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2019年5月26日 (日)

ULTRAMAN ARCHIVES

  ご存知、名作特撮TV映画「ウルトラQ」の傑作エピソードを1話ずつ特集するブルーレイ「ULTRAMAN ARCHIVES」の第2弾「ガラモンの逆襲」が発売されました。30分番組の本編のカラー版(もともとはモノクロ)と関係者が次世代に向けての証言という触れ込みのインタビューが70分という作品です。第1弾が「2020年の挑戦(ケムール人)」という渋い選択だったのですが、第3弾「東京氷河期(ペギラ)」の発売も予定されていますので、こういうモノを買う人も結構居るんだ(買ってて言うなよ!)と感心しています。

71d2le9uk6l_sy445_   本編のカラー化は、やっぱり明治初期の色付け写真のようなレベルです。ハリウッドの技術という割には、まだまだ未熟ですねえ。とても、黒澤映画などは望み得ません。それより関係者の証言が実に面白い。確かにアーカイブスになりえる貴重な証言やら独創的な意見があります。今回はガラモンの造型への考察が面白い。確かにウルトラQの怪獣デザインは従前の東宝怪獣などと比べても画期的です。デザイナー成田亨氏の功績でしょうが、造型師高山良策氏の名前が出てこないのが不満です。デザイン原画からあのリアルさを生み出したのは、造形の力です。ここの視点が欠けているのがイケませんね。 

 ただ、あの奇抜なデザインをどう動かすかは大変難しかったそうです。ガラダマから後ろ向きで登場し、体を揺すり、ぴょんこぴょんこと動き、指がぶらぶらさせながら、挙句の果ては、指で口を開けて周りを見渡し、よだれを出して死んでしまう。とても、ロボット(宇宙人の侵略ロボットいう設定です。)とは思えません。実は口を開けたのは縫ぐるみの中の人間に外が見えなかったからだったという証言には笑いました。とにかく手探りで熱気一杯、てんやわんやの現場だったらしい。まあ、毎週1話完結の特撮番組という初めての取り組みはそんなものなのでしょうねえ。とても羨ましい話です。

 そのコメンターの一人に脚本家の伊藤和典がいました。自分たちが観たい”怪獣映画”がなかったので、自分たちで作ったという「平成ガメラ」の脚本家として有名です。第1作と第2作はまことに傑作です。第3作は残念ながら監督の独りよがりで失敗です。その脚本家が、少年の頃田舎でTBSが放送されてなくて切歯扼腕したことを語ってくれました。おもわず私と同じだと感動(笑)です。当時は、毎週少年漫画雑誌などでこのドラマの特集をやっており、その写真や図説を食い入るように見た記憶が蘇ります。思えば、後年になってからは本編をじっくり見ることもなかったような気がします。今回まともに観てその演出の奇抜さ等に驚いています。当時もしリアルタイムで観ていたら、今こんなに興味をもっているのか、正直疑問です。あの時の飢餓感、渇望感が原点になってしまったような気さえします。そういえば、これも古い話ですが、テレビ朝日の久米宏のニュースステーションも観たかった!!。今もまだ存在する公共電波の地域別格差を解消しましょう。

20190507_145822 20190507_154800  ところで、このブルーレイ発売とタイアップしているのか、なんと懐かしの食玩が新発売されています。もちろんガラモンもあります。モノクロ版でしたので、手遊びにリペイントしてみました。わずか5cmもないのに、無数の棘など大変精巧にできています。昔のガシャポンと比較するとその技術の進歩には驚愕します。3D技術でしょうかねえ、造型技術は確実に進化しています。

 また、当時の少年雑誌の図解シリーズを集めた同人誌も復刻、発売されています。本当に、世の中には、奇特な人もいます。ただ、大伴昌司氏の解説を出鱈目と一刀両断しているのは(本当のことですが)、悲しいなあ。大変な功績がありますぞ。20190509_140124

2019年5月22日 (水)

居眠り磐音

 小説を映画化した作品が原作小説とは全く違うものであることは重々承知していますし、それを前提に映画ならではの解釈を観るのも楽しみの一つですが、映画「居眠り磐音」はまったくお話になりません。原作小説の一番の肝であり、お家騒動で引き裂かれる主人公と許嫁の耐え忍ぶ姿、日本人の原点ともいえる心情をいとも簡単に信じられないほどの無神経さでぶち壊した脚本には本当に驚きました。しかも、ストーリー的にも中途半端な形で幕を下ろした、この脚本家は”恥の文化”を知るべきです。また、映画の監督なら2時間でしっかり起承転結をまとめるべきじゃないか。とりわけ、廓に堕ちた許嫁が自分の近況を手紙で知らせるなど、金輪際あるはずがないじゃないですか。いくらなんでも、これでは原作のファンとして憤りを感じます。第一、原作者の佐伯泰英氏もこんな脚色は許すべきではありませんでした。先日、おこんさんをないがしろにするような新作小説が出版されたという大先輩の指摘もありますが、ここは断固拒否すべき、と思いましたネエ。

_new_5 そして、配役もよくもこれだけ原作イメージと異なる役者をそろえたと、逆に感心するばかりです。なんか業界の都合やお金のかからないようにキャスティングしたという気がしてなりません。今となってはクスリで交代させられた俳優が一番似合っていたのかもしれません。代役の俳優さんは「散り桜」の悪家老そのままの二番煎じです。しいていえば、ヒロインのおこんさんを演じた木村文乃さんがかろうじて及第点ですが、ほかの出演者はどうもイケません。清楚で名を売る吉原の白鶴大夫になるとはとても思えない許嫁、殿様のような貫録のある金兵衛長屋の大家、主人公の様な二枚目の両替屋、軽すぎて頼りない老分(番頭)、安っぽい坂崎家の家族達、迫力のない道場主、まったく腕が立ちそうもない斬られ役、加えて、原作にはない柄本父子のやりすぎ演技などなど、挙げていけば限りがありません。まったく原作ファンにとっては、これは何?あなたは誰?、というのが本音です。

 さらに、時代劇の要であるセットも、見たまんまのセットという感じであり、醍醐味ともいうべき殺陣も音響効果斬りという情けなさです。第一、あの磐音の下段の構えの居眠り剣法は、まさか眠狂四郎の円月殺法を真似したものではないでしょうねえ。本当に見ている方が眠りたくなります。思えば、NHKのドラマのほうが、放映中は不平たらたらでしたが、いまとなっては”良かった”とさえ思えるほどでした。

 とにかく、もう少し原作の時代小説の持ち味を理解し、リスペクトしてほしいものです。本日は、6本見たら1本ただの日でよかった・・・。

2019年5月20日 (月)

ノーカントリー

 今更ながらに映画「ノーカントリー」に感心しています。ご承知の通り、もう10年も前に、第80回アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞、助演男優賞まで獲った作品です。以前見た時は、リアル過ぎる暴力や社会描写など、どうにも娯楽作品としては居心地が悪くて、まともに向き合っていなかったような気がします。まあ、勧善懲悪のアクションドラマではないですからねえ。

Photo_3  今回、ひょんなこと(魔が差した?)からバーゲン・ブルーレイを買って観てみたら、これはやはり凄い作品ですねえ。ストーリーは、抗争現場に残されていた200万ドルをねこばばする男モス、それを追う殺し屋シガー、捜査する老保安官ベルのドラマが並行して進み、やっぱり少し居心地が悪いのですが、なんとも殺し屋を演じたバビエル・バルデムが凄い、だれかれ構わず殺してしまいそうなホントに恐ろしい狂気を醸し出しています。さすがアカデミー賞の助演賞を取っただけの演技のことはあります。あんな酸素ボンベを使った武器があるのですねえ、これも驚きです。まあ、そのあと、007や海賊モノで狂気の悪役のオファーがあったのも当然ですねえ。

 この作品、冒頭、モスが砂漠の抗争現場で死体や現金を発見する行程の何とも言えない張り詰めたような緊張感は一見の価値があります。モス自身、戦争経験があるようで、その身のこなしや武器の扱い方は只者じゃない感じも良く出ています。しかし、こんな風景が現代のアメリカ、しかも、もう10年も前のドラマですから、こわいですねえ。よくネットなんかで、日本に来た外国人の多くが日常的にはほとんど犯罪がない日本の治安の良さに驚愕して後、数年したら社会に身がまえるという緊張感がなくなるという話をよく聞きますが、この映画なんかを見ていると、本当に、常に犯罪が日常的に起こって、いつでも自分に降りかかることを住民が当然のように受け止めていることに驚きます。日本人なんか、事件が毎日のように起こっているのに、自分には関係ない、絶対起こらないなどと思っていますから、本当に幸せな国に住んでいます。

 しかし、この映画では、筋とはあまり関係なくトミー・リー・ジョーンズ演じる老保安官が「20年前は銃を持たない保安官が居た」、「金のせいか、いつからこんな国になった。」、「礼儀を知らない若者の姿は信じられない」などと嘆くのです。これが原題の「ノー・カントリー・フォー・オールドマン」の主題なのです。それを邦題では、前だけでは意味がわかりません。まったく、最近の配給会社の宣伝部は、英語の原題をそのままカタカナで書いたり、ちょん切ったり、挙句の果ては名作と同名などと誠に知恵の無い事はなはだしいですねえ。政治はもとより企業も、店舗まで日本人の美徳の劣化が顕著ですねえ。もう10年したら、この「ノーカントリー」の世界になってしまいますゾ。他人事じゃあ、ありません、心配ですねえ。・・・・・こんなことを考えさせる作品で、まさしく名作です。監督のコーエン兄弟に脱帽です。

2019年5月17日 (金)

オーヴァーロード

 映画「オーヴァーロード」がひっそりと公開されています。私の感覚では、全然宣伝とかがなくて、まあ、私だけが知らなかったのかもしれませんが、そんな感じなのです。内容はというと、第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦(オーヴァーロード作戦というらしい)の前夜、特命を受けたアメリカ軍のパラシュート小隊がナチスの秘密研究施設に迷い込み、そこで恐ろしい実験を目撃するという、B級SF映画のお手本のようなストーリーなのです。しかも製作が早口でおしゃべりな監督のJ.J.エイブラムスというではありませんか、見逃すわけにはいかないと劇場に足を運んだのです。

_new_4   結論から言うと、なんとも地味な映画でした。冒頭の航空機の戦闘シーンは、もうスピルバーグ監督の「プライベートライアン」張りの迫力です。砲弾や銃弾で機体にどでかい穴がどんどん空くのです。冒頭からいきなりのクライマックス・シーンの連続であり、その後の展開に向けて大いに期待したのです。落下地点のフランス田舎町の風景もいかにも第二次世界大戦中という雰囲気でなんとも見事です。最近のハリウッド美術のリアルさは本当に素晴らしいです。

 一方、気になっていたのが主人公の黒人兵がネズミ一匹殺せないという人道主義者の設定です。最近、こういう人間像がアメリカでは流行りなのですかねえ。観客にとってはその行動がストレスの塊になります。まあ、いいでしょう、代わりに戦闘モード全開の上官である伍長がいますし、フランスの勝ち気な娘も、いかにもナチスという態の将校も憎たらしくて、うまい配役ですが、その俳優の誰一人として知りません。どっかで観たような気がしますが、ノースターということらしく、誠に地味です(笑)。

  しかも、期待に反して、その後のストーリーの展開が娘の家の中でぐずぐずして先に進みません。味方を探しに行った主人公が一人敵本拠地に紛れ込み、挙句の果てに恐怖の人体実験を目撃するのです。が、やっぱりイケません。ネタばれになりますが、アメコミ映画の様々なモンスターを見てきた者にとっては、あれは地味ですねえ(笑)。血清?死体が甦る?月からナチスが恐竜によって攻めて来る時代に、やっぱり古すぎます。製作陣はリアルで真っ当なSF映画を目指したとは思いますが、アメコミの洗礼を受けた、今時の観客にはなんとも地味で物足りません。

以上が、現時点での感想のすべてですねえ。もう少し、時間がたって見直したら、良い映画かもしれません。アメコミのハッタリの利いた映画を見た直後では、なんとも地味に感じられ、公開時期のタイミングが悪かったような気がしてなりませんでした。

2019年5月13日 (月)

祝!生ダコ入荷。

20190511_192437   最近、蛸が不漁だそうです。そのせいで値段が高騰(通販サイトを見ても驚きます。)、しかも、以前はちょくちょく”生ダコ”の入荷があった近所の某スーパーの鮮魚売り場にも、このところ生のタコさんは全く姿を見せなくなりました。加えて、アフリカ産の“湯でタコ”も少なくなっています。どうやら、見た目で悪魔の魚と恐れられていたタコが世界的な日本食ブームで地元も含めて欧米人や中国人が食べ始めたのが、諸悪の根源ではないかと疑っています。もっとも、これはなにもタコだけに限らず、マグロ、カツオなど鮮魚も同じです。カツオなどは官民の対策協議会もできているようです。世界遺産認定も思わぬところに落とし穴がありましたねえ。日本人にとっては困ったものです。

 以前、このブログに書きましたが、タコは実に美味しい食材です。特に浅ゆで(ゆですぎるとダメ)やから揚げなどに目が無いのですが、これには、一般的に市販されている”湯でダコ”ではなく生の蛸が必要なのです。そのタコが手に入らないのです。車で1時間ぐらいかかる処にある有名な鮮魚店でもなかなか入荷しないようです。北海道産はタコしゃぶが美味しいですが、やっぱりタコ刺しと言えば瀬戸内産に限ります。

 そういえば、もう何か月タコを食していなかったのか?(もっとも、湯でタコはおでんにして食べていますが)などと思い始めるような禁断症状が出ていたのですが、一昨日、偶然立ち寄った、くだんのスーパーで”生ダコ”が一匹だけ入荷しているのを発見しました。結構な大物で結構な値段(うちの夕食のレベルで)でした。売り場のおやっさんに聞くと、やっぱり本当に久しぶりの入荷だそうです。一期一会です、買うしかないじゃありませんか? ただ、湯で時間が難しい大物サイズだけに料理担当の女房殿が難色を示したのですが、ここで買わなければ、またどのくらいお預けになるのか、と必死な私の天下分け目の交渉(笑)です。

20190511_194824  で、無事ゲット。でも、それからの料理が大変です(女房が・・ですが)。サイズが大きいだけに、ぬめり落としと湯で方が最大の難所です。一歩湯で時間を間違うと、タコの身は硬くなってなんとも歯が立たなくなります。沸騰する大鍋に慎重にタコの身を入れるのですが、まず太い足の付け根の胴体部分だけを湯に通して、最後に足を含めた全体を入れます。緊張の数十秒、ほんの一瞬です。女房殿の長年の勘だけが頼りです。

 さて、今回は無事大成功です。身の柔らかさは申し分ありません。早速、刺身(?)とから揚げです。残りはもちろん、禁断症状にそなえて冷凍庫でしっかり保存します。本当に美味しいですよ。自宅で湯であがりのタコを食するひと時、ささやかな幸せというのはこういう時をいうのでしょうねえ(笑)・・・嗚呼、令和の日本は平和です。

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2019年5月 8日 (水)

キングダム

 今大人気の漫画が原作「キングダム」が映画化されて公開されています。私は、原作漫画の方は絵柄がどうも肌に合わないので未見なのですが、古代中国で”天下の大将軍”を目指す一人の若者の波乱万丈の物語というこの作品は読み始めるとハマるそうです(友人談)。

_new_3  しかし、そういう英雄譚の映画化となると、まず予算面からハリウッドに太刀打ちできるはずもなく、またまた「巨人」や「ごきぶり星人」などの例のように漫画原作映画の悲惨な墓標を立ててしまうのがオチだろうと高をくくっていました。ただ、監督が佐藤信介というのが唯一救いでした。この監督はSF漫画原作の映画化に一定の手腕を見せています。「GANT2」や「アイアムアヒーロー」などのアクション、「いぬやしき」や「BLEACH」の絵空事をリアルに大作風に仕上げる演出力(褒め言葉ですゾ)は評価しています。

 ということで、連休中最後の休日にやっと映画館で観て来ました。満席の映画館などは久しぶりのことでした。隣が一寸五月蠅いもののやっぱり映画館は大勢で見る雰囲気は良いですねえ。どうやら、連日満席のようでしてパンフレットも売り切れ状態でした。・・・参ったネ。

 そうです、この映画、邦画とは思えないほどお金がかかっている、と思えますから素晴らしい。中国でのロケ、お疲れさまでした。出演者も衣装もアクションも堪能しました。

 出演者でいうと、まず、なにより大沢たかお演じる”王騎”が見事です。プロレスラーの様な肉体改造を行ったようで、あの太い二の腕は凄い。まさしくプロの役者としかいいようがない。しかもあの”フリーザ”のような丁寧なセリフ回しが桁違いの豪傑ぶりを絶妙に体現しています。原作の設定なのでしょうか、耳に残って離れません。

 また、奴隷と秦王の2役を演じた吉沢亮君は大したものです。銀魂ともNHKの朝ドラの若者とは思えないほど役に成りきっています。その演技力に正直感心しました。フクロウの着ぐるみの橋本環奈ちゃんも銀魂よりいい。山の民の王の長澤まさみもいいぢゃないか(初めて思った)。そして弟王の本郷秦多はそのイヤミな持ち味を十分生かして誠にはまり役でした。そのほかの共演者も良く頑張っています。あの特殊メイクの殺し屋さんは誰?いいねえ。でも格闘家の坂口拓は余裕あり過ぎかな?。それなら出演場面はわずかですが要潤が光っています。この人は原作では強い役なのでしょうか?そんな風な演技でした。

 ただ、惜しむらくは・・・やられてもやられても”精神”や”思念”の力でやり返すまでの”間”の長いこと長いこと、待ちくたびれます。邦画の悪い癖ではないでしょうか。主演者の演技もすこし現代若者風で浮いていますか?原作もそうなのかなあ、是非ファンの方に聞いてみたいですねえ。・・・私としてはここに違和感がありましたねえ。ああ、でも微かな瑕瑾ですよねえ。

 結論としては、久々に面白い時代活劇でした。原作は、まだ最初の数巻といいますから、是非、続編を作ってほしいですねえ。とりわけ大将軍”王騎”の戦いぶりを存分に観たいものです。大沢たかおさんにおいては是非、頑張ってあの体型を維持してほしいものです(笑)。私も、作品に敬意を表して、どこかでパンフレットを入手することにしましょう。多分、オークションにはプレミア付きで出品されているでしょうね。

2019年5月 6日 (月)

2001年宇宙の旅グッズ

20190506_100528  スタンリー・キューブリックの名作映画「2001年宇宙の旅」は、このコンピュータ・グラフィックス全盛の時代においても、その伝説はいささかも損なわれていません。それどころか、コンピュータの未発達の時代に、アナログ技術だけを使って、よくあれだけの映像が作れたものだという評価は、作品自体の価値とともにますます高まっているような気がします。

20190506_100611  まず、一番最初の写真をご覧ください。普通に見れば、映画の象徴でもある”モノリス”の模型で、大きさも隣の単4電池と比較すれば結構大きなサイズがおわかりになると思います。

 実は、これは映画「2001年宇宙の旅」のメイキング本なのです。いままで見たことがないような撮影現場の写真などが多数掲載されています。洋書ですので、発売以来しばらく、翻訳版の発売を待っていましたが、どうやらそうした動きはないようなので、先日、意を決して購入しました。大型サイズで重量もあり、なにより、値段がけっこう張るのです。

 ただ、今回、現物を手に取って、この翻訳版は日本ではたぶん発売されないだろうことをしっかり確信いたしました。”モノリス”を模したいという出版元の意図は分かりますが、その結果なんとも扱いにく本になっているのです。

20190506_100651  第3番目の写真のように、縦に細長い形に見開きページがぎっしり折り込まれて綴じられています。細長い本ブックカバーを外すのも大変、ましてやページをめくるのも難儀なのです。折り込みページは開く勇気がありません。なにしろ、固く閉じられてるので、無理に開けると破れそうです。まあ、片面だけでも多数の貴重なセットの写真などを眺める(文章は英語で歯が立ちません)ことができましたので、それで満足しましょう。それにしてもあの謎の原始人のスナップ写真はなんなんでしょう。気になりますが、まったくわかりません(笑)。

 20190506_101308 さて、メイキング本も作品同様”驚き”でしたが、もう一つ、作品に登場する”象徴”は、精子型をした宇宙船”ディスカバリー号”です。このドラマの中でモノリスと同様に深い意味を持つ宇宙船がプラモデル化されたのです。完成すれば、全長1mになろうというプラモデルが発売されようとは、これも”驚き”です。もちろん海外製です。勇気あるメーカー”メビウス”です。清水の舞台から飛び降りて購入しました。とりあえず外箱をご覧ください。

20190506_101453 しかし、私の勇気もここまでで息切れです。今すぐにこのプラモデルを組み立てる意欲がありません。わかっていたことですが、資料写真を観て500ピース以上あるという部品数に恐れをなしてしまいましたので、当面、”将来”の”お楽しみ”に致しましょう。人間、生きているうちは好きなことを好きにして、思い切って楽しんで頑張りましょう。悟ったような”断捨離”などクソくらえ(笑)、です。Dsc03121a-3

2019年5月 5日 (日)

ハンターキラー

 潜水艦物に目がありません。古くは戦争アクション「眼下の敵」、軍隊喜劇「ペティコート作戦」、リアル「Uボート」など、いずれも密室の中のドラマが面白いのです。いや作品だけでなく、映画で登場する潜水艦自体も好きなのです。SF映画「海底二万哩」のノーチラス号、ドタバタ喜劇「グレートレース」の2人乗り偵察用潜水艇など、そのデザインに感動しました。あれはいい。

_new_2  そういうわけで、久々の潜水艦ドラマの「ハンターキラー」に期待したのです。ただ、ジェラルド・バトラー主演映画と言うことが心配でした。過去の主演作品「エンド・オブ・ホワイトハウス」の頃はまだまだ人間味がありましたが、「エンド・オブ・キングダム」や「ジオストーム」などはもう剛腕ヒーロー振りです。なんかエラ過ぎて面白くないのです。エジプト・ファンタジー物の悪役が原因?かな(笑)

 結局、不安は的中です。士官学校を出ていない叩き上げの艦長役ですが、えらそうな態度の割にあんまり”敏腕”でもありません。強運で結果オーライの様な気がします。第一、筋書自体が馬鹿馬鹿し過ぎます。クーデターで捕虜になったロシア大統領をアメリカの原潜がロシアの海軍基地に侵入して奪還するなど絶句です。しかも救出するのは、原潜とは別行動のネイヴィ・シールズ偵察隊のたったの4名というのですから、なんとも現実離れの上、定石が外れ過ぎています。交互に展開する潜水艦の密室ドラマとロシア基地内の奪還作戦が緊張感を分断します。なにしろロシアの守備隊が間抜けすぎますし、敵潜水艦の侵入を阻止するはずの機雷源などは、助けた敵の潜水艦艦長の案内ですいすい通過します。作劇的にはこの場面が最も見せ場でしょうに、何の苦労もなく通り抜けるのですからスリルもなくて困ったものです。黒澤明の「隠し砦の三悪人」とはいいませんが、観客の意表をつく作戦や行動を見せて欲しかったものです。

 こうして運だよりで安易に(もっとも犠牲者も出ますが・・)危機を乗り越え、めでたく不可能なミッションを達成します。まったく盛り上がりもなく平坦なアクション作品でした。ラストもあっけに取られますヨ。

 それにしても、アカデミー賞俳優のゲイリー・オールドマンが演じたペンタゴンの強硬派将軍の意味は何だったのだろう。どうしてあんな損な役に出演したのでしょう。もともと狂気的な役は得意ですが、役があまりに軽すぎます。不思議です。

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