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2018年11月 2日 (金)

図鑑の世界(ユリイカ10月号)

 青土社発行”詩と批評”を扱う月刊雑誌「ユリイカ」の平成30年10月号に「図鑑の世界」という特集が組まれました。
 これがなかなか興味深い読み物でした。
510axpe4gal_sx321_bo1204203200_  最初にいまや図鑑と言えばこの人というイメージの荒俣宏氏(世界大博物図鑑全7巻など随分印税に貢献しました(笑))の冒頭インタビューがあり、編集者やイラストレーターなど様々な人の意見が載っています。
 タイトルを見るだけで楽しくなります。
 「大人のための恐竜図鑑」、「『リアルサイズ古生物図鑑 古生代篇』ができるまで。」、「図鑑を作る仕事」、「図鑑が導く妖怪の世界」、「子供の世界形成における『怪獣図鑑』の作用について」などの著者が、やっぱり私の幼い頃と同じように図鑑を眺めた経験がベースになっていることになんか安心感を覚えます。もっとも、魚類図鑑を作りたくて出版社に入社したなどと聞くと、羨ましい限り(笑)ですねえ。
51ae5hbsecl_ac_us200_  それにしても、恐竜研究者の「大人たちには受入れられないモフモフの恐竜が子供たちの間ではもう当たり前」という言にはショックを受けます。日々の恐竜研究の急激な変化を改めて感じますし、やっぱり”怪獣”のような恐竜像を刷り込まれた世代には最新の羽毛姿はどうしても迫力不足に映ってしまい、時代に取り残されていくようです。
 
 また、テレビ「マツコの知らない世界」に登場したという”図鑑マニア”氏へのインタビューは、最前線の図鑑の現状や製作の裏事情についての具体的な解説となっており、なかなか好感が持てます。
 まず、写真のコンピュータ化による「深度合成」で小さな昆虫にもすべてにピントが合った図版が実現し、図鑑が大きく変わったといいます。細密画を描くコストなどの軽減につながっているそうです。
 そして、今の教育現場も標本採集からデジカメ写真の収集に変化しており、図鑑も博物学的なものからテーマ別へ移っている流れもあるそうです。そういや「おじさん図鑑」や「制服図鑑」もありますよねえ。
 そのため、執筆者もこれまでの学者や教育者ではなく、「イモムシハンドブック」などのように自分で写真を撮って一人で図鑑を作るなど図鑑づくりの専門家が登場してきているそうです。
 そういわれれば、学術誌ではないのですから、あまり体系的な分類にこだわる必要が無いのかもしれません。実は昆虫図鑑のページのレイアウトでは、分類学上の整理で”ガ”と”ガ”の間に”チョウ”が入るようで、どうも矛盾を感じるとの編集者の告白(笑)もあります。その反面、恐竜図鑑では、なにしろ年代別ですから笑えます。
 
 さて、この図鑑マニア氏は、「図鑑とは観光ガイドの様なもの、気楽に買って楽しんでほしい」と結んでいます。
 まさにおっしゃるとおりです。
 ぼうと図版を眺めているときが至福の時間ですよ(笑)。
 61jojstq0cl_sx421_bo1204203200_ 今、ハマっているのが、宇宙からスパイまで森羅万象を1冊にまとめた「ピクチャーペディア」です。さすが、スミソニアン協会です。バカでかい本ですが、各テーマごとに見開きの2ページの情報量のとんでもないこと。そのページのホンの隅にある小さな精密な図版と洗練した説明を見つけて、どれだけ感動するか、これが図鑑の楽しみです。
 是非、秋の夜長にお試しください。
 
 

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