ルームロンダリング
「ルームロンダリング」は、なんともいえない味がある映画です。まず、タイトルがうまいし、幽霊物の喜劇であることがうれしい。そして出演者のメンバーも丁度塩梅がいい感じです。レンタルで借りて見たのに、なぜかDVDを買ってしまったというのも、ひとえにストーリーの心地良さの証左でしょう(笑)。
もともと欧米に多くある幽霊喜劇が好きなのです。「幽霊と未亡人」、「幽霊西へ行く」、「陽気な幽霊」などのクラシックをはじめ、「ゴースト」や「天国から来たチャンピオン(リメイク)」なども実に楽しいお話です。ディズニーの「黒ひげ大旋風」もありました(笑)。
自殺や他殺のあった曰く付きの部屋をお祓いする意味で、一度誰かが住んでみせて、履歴を上書するというのは、日本ではよくありそうなお話ですし、それをマネーロンダリングならぬルームロンダリングと命名したのは、映画のオリジナルらしいのですが、これには本当に感心しました。
主演の池田エライザという女優さんは全く知りませんが、幽霊が見える根暗な主人公をよく演じています。それに久しぶりに変な髪形のオダギリ・ジョーを良いと思いました(笑)。パンクロッカーの幽霊役の渋川清彦(この人も顔は知っていますが・・・)が笑えます。
ともかく、現在の社会を映したシリアスな要素などもありますが、サメに見立てた背中に突っ立った包丁や切れた手首のギャグのほか、変な中華屋のおっさんや意外なオチのある展開の喜劇がなんともうれしいのです。
もともとジャパニーズ・ホラー以前の怪談物は情緒もあって結構好きなのですが、最近の救いのない血まみれのハード・ホラー映画は苦手なのです。
それに比較して、この作品は、決して平穏でない現実の中で「泣くな、笑え!」というメッセージが心優しく、生きることに希望が持てるファンタジーなのです。あの飛行機飛ばしをしてみたくなります。
今回は、誠に拾い物の佳作です。片桐健滋という新人監督さんらしいので、今後に注目していきましょう。
« ビリケン商会のカネゴン | トップページ | ラオ博士の7つの顔 »
コメント