 配信中の映画も再見するほどのラインナップはありません。
 しかたがないので、昨年後半からはアニメ作品も眺めていました。丁度、世間では漫画「鬼滅の刃」という一大ブームが起こっていたところでしたので、ミーハー感覚の暇つぶしの気分でした。

 とはいうものの、アニメ「鬼滅の刃」には正直驚かされました。もともとテレビ番組だったということなのですが、冒頭の雪山の映像の美しいことに本当に感心しました。キャラクターのデザインも素晴らしい。原作のマンガの絵柄は正直あまり好きではないのですが、その元の絵とはもはや別物と言ってよいほど、スタイリッシュに磨き上げられ、洗練されています。大正という時代の雰囲気まで描いているような気がします。嗚呼、これが本当のアニメの演出の実力かと、音楽のない静止画である漫画との違いを初めて実感しました。ちなみに、このアニメのおかげで、打ち切り寸前だった漫画連載は大ヒットし、単行本が売り切れという社会現象にまでなったことは記憶に新しいところです。アニメ作家の著作権もあるんぢやないか、という気にもなります。
 ただ、残念ながら、テレビ放送は既にワンクールで終了し、現在劇場版を製作中らしい。ということで、早く続きを観たいとおもっても、観るモノが無いのだ。漫画はまだまだ連載中であり、しかもお気に入りの登場人物達が次々と鬼に無残に殺されているという悲惨なもので、当分、書店の平積みの単行本の山には手を出したくない。

 そして、この作品の配信の合間にはそのほかのアニメ作品を観たのですが、さすが、クールジャパンの分野でさまざまな作品があります。”タッチ”まがいの懐かしい作品も再見しながら、スポーツものでは「あひるの空」、「ハイキュー」。映像が美しかったのが、あの放火された京アニの「ヴァイオレット・エバーガーデン」に感心です。そのほか馬鹿馬鹿しいがなぜか面白い「ワンパンマン」、途中で息が切れて断念した「進撃の巨人」や「キングダム」などの有名どころから、ゲームの世界を描いたような”異世界もの”に嵌ってしまいました。
 異世界ものとは、文字通り魔法が息づく異世界の物語ですが、まず、その作品の数に驚きました。例えば「転生したらスライムだった件」、「賢者の孫」、「魔王様、リトライ」、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っている」、「魔法科高校の劣等生」、「ありふれた職業で世界最強」、「盾の勇者の成り上がり」などなど、数上げたらきりがありません。ほとんどがいわゆる”ライトノベル”が原作です。

 その内容はゲームオタクが死後転生して超人的な力を発揮するという、まさに”中二病”の超人願望のようなものがほとんどですが、さすが人気でアニメ化されるだけのことはあって、ストーリー展開などなかなかこれが侮れません。”ラノベ”の文章よりは映像の方が魅力があるのかもしれませんが、困ったことに、ほとんどのアニメ作品がワンクールで中断中なのです。しかし、”ラノベ”の原作の方は実は延々続いています。思えば、最近は、書店では”ラノベ”コーナーがコミック売り場のように独立して設けられています。うーん、この出版不況の中でますます侮れませんゾ。

 実際のところ、アニメで描いた後の展開を知りたい作品もあります。特に、いま一番はまっている「本好きの下克上」はまるで「チャングム」などの韓国宮中物を彷彿させるような面白さです。これは異世界ものですが、グーテンベルグの活版印刷(本)のない時代の平民の少女に転生した本好きの主人公が様々な手段を用いて本を創り出そうと悪戦苦闘する出世物語です。いやあ、着想だけでも座布団一枚です。この際、”ラノベ”も読もうかとも思いましたが、困ったことにこの作品は文庫版が無く、単行本だけの出版なのです。値段も高いし、何巻もあるので置き場所にも困ります。しかもラノベ特有の文章に馴染めるかどうかが心配です。うーん悩んでいます。 

 

2020年2月 9日 (日)

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

 最近、映画愛好家の友人の影響か、劇場から無料の映画チラシをよく貰ってくるようになりました。たった一枚の両面だけの情報量なのですが、なかなか工夫を凝らした絵や写真、凝った宣伝文句に感心します。昔からコレクターが多い理由が分かります。もちろんパンフレット派の私は単にチラシが溜まっているだけなのですが、これが重くて困っています(笑)。

_new_20200209171201  今回、映画「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」は”アガサ・クリスティーの現代版”というチラシの宣伝文句に惹かれました。実は、私はアガサ・クリスティーの長編をポケット・ミステリ版で集めている、昔からのアガサ・クリスティ-ファンなのです。この売り言葉は買わないではいられませんでした。
 また、007のダニエル・クレイグ、キャプテン・アメリカのクリス・エヴァンス、ゾッド将軍、そして、サウンド・オブ・ミュージックのクリストファー・プラマーなどが出演するオールスター映画なのです。おっと、大逆転のジェイミー・リー・カーティスを忘れていましたし、ITの少年もいます。顔ぶれを見ているだけで面白い予感がしませんか?。
 しかも、チラシには”満足度96%”という数字を麗々しく掲げています。なんかのアンケート調査結果のようですが、この数字の意味が凄いのかどうかわかりませんが、なんとなく楽しめそうじゃないですか。私としては監督が新SWの第2作でみそを付けた感のあるライアン・ジョンソン監督であることがやや不安ながら劇場に足を運びました。

 その結果、私の不安は杞憂にすぎず、本当に面白い作品でした。誰かが”快作”という評価をしていましたが、まさに、その言葉どおりの心地よく楽しめる本格探偵ものの作品になっていました。しかも、観客の予想を覆していくストーリーは、ライアン・ジョンソン監督のオリジナル脚本ということですが、そのストーリ-テラーぶりには感心しました。SWとは違って定石外しが見事に決まっています。ライアン監督への評価を一変しました。どうも申し訳ありませんでした。

 加えて監督の演出も冴えています。舞台となる古い館の薄暗い全景が映る冒頭の絵は、その重厚な音楽とともに、いかにも英国のクラシックな本格探偵小説の世界に見る者を一気に引き込むようなインパクトがあります。といっても、実はアメリカのお話ですし、先祖伝来の館ではなく、当主がパキスタン人から買い取ったというセリフには吹き出しました(笑)。そして、この館の内装が実に良い。特に様々な怪しげな置物などが探偵小説ファンの心をしっかりつかみます。名作「探偵/スルース」の凝った室内を思い出します。また、タイトルの「ナイブズ・アウト」を象徴する”外に向けられた複数のナイフ”を背もたれに飾ったイスは良いですねえ。

 ストーリー自体は、世界的なミステリー作家(プラマー)が自宅の館で不審な死を遂げ、そのいわくありげな子供や孫たちが遺産争いをするという、まさに定番中の定番のお話なのですが、亡くなった当主の付添い看護士を演じるアナ・デ・アルマスをヒロインに据え、謎の投書によって依頼を受けた世界的な名探偵をダニエル・クレイグが演じます。この私立探偵は、完全にエキュール・ポワロをモデルにしているようで、いつも相手から名前の発音を間違われるというマニア向けの場面があります。私にはわかりませんが、どうやら南部訛りの英語を話す胡散臭い探偵になっているようです。この今のイギリス人の007役者はどんな作品でも馴染んでいます。初代コネリーはかつらを脱いでやっと演技派への道を歩き出したのでしたが、その意味では凄いですねえ。

 一方、ヒロインも移民という設定で今風なのですが、嘘がつけない体質という設定で嘘をつく度その場で吐くのですから笑えます。こんなとんでもないコメディ設定と全編にただようユーモア、そして次々と起こる予想外の展開を存分に楽しんでください。演出も斬新です。探偵による尋問シーンは謎ごとに各人の証言がテンポよく編集され、さらに登場人物たち自身の行動の回想も入って、物語は一種の傾叙物の様相さえも見せ始めるのは、なかなか舌を巻きました。

 当然、本格探偵小説らしく、しっかり犯人が捕まりますし、終わった後の最後のトリックがまた笑わせてくれました。本当に、本格探偵小説は面白ですねえ、いや、映画でしたね。こんなに楽しい上品な娯楽作品は、やっぱり、アガサ・クリスティー原作の映画化「ナイル殺人事件」や「地中海殺人事件」以来ですねえ。改めて、ライアン・ジョンソン監督の手腕に感心しました。

_0001_20200209171301  さて、最後に、配給会社に苦言を呈します。今回の販売用パンフレットの造りがなんともお粗末です。サイズが小さく、内容も薄いのに820円は高いぞ。チラシの出来が良いだけに腹が立ちましたゾ。・・・つまらぬオチになりました(笑)。

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