響 HIBIKI
映画「響 HIBIKI」の興行収入は”爆死”と呼ばれるほど伸びなかったらしい。内容は、同名の漫画が原作で、鮎食 響(あくい ひびき)という名の15歳の高校生の少女が小説家デビューし、芥川賞と直木賞を同時受賞するという、とんでもない天才物語です。
しかし、”天才物語”には目のない私としては、先日やっと動画配信サービスでレンタルして観ました。それがどうでしょう、なんともとんでもない天才の設定ですが、私のツボにはまったのでしょう、実に単純明快で面白かったのです。つい、2回も観てしまいました(笑)。
漫画原作だけにその天才ぶりは極端にわかりやすく誇張されており、気に入らないと即座に小指折りや顔面蹴りなどの暴力行為に及ぶなど、その何をしでかすかわからない雰囲気がなかなか良いのです。屋上から転落するのも線路の遮断機の中に立つのも全く平気な少女ですから・・・。地下鉄のホームで背後に立たれた若手小説家や自宅まであとを付けられた雑誌記者が感じる恐怖をなかなかうまく描いています。実際に居ればそれは本当に怖いと思いますが・・・。
そして、「賞は関係ない、作品は作品」と言い放つ天才少女の存在は、芥川賞などを目指してこつこつ頑張る小説家志望の人間模様や部数第一の出版業界をしっかり風刺しているようにも思えます。さらに、大人の都合、大人の対応に鋭いツッコミ(蹴りも)を入れるのですが、その作品を読んだ自称天才や元天才たちの大人たちはその才能に平伏してしまい、彼女によって引き起こされた様々なトラブルはいとも簡単に解消されてしまうのです。もっとも小説の作品価値に興味がない俗物の編集長や三文記者には通じないのがまた笑えます。あと、欲を言えば学校の教師や親の動転振りのシーンが欲しかったというのは無いものねだりなのでしょうか。原作はどうなっているのでしょうか。
それにしても、主人公役がアイドルで女優デビューという作品なのに脇役が凄いですねえ。端役の売れない小説家に小栗旬が扮しているのは”さすが”と思うし、柳楽優弥や北川景子も頑張りました。主演だけが役者じゃないですよねえ。”ホンが面白い”が第一です。
結局、その後コレクション用にDVDを買ったのですが、画像配信の映像の方が随分鮮明だったのは計算違いでした。DVDの画像は色合いが滲んで見えます。とはいっても、邦画のブルーレイは安くなっても5千円超とはあまりに高額すぎませんか。ここは少し苦情を言いたい場面です。
まあ、それはともかく未見の方は、興行成績など気にせず、是非ご覧ください、何度もいいますが、単純に面白いですから。ただし、そうは思わなかった場合でも「文句言うなら私にどうぞ」とは言えませんのでその辺は何卒ご勘弁ください(笑)。
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