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2019年4月14日 (日)

続「黒澤明DVDコレクション」

 黒澤明の作品のDVDと解説書がセットのシリーズ「黒澤明DVDコレクション」が全作品を網羅し、全30巻でやっと終了したと思ったら、続巻が開始されました。

 驚くなかれ、黒澤明が若い頃に書いた脚本で映画化された作品をDVD化するとの企画です。既に、第31巻「馬」から第33巻「ジャコ萬と鉄」まで発刊されています。予定を見ると、以前から見たかった戦国合戦ものの「戦国無頼」や「戦国群盗伝」、あるいは加山雄三主演の「姿三四郎」など、ほとんどが初DVD化で、いやビデオにもなっていなかったので、今まで見たくてもなかなか見られなかった幻の作品ばかり10巻です。まったく、なんて商売がうまいのでしょう。月2回の発売です。困りましたが、しかたありません、購入するしかありません。

_0003  というわけで、続巻第1号は、初DVD化の山本嘉次郎監督の「馬」です。主演は高峰秀子の少女時代の作品で助監督だった黒澤明との恋が発覚して大騒ぎになったそうです。「助監督あたりにはやれん」といった人は後でどんなに悔やんだんでしょうねえ(笑)。大昔、テレビで見て記録映画の様な作品だという記憶がありますが、とにかく農村での長期のロケを敢行しているもので、当時の農村の生活や風景が見事に記録されています。春から大雪の冬までの長期撮影した作品づくりは昔の日本映画もまんざらではないと思えます。それにしても、当時の農家の暮らしは確かに貧しいものですが、家族も馬も背一杯生きている感じが立派ですねえ。それに演技とはいえ、いまや失ってしまった日本人の古き良き心根が残っているような気がします。いい映画です。

_0002  第3号は、谷口千吉監督の「ジャコ萬と鉄」で、この作品も、当時のニシン漁の記録映画的な漁村風景や漁師たちの姿は格別です。後に高倉健がこの作品と三船に惚れ込み、再映画化しています。こちらの方は見ていましたが、オリジナルは今回初めてです。主演の鉄を演じた三船敏郎が若いし、とにかく豪快で颯爽としています。教会のピアノを弾く少女に毎週末に犬ぞりに乗ってこっそり会いに行く純情も、南方で習ったという奇天烈な”踊り”も抜群です。黒澤明作品以外でもなかなかやるじゃないかと感心しました。また、ライバルのジャコ萬は月形龍之介が演じており、元祖「姿三四郎」の桧垣源之助のような凄味を漂わせています。さすが黒澤の脚本だけあってまことに面白かったのですが、監督の谷口千吉は、黒澤とは山本嘉次郎監督の兄弟弟子で当初アクション映画の新鋭と言われていたものの、この後、八千草薫との不倫が発覚して以降、どうもパッとしなかったようです。このことは添付の解説本の記事に書かれていたのですが、よく考えると意地悪で変わった監督紹介ですね。

 さて、今後の一番の楽しみといえば、加山雄三の主演の「姿三四郎」です。一度、名画座で見たことがありますが、当時は、黒澤明の作品なども観る機会がほとんどなく、黒澤関係”本”で知った”下駄のエピソード”などをなぞった場面に頭で感動して観たような気がします。モノクロの映像からか、何故か岡本喜八作品と思いこんでいたのですが、実は内川清一郎というあんまり知らない監督さんであり、実際の喜八版は随分後年の三浦友和主演の作品でした。で、この加山雄三版が本当に面白かったかどうか確かめたくて、初DVD化に期待しているのです。

 なお、この10巻をまとめるブックケースが別売であるのですが、本編用を流用した15巻入れなのです。ということはあと5冊、何を出してくるか、いまから楽しみにしています。朝日新聞出版さん、是非サプライズをお願いします。

 

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