未知との遭遇
スティーブン・スピルバーグの有名作「未知との遭遇」を40年ぶりに観ました。40周年アニバーサリー・エディション、スチールブック仕様というブルーレイで、ファイナルカット版(の中古品)を購入したのです。
実は、この作品、最初の劇場公開当時、ジョーズを撮った若手の新鋭監督のSF映画として期待しすぎたせいか、全く面白くないと断じて以来、VHSもLDも観ていません。まあ、あの最後のどでかいシャンデリアのような宇宙船がひっくり返るシーンだけは、文字通り最後のどんでん返し(笑)として記憶に残っています。で今回、魔が差したのか、暇なのか、セールス品だったのかはともかく、久々に観ました。
冒頭の砂漠のシーンは全く記憶にございませんでしたし、主人公がだんだんおかしくなっていく過程など結構シビアなのですねえ。宇宙人の誘拐のお話であると同時に家庭崩壊のドラマなのです、驚きましたねえ。主人公の気持ちも理解できませんが、残される奥さんらの人生には何の思い入れもありません。薄情な主人公ですねえ。
それにしても、この宇宙人が本当に”良い宇宙人”なのでしょうか。多数の飛行士を誘拐し、幼児を連れ去り、主人公を洗脳(?)するなど、まるで某国の様なやり口です。拉致しても後日帰したからいいだろう、というのはいかがでしょうか。”悪い宇宙人”としかいいようがありません。しかも、あの5音のメロディーで何がわかるのでしょう。前半では全く正体を知らなかったはずのフランス人監督が指揮する政府の秘密チームが、どうしてあんな歓迎セレモニーを用意できるのか、まったく理解不能です。どうやって事前にわかったのか、なんとも脚本のつじつまが合わないような気がします。観客受けする”宇宙人との遭遇”を無理やりリアルっぽい映画にしたような気がします。まあ、政府による大掛かりな隠蔽工作はなんともありそうな話でしたが(笑)。どうにも居心地が悪くていけません。
結論から言えば、この作品は、やっぱり私の好みに合わないようです。改めてそのことを確認した137分でした。そして、時代的にしかたないことですが、特撮技術が稚拙ですねえ。丁度、スター・ウォーズの公開と製作時期が同時でしたが、この映画は従前からのアナログ技術の世界です。初見当時は、道路を飛ぶUFOのサーチライトに感心したような記憶がありましたが、今の目で再見すると、そんな思いは木っ端みじんです。合成が透けているのです。加えてあの巨大宇宙船もデビルス・タワーと比較すれば縮尺がおかしいのではないでしょうか?そうそう、あんなにシャンデリア仕様で輝いている宇宙船なのに、地面にあれほど宇宙船の影が移動して来るのはおかしくない?そんな公開当時の疑問まで思い出しました。地下鉄の漫才ではないですが、どうも気になります。・・・古いネタですねえ、これも40年ぶりでしょうか(笑)。
最近のコメント