ビリケン商会のケムール人
伝説のTVドラマ「ウルトラQ」の第19話「2020年の挑戦」に登場する宇宙人をご存知でしょうか。その名を「ケムール人」といいます。非常にマイナーな存在ですが、実はファンの間では大変人気がある怪獣(?)です。
そのせいか、ビリケン商会のケムール人のキットは、オークションなどでも馬鹿げたような高値が付いており、いつも全く手が出ません。他の怪獣キットとは一桁違う価格なものですから正直あきれて、もう、これは高嶺の花と諦めていたのですが、待てば海路の日和あり(笑)ということで、いつものように、箱なし、取説なし、組み立て途中品という出品物を比較的安価に購入することができました。ありがとうございました。
ということで、以下、模型づくりの備忘録となりますが、その前に、この”ケムール人”の物語を少しだけ振り返りたいと思います。
発達しすぎて肉体を失ったケムール人が、人間の肉体を奪うため、2020年の未来からやってくるという、当時流行った人間蒸発事件などの世情を背景にした、きちんとしたSFドラマなのです。
もっとも、ケムール人というネーミングは、当時の大伴昌司の紹介記事によると、神出鬼没で煙のように人間が消えたりすることから、そのまんま付けたようです。これは、多分バルタン星人が歌手から名付けたというようなガセではないでしょう(笑)。
さて、そのケムール人のデザインは、人間型で手足は細長く(後年のウルトラマン役者が入っているのでスタイルはスマートです。)、頭にじょうろの様な突起物が付いていますし、目玉が3つ、後頭部にもある、誠に不気味な容姿なのです。
しかも、白黒画面で、当時のカラー写真なども全く残っていないため、その体色には諸説があり、よくわかりません。しかも、後年の「ウルトラマン」に再登場した際にギザギザ模様の淡色の体表に変わってしまったために一層混乱しています。また、DVDのカラー化でも暗く黒っぽい体という程度でよくわかりません。(足も爪のある裸足の説もありますが、これも画面では不明です。)が、やっぱり、ウルトラQ版のケムール人のイメージとしては、黒系でしょう。そう決めました(笑)。
ところで、現物のキットのスタイルがどうにも前屈姿勢なのです。ネットでもこの形への不満や不評が見られますので、どうやら個々の製品の不具合ではないようです。グッドデザインが身上のビリケン商会の造形物にしては珍しいことです。
このため、今回は、下半身にレジンを注入し、自立できるようにした後、上半身を可能な限り上向きにしました。継ぎ目の部分を瞬間接着剤で止めたのち、丁度パテを切らしていたので、木材用ボンドを代用にして注入したのですが、これが大変でした。なかなか硬化しないのです。日中屋外に干して固まるまで4日間もかかりました。ネットの製作談をうのみにするのも考えモノです(笑い)。
最終的には継ぎ目の表面を黒いパテで埋めて、サーフェイサーで全体を下塗りして下地が完成です。いやはや今回は継ぎ目消しのサンドペーパーがけに結構手を取られました。
しかしまあ、ここまでくれば、単純なデザインなので後は簡単な作業のはずでしたが、どうにもエアブラシの調子が悪くてトラブルが続出し、ついに新品のエアブラシに交換しました。
塗装手順は、頭部の目玉の十字溝をラッカー塗料のイエローやオレンジで塗装、マスキングしたのち、ブラックで全身を塗ります。この段階で、あろうことか、ブラックは”つや消し”を、その上に塗るスカイブルーやオレンジの縞模様も、フラットベースの混色を忘れてしまい、あとでテカリ消しに苦労することになりました。
また、白目や頭部の溝の周囲のラッカー筆塗りも予想以上に細かな作業で手間(目がキツイ)がかかりました。
最後に、目玉や溝をエナメル塗料の筆塗りです。仕上げは、結局、水性のつや消しスプレーに頼りました。まあ、宇宙人ですので、多少のテカリも許容の範囲(笑)です。
「ウルトラQ」シリーズの中から選ばれたアーカイブの第1弾だそうで、この1話だけについて、関係者のインタビューなどを集めた内容ということです。一体どんなものになるのだろうか、とも思いますが、いまの世の中こんなDVDまでが売り出されるのかと感心しますし、あらためて、ケムール人という物語の人気の高さを実感いたしました。結局今回は、誠に時宜を得た模型作りだったといってよいのかもしれません(笑)。
しかし、こうなると2月に発売されたら買うしかないのかな?でも、ブルーレイでなく、リーズナブルなDVDにしよう(笑)。
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