先日、オークションで大失敗をしてしまいました。入札にはじっくり商品を見定めることが肝要と、改めて反省しております。
実は、今回ビリケン商会の「カネゴン」の模型キットをゲットしたのですが、その商品は、彩色版(最初の写真)の発売前に売り出された無彩色のキットでして、既に絶版となって久しく、このところオークションでも全く見かけていませんでした。実際、自分で塗装を楽しむには当然ですが未塗装品に限ります。
その商品が箱なし、取説なし、汚れ、破損アリという条件で出品されていたので、思わず飛びつき、速攻で入札、その後、商品写真を見て後頭部の棘の部品がないことに気が付きましたが、競合相手が出現したため、おもわず熱が入ってしまい、想定予算を超えて落札してしまったのです。
数日後、届いた商品を見て驚きました。部品の欠品が棘どころか、下あご、触覚(・・口のジッパーのヒモ?)、靴のボンボン(何かわかりませんが4つの玉です。)もありません。これには本当に参りました。
商品写真にそれらの部品が失われていることがしっかり写っていますし、当初は確かにジャンク品相応の値段でしたので、クレームも付けられません。まったく、熱くなって見過ごした自分が悪いのです。加えて、落札後、完品がかなりお安く出品されています。・・・バカヤロー!!
ただ、今回縁があって届いたこの不満足なキットに罪はありません。なんとか完品に甦えらせよう、そうじゃないとキットが可哀想じゃないか。逆境で模型魂が燃えます(笑)。
とはいうものの、その工程はなかなか手間がかかりました。
まず、失われた部品の再生です。やむなく、彩色版のキットを複製しました。最近、流行りの青いシリコン粘土を使って型取りし、その型にレジンを注入します。このシリコン粘土は非常に便利なのですが、少し苦労したのが細長い棒状の触覚2本です。レジン液に空気が入り、良い形に固まらなかったのですが、最終的には、粘り気のある瞬間接着剤を使って強引に形を修正しました。
なお、ここで、今更ながらですが、使い捨てスポイドが少量の液注入に威力を発揮することを再発見しました。これでレジン液への苦手意識(笑)が克服できそうです。
次にモデルを自立させるため、二本足にレジン液を注入し、重心をとる工程なのですが、ここでも失敗。もともと素材の経年変化により自立できなかったキットなのですが、この作業途中で腰の尻尾部分にレジン液が漏れてしまい、重心が後方寄りになってしまったのです。このため、下腹や頭部の前方部分にレジン液を入れたほか、足首を切断し角度を変えて接着、全体のバランスを取りました。その工夫の結果、一応自立しているものの、依然として微妙に重心が後ろ寄りになっているので、置き場所は水平な場所に限ります。
その次は、複製した棘や下あごなどの部品を取りつけた体全体にグレー色のサーフェイサーのスプレーを塗布する下地作りです。
そのうえで、ラッカー塗料のつや消しブラックをエアブラシで吹きつけます。この黒地の下塗りが上塗りのカラー塗料の発色を抑えて深みのある色になる(筈な)のです。
”カネゴン”は、一般的にはゴールドと思われていますが、これはイベント用だったそうで、実際は彩色版の表紙絵のようにブラウン系ということです。
今回は、ラッカー塗料のブラウンにフラットベースを混ぜて、エアブラシで塗布します。
ここで、第2の失敗です。混ぜるフラットベースが少量かつ混ぜ方不足だった上に、影をつけるつや消しブラックが予想以上に多くなって、テカリのある暗い焦げ茶色の体表となりました。なんとも随分イメージが違いました。
やむなく、薄めにしたつや消しホワイトのエアブラシ塗装で、全体をぼかしたうえで、ダークイエローで再塗装です。ここで、テカリを極力消すためにフラットベースをラッカーで十分攪拌したものをダークイエローに混色しました。これは一定効果がありました。
なお、体表にはエアブラシから飛散した粒子が見える仕上がりとなっていたので、エナメル塗料の薄いつや消しでブラックで体表のぶつぶつ(細かな穴)を筆塗りする際、自然に見えるように調整しました。
最後は、目や口のジッパー(ゴールド)、靴のボンボンをエナメルで筆塗りし、完成です。色合いは、当初の計画とは少し異なりますが、まあ、”カネゴン”のイメージに近いので、これで良しとしましょう。
完成写真を見ていただけるとわかると思いますが、後ろに突き出た尻尾がアンバランスの原因なのです。
このキット製作をもって、ビリケン商会関係(ウルトラQ)はとりあえず最後にいたしましょう。
実は、老後の楽しみに秘蔵している貴重なキットがまだまだありますので、そのお蔵出しを楽しみにお待ちください。
<追記>
どうも、室内灯で撮影したせいか、写真の色がいずれも青みがかっていますので、画像のデジタル加工してみました。最後の写真が、実際の色合いに近いものです。
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