マレフィセント2
大ヒットした作品でも、そうそう柳の下に二匹のドジョウはいないでしょう。映画「マレフィセント2」はその格言どおりの作品となりました。第1作目は、アニメ「眠れる森の美女」のヴィランである恐ろしい魔女を主役にした、ユニークな視点の物語でしたが、その続編となると、やっぱり二番煎じになります。なかなかジェームス・キャメロン監督の「エイリアン2」のようにはイケません。まあ、彼の人も続編はよく作りますし、監督作品ではないですが、製作を担った期待の次の作品はいかがでしょうねえ、やっぱり心配になります。
お話をもとに戻して、今回は、隣国の王子との結婚話です。今時のお伽話は、王子様と結婚してもなかなか幸せになりません。おっと、この続編は、結婚式までのお話でした。先取りはイケませんねえ。
それにしても、王子の母親役をミッシュル・ファイファーが演じるですから、もう筋書きは見え見えです。さすが、往年のキャット・ウーマンです。オーロラ姫への策略・陰謀と妖精国への侵略戦争など、観客の予想どおりの展開となります。そして、ディズニーらしく、いまアメリカの大きな課題である人種問題の平和的解決をテーマに掲げています。
しかし、残念ながら、前作に引き続き登場する妖精たちも、なんとも陳腐化した映像の連続で、この手の作品に不可欠な”センス・オブ・ワンダー”感が全く感じられません。続編だからこそ、観客の予想を上回る演出の創意工夫が必要なのです。それどころか、話もどこかつじつまが合っていません。
第一、今回は、妖精の国の女王であるアンジョリー・ジョリーが弱すぎます。一発の鉄の弾丸で死の淵に追いやられるのですが、もう少し彼女の強い力を描かないとお話が全く面白くありません。最後に”見せ場”がありますが遅きに失しています。
新登場の彼女の仲間の翼のある種族も見掛け倒しですし、全体になんとも妖精たちの魅力が文字通り二番茶の出がらしのようになっています。妖精の姿自体、もうひと昔のアメリカ漫画の絵のようですから、なんとも感情移入できません。まあ、見所としては、悪の女王の小姓?いや私設秘書みたいな小娘の悪行ぶりが新鮮(笑)でしたし、敵役のミッシェル・ファイファーの”妖精たち”への悪逆非道ぶりが強烈です。有色人種を人間とは考えていない白人種の持つ差別意識を誇張して演じているのでしょうが、笑えなくて実に怖いです。
それにしても、王子との結婚は、あんな悪らつな母親の息子でも大丈夫でしょうかねえ。父親の王様が良い人だったから救われるのでしょうけど、欧米人はきちんと割り切るのですねえ。この辺はさすがです。素晴らしい。
しかし、人体(妖精)実験を繰り返し、殺りく兵器を開発した裏切り者の妖精科学者が”呪いのアイテム”を証拠提出しただけで無罪放免になるのはおおいに問題です。司法取引かと、なんか釈然としないまま、王子様とのハッピーな結婚式を迎えてジ・エンドです。少しは多数の犠牲者を追悼してほしいものです。当然、パンフレットは購入しませんでした。おしまい。
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