町山智浩・春日太一の日本映画講義 時代劇編
「町山智浩・春日太一の日本映画講義 時代劇編」というタイトルの新書が発売されています。町山智浩は、アメリカ在住で、アチラの感覚をベースにした評論が多い映画評論家であり、春日太一は、映画史や時代劇研究家で、地道な取材からの日本映画解説本の著作が多数あります。いずれも単純明快な解説が持ち味のような気がしますが、この新書はこの二人のWOWOWでの対談を書籍化したものだそうです。ちなみに、表紙に著者の写真が載っています。
さて、今回この新書を当ブログでとりあげた理由は、まず、時代劇がテーマであること、そして、その中で取り上げた作品が、一部を除いて、私の好みに見事にマッチしていたためです。さらに言えば、初心者向けともいえる内容なのですが、お馴染みの鉄板ネタに加えて、初めて聞くような裏話もあって、一寸感心したからです。
取り上げている時代劇の作品を網羅します。まず、1七人の侍、2宮本武蔵5部作、3剣3部作、4子連れ狼シリーズ、5竜馬暗殺・浪人街、6御用金・人斬りです。監督別にいうと、1黒澤明、2内田吐夢、3三隅研次、4三隈研次(うち4作)5黒木和雄、6五社英雄なのです。ちなみに、私の好みとズレているのは、子連れ狼の6作のうち後半3作と浪人街です。これは全く面白くないですねえ。また、何故、黒澤明監督の用心棒と椿三十郎、小林正樹監督の切腹、上意討ちが入っていないのか、ここが残念です。
まあ、それはさておき、繰り返しになりますが、内容も私好みなのです。特に、監督の性情や撮影技師との関係など、丹念な聞き取り取材(真偽は別にして)による裏話がとても楽しいのです。某通販サイトのレビューの戯言は気にせず、是非、お読みください。内田吐夢の巻は涙無くては読めません(大げさですが)。こうした証言や噂は存命中に記録してくことが大事ですねえ。
また、「竜馬暗殺」は公開時に観て面白かった印象はありますが、ATGということもあってか、それ以来一度も見てしていませんでした。本で指摘のある、原田芳雄、石橋蓮司、松田優作の三角関係を見たくて、今回ブルーレイを購入して再見することにしました。粒子の粗いモノクロ画面に登場する侍や町人の着物姿に驚きました。原田扮する竜馬のふんどしスタイルはいつものことですが、まるで幕末に外国人によって写された写真のようなスタイルが実に新鮮です。倒産した大映技術陣が採算度外視で協力したという話もあながち眉唾(笑)でもないような気がします。
いずれにしても、時代劇を若い人達の新たな目で見なおしてもらうのは、大いに結構な話です。時代劇は、東映チャンバラ映画ではありません。面白い作品はいっぱいあるのです。若い人に、本物の時代劇を是非、見てもらいたいものです。
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